ようこそ姉至上主義の教室へ   作:キフ

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※前話のあらすじ
 櫛田の裏の顔を録音して脅し、櫛田を駒にした。堀北兄と綾小路が戦ってるシーンを録画し、堀北兄と堀北妹の切り札とした。



~恩返しを期待して~

『櫛田さん、少しいいかい?』

堀北兄妹の切り札を確保した後俺は櫛田にメールを送っている。

 

『大丈夫だよ!どうしたの?』

櫛田は俺のメールにも天使の仮面を被っていた。俺の頼みごとなんて聞きたくないんだろうが…

 

 

『実は俺にBクラスの一ノ瀬さんを紹介してほしいんだ。』

 

『あれ、坂柳くん、まだ一ノ瀬さんとお友達じゃなかったの?』

 

『あぁ、俺は交友関係がそんなに広いわけでは無いからね。』

俺の交友関係は基本的にAクラスで完結している。他クラスの人間と仲良くするメリットが感じられないからだ。だが、有象無象はともかく原作での主要人物とは関係を作っておきたい。一ノ瀬は誰に対しても友好的だし、信頼を裏切らない。

 

…何より一ノ瀬は俺の敵にならないからな。敵としてみると俺が一ノ瀬に負けるビジョンが見えない。確かに一ノ瀬のスペックは全体的に高い。頭はいいし、身体能力も悪くない。コミュニケーション能力に至っては櫛田をも超えた能力で恐らく学年1位だろう。Bクラスの団結力も他クラスより人一倍強い。…だがそれだけだ。一ノ瀬は正統派手段しかとらない。いや、とらないというより、とれない。一ノ瀬は中学時代に万引きをした。幸い母親の機転と店側の配慮で事無きを得たが精神的には相当苦しかっただろう。それから一ノ瀬は善行に執着するようになった。『自分は悪い事をしてしまったから、これからは善いことをしないと』っと善意の檻に閉じ込められている。非道な作戦も外道な手段も選べないし、仲間を切り捨てる覚悟も持ち合わせていない。しかし、これは一ノ瀬が悪いと言うよりはクラスが悪い。クラスがなんの根拠もなく一ノ瀬を頼り、信じ、疑問を抱かない。これでは友達と言うよりも狂信者だ。

 

一ノ瀬帆波(いちのせほなみ)という人間はリーダーという器ではないのだ。>

 

それでも信頼という面では誰よりも信用出来る。だから俺は一ノ瀬とパイプを繫ぎたい。

 

 

『分かった、メールしてみるね。』

 

『よろしく頼むよ。』

5分ほどすると櫛田からメールがきた。

 

『明日パレットで会わない?だって!』

パレットとはこの学校にあるオシャレで人気のカフェだ。俺は姉さんや正義(まさよし)などの坂柳派閥と何度か行ったことがある。値段も良心的で味がいい料理や飲み物が多いのでおれも気に入っている。

 

『分かった、時間はいつ?』

 

『放課後すぐはどうかな?』

 

『了解、櫛田さんありがとね。できれば櫛田さんも来れないかな?少し話したいことがあるんだ。』

 

『うん、どの道私は行く予定だったから大丈夫だよ!』

 

『おっけー、ありがとう』

俺は櫛田とメールのやり取りを辞めてベッドに入る。

 

…一ノ瀬みたいな美少女と会話か。テンション上がるな

 

その日の俺はよく眠れなかった。

遠足を楽しみに待つ幼稚園児とかいうな。

 

 

※※※

 

授業も終えて放課後になった。Aクラスの皆は今日も勉強に励むようだ。

 

「姉さん、俺Bクラスのリーダーと会ってくるよ。」

 

「Bクラスのリーダー…ですか。面白いお方でしたら私にも紹介して下さいね。」

新しいオモチャを探している顔をしているな…まだ葛城というオモチャは壊れてないじゃないか。

 

「分かったよ、面白そうだったら姉さんにも紹介するよ」

俺は廊下を出て櫛田を待つ。

 

すると前の方から櫛田がやって来る。

 

「坂柳くん、こんにちは!」

櫛田が手を振りながら笑顔でこちらに駆け寄ってくる。

よく嫌いな人間にここまで笑顔を見せれるな~。実は嫌われてないんだろうか?そうだとしたら嬉しいな。

 

「こんにちは、櫛田さん。今日はごめんね。」

 

「ううん、全然平気だよ。私も皆が仲良くなってくれたら嬉しいし」

俺と櫛田はそんな雑談をしながらパレットを目指していく。放課後すぐに移動しているため、周りに人がいなくなる。

 

