インフィニット・ストラトス~進化を望むマジン~ 作:スタノヴァ
今回は妙に熱血指導が混じった、・・・・・・・・・・・・うん。と言いたくなるような話です。
ぶっちゃけますとロボットなどの要素が一切ありません、原作主人公一夏くんの強化シナリオのみです。
*かなりのオリじなる設定や成分が含まれます。お気をつけください。
*流韻さんは武術チート
6話
束のイジメ事件から3年の月日が経った。アレから暫くして登校拒否を起こしていた女子生徒は復学したものの今までの雰囲気がガラリと変わり皆大人しくなり被害を受けたモノ同士で固まって行動するようになった。同時に「獅子堂という男子生徒」が転校した、当然彼が普通に転校したと思っているものは誰もおらずクラスの全員が恐怖で震えているだけだった。束もあれ以来学校に通おうとはせずに彼女は自宅に篭り続けていた。
もうこのまま外の世界との関わりを持たずに過ごしていくのかと半ば諦めた頃にある人物が篠ノ之家にやってきた。
束の父である流韻さんが連れてきた3人の兄弟、姉の織斑千冬(おりむらちふゆ)と弟で双子の一夏(いちか)と十秋(とき)の二人であった。
彼女等は両親が蒸発してしまいそれを知った遠い親戚の篠ノ之家に引き取られたのだ。自宅そのものはあるもののそれを売り払い彼女達はここにやってきた。年の近いということで千冬に束の友人になって貰おうというのが柳韻さんの思いだったが出会った当初はお互いが反発しあいどうしてもうまくいかなったのだ。それを知った流韻さんは私に泣きつき(泣いてはいなかったがこの表現に近い表情をしていた)その間に入り彼女等を取り持つのに苦労した。
それから数日は互いに口で言い合うという関係になり千冬は「貴様」、束は「オマエ」という友好度0という状態からスタートしたのだ。
・・・・・・・・・・・・・・・まぁ分からなくもない。束は人間不信になり行き成り複数の他人が自身のテリトリーに入ってきたのだ。それ故に受け入れづらく喧嘩口調になる。
対して千冬も両親が蒸発し情緒不安定になりかけておりそれを柳韻さんが引き取って貰ったという恩を感じ、その恩人にオマエと呼ぶ束に対し苛立ちを覚えていくようになった。自身が失ってしまった親を持ちながらそれを否定するかのような振る舞いが許せなかったのだ。
そうして姉同士は啀み合っていたが妹弟同士は友好的な関係を築きつつある。
好奇心旺盛な箒が織斑兄弟に話しかけ引っ込み思案な兄弟に強引に友好を結んだ。それによって彼らは箒に心を許し今では元々兄弟だったのではと思うほどに仲が良い。
そんな上同士はいがみ合い、下同士は笑い合うというなんとも言えない関係を続けていたが半年後、事態は急変した。
一家揃っての遠出をしようという柳韻さんの提案により私達(織斑兄弟も同行)は四国へと旅行に行った時だ、そこで束の妹である箒が行方不明になってしまった。一瞬の出来事により皆で捜索したのだが一向に見つからず束は半混乱状態になり柳韻さんの静止を聞かずに探し続けていた。
それからのことは私は知らない、彼女が帰ってきた時には千冬に抱えられた箒とそれを涙目で不安げに見つめる束の姿だけだったからだ。
話によると皆と逸れてしまった箒が泣きながら彷徨いていると山奥から降りてきた熊に襲われかかっていたという。何とか見つけ出した束が間に入り箒の盾になろうとし、気が付けば木刀を持った千冬が熊を打ち倒していたとの事だ。彼女はこちらに越してきて以来柳韻さんから剣術の手解きを受けておりそれが彼女達を救ったのだろう。
それ以来千冬と束の関係は徐々に回復し1年も経てば互いのことを「ちーちゃん」、「束」という間柄にまでなっていた。
結果として二人の仲が深まってくれて柳韻さんも満足のいく旅行となった。
更に嬉しい誤算があり私と千冬が近く中学に進学するときに「二人が行くから束さんも行くよ~。」
と皆一緒の中学に進学することとなった。
これにより私の負担と肩の荷が降り内心で安堵したがそれは関係のないことだろう。彼女の世界が更に広がってくれればと願うばかりである。流石にこれ以上の介入は私の身勝手に成りかねませんし。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・原作知識を手に入れたのでこれ以上の介入は望ましくないと思いますしね。といっても粗方原型が残っていませんが・・・・・・・・・・・人間不信が進行し千冬と一夏、十秋そして箒のみが彼女の全てであった。しかし今はその四人に加え両親とも不格好ながら繋がりが出来つつある。
・・・・・・・・・・・・それは別として一つの不可解な存在も。彼ら織斑家の末弟、「織斑十秋」彼は原作では登場していない存在の筈だ。妹を名乗る存在がいたがそれを別としても弟は一夏ただ一人のはず。ならば転生者なのかと言葉を交わしてみるも原作での単語に一切反応せず念のために彼が一人になると必ず監視をしているが特に目立った行動も口調の変化も起きていない。ということは彼はこの世界が生み出した人間ということだろうか?
