インフィニット・ストラトス~進化を望むマジン~   作:スタノヴァ

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漸くできました。9話です、そして遂にあのマジンが再誕しましたやっほーい!!
そして次でラストです(え?
注意:ここから先はご都合主義満載、作者のエゴで書かれています。それでも大丈夫という人はどうぞ。
ダメだという人は(・ω・`)っ縮退砲


9話

「白騎士事件」が発生して全世界にISの性能を示したあの日から3年の月日が流れた。

ISの性能に全世界の重人達は直ぐ様束を保護しようとして行動したがそれよりも早く日本政府が束を保護。同時に彼女の家族である篠ノ之家も保護し現在は篠ノ之夫妻は名前を変えて連絡が取れない状況にある。箒も現在何処にいるか分からない・・・・・・・という訳ではないが彼女と会うのは今は得策ではない。束はとある地下施設でISコアの製造を行わされており現段階で400個を超えているという。しかしISコアの量産の際に試作で作り上げたISである重大な欠点が発覚した。それは女性でしかISを扱うことができないということだ。この結果世間では女性優位という思想が芽生えつつあり更にそれを後押しするように各国家政府が女性特権の法案と成立させていき女尊男卑という何とも時代遅れな思想が出来上がってしまった。男尊女卑と同じようにそのような同じレベルの人間でどちらが優れているなどとう争いは無駄にしかならない。国益が生まれるわけでもないこの思想は正直危険ですね。

 

それを考慮し私はAE社にPTの正式販売を行うことを支持しました。

AE社社長のミツコ・イスルギが世界に提示した二足歩行型起動兵器、「P・T(パーソナル・トルーパー)」の情報は瞬く間に世界に広がっていった。販売当初は「単なるパフォーマンス程度の実戦向きではないロボット」と避難されIS最強と言われ続けたがその量産性と共にパイロットを性別で選ばないという兵器本来の仕様により関心を高め、その試験戦闘ではISとの1対1で互角の闘いをするという結果によりたちまち全世界から販売を求める声が広がった。

PTの反応は概ね良好であったが一部の団体からは批判的な声が上がるようになった。

女性権利団体である。彼女らはPTの登場により女性の権限の縮小に危機感を覚え「PTなどの戦争兵器を生み出すAE社を許すな!」という檄文で反対運動を起こした。しかし、これは長くは続か無かった、まずAE社のTOPであるミツコさんが女性(ガタノイド)であったこと、その運動の後に発覚した「IS開発目的の少女誘拐事件」でPTが活躍し非公式の研究所を抑えたという戦績、その際にISとの戦闘に勝利、非人道的行動を阻止したとして全世界でその有用性を評価し老若男女問わずに支持したことにより徐々に反対運動は収まっていった。

そのような珍騒動があったが世界にPTが行き渡り現在では軍には無くてはならない兵器として定着しつつある。

 

篠ノ之家に住んでいた織斑家は政府の援助により生活している。その際束のISのテストパイロットを任されていた織斑千冬が政府との契約として日本代表とするISパイロットとなった。これにより2年後に行われたIS世界大会では優勝を飾り『ブリュンヒルデ』という称号を得た。

千冬はこの称号をあまり喜んでいませんでしたがそれでも素晴らしい結果だと思います。

そして今年の第二回IS世界大会にも彼女は出場している。この大会に出場するということは彼女に取って一夏達を食べさせていくことと直結しているからだろう。報奨金と大会優勝賞金、更に国民栄誉賞などを受けているが育ち盛り2人を育てるにはどれだけ金があってもいいですからね。

今年もどうやら気合が入っているようで予選から代表戦まで全て一撃で倒している。

今までの開発経過を覗いていた私からすればISそのものが彼女専用のパワードスーツであると言っても過言ではないのでどのISに乗り込んでもカタログ以上の性能を発揮できるだろう。

 

一夏と千秋は特に変わった様子は無く変わりゆく世界で平穏に過ごしている。彼らの取り巻く環境は「最強の姉を持つ弟」として見られるようになったが二人の持ち前の性格による友人関係、そして兄弟の仲の良さによって妬みや僻みという負の感情からは守られているようだ。

そして今年はどうやらIS世界大会本戦の鑑賞に主催地に向かったらしい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・これで一夏がどのような能力を持っているかが分かる、その下準備も済ませているので後は一夏次第だ。貴方の力を見せてもらいましょう。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