「はぁ、何で私があんたに協力しなくちゃいかないんだよ。」

櫛田がため息をついて豹変する。やっぱり俺めちゃくちゃ嫌われてますやん…美少女に嫌われるのは男子的に大ダメージなんだが。

 

「周りに人がいなくなったら本性表したな」

 

「はっ、バカどもに気遣うのも結構疲れんのよ。あんたにはバレてるし開き直ることにしたわ。」

思い切りが良すぎだろ。櫛田は精神的に強いと思っていたが予想以上だな。

 

「俺は櫛田には良い関係を築きたいと思っている。」

こちらも『切り替え』るか…

 

「どの口がいってんのよ。人のこと散々脅しといてあんたの言うこと信じると思ってんの?」

櫛田は大層不満げな顔をしてこちらを睨みつける。

 

「まぁ、落ち着け。もし俺の計画に積極的に協力してくれるなら堀北鈴音を退学に追い込んでやる。お前は随分堀北を嫌っているようじゃないか。」

 

「だから、あんたを信じる根拠がないの!利用するだけして後は私を切り捨てるかもしれないじゃない。」

苛立ちを隠さずに櫛田が騒ぐ。

 

「…そうだな、確かに今の俺を信じてくれる訳ないか。分かった。」

俺はそう言って堀北兄妹の切り札を櫛田にメールで送る、

 

「あんた何いきなりスマホいじってる訳?<ピロン♪>」

 

「その動画を見てみろ」

櫛田は怪訝そうに俺を見るがおとなしくスマホを見た。

 

「堀北…と綾小路?…………!?」

綾小路と堀北生徒会長の戦闘シーンを見たのだろう。素人目から見ても凶悪な攻撃を綾小路が避けていく。

 

「…この動画が何?確かに綾小路がこんな動きをするのは驚いたけどあんたを信用する理由にはならない。」

 

「堀北鈴音は兄である生徒会長に心酔している。堀北鈴音…以降堀北妹とする。堀北妹は堀北兄に迷惑をかけたくないのさ。だからこの動画は堀北妹にとってはなんとしても消したい動画ということだ。これは俺にとっても十分使える手札だった。それをお前に渡したんだ。信用しろとは言わないが、無駄に不信感は持って欲しくない。」

 

「…分かった、ひとまずあんたを信用するかは今後の動きを見て考える。」

この手札は櫛田にとっては非常に強い武器となる。

、、、そして櫛田を滅ぼす爆弾にもなる。

まだどちらになるかは分からないが、用心深くいこう。

 

「今はそれでいい。とにかく俺に協力してくれるなら、それ相応のメリットを与えてやるということだ。それと綾小路とはなるべく敵対しない方がいい。冗談抜きで退学するぞ。」

 

 

「…あの地味な男がそんなに厄介なの?」

 

「厄介なんてものじゃない。奴はこの学校のバランスブレーカーだ。この学校で最も優秀といっても過言では無い。」

櫛田は実感がないのか戸惑っている。

 

「綾小路がねぇ…もっと友好的に接しようかな?」

 

「打算で綾小路には近づくな。…喰われるぞ。」

 

「分かったわよ。あんたがそこまでいうなら相当凄いんでしょ?」

 

「…俺の発言を信じるのか?」

まさか信じてくれるとは思わなかった。

 

「確かにまだ半信半疑だけどあんた私の本性探る以外でも相当裏でやることやってるでしょ。それに他にも私の知らない情報もたくさん持ってるみたいだし?」

 

「まぁ…多少はな」

何でバレた、女の勘ってやつか?

 

「とりあえず、堀北潰すまではあんたの言うこと聞いてやるわ。」

と話しているとパレットに近づいてきたため、人が出てきたな。

櫛田は仮面を被り、俺は『切り替え』る。

 

「坂柳くんって実は結構モテるんだよ?」

脈絡のない恋愛話を櫛田がぶっ込んでくる。

 

「えっ…」

思考がフリーズ…まじ?

 

「あれ、知らないの?1年生の女子が作ったランキングにも載ってるし」

どうやら俺ら男子は知らないうちに格付けされていたらしい。

 

「坂柳くんはイケメンランキングで見事1位だったよ。おめでとう!因みに2位もAクラスの里中(さとなか)くんって人。3位は平田(ひらた)くんで4位5位もAクラスの人だったよ。」

Aクラス凄いな。確かに里中はイケメンだと俺もおもっていたが、俺が1位だと?ここで俺にある疑問が生まれた。

 

「その割には女子に話しかけられないんだけど…」

俺の青春は?彼女とか欲しいです。

 