更に問題が一つ、この家に来てから織斑兄弟は剣術を教えられるようになったが一夏を差し置いて十秋はまるでスポンジが吸収するかのように技を覚えていく。それは勉強にしてもだ、特に十秋は束のお気に入りとなり一夏よりも十秋と共にいる時間が多い。
現在彼らは7歳。今年から小学校に入学することになるもその才能は直ぐ様教師陣に広まっていく。そして彼らは影でこう言っているようだ、「凡人の兄と天才の弟」と。小学一年生に何を期待しているのかと思ったがそれらはIQテストでの結果を見てのことだったようでその学年きっての天才児として持て囃されている。
別に十秋自身がこれにより増長することを心配していない。彼の上には身体能力で上をいく姉千冬、凡人の頭脳では到底たどり着くことができない領域にいる姉束の二人に囲まれて育っているのだ、増長のしようがない。それよりも問題なのは兄の一夏の方だ。
子供とは大人が思っている以上に敏い生き物だ。僅かな対応の違い、向ける視線の感じ方によって善し悪しがわかる。それはそれは恐ろしい程に、敏感なのだ。
そして彼が弟と比べられているという事実に気がつくまで早々時間はかからなかった。師である流韻さんの期待にこもった視線を受ける十秋に幼いながらも嫉妬心が芽生えそれ故に対抗心として育ちつつある。彼がやることも一夏が真似するようになり何をやるにしても二人は一緒だった。
しかし・・・・・・・・・・・・
「ッ!!そこ!」
「だッ?!」
剣術では未来予知に近い直感により全ての手を封じられ・・・
「これは―――――であり結果、―――――となり答えは―となります。」
「素晴らしい!流石は織斑君ですね。皆さんも織斑君を見習ってしっかりと勉強しましょうね。」
「・・・・・・・・・」
頭脳において誰よりも早く回答を導き、それを分かりやすく皆の前で答え・・・・
「十秋、今日の捌き方は良かったぞ。あのようにして振るえば相手は防御も間に合わずに一撃を入れられるだけだ、これからも精進するといい。」
「はい!」
自身よりも深い愛情を向けられている。
その思い込みが、その事実が、現実が更に彼を織斑一夏を追い詰めていくのだ。
・・・・・・・・・・・・・これではこの先の彼の未来が不安で仕方がない、ヘタをすれば原作での立ち位置も十秋となってしまい一夏が消滅してしまう恐れがある。
そう感じた私は何時も1人となる時間を見計らって皆と別れ一夏の元へ向かうのだった。
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俺には弟がいる。
俺と同じ顔で同じ声の弟が・・・・・・・・名前は十秋。
生まれてから一緒にありこれからも兄弟として共に有り続けるたった1人の弟だ。
しかし・・・・・・・・今俺はアイツと顔を合わせる度になんとも言えない思いになってしまう。
最初に感じたのはこの家に来てから、オジさんから剣を教えてもらい共に剣術を学んでいった。
――――そこから俺と十秋の間に溝が生まれ始めた。
剣術を学んで1年もしたら俺は十秋に一勝することすら難しくなり訓練の時も俺は箒と共に素振りをしている間にオジさんと共に模擬戦を行っていた。そこから1年も経つと模擬戦も様になっていき千冬姉と対等に渡り合える程の腕になっていた。
たった2年でだ。その間俺は大して力がついた訳でもなく未だに一本すら取れたことがない。
オジさんは皆が居なくなってから良く千冬姉に言っていた、「十秋は最強の剣士になれる」と。
それを盗み聞くたびにナニカが胸に刺さるのを感じた。
だがアイツの凄さは剣だけじゃなかった・・・・勉強をさせれば1度聞けば瞬時にその応用を効かし俺ら同世代では無理な問題でも簡単に答えることができる。周りは言っていた、「この子は天才だ。」そう言っていた。そしてそれを言い終わると大抵は俺のことを見て何とも言えないような表情を向けてくる。まるで何かに外れたような、残念な顔で・・・・・・・・・。
それを向けられるのが嫌で俺は剣を握った、筆を握った。決して俺は残念じゃない、十秋に劣ってない、十秋に出来て俺に出来ないはずがない!そう信じながら俺は全てに手を出した。
勉強、剣術、運動、生活態度・・・・・・全てを行って皆に認めさせようと。
けれど、その全てが十秋の前では意味がなかった。
千冬姉は剣術で良く褒められる十秋を見ていたし、束姉だって天才と呼ばれている十秋を可愛がっている。
皆が十秋をみる、十秋を褒める。・・・・・・・・・・・・誰も俺に目を向けてくれない。
