辺境の村で惰性的なスローライフを過ごす、かつて準廃だった闇魔法使い系の女の話   作:異界の土饅頭供養

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【CAUTION】
表現したいことがあり、特殊タグを多用しています。
ごめんなさい。
場合によって、冒頭部は前話に移動させるかもしれません。


※特殊タグについてはチラシの裏の「特殊タグ練習」に居られます、ムーンフォックス様、アネモネ様、SunGenuin(佐藤)様、等々のハーメルン特殊タグ界隈のパイオニアの方々を参考にさせて頂いております。





春_1021年目⑤ 転写術式

 

 

 

 

 私はロッジから結構離れた場所に作った洞穴に来ていた。個人的にラボって呼んでるけど、馬鹿弟子にはまだ定着していない。

 いつの時代かの最強強化装備(無駄にめっちゃ光る大剣)をランタン代わりに洞穴を進む。

 

「よいしょっと」

 

 分厚い金属でできた引き戸の檻を開いて、剣を立て掛けた。壁に幾つも掛けられた四角い鏡が、乱反射して細長い部屋を照らす。

 

 入口にある鏡の中には現代に残してきたペットの黒猫ナナシが、私に抱き上げられた状態で写っていた。

 

「なぁごー」

 

 特に意味もなく鏡の中のナナシに猫ポーズで挨拶する。返ってくる声は無い。……むなしい。

 

 奥へと進んでいく。

 壁へ丁寧に掛けられた思い出が滑る。

 気を取られる前に足を速める。

 

「こんなに狭かったっけ」

 

 更に奥まったところにある人一人が辛うじて通れる扉を開けてくぐった。

 あまり入らないのでホコリ臭い。

 祭壇のように置かれた机の上には、錬金術で使いそうなスチームパンク染みたフラスコと器具が置かれている。

 その机のど真ん中には、粗雑に切り出された木片に錆びついた二本の小さな細剣が突き刺さっていた。どちらも腕ほどの長さしかない。細剣の柄には細い鎖が繋がっている。

 

「あー……。痛すぎて放置してたんだった。錆びてる……」

 

 机の下に四角い鏡が落ちていた。

 拾い上げると、中には夕暮れのロッジで幼いディルナが泣きながら飛びかかってくるところが写っていた。

 

「あぁ……。ディルナと初めて喧嘩して、仲直りしたときか」

 

 ロッジに連れてきた後、まだ馴れないディルナをサニーに任せて旅立って。そうして帰ってきたときだったかな。そう、何やかんや入り用なものを買いに行っていたんだよな。服とか。

 

「よし……この辺でいいか」

 

 入口まで戻って壁へ丁寧に掛ける。

 ……読み出したのはいつだ? 5年前か……?

 錆びた細剣を見るとそのくらい前な気もする。

 

 ディルナの鏡を掛けた横には、おばばと呼ぶには若すぎるおばばが写った鏡があった。その横には、ロッジで満面の笑みを浮かべるおばばの娘レナ。

 

「あ、あった」

 

 先日の出来事から、ロッジで探していた靴を鏡の中のレナは履いていた。いや、ちょっと待てよ。何で探してたんだっけ……?

 

 狭い小部屋の脇に置かれた粗雑なテーブルセットに腰かけて、少し思い出を眺めた。

 手元を見ずに酒瓶を机脇の木箱から引っ張り出す。

 

「一杯くらいなら、いいよね」

 

 誰ともなく言ったが、机を見るとグラスが無かった。酒瓶をしばらく眺めて、栓を抜いてそのまま呷った。

 

「はぁ……。流石にあれを突っ込むのは嫌だな」

 

 錆びついた剣を何とかしないといけない。

 ……あいつ、まだ生きてるかな?

 

「夏に王都へ行くし、丁度いいな。居所をおばばに占ってもらおう」

 

 とりあえず今日は、もう少しここに居よう。

 私は大事に仕舞っていた、鏡に対応する日記を取り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「天才考古学者グラベルは、亜神の秘密を隠すと言われる古代遺跡を探していた。

 かつて滅んだ国があった場所。

 そこは草木の一本も生えない、最も恐れられた大地。

 そこで、グラベルは今まで誰も気がつかなかった地下への階段を見つける。

 好奇心の鼓動は、そのベールを暴き、運命は好奇心を招き入れる。

 そう、それは古代の記憶を残す古代天空都市への――」

モノローグ(独り言)のところ申し訳無いんですけど、自称天才考古学者の先生。天空都市ですか? 地下に下ってますよね、私達」

 