「あ~、坂柳くんはイケメンとか、紳士的とかって書かれてたけど周りの女子には高嶺の花過ぎると思うよ?女子は釣り合ってない男子とは付き合いにくいんだよ。」

 

「マジで?」

俺の青春ないの?はっ?確かにイケメンランキング1位ってのは嬉しいが女子が俺を恋愛対象と見てくれなきゃ意味ないじゃないか。…こんな世界はおかしい。世界がこんなに残酷だったとは。世界が残酷なのは巨人を駆逐する世界だけにしてくれ。

 

「後は坂柳くんのお姉さん、坂柳さんが…いや、何でもないや。」

櫛田が焦ったように話すのを辞める。

 

「姉さんがどうかしたのか?」

 

「いや、本当に何でもないの!」

愛想笑いにしか見えないんだが、

 

(言えない…坂柳さんが他の女子に睨みをきかせてるなんて…言えない!)

 

なんて話しているとパレットに着いた。

 

「あっ、こっちこっち!」

っと、ストロベリーブロンドの髪にスタイル抜群な美少女が現れた。どうやらもう着いていたらしいな。俺は一ノ瀬の対面のイスに座り、櫛田が俺の隣で神崎の対面のイスに座る。

 

「すまん、こちらが呼び出しておいて遅刻してしまうとはここは俺に奢らせてほしい。」

俺は素直に謝る。これはどう見ても俺が悪い。

 

「ごめんね、一ノ瀬さん。坂柳くんと喋ってたら遅れちゃって…」

 

「にゃはは~、全然大丈夫だよ。私達も今来たとこだし。ねっ、神崎(かんざき)くん。」

物腰は固めだが真面目そうな生徒。高身長ですらりとした体型。本名は神崎隆二(かんざきりゅうじ)

 

「あぁ、その通りだ。」

 

「あっ、紹介するね。こちらBクラスの一ノ瀬さんに同じくBクラスの神崎くん。そしてこっちがAクラスの坂柳くんだよ。」

 

「よろしくね」

一ノ瀬が元気に挨拶してくれる。あっ、可愛い。

 

「よろしく頼む」

神崎も挨拶してくる。

 

「一ノ瀬さん、神崎こちらこそよろしくな。」

俺も無難に挨拶しておく。

 

「それでAクラスの坂柳派閥筆頭の坂柳流貴(さかやなぎりゅうき)くんが何の用かな?」

あからさまに警戒してくるな。まぁ、当然か、突然仲介者を通してまでコンタクトをとってくる人間が何の用もない訳がない。それに俺の肩書きは坂柳派閥筆頭というAクラス二大巨頭の片方の

No.2のようなものだしな。

 

「そう警戒しないでくれ。俺はBクラスに恩を売りに来ただけだからな。」

 

「恩を…?」

一ノ瀬が困った顔をしている。

 

「あぁ、まずはCクラスについてどこまで知っているかな?」

 

「う~ん、暴力的な生徒が多いってのは聞いたよ。でもそれがどうかしたの?」

 

「うん、実はCクラスのリーダーは龍園翔(りゅうえんかける)という人間が暴力によってクラスを支配している。自称:Cクラスの王だ。そんな彼は学校のルールがどこまで厳正に適用され、どのくらいの罪でどれほどの罰がくだるのかを知りたいようだ。」

 

「つまり、龍園…くんは何かしらの騒ぎを起こして学校を試すってこと?」

一ノ瀬が自信なさげに聞いてくる。

 

「より正確に言うならば他クラスの生徒に何らかの罪を押しつけて自分たちは被害者面をするという作戦に出ると思う。」

 

「っ!そんなのは学校側にすぐバレるんじゃないかな?やるだけ無駄だと思うけど。」

 

「そうか?現代社会の裁判では証拠が何よりも大切だ。証拠がなければどれだけの説得力があろうと無罪を勝ち取るのは難しい。」

 

「そんなのって…」

 

「俺もこの作戦はどうかと思う。だからBクラスやDクラスには注意してほしいんだ。ひとまず、一人で人気のない道を歩かないこと。極力監視カメラがある道を通ること。これだけで難癖をつけられるのは大分減ると思う。」

 

「待て、なぜ坂柳はそんなにCクラスの情報に詳しいんだ?」

神崎が俺に疑問を投げかける。

 

「実は…俺はCクラスのある生徒と契約してスパイに仕立てあげたんだ。」

 

「「「!?」」」

櫛田、一ノ瀬、神崎がそれぞれ驚く。勿論Cクラスに内通者なんかいない。だが、もし内通者がいるとなればこれだけ詳細な情報を持っていることも納得できるだろうし、Cクラスと契約するときも躊躇するはずだ。存在しない内通者に情報がバレる可能性があるからな。更にこれの怖い所はCクラスまでに『他クラスの内通者がいる』と広がればCクラスの連中は疑心暗鬼になり、龍園は存在しない内通者を捜索し、警戒することになることだ。

…実際はスパイなんかいない。ただ原作知識を利用しただけの情報。それでもこの情報が本当だと分かれば内通者がいると疑わざるをえない。オマケにBクラス、Dクラスをも牽制できる。Cクラスに内通者がいるなら自分のクラスにいても不思議じゃない…と。まぁ、Dクラスには本当にいるがな。

 

「そのスパイの名前を教えてくれることはできない…よね?」

一ノ瀬も無理だとは思っているが、せめて質問してみようという感じだ。

 

「すまないが、さすがにスパイの名前までは教えられない。それと、この事は他言無用で頼む。」

 

「うん、わかったよ。…でもスパイなんてこの短期間でよく作れたね。どうやったの聞いてもいい?」

 

「…月10万ポイントやるって言ったらスパイになってくれたよ。」

 

「にゃはは、Aクラスじゃないとちょっと難しい方法だね。」

 

「まぁ、そうだな」

そもそも一ノ瀬ではクラスを裏切らせるような真似は他クラスといえど出来ないだろう。

 

「分かった。坂柳くんのこと信じるよ。実際Cクラスの作戦としては成り立ってるし。…でも何で私たちにも教えてくれたの?その情報Aクラスで独占してたほうが良かったんじゃない?」

 

「ん~、俺はこういう卑怯な作戦好きじゃないんだ。それに他クラスといっても同じ学年の仲間だしな。」

俺は思ってもいないことを発言しまくる。卑怯な作戦?大好きです。だが、一ノ瀬は俺の言葉を信用してくれたようだ。詐欺に引っかからないか心配だ。

…おい櫛田冷めた目でこちらを見るな。

神崎はまだ警戒しているようだな。それでこそ、Bクラスの参謀だ。すぐ信じられると俺の心が痛むからな。

 

「そっか…私たちはその情報に対して何を出せばいいのかな?」

 

「言ったろ?俺は恩を売りにきただけだ。」

 

「そんな、悪いよ。その情報にはもっと価値があるから…」

一ノ瀬が本当に申し訳無さそうな顔をする。やめてくれ、心が痛い…

 

「じゃあ、次俺がBクラスと契約するとき少し譲歩してくれないか?」

 

「それじゃ釣り合わないと思うけど…分かった。その時は出来る限り譲歩するね!」

 

「ありがとう、話はこれで終わりだから帰ろうか。それとここは俺に奢らせてほしい。」

 

「えぇ~!?何で?」

びっくり仰天って顔だな、

 

「俺が一ノ瀬さんたちを誘っておいたのに、遅く来てしまったからな。」

 

「そんな、ただでさえ私たちは得をしてるのに…申し訳ないよ。」

 

「いや、俺も遅れてしまったことを申し訳なく思っているんだ。今回は俺にカッコつけさせてくれないか?」

 

「ん~、分かったよ、ありがとう。でもこの恩はきっと返すからね!」

 

 

「期待してるよ。」

そう言って俺はこの場にいる全員の料金を払った。

 

「今日は本当にありがとうね、クラスの皆にも伝えておくよ。」

 

「あぁ、是非そうしてくれ。」

 

「櫛田さんもじゃあね」

 

「うん、今度遊ぼうね!神崎くんもバイバイ」

 

「あぁ。」

そう言って俺と櫛田は一ノ瀬と神崎と別れた。一ノ瀬と神崎が俺たちの視界からいなくなったその時

 

「…で、本当にCクラスにスパイはいるの?」

櫛田が尋ねてくる。

 

「いや、いないよ。」

俺は素直に本当のことを告げる。

 

「はぁ、あんまりウソつかないほうがいいんじゃない?」

 

「ウソ…ねぇ、櫛田も今回俺が一ノ瀬たちに伝えた情報をDクラスの…平田辺りに言ってくれ。」

 

 

「え~、本当はスパイなんていないんでしょ?私、嘘つき呼ばわりされるの嫌なんだけど」

櫛田が心底嫌そうな顔をする。

 

「安心しろ。櫛田が嘘つき呼ばわりされることはない」

 

「分かったわよ。言ってあげる。…結局あんたの目的は何だったの?」

櫛田が不思議そうに質問する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「言ったろ、Bクラスに恩を売るためさ…」

これで()()()()は何とかなりそうか。

 




安心して下さい。ヒロインはいます。
あっ、ハーレムでは無いからね。


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