誰ひとり・・・・・・・・・・・・・・・
「ここにいたのですか、探しましたよ一夏。」
そんなとき、あの人だけが声をかけてくれたんだ。
俺の義理の兄である人物―――――秀兄さんに。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
暫く森の奥に潜り探し続けた私は漸く一夏を視認することができた。
彼は手に木刀を握り締めただ只管に素振りをしていた、だがそれは型を覚える為の行為ではなくただ何かのウサを晴らすかのようなデタラメな素振りだった。
私もここに来た当時、小学生4年までは剣術の指導を受けていた。そこでの評価は「剣術には向かない」という結果だった。私の場合剣術を扱う為のセンスが足りないが持ち前の頭脳により相手の動きを分析して攻撃するというものである故の評価だろう。私としてもその評価が正しいと思っているし、幼少期の剣術の稽古で必要な筋力は手に入れた。現在は暇があれば自身を鍛える為に私も剣を振るっているくらいであるが・・・・・・・・・・・・・・・・自暴自棄になりかけている彼の相手をするには充分だろう。
「ここにいたのですか、探しましたよ一夏。」
私が一夏に声をかけるとビクッと肩を震しゆっくりとコチラに振り向いた。
眼の端には涙の後がありここで彼が1人でどのような想いに震えていたのかが良くわかる。
そんな様子を表に出さないように一夏は視線を鋭くして言った。
「なんですか、今は練習に忙しいんです。邪魔をしないで下さい。」
そう切り捨て直ぐ様素振りに戻る一夏。しかし振い下ろす木刀はどうにも弱々しかった。
真っ直ぐに振り下ろせていないのだ、剣道でも鋭い一撃、例えば面などは正確さと素早さが一体となった攻撃だ。早さだけでは肩などに当たる程度で終わり正確さだけでは簡単に防がれてしまう。
そして、・・・・・・・・・・・・・・・剣術のみならず武術において最も大事なものが彼には抜けている。
それは覇気、本来武術は殺人を目的とした技術である。故にそこに殺意などの意思を載せて繰り出さねば意味がない。現代において殺意をある一撃というのは到底理解できないだろう、しかし覇気という己の意思表示に近い想いを載せるのならばその鋭さは一層磨きがかかる。
まるで漫画のような話ではあるが実際に存在するものだ。現にこの世界では柳韻さんが覇気を載せて相手を圧倒するという技術を身につけている。私自身その一撃を喰らったのだ信じざるおえまい。
「一夏、型が崩れてしまっていますよ。それでは素振りの意味がありません。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
私の言葉にまるで聞こえないというようにして素振りをし続ける一夏。しかし、それとは裏腹にだんだんと荒くなっていく素振りが彼の内心を表しているようだった。
私は敢えて彼を刺激するようなセリフを口にする。
「これではまた十秋に負けてしまいますよ?そうならない為に流韻さんの指導を受けて型を直さなければ・・・」
「五月蝿いッ!!!」
一夏は怒鳴りながら手に持っていた木刀をコチラに向けて投げた。それを避けるでもなくただ静かにキャッチして一夏を見る。私の様子が気に食わないのか更に怒気を混ぜてこちらを睨んでくる。
「どうせアンタも俺のことを見てないじゃないか!皆そうだ、何時も何時も見るのは十秋だけ、褒めるのも笑いかけてくれるのも十秋だけ!隣にいる俺なんか視界に入らないっていうのか、俺は十秋のオマケなのかよ!?」
タカが外れたように心の奥に押さえ込んでいた鬱憤が一気に解き放たれている。
自分以上に愛されていると認識している一夏は自分が十秋のオマケとしてしか見られていないのではという想いに苦しんでいた。それが言葉として私に向けて怒鳴り続ける。
剣で負け、勉学で届かず、視線すら奪うことが出来ないその惨めさに苦しんでいる。・・・・・・・・・・・・・・・・この時私はそれほどまでに彼を、弟である十秋のことを恨んでいたのかと・・・・・・・・・・しかし、それはとんだ勘違いであるということに私は直ぐに気づかされた。
「畜生、どうしてなんだ!俺は十秋の兄貴で、守らなきゃいけないのに!十秋は俺以上になんでも出来て、そしたら俺・・・・・・・・俺がいる意味は何なんだよ!!」
そこから出てきたのは守るという言葉。
それは十秋に対する嫉妬ではなく兄としての情けない自分への怒りだった。
私は驚愕した、転生者でもない一般の、普通の生まれの少年が誰かを恨んだりせずに自身に苛立ったという事実に。