―――――――――その前に、遂に完成の時はきました。私のグランゾンの真の姿を呼び覚ます時です。

1年間で太陽の10倍程のアストラルエネルギーを貯めたものにそのエネルギーによって起動する「カバラ・プログラム」、縮退炉である「ブラックホールエンジン」、そして平行世界から膨大なエネルギーを集める「次元連結システム」、・・・・・・そして「ネオ」に最も必要な装置である『バリオン創出ヘイロウ』を装着させ準備は整いました。

後は全アストラルエネルギーでこのグランゾンを満たし「カバラ・プログラム」を起動させれば全てが完成する。

この時、決して「マハーカーラ」を解放することは許さない。これはシヴァ神の別名でもあり私が嫌う「神」に繋がるモノの一つであるからだ。グランゾンに「次元連結システム」を搭載させる際に取り外しシステム上から消し去ったがどうなるか分かったものではない。故にそれ以外の登録キーが必要になってくる。

能力開放の際原作のシュウが唱えていたモノのような重力原理の説明を代用するとしましょう。

 

『現実時間18:00時、現時刻よりグランゾンでの実験を行います。マスター、こちらの準備は整っております。』

 

インカム越しに遠く離れたコントロールルームからミツコさんの声が聞こえる、彼女にはアストラルエネルギーの掃射を任せている。どうやら全員が所定位置に付きコントロールをとっているのだろう。

 

「えぇ分かりました。・・・・・それでは始めましょうか。」

私はグランゾンの操縦桿を握り起動ワードを告げる。

 

「『ブラックホールとは極めて高密度かつ大質量で強い重力のために物質だけではなく光さえ脱出することができない天体です。因みにブラックホールの名称はアメリカの物理学者ジョン・ホイーラー氏が命名したものでそれまでは崩壊した星、コラプサーと呼ばれていました。』」

キーとなる重力関連の説明を詠唱する。

 

するとグランゾンに搭載されていたブラックホールエンジンが徐々に出力を上げていく。それを確認したミツコさんがアストラルエネルギーの照射を開始しグランゾンをアストラルエネルギーで満たしていく。同時にカバラ・プログラムが起動しグランゾンの頭上では暗闇よりも暗い光すら通さない穴が広がっていった。

 

「『事象の地平面、これは物理学・相対性理論の概念であり情報伝達の境界面のことを指します。シュヴァルツシルト面又はシュバルツシルト面と呼ばれていますが空間を二次元に単純化したモデルとして事象の地平面と呼ばれているのです。光や電磁波などの情報は伝達できない領域が存在し大質量の重力によって閉ざされこの情報を我々が知る術はありません。これがブラックホール内での現象であるとされています。』」

 

詠唱は続けながら現状を認識する。先ずグランゾンで最も重要な部位である胴体が重力崩壊の影響を受け変質したアストラルエネルギーがグランゾンのボディを侵食し変貌させていく。コクピットに乗り込んでいる私も私を除いて機器の全てが変質しているのを確認しているので問題ないだろう。そしてその変質したアストラルエネルギーは両腕を、両足を、取り付けたバリオン創出ヘイロウを取り込み碧く深い装甲から蒼く神々しい輝きを放つ装甲へと変質していった。

バリオン創出ヘイロウも弱々しく光っていたのが今では眩い限りの輝きを放ち外に設置させあったカメラを破壊していく。

そして最後に頭部をも飲み込み魔神とすら表現できそうな外観を更に鋭くし第三の目とも言える宝石が怪しく輝いていた。

 

「『一般相対性理論においてブラックホールとは「情報の伝達が一方的な事象の地平面が存在し、漸近的に平坦ではない方の時空の領域 」であるとされていますがどんなに厳密に数式で定義されていようと事象の地平面を特定するのは難しい、それを証明するには未来永劫その領域が外側と因果関係を持たないということを示さねばならないからです。』」

 

全体を纏っているアストラルエネルギーは全てグランゾンに吸収されていきグランゾンは怪しく光り続けていた全部位が100%の状態で安定している。ブラックホールエンジンも順調でもう一つのエンジンを起動させようとした、――その時、

 

「っ?!」

 

モニターが激しく点滅し異常を知らせる、確認すると100%が99、98と落ちていく。これでは中途半端な変化になってしまう。

 

『マスター!グランゾンの形状に若干の乱れがあります、莫大なアストラルエネルギーを使用した現状でどのような被害が出るか予測できません!至急実験を中止してください!』

