真嶋先生が教室を去って行った後のクラスはまだ混乱していた。たかが高校生が10万円貰うんだから当たり前だ。気味悪がっていたり、姉さんの質問に対しての答えを疑問に思っている人もいる。中々優秀だ。
そんな中、手を挙げる生徒がいた。頭に髪の毛がなく、強面の男子生徒、
「少しいいか?俺達はこれから同じクラスとして過ごすのだから自己紹介をみんなでしたいと思うのだがどうだ?」
「俺は賛成だよ。」
俺がそう言うと同意の声が複数聞こえてくる。
「助かる、では俺から自己紹介しよう。俺の名前は
周りからパチパチと拍手がなる。うん、誠実で真面目でありながらリーダーシップもある。彼は間違いなくAクラスに必要な人材だ。できれば姉さんの駒に加えたいんだよな~
「よろしくな、葛城。連作先交換したいんだが…いいか?」
俺は笑顔で葛城に話しかける。
「あぁ、よろしく。こちらも連作先を交換したかったからな。」
葛城も少しだけ笑っている。俺と葛城は手早く連作先を交換した。
それから自己紹介は着々と進んでいき、残りは俺と姉さんだけとなった。Dクラスのように雰囲気をぶち壊す赤い髪のバスケバカはいないようだ。トリは姉さんに任せて俺か先に自己紹介しよう。
「俺の名前は
俺か自己紹介をすると拍手がなる。次は姉さんの番だな。
姉さんが席を立った瞬間教室はしんと静まる。これも姉さんのカリスマ性だろう。
「私は
姉さんは儚げながらどこか冷たく微笑む。これは…助けなんて一切求めてないな。
こうしてAクラスの自己紹介は特に波乱もなく終わった、っと思った。
ガラガラと教室のドアが開く。黄色がかった髪の毛に大きな瞳、快活そうな少女がやってきた。
「私の名前は
人のいい笑みで、打ち解け易いオーラを放ちながらAクラスの人と男女関係なく連絡先を交換していく。
コイツは俺の駒に出来るかもな…連絡先を交換しておくか。
「櫛田さん、俺も連絡先を交換していいかな?」
「大歓迎だよ!はい!」
俺と櫛田はそうやって連絡先を交換した。
次はBクラスの所に行くのか少し慌ただしげだったな。
※※※
入学式はお偉いさんのありがたい話(笑)を聞いて無事に終わった。今は昼前だ。Aクラスの中でも既にグループが何組か出来て遊びに行く人がいるようだ。俺と姉さんも誘われたが寮生活で必要な物をとりあえず買っておこうという事になったため断った。すると軽薄そうなヘラヘラした男がやってくる。
「よう、さっき振りだな。坂柳くん、坂柳…さん?」
橋本のご登場だ。橋本は原作でも分析力が高かったからな。姉さんとパイプを繫げようとしているのか、媚びを売りに来たのか。とりあえずあいさつはしておくか。
「やぁ、橋本か。どうしたんだ?」
「あぁ、日用品を買いに来ようと思ってな。そしたら、偶然坂柳くん達を見掛けたから、ちょっとあいさつをと思ってな。」
偶然…ね、君の偶然なんて言葉を信じる訳ないだろう?まあ、話は合わせておくか
「そうだったのか良かったら一緒に回るかい?」
「いいのか?」
君はそれが狙いだろうが
「姉さんもいい?」
一応許可を求めておく。
「ええ、構いませんよ。」
この笑みは使えそうな駒がやってきたって顔だな…せいぜい役にたってくれよ?橋本クン
「坂柳は俺と姉さんの二人いるからな、俺の事は
「分かった。じゃあ、俺の事は
距離の詰め方が上手いな。
「坂柳さんはなんて呼べばいい?」
「何でも構いませんよ。」
「じゃあ…姫さんって呼ぶわ」
「なぜ…そのチョイスを?」
姉さんが若干胡乱げな目で正義を見る。
「いや~これが一番しっくりくるかなって」
「…そうですか。まあいいでしょう。」
コンビニに着いたので、シャンプーや歯ブラシ、髭剃りなどの日用品を買っていく。姉さんの方を見ると何やらシャンプーの成分表を見て考え込んでいる。女性は色々な事に気を遣わなければならないので大変だと思う。橋本は買い物が終わったのか俺の方に近づいてくる。
「橋本は買い物終わったのか?」
「あぁ、男の買い物なんてすぐ終わるだろ?」
「同感だ。橋本はクラスで仲良くなれそうな人はいたか?」
「そうだな、だいたいの人とは仲良くなれると思うぜ。…だが警戒心の強い奴とはまだ仲良くなれないな。」
そう言って橋本はこちらをみる。どうらやら気づかれていたようだ。
「すまんな、今日会った人間をすぐ信用するなんて俺には出来ないんだ。」
「気にするな。俺もその意見には同意するよ。寧ろ同じクラスってだけで警戒心を解いてる奴らが多すぎる。」
橋本もこの学校がどこか普通では無いと感じ取ったらしい。どうやらそういう感性は鋭いらしいな。…侮れない奴だ
ふと姉さんを見ると何かを凝視していた。
「流貴、橋本くんこれについてどう思いますか?」
姉さんが指さしたのはコンビニの隅に置かれている一部の食料品や生活用品。
「無料…?」
橋本も不思議に感じたらしい。
歯ブラシや
「ポイントを使いすぎた人間への救済措置…か?」
橋本は困惑して考え込んでいる。姉さんは満足げな表情を浮かべていた。どうやら学校のシステムについてかなり理解しているみたいだ。ひとまずコンビニを出た。橋本はどこか行くところがあるらしくここで別れた。因みに連絡先は交換しておいた。橋本は坂柳派閥の中でも主戦力だったからな。連絡先を交換しておいて悪いことはないだろう。
俺は自分と姉さんの商品を持ちつつ寮に向かって歩いていく。
「いつも荷物を運んでくださりありがとうございます。」
「気にしないでくれ、俺は健康体だからこれくらいの荷物なんて苦にもならないよ。」
「ところで流貴、流貴はこの学校をどう感じましたか?」姉さんが少し試すような目で見てくる。
「う~ん、まず監視カメラが多すぎるね。いくらいじめに敏感といってもここまでするのは普通じゃない。文字通り監視してるんだと思う。」
俺達が歩いているこの廊下にもたくさんの監視カメラがある。視界に入るだけでも3個はあるな。
「そして姉さんが真嶋先生に質問した答えから、来月も10万ポイントは貰えないだろうね。俺達次第って言ってたから…生活態度や授業態度を見るんじゃないかな?それも連帯責任で」
「おや、どうしてそう思うのですか?」
姉さんも解っているくせに…俺からそんなに聞き出したいのか?
「まず個人でポイントが変わってくるならクラス分けという意味がなくなるよ。クラス分けをするからにはそこに何らかの意味があるということは想像に難くない。加えて個人個人にいちいちポイントの違いがあるなんて管理する学校からしたら面倒この上ないよ。」
「ふふふ、その通りですね。私も大方の見解は流貴と同じですね。」
どうやら俺の回答に満足してくれたようだ。
姉さんの部屋に着いたため荷物を置く。当然、男子生徒と女子生徒では階数が違うからね。
「じゃあね、姉さん。また明日」
「えぇ、また明日会いましょう。」
俺は自分の部屋に帰宅するのだった。
※※※
学校2日目、姉さんと合流して学校に向かった。授業初日という事もあって、大半は授業方針等の説明だけだ。先生方は進学校とは思えないほど明るくフレンドリーだった。Aクラスは優秀な人間が多いので初日に寝ようとしたり、ウトウトするなんて恥ずかしいマネをする奴はいない。
おいそこ
「姉さん、食堂に行かない?」
「そうですね、お腹も減ってきましたし行きましょう。」
俺と姉さんは食堂に向かう。食堂は多少混んでいたが、座る席がないほどじゃない。ん~、実は何を頼むかは既に決めてある。そう、『山菜定食』!!俺はこれを食べるために今日まで生きてきた。…あっ、ウソです…。でも気にならないか?原作でも何度か出て来たし無料だぜ、無料最高だな。姉さんは『Aランク定食』を食べるらしい。野菜と魚の組み合わせで栄養もバランスよく取れるだろう。姉さんには先に席に座って貰い俺が食券を出しに行く。
「すいません、お願いします。」
食堂のおばちゃんに声をかける。
「はいよ~!ちょっと待ってね」
おばちゃんが準備をしてくれる。少しすると
「はい、『山菜定食』に『Aランク定食』ね!」
「ありがとうございます。」
俺はお礼を言いつつ、『山菜定食』と『Aランク定食』がのってあるおぼんをもって姉さんの席へ向かう。
「流貴は『山菜定食』にしたのですか。」
姉さんは驚いた顔でこちらをみる。
「うん、だって無料だよ?気にならないはずがないよ。姉さんも山菜いる?」
山菜の揚げ物、ご飯、味噌汁にキュウリの漬け物と普通に旨そうだ。
「ではせっかくですから頂きましょう。…んっ、思ったよりも美味しいですね。」
姉さんが小さな口に手を軽くあてて上品に食べる。かわいい。俺も山菜の揚げ物を食べてみる。ふむ、衣はサクサクとしていて山菜本体は僅かに苦みがあるがうまいな。これが無料なのは凄い。ただ、毎日だと飽きるな…
「では私からはこのカツオを差し上げましょう。」
姉さんは俺にカツオをくれたのでありがたく頂く。うん、旬の魚だから脂がいい感じにのっててうまいな。食べ比べて見るとやはり『山菜定食』の味は何段階か落ちるな。するとスピーカーから音楽が流れてくる。
《本日午後5時より、第一体育館の方にて、部活動の説明会を開催いたします。部活動に興味のある生徒は、第一体育館の方に集合してください。繰り返します、本日ー》
かわいらしい女性の声と共にアナウンスがなる。
「姉さん部活動紹介だってどうする?俺は行こうと思うんだけど」
「私は遠慮しておきましょう。部活動に入る気はないので。それに少し外せない用事がありまして…」
姉さんが悪どい笑みをする。これは…
…南無、神室さん強く生きてくれ。いや、寧ろ姉さんに認められたんだ。光栄に思ってくれ。同情はしておく。
「そっかぁ、じゃあ、、、葛城と一緒に行こうかな?」
「葛城くん…ですか。」
姉さんが攻撃的かつ、新しいおもちゃを買って貰ったような笑みを浮かべる。
「…姉さん、葛城をあんまり苛めないでくれよ?葛城はAクラスの中でも優秀だから参謀位は務まると思うよ?」
俺は葛城好きなんだよ。まぁ、姉さんと葛城を選ぶなら当然姉さん側につくが、、、
「それは難しい相談ですね。暇つぶしにちょうどいいですし。それに参謀も流貴が務めれば問題ありません。」
「え、え~…俺は姉さんの護衛位の立ち位置でいいよ。」
「それこそ難しいですね。優秀な弟にはたくさん働いてもらいましょう。」
「分かったよ、ただ俺個人としては葛城と仲良く接してもいいか?」
「それは構いませんよ。私にそれを止める権利はありません。」
昼食も食べ終わったところで俺は姉さんと自分のお碗や皿を食堂のおばちゃんに届ける。改めてお礼をおばちゃんに伝えておく。
「姉さん何かあったら俺を呼んでくれ。3秒で追いつくから。」
「ふふっ、分かりました。では。」
そう言って俺と姉さんは別方向へ赴く。さて葛城に連絡でもするか
書きたいことが多すぎてヤバイ…次回から物語のペースを少しペースを速めて行こうと思います。