人は自分にないモノを欲する存在だ、故に誰かを恨んだり嫉妬したりする。それはどれだけ年齢を重ねようとも到底変わることのない性のようなものだ。
幼くともその感情は存在する、自分より大きいもの、玩具を持つもの、運動が上手なもの、様々な理由で人は嫉妬し羨望するのだ。しかし、彼はその嫉妬よりも自身の不甲斐なさに苛立ち、律しようとしていたのだ・・・まだ7歳になろうという年齢でだ。これがどれだけ異常なことか分かるだろう。
それを彼は行っている、1人で森の中に篭もり必死にその苛立ちを払拭させようと剣を振るっていたのだ。
これが一夏という少年なのか、これがこの世界の「主人公」なのか。
私は深く衝撃を受け、そして深い興味を覚えてしまった。主人公たる彼がどのような道を辿るか、そしてその弟である転生者(と思われる肉体)とどう接していくのか。
本来は少々慰める程度で済ませておくつもりでしたが予定変更です。彼を鍛えましょう、きっと主人公としての力が目覚めるかもしれませんし・・・・・
そう決心した私は木刀を持つ手を一夏に差し出し木刀を手渡す。
「一夏、私と模擬戦をしませんか?」
「え?」
いきなりの申し出に一夏は呆気に取られていた。しかしそれを気にすることもなく私は彼に語りかける。
「私も一時は剣術を柳韻さんに叩き込まれていた時期があります。あの人ほどではありませんが格上と戦うというのは貴方にとっても刺激になるでしょう。」
私は自身を格上と言って一夏を挑発する、それに少々ムッとした顔で無言で木刀を握った。
私は近くに落ちていた木の枝を持ち片手で持ち軽く構える。
「・・・・・・・そんなので戦えるのかよ。」
「問題ありませんよ、荒れた心である今の貴方にはこれで充分です。」
「ッ!?このぉッ!!」
一夏は怒り心頭な表情で私目掛けて突進してくる。それを私は・・・
「え?」
「―――。」
避けもせずに真正面から受ける。普通ならばこのようなことをすれば木の枝程度木刀の一撃で折れてしまうだろう、しかし手に持っている枝は健在で一夏の握っている木刀はまるで流されるようにいなされていく。同時に身体全体が私の脇に吸い込まれていくように向かっていき・・・
「うぐッ!?」
地面に身体を打ち付けてしまった。
「ッってて・・・・・・今のは?」
何が起こったのかわからないという様子で一夏は私を見つめてくる。
確かに私は剣の腕がありません。真面に剣を交えれば柳韻さんは勿論のこと今の千冬にさえ敵わないだろう。そんな私がどうやって相手を妥当するか、それはカウンターだ。
相手の手元を狙い巻き込むようにして放つ。一見すれば単なぶつかり合いで終わるのだがそれを私は武器の一つとして扱い、その衝撃で筋肉が萎縮する一瞬を狙い手元から剣を奪い去る。そして力が抜けた状態からならば剣を振るうことは出来ない。その隙に一撃を与えるというのが私の戦法だ。
これを初めて食らった柳韻さんは驚愕の表情で固まってしまったがその後はそれに警戒し一切が通用しなかった。他にも応用がありそれを用いた剣を放つこともあったが所詮は奇術混じりの剣、本場の者には一見されれば通用しない。
だが・・・・・・・今の一夏ならば鬼札に近い威力を発揮するだろう。
「どうですか?私の剣は、一体何が起こったのか理解できましたか?」
そう語りかけるとハッとした表情でこちらを見つめてくる。
「これは所見であれば防ぐことのできない返し技でして、柳韻さんも初めて食らった時は驚愕していましたよ。これならば十秋ですら反応しきれないのではありませんかね?」
実際これを放つ際の時間は僅か0.8秒程度、認識できたとしても対応できるかどうかは別問題である。
「っホントか?!これなら十秋にも勝てるのか!?」
一夏の目が輝きだし私を見る視線が一瞬にして変わった。先程までは苛立ちを顕にした視線、今は希望を見出した者の視線。
「貴方が本気で覚えることができればですがね。」
「やる、やってやる!俺は強くなりたいんだ!!」
一夏は直ぐ様首を振り強く木刀を握り締めて叫んだ。
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それから数ヶ月私は一夏にカウンターの一通りを教えながら模擬戦を繰り返していきました。
私のもう一つの得意技、「模倣」を使用し十秋の動きを模倣し試合を行っている。
最近は一瞬で終わることは無くなり真面に相手するようになっていった、これが主人公補正なのだろうか?
勿論彼を物語の人物としてではなく1人の人間として見ているが余りにも成長が早すぎる。転生者特典が無いのに動きについてこれるのはどう見ても異常であろう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・しかし、そのお陰で一夏の強化は順調に進んでいます。今ではコチラが気を抜いていれば一瞬にして打たれる程に成長しました。
そろそろ頃合でしょう。
私は木刀を下ろし今日はもう辞めるということを告げ一夏に休憩をさせた。
「一夏、貴方は良く私の動きに着いてこれるようになりましたね。」
「いえ、そんなことは・・・・それにしても驚きました。秀兄さんって滅茶苦茶強いんですね、何時も本とか何かの機械を動かしてる姿しか見たことなくて全く想像もしてませんでした。」
一夏は柔軟を済ませながら話す。確かに彼らの前ではその姿を見せたことがなかったかと思い出し軽く笑いながら会話する。
「フフフ・・・これでも千冬よりも前に流韻さんに剣術の手解きを受けてましたからね。このカウンターで騙し騙しですが一本を取ったこともあったのですよ?」
「えぇ?!マジですか!!」
私が言うと一夏は驚愕しながらコチラを見る。彼からすれば流韻さんは倒しきれない壁として見えるのだろう、現に一夏が目標としている十秋は勿論のこと、彼らの姉である千冬ですら未だに流韻さんに一本を取れたことがないのだ。それだけに流韻さんの技術がどれほど凄いのかを表しているであろう。
「といっても私が行ったのは精神上の揺さぶりをかけて技で引っ掛けて出来た僅かな隙に一撃を与えるという方法です。このような手は一度見られてしまえば同じ手は通用しません。それ以降絡め手が一切通用しなくなったのですから。」
・・・・・・・・・・・・そろそろ本題を切り出すとしましょうか。
「――――一夏。」
「はい?」
改まった私の声にキョトンとした表情でコチラを見つめてくる一夏、その視線を合わせるようにしてかれを見つめながら・・・・
「十秋と剣を交えてみなさい。」
と言った。
「――――――ぇ?」
私の言葉に一夏は固まってしまう。元々は十秋と戦う為に剣を振るっていたのだ、鍛え上げ私の技を覚えた彼なら十秋を倒す可能性は充分にある。あとは彼自身が戦う覚悟を決めるだけ・・・・・・
どうにもここ最近は強くなっていく自分に何らかの楽しみを覚えたようで今は打倒十秋以上に訓練を望むようになっていた。
だがそれではダメだ、心の中で十秋には勝てないという念がこの先残ってしまう。それは何時か一夏を苦しめる事になるだろう。
私は真剣な表情で彼にそう告げたのだ。大して一夏は硬直が解けた後もしどろもどろになり何かしらの言い訳を述べようとしている。やはり恐怖が残っているのか?負ければまた誰かが離れて行くと?それらはすべて妄想だ、被害妄想に過ぎない。それを認識していない内は何時までたっても成長しない。
「一夏、貴方はもう戦える力を手に入れました。それを皆に示すときです、もう守られるだけではないということを、誰かを守れるということを十秋に示してみなさい。」
「でも・・・・・・・俺まだ秀兄さんに・・・・」
「一夏」
私は強めの口調で話す。それに肩を震わせて緊張した顔つきで私を見つめながら次の言葉をまつ。
「もう怖がる必要はありません。」
「っ!?」
「一夏、貴方は何時も十秋の影に隠れて皆から十秋と比べられていましたね。それが嫌でそれでいて兄としての自覚が強い貴方は力を求めていました。しかし今の貴方は力をつけるだけで満足してしまっています。それではいけません、何時までたっても先に成長しません。」
「・・・・・・・・・・・・・・・分かってます。けど、どうしても俺が十秋に勝てるイメージが思い浮かばないんです。」