 

ミツコさんの悲痛な声がインカムから聴こえてくる。既にこちら側から確認するためのカメラは全て破損してしまったが外部ではこの異常がハッキリと出ているのだろう。

・・・・・・・しかし既に賽は投げられた、今ここで実験を停止させても次に成功するかどうか。それに今まで貯めてきたアストラルエネルギーをまた貯め直す場合更なる時間のロスが考えられる。これで失敗すると「ディス・レヴ」を用いた実験を行う必要がある。これは現状よりもリスクが大きい、最悪負のエネルギーに飲み込まれてしまう。

 

私は実験続行をミツコさんに伝えインカムを切った。

 

「『宇宙の地平線とは観測可能な最も遠い宇宙の空間あるいは時空であり観測上の宇宙の果てとされています。』」

 

詠唱を続行しながら次元連結システムの出力をフルパワーにまで上げる、足らないエネルギーがあるのなら平行世界から持って来ればいい、そう考えた私はシステムの限界まで引き出した。その目論見は成功し下がり続けていた形状報告が100%に戻っていく。しかしそれだけでは留まらず110、120、130・・・・・数値は上がっていき遂には200%を超えていった。

 

『――――――――――――――!!?―――――――――!!?!!』

 

コクピット外から大音量で誰かの声が響いていた、恐らくミツコさんが流しているのだろうどうにも上手く聞き取れない。

 

「『一般的に宇宙は膨張していると考えられていて、距離が離れているほど地球からの後退速度(宇宙論的固有距離の変化量を宇宙時間で微分した値)が速く、ある距離(ハッブル距離)以上は光速以上の速さで離れる。地球に向かう光が常に光速以上で遠ざかる空間にとどまるという条件下では、その光は地球には永遠に届くことはありません。このとき光が届く限界の時空面を宇宙の事象的地平面というのです。 』」

 

全ての部位が200%以上を叩き出し警報を鳴らし続けている。

だが私はそれらの全てを無視して最後のキーとなるエンジンを起動した。

 

対消滅エンジン

これはグランゾンに搭載されているもう一つのエンジンでこれこそが本来のグランゾンの性能を引き出すために必要不可欠の存在である。普段は「ブラックホールエンジン」のみでグランゾンの使用が可能だがこれにより更なる力を引き出すことができる。

しかし、これを起動させるには「ネオ」に至っているということが条件だ。膨大なエネルギーによって動くためエネルギーの補充をしなくてはならない・・・そのためのアストラルエネルギーだ。

 

対消滅エンジンに全エネルギーを注ぎ込む、変質したアストラルエネルギーもブラックホールエンジンも、カバラ・プログラムも、バリオン創出ヘイロウからのエネルギーも、次元連結システムからのエネルギーも・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・その全てを一気に対消滅エンジンに流し込んだ。

 

 

「さぁ、私が行える全ての手を尽くしました。後は貴方が受け入れるかどうかです・・・・・・・・・・・・・・・・貴方はあの傲慢な神の操り人形として何時までの道化を演じ続けたいですか?自身の存在を単なる喜劇の道具として終わらせるつもりですか?グランゾン・・・・・・・・・・もしそれが嫌ならば応えてください。そして私と共にこの忌まわしき鎖を引きちぎるのです!」

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――ッッッ!!!!!

 

声でない・・・・・・・・・・・・・しかし深く禍々しい咆哮が確かに私の耳に届いた。

それと同時に全システムが正常に動き出す、パラメータでも完全に変化が終わっており新たに展開しているカメラからの映像では神々しいまでの黄金の光を放つバリオン、それの影に隠れながら二つの黄色い眼が輝いているのが確認できた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・フフフ漸く私の宿願であった『ネオ』に至った。神が取り付けていたシステムを全て廃棄し一からデータを組立てそして膨大エネルギーで神が作り上げた機体を変貌させた。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・これで神の呪縛から逃れる第一段階が完了しました。」

 

成し遂げた達成感に身体が震えるのが分かる、転生を行い既に21年この日をドレだけ待ち望んだことか。人として生まれそして死に、その命を循環させることによって初めて人は一生を終える。それを力を持った存在が身勝手に捻じ曲げ私を『全く別の存在である私』に押し込め踊らせ続け何程の屈辱に拳が震えたことか。

―――――――――――だが、そんな日々ももう終わりだ。

今日、この日をもって私は世界の呪縛から解放される。

 

「フッフッフ・・・・アハハハハ、ハハハハハハハハハハハ。」

頭が真っ白になり興奮と感動で私は誰知らずに笑い声を上げていた。

Pi-Pi-Pi-!!