 テンガロンハットを被った考古学者の男へ、頭にゴーグルを着けたノースリーブに短パン姿の少々場違いな恰好をしている女が声を掛けた。

 

「いやまぁそうなんだが。俺たちが歩いてきたところが空を飛んでたってんなら、ロマンがあるだろう?」

「自称天才考古学者は否定しないんですね……。それにしても、その伝説はホントなんですかねぇ。もうだいぶ歩いてきましたけど、これが全部そうなら小島みたいな大きさしてますよ?」

 

 男の名はグラベル。消された歴史を追い求める、飽くなき探求心を持つ考古学者である。グラベルを追いかける少女は、魔法学校でグラベルに教えを請うている研究生のアルエだ。

 

 彼らが居るのは亡国があった土地の地下深く。

 何も無い土地とされていた大地へ、グラベルは今回の探検で赴いた。全ては、【†クラウド†】の写本の中から1枚の手紙が見つかったことから始まっている。

 

「……亜神達は、いったい何処から来たんですかね?」

「ふぅむ。遥か昔、亜神の始まりと呼ばれる時代があった。この時代辺りには、亜神達が世界のあちこちに出没していたらしい。今から千年も昔の話だ」

「それは知ってます。言い伝えによると、人間に姿形が似ているようですけど。どんな人達だったんですか?」

「そうだな。人知を超えた隔絶した力を持っていたようだ」

「隔絶した力?」

「有名だろ?」

「暇つぶしと、先生の見解が知りたかっただけです」

「あぁそう。その力は山を均し、海を割る程だったそうだ。まぁ、ここの地上にあった国が更地になるくらいさ。なんとなくは想像がつくだろう?」

「あー、ホントに何にも無かったですもんねぇ。水を探すのにも苦労しましたよ」

「今いる歴史家は、その力を求めるやつらがごまんと居る。俺から言わせれば、邪道もいいところだ。……また同じ道に出たな」

「……もしかしなくても、迷ってます?」

「初めて来たんだ、迷ってはいないさ。探検だよ探検。……次は、こっちだな」

 

 グラベルは、手元の手記に簡易で地図を書き込んでいく。

 

「先生は……、亜神の秘密を探していると言ってましたが。もしかして、亜神の不老不死の秘密ですか?」

「不老不死か……。確かに彼らは不老不死と言われている。まぁ……俺は疑ってるよ。彼らは本当の意味での不老不死ではないんじゃないかってね」

「では……」

「俺はね。本当のことを知りたいだけだよ」

 

 崩れた道の先、古いレンガ造りの遺構の下に階層が現れた。

 二人は手に持つランタンの明かりを頼りに進んでいく。

 

「探検隊の皆を上に置いて来ちゃいました。いいんですか?」

「まぁ、彼らには歴史のロマンなんて分からないさ。考えてもみろ。ここは恐らく亜神達が作った遺構だ。似非歴史家の盗掘者に荒らされるのは、ごめんだね」

「うわぁ。予算出してもらっておいて、結構言いますねぇ」

「それはそれ。これはこれ」

「お宝を見つけても没収されそうですよ……」

 

 アルエはゲンナリとした顔になった。ここに辿り着くまで、グラベルのお陰で苦労したことが多々あったのかも知れない。

 

 そんなことを話しているうちに、二人は行き止まりへ辿り着いた。

 

「あ、行き止まり」

「……いや下だ。まだ下がある」

「どれだけ深いんですかここ……」

 

 グラベルがランタンを掲げると、途中から崩壊している階段が照らし出された。

 

「降りるぞ」

「足場が無いですよ」

「ロープを出せ」

 

 ロープを固定した後、アルエから先に降りることになった。

 

「先生が先じゃないんですね……」

「馬鹿ヤロウ。お前じゃ俺を引き上げられないじゃないか」

「……なんか納得できないんですけど」

 

 いそいそと降りていくアルエ。

 グラベルはロープをしっかりと握った。

 

「揺らさないでくださいよ」

「分かってるって」

 

 しかし、瓦礫に擦れたロープが途中で千切れ、先に降ろしていたアルエが落ちてしまった。

 

「うわっ」

「大丈夫かアルエ!?」

「いつつ。あー、大丈夫です。ん? なんだろ」

「ちょっと待ってろ!」

 

 グラベルは、ランタンを投げ込む。

 アルエが落ちた先は遺構の一部が崩れていた。脆くなっていた瓦礫のお陰でアルエは無事なようだった。

 

「先生! 何かありました!」

「なんだと!?」

 

 言うや否や、グラベルは飛び降りた。

 

「先生まで降りたらどうやって上がるんですか!?」

 

 危なげなく降り立ったグラベルは、喚く生徒から封筒を引っ手繰って、中身を検めた。

 出てきたのは革製の封筒に包まれた硬い何かだった。

 

「ちょっと! 先生」

 

 アルエは抗議の声を上げるが、必死な様子に言葉を引っ込めた。

 

「これは……!? 転写術式だ」

「何ですかそれ」

「待て……! 読める! 読めるぞ」

 

 手帳を取り出した教授は、震える手で解読していく。

 

「くそ! 分からない文字が出てきた。『魔神が……活した時の……に、攻…………を残す』か。文字種が多すぎる」

 

 グラベルが持つ鏡には、カラフルな文字と図表のようなものがいくつも写っていた。

 

「先生、魔神と亜神ってどう違うんですか?」

「魔神ってのは、神話によく出てくる亜神の敵だな。魔神を滅ぼし尽くして、今度は亜神同士の戦いが始まった。そして、それはこういった崩壊した遺構が証明している」

「へぇ……それは何て書いてあるんです?」

「さぁな。持ち帰って調べてみないことには」

 

 考え事をして油断したグラベルは、アルエから素早く鏡を奪い返された。

 

「ちょっと見せてください。うわ、エッチな絵が載ってる。しかも動きますよ! ……調べるって。何調べるんですか……?」

「違う! その絵じゃない! 文字の方だ! 絵は多分『広告』ってやつだ!」

「なんか濁って見えないところありますけど」

「記憶主も曖昧だったんだろ」

「記憶?」

 

 

※※※


 

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魔神戦攻略


 

第1フェーズ備考
ミラージュネタは鏡呪と思われる。高確率反射・反射時の倍率高。高火力で攻撃すると反射ダメージで即死します。注意。魔神が紙装甲なせいでクソみたいな反射ダメージを喰らいます。
テスラ現在HPの1%分DOT3s。15s周期で使用。-
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 ……

 

 

第2フェーズ(残60%〜)備考
ダメージカウントカウント内のダメージ総量を蓄積して反射。カウントは1s〜9sのランダム(※要検証)第1フェーズに加え左記行動を追加。
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第3フェーズ(残30%〜)備考
イーラフェーズ移行時に物理ダメージ。フェーズシフト時に即時発動。現在HPの99%割合固定ダメージ。超広範囲。必中攻撃。耐性貫通状態異常ランダム付与(毒、沈黙、スタン、混乱、暗闇、封印)以後、定期的に使用。(12s〜45s)控えめに言ってクソです。
コラプス戦闘速度上昇。プレイヤー側も無駄に増加します。加速による誤操作に注意。-
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第4フェーズ(残10%〜)備考
レイヴン広範囲、高威力ドレイン。回復されすぎると、第3フェーズへシフトして全滅します。戦況が鈍化します。養分にならないように注意。
セトラ・タナトス強制全滅技。回復され過ぎた場合、第3フェーズへのシフト時に使用。全滅というか、画面が文字化けしてログイン画面に戻されます。初見は心臓止まるので注意。イベントは負け扱い。
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備考


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攻略動画

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 ……

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 ……

 

ネタ

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※※※

 

 

 

 

 

「先生、結局転写術式ってなんですか?」

「転写術式ってのはな。こうやって」

「……何、両手で鼻の穴ほじってるんですか」

 

 グラベルは両手の人差し指を鼻に突き込んだ。アルエからは、間抜けな絵面に見えているだろう。

 

「いや、だからね。こうやって金属の棒を鼻の穴に挿して、こうブスッとやってな? 無理やり脳から見たことのある()()()()()()()引っ張り出す魔法だよ」

「えぇ……。それ魔法なんですか? うぇ……」

「まぁ、どこの国も禁術指定しているがな……。昔は頻繁にやってるやつがいたらしいぞ。しかし、脳に直接突き刺すんだ。回復魔法があるとはいえ、下手をすれば死んだやつもいただろうな」

「悪いことってのは、なかなか減らないですからねぇ」

「昔からそうだとなおさらな……」

 

 思い浮かべたのは、拷問にかけられる虜囚。金属の棒を持って執行するのは、いかにも闇魔法を使いそうな老人だ。

 

 そんな二人が取り出した転写術式の入っていた封筒には、殴り書いたような日本語で『wikiページほとんどうろ覚えやんけ! 馬鹿!』と書かれていた。

 

 

 

 

 

 




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いつもありがとうございます。



【tips】
転写術式:記憶を絵として出力できる。『スケッチ』(SSモード)と呼ばれる亜神特有のスキルを魔法で改造したもの。

※なんやかんやあっても、主人公は引き続き準廃なのでご安心ください。
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