一夏が俯きながら小さく呟く。だがこの静まった森の奥では良く聞こえそれに私は一切の返しをせずに聴き続けた。
「秀兄さん、俺は勝てるのかな?十秋に勝てるのかな・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・昔何処で聞いたかは忘れましたがこのようなセリフがあります。『諦めたらそこで試合終了だよ』、その人はとある誰かを激励する為に言ったのでは無く弱気になっていた心を払拭させる為に言いました。一夏、今貴方は心で負けてる状態です、身体は出来上がりつつあります。その年にしては破格の腕になりました。しかし心で負けてしまってはその全てが無意味になってしまいます。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一夏、強くなりなさい。十秋はまだ通過点にしか過ぎませんよ。」
「通過点?」
「えぇ、何れ貴方には大いなる災いが降りかかります。それにより若しかしたら貴方は命よりも大切なモノを失うかもしれません。その時、貴方はどうしますか?今のように心で負け強者に膝を折り頭を地につけるのですか?貴方が一番守りたいものは何なのですか?」
静かに言葉を告げていく、それに覇気を込めながら脅すかのように語る。その覇気に一夏は全身を強ばらせ息を呑むが直ぐに意思を取り戻し顔をあげた。そこには不安の様子は一切なく鋭い眼差しをもってコチラを睨む。
「俺が守りたいモノ・・・・・・それは俺にとって大切な人達。家族を守りたい、それだけは決して曲げない。譲らない、無くしたりはしない!例え相手が誰であろうと千冬姉を、箒も・・・束姉も・・・流韻さんたちもそして・・・・・・・・・・・・・・十秋も、俺が守る!!」
一夏は叫ぶようにして言葉を発する、それは決意表明であり誓いのようであった。
「―――――もう大丈夫ですね?」
「はい、俺は絶対に負けません。」
一夏は鋭い眼差しのまま私を睨みつけた。その瞳は今までで一番力が宿っており力強く、それでいて勇ましかった。
「それでは・・・・・・・・・・・・私が貴方を鍛えることは、教えられることはもうありません。後は貴方自身で精進していきなさい。その第一歩として・・・」
「十秋と決着をつけます。」
そう告げた一夏は木刀を持って立ち上がり・・・・
「有難う御座いました・・・」
深く一礼しその場を後にした。
私はその後ろ姿を見送りながら動き出した彼のこれからを想像し小さく笑みを零した。
・・・・・・・・・・・・ついでに茂みに隠れながら何時もこちらを見ていた彼(・・)への苦笑を浮かべながら私も家に戻っていった。
そして次の日・・・
「さぁ行くぞ十秋!」
「・・・・・・・・うん、望むところだよ一夏!」
双子の兄弟が剣を交え互いの腕を認め合うこととなるのだがこれは語る必要はないだろう。
勝敗なぞ彼らの間では不要ですから。
しいて語ることがあるとすれば二人の溝は徐々に無くなっていき幼き頃のように共に行動する姿がチラホラと見受けられるようになったということぐらいでしょうね。
読んでいただき誠にありがとうございます。
今回は本当に難産でした、だってロボットが出ないのだもの。
ネタバレしますとこの前に束と千冬の友情の話とか一夏君挫折編などが描かれるはずでしたが、ダルイ、メンドイ、ロボ成分がないという三重苦なため省きました。
機械を語る秀の様子が書けないのがこれほどの苦痛とは書いている間思ってもいませんでした。
結論、うp主は熱血論が似合わない(´∀`*)
次回、主人公会社を建てます。その名は・・・・・・
あとアンケートを取ることにしました。
現在IS9巻まで出しておりますが一定まで終わってないという理由で修学旅行までで終わってしまいます。
その為今後のストーリーでのアンケートとして後で活動報告を覗いて下されば幸いです。