そんな時だ、腕に着けていた黒色の腕輪が反応を示したのは・・・・・・・。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「りゃァァァァァ!」

俺は近くに入っていた清掃道具で男をぶん殴る。フェイント混じりの攻撃に対処できずに直撃を食らった男はうめき声を上げながら倒れた。

 

「ハァァアッ!!」

隣では十秋がモップを振い押さえ込もうとしてくる男たちを相手にする。

生まれながらの直感をフルに使って相手の行動を読みその隙に重い一撃を食らわせているようだ。

 

「本当にッ、なんで、こんなことになってんだ?!」

俺はバケツを蹴り上げ迫り来る男の一人の顔面に向けて蹴る。

視界が塞がれた男はそのバケツを払おうとするがそれに乗じて突きの構えで男の股間部を一気に叩く。

 

「――――ッ?!!?!」

呻き声すら上げられずに崩れ落ちたところを蹴りで吹き飛ばしもう一人の男にぶつける。

 

「分かんないよ!でもッ碌な人達じゃないってことは絶対だね!!オリャッ!!」

モップの金具部分で頭を叩き気絶させる。

この場にいた男たち10人の内残すところ後2人というところまで片付いた。

 

「この、化物共が!」

男二人は持っていたスタンガンを取り出し俺たちに襲いかかる。

けどな、そんな動きじゃ俺たちを捕らえることなんざ何時までたっても出来ないぜ!

俺は相手の腕を引き寄せるようにして避け、側面に飛ぶ。

十秋はモップを匠に使いこなし相手の喉元へと構える。

しまった!というような表情をするがもう遅い・・・・・

 

「これでぇ!」

「ラストぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

後頭部目掛けて回転蹴りを食らわせる。脳を揺らし男は吐きながら倒れる。

もう一人の男は食道を傷ついたのか血を吐き出し崩れ落ちた。

 

「これで全部だな?」

 

「・・・・・・・・そうだと思う。」

その言葉を聴き漸く構えを解く。

 

「ハァァ・・・・・・・・・。一体どうしてこんなことになったんだよ。」

 

俺は数分前の、いやここに来る前の事を思い出す。

俺たちの姉、織斑千冬は世界的に有名なISパイロットだ、IS世界大会では優勝を飾り知らぬ者などいないという程の。その結果というのも変だが俺たち兄弟は結構裕福な暮らしが出来ていた。そして今年の大会でも千冬姉は本選まで勝ち上がり後一勝すれば2連覇という所まで来た時千冬姉から「決勝戦を見に来ないか?」と誘われた。俺たちも頑張ってる千冬姉の姿を見たいしそうやって勝ち上がっていく千冬姉が自慢だった。俺と十秋は二つ返事で決勝戦の舞台となる闘技場へと足を運んだのだ。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そして会場に入り親族席に向かおうとして今に至ると。

 

「いや、本当に訳わかんないのだけど。」

 

「多分・・・・僕たちを捕まえて千冬姉さんに大会出場を辞めさせたかったんじゃないかな。」

 

「はぁ?なんでそんなことを。」

 

俺は疑問符ばかりで十秋に聞き返す。

十秋が言うには政治的な圧力、若しくは他国に対し牽制をかけるため。と語っていたが正直良く分かんない。けど俺らが捕まれば千冬姉に迷惑がかかるってことは理解した。

 

「兎も角こんな場所で立ち止まってないで人が大勢いる場所に―――」

 

『ッッ!?!!』

 

その時、俺たちは同時にその場で地面を蹴りつけナニカを避ける。

俺は勘で、十秋は持ち前の直感でそのナニカが俺たちを狙っているものだと察した。

 

「ほぅ。たかがガキ二人だと思っていたが・・・・いかんせん動けるようだな。」

「本当に、この木偶よりも使えるんじゃない?」

「いい加減にここから離れましょう、上では騒ぎになってるし。」

 

その声は女性のものだった、それも3人。物陰に隠れながらその姿を視界に映そうとし、硬直する。

何故なら相手の女性はISを纏っていたのだ。

 

「(おいおい、なんで誘拐犯がISを使ってるんだよ。アレって国家ごとで分配されてるんだろ?)ってそんなことどうでもいいか。おい十秋!」

 

「わかってる!ここは・・・・」

 

『逃げるが勝ち!!』

 

俺らは近場にあったダンボールやらパイプやらを壊して逃げ出す。来てそうそう建物を壊すというのは失礼だが今はそんな事を言っている暇はない相手はISだ、どのような行動を取ってもあの絶対防御を抜ける術は今の俺たちには持ち合わせていない。だから奴らの視界を封じ逃げる、これしかない。

「っち、逃げるな!」

浮遊しながら俺たちの上空まで近づき、

 

「おらぁ!」

一歩踏み出す力でモップを相手の頭に叩きつける。

「ッ!」

人は急所を攻撃された際反射的に腕をだし守ろうとする。それを利用して俺は奴の視界を封じ、

 

「吹っ飛べ!」

腹部を蹴りつけその勢いのまま道の奥へと跳ぶ。

 

「ぐぁッ!?!―――貴様ァァァァァァァァァァァァ!!」

般若のような表情で女は武器(拳銃のような形)を取り出しコチラに向けて発砲してくる。

 

「おわわ、アイツガチで撃ってきやがった!」

「気をつけて一夏!」

 

「分かってわぁぁ!」

 

俺たちは再び視界を遮るように傍にあるものを投げ捨て、

「そう何度もッ!」

「させねえよ!!」

 

投げ捨てようとしたものを先ほどの銃を持った女と鞭を持ったもう一人の女が破壊していく。

「ッチィィ!」

 

俺は既に半ばで折れたモップを投げ捨てて他の武器になりそうなものを掴みとろうとし・・・・・・・・

「ここまでだよ、少年君!」

「ッ?!いつの間に――」

背後に回り込まれ掴もうとした腕を握られ無理矢理引き離される。

 

「お仕置きだよ!」

防御すらままならない状態の俺に力の限りの拳を振るう女。

腹部への一撃は肺の中の空気を全て吐き出させ俺の意識を一時的に吹き飛ばす。

「ぁがぁぁッ?!!?!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「一夏ぁぁ!」

 

遠くに十秋の声が聞こえる。それから少しして、・・・・・・・・・・・・・・

ダンッ!

「――ぁぁ・・・・・」

何かに叩きつけられた衝撃で俺は意識を取り戻した。

 

痛みで身体を起こす事すらできなかったが瞼は開ける、そこで俺の隣で転がっている十秋の姿を映した。

「・・・・・・・・・・・・・・・・ぉ、十秋?」

 

「―――――――」

 

腹部から大量の血液を流し声をかけてもピクリとも動かない。

痛みが身体中を襲うがそんなもの関係ないと身体を動かし十秋を抱き上げる。

腹部には銃痕のような空洞がありそこから血液が流れていった。

 

「十秋、起きろ。・・・・・・・・起きてくれ十秋!」

 

俺が叫び声を上げるも十秋は瞳を開くことがなかった。

 

「しまった、一人撃ってしまった・・・・・・・・・・・」

「何やってんだよこのバカ!二人共とっ捕まえろっていうのが任務だろうが!」

 

「し、しかし!アイツ等が抵抗するからッ!?」

 

「そんなものは関係ないわ。最悪の状況だけど証拠隠滅する時間はもうないしそれに傷が深すぎる、治療しても間に合わないわ。そっちの子とその死体を持って帰りましょう。死体は織斑千冬を誘い出すのに使えるだろうし。」

 

女たちは俺たちに手を伸ばそうと近寄ってくる。

なんだよ、なんで十秋がこんな目に会わなくちゃいけないんだよ。俺たちはただ千冬姉に会いに来ただけなのに。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

―――――――――ぇ。

 

 

―――――――ゆ―――ぇ!

 

 

 

――――絶対に許せねぇぇ!!

 

「これ以上、俺たちに近づいて来るんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」

 

俺はナニカが弾けるかのように叫んだ。

そして、それと同時に身につけていた腕輪が光った、気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そっから先のことは覚えていない。後に聞いた話では止血された十秋に覆いかぶさるようにして半壊した会場の傍で倒れていたらしい。俺たちを発見した千冬姉が顔面蒼白で病院まで連れて行ってくれたという。

 

会場が壊れてしまったためその日の試合はすべて中止。負傷者を多数出すという大惨事に見舞われ中にはパイロットをも負傷してしまったということでこの年の大