インフィニット・ストラトス~進化を望むマジン~ 作:スタノヴァ
転生という事象はご存じだろうか?
元々はヒンドゥー教や仏教の教えの一つ、「輪廻転生」の考えの言葉でありそれを意味していた。
それから時が過ぎその言葉、考えは媒体を変えて人々に知られるようになった。
小説や、ゲームなどのサブカルチャーとして受け入れられていく。近年では転生を用いたSF、ファンタジー小説果てはアニメとして描かれるようになった。
・・・・何故このようなことを説明したのか、それは皆さんの想像通りです。
私こと白河 秀(しらかわ しゅう)は転生者である。それも神様転生という部類の低俗な転生をこなした。
どのように転生したのか、それはどうでもいいことなので省略するとしよう。正直話して楽しい内容ではないですから。
そこで私はとあるゲームのキャラクターであり前世の私と同名である「シュウ・シラカワ」の能力、兵器の「グランゾン」を与えられISの世界へと転生した。
「シュウ・シラカワ」、SRPG「スーパーロボット大戦シリーズ」のオリジナルキャラクターでありその能力は常人を超えたものであるが彼が最も有名となった理由は彼が乗り込む兵器「グランゾン」だろう。
「グランゾン」、ブラックホール機関、対消滅エンジンなどの未知の技術で作られたエンジンを搭載し常識を覆す威力を持つAMである。その性能はたった1機で地球を破滅にまで追い込むことが可能であり重力を操り発生させる「ブラック・ホール・クラスター(BHC)」はその一撃で星を消滅させる威力を持つ。原作であるスパロボではラスボスを飾ることが多く約20年の時の歴史を持つゲーム内で最強のボスとして君臨していた。
そしてもう一つ、「IS」について説明しましょう。
IS(インフィニット・ストラトス)、これはとある天災科学者が生み出した宇宙空間での使用を想定して作られたパワードスーツのことでありこれを元とし世界が動いていく。という物語らしい。
私自身この話を、・・・つまりこの小説を読んだことはありませんがあらすじ程度には教えられましたから大体の流れは分かっている。そのISという兵器は女性しか載せることができないという欠陥兵器であり、これにより世界は女尊男卑を主流とする世界へと変わってしまう。
そこに会わられた「世界初の男性IS操縦者織斑一夏」により物語が始まっていくという展開である。
いつそのISが登場するのか、織斑一夏の登場は何年後になるのかという細かい情報は渡されなかったのですがそれ自体は構いません。
不確定な刻の流れを調べるよりも私の欲するモノのための研究をしていた方が有意義の時間を使えるというものです。
現在私は5歳児、なので表立っての研究はできませんが次元跳躍システムを用いて異空間を拠点として行動しており現状はグランゾンの性能テストと更なる昇華の考察をしています。
両親共に科学者で世界規模の有名な人物らしく私を産んでから1~2年で母は仕事に復帰、父も去年の誕生日に会って以来一度も会うことが無かった。まぁ、私としてもそれは楽なのでいいのですがね。
流石に私1人を自宅に置いておくということは出来ないと判断したのか私を両親の知人である「篠ノ之柳韻」の実家兼道場に預けられた。その彼らの目を掻い潜りグランゾンの調整に勤しんでいる。
・・・・・・・・・・・・・・のですが少々問題が発生するようになりました。
「ねぇねぇ!シュウ君!!これってどうしてこうなるのかなぁ?!」
「どうしたんですか?束。」
それは篠ノ之夫妻の一人娘、「篠ノ之束」に纏わりつかれているという事だ。
彼女は興味があるものがあれば両親や年の近い私に訪ねてくることがある。
それだけを見れば年相応の行動であると微笑ましく思えるのだが・・・・・・
「・・・束?これは機構学の参考書ですよ?貴女に理解できますか?」
「分かるよぉ、それでこの項の説明だけど・・・・・」
「ここはリンク機構のですね、簡単に言えば複数の節が関節に接続され1つ以上の閉路によって構成される機構のことですね。主だった例としてはマジックハンドや車のワイパー、更にプライヤなどが挙げられるでしょう。」
・・・・・このように歳に見合わない知識への渇望がありそしてそれらを理解しようとする知能がある。
それにより彼女と出会って僅か3~4年で一気に私から知識を得て蓄えていくようになった。
まだ5歳児、それも幼稚園などに通う程度の年齢の少女がだ。
その聡明さに実の両親である夫妻は徐々について行けなくなっている。今はまだ困ったような顔で唸り分からないと告げているが何れは適当にあしらうようになるだろう。
人は誰しも自身よりも優れている者に妬みを覚えるものだから、それが実の娘であっても変わらない。今以上に疎ましく思うようになるだろう。
「それでね、今度はこれのお勉強をしたいんだけど・・・・・・」
「・・・・・・・今度は製図ですか。貴女は一体何処に向おうとしているのですか?」
驚愕の前に呆れるような溜息が口から出てしまった。
「うーん、内緒!それよりも教えてよぉ~。」
可愛らしく首を傾げて束は私の袖を掴み駄々を捏ねる。
これでは直ぐにグランゾンの調整と研究が出来ないが仕方がない。眠る前の時間とその後の就寝後に静かに篠ノ之邸を抜け出すとしよう。
私は内心でそう心に決めて束ねの駄々を聞き入るのだった。
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夫妻が寝静まり隣で本を抱えて眠る束を確認した後、私はベッドを抜け出しトイレに向かうように足を向けてその扉を潜った瞬間に次元跳躍を開始した。
そこは亜空間となっており上下左右全方向がオーロラ状の空間となっていた。
当初ここに足を運んだ際はその神々しい場に感嘆の声が溢れたほどだ。
私はその空間に目を向けずにただ進む。そしてその先にある巨大な鋼鉄の人型に視線を向けた。
片膝を付けまるで王に頭を垂れるような姿勢を保っている巨人、「グランゾン」がそこに存在していた。
「グランゾン」
シュウ・シラカワとしての特典の一つとして与えられた兵器、そしてきっと生涯の相棒であろうその蒼の魔神の姿を見つめながら私は歯を噛み締める。
私がこの世界に強制的に転生させられて5年、その人生は傍から見れば天才児のそれに見えるだろう。だが、私本人からすれば自身の意志とは関係なく無理やり与えられた能力(ソレ)に縋ることしか出来ない。
それがもどかしくあり苛立ちを覚えさせるのには十分だった。
故に私は今以上の力を欲している。
グランゾンを更に昇華して神すらも葬ることができる魔神『ネオ・グランゾン』を開発することを目指している。
この宇宙、敷いてはこの世界観から脱して新しい神が追えないであろう世界へと脱出することが私の今の願いである。
私は止めていた歩みを再び進めグランゾンの裏に隠してある扉を静かに開いた。
そこは私の持つスキルを使い作り上げた私以外が入ることのできないラボが存在した。
グランゾンの機能にある次元跳躍システムを使用し別の場所から鋼材や機材を失敬し自身の身長では作れないものも補助ロボットを作り立ち上がり一人での行動が出来るようになってから早1年、要約研究を纏められる空間を作り上げることに成功したのだ。
「漸く、私は一歩を踏み出そうとしているのですね。このラボの完成により現実世界時間とこの亜空間世界時間の加速と減速を操作し研究が可能になる・・・・・あとは外での時間との合わせが重要になっていきますがそこは後でどうにでもなるでしょう。」
この亜空間内では外のおよそ1/3600倍で流れておりコチラでの1時間がアチラの世界での1秒に匹敵するのだ。
しかし多様すればその分自身の刻の流れがアチラの世界での3600倍であるため注意が必要だ。
たった1時間見ない内に約5ヶ月の時間経過が起こってしまう。
それゆえに基本ここでの実験と研究は先ほど説明していた補助ロボットを利用していくことが主な流れとなるだろう。
先ずは初期段階で制作していた試作α型によるファクトリー拡大、それと同時に試作β型による地球圏での物資の確保、それが終了次第主だった研究要員の1型から3型までを制作。
回収した物資の量からα型を500器、β型を1600器と制作して置けば3日で国家レベルに負けない程のラボが完成するでしょう。
「ククク・・・楽しみですねぇ。」
私以外存在しない空間で静かに笑い続けた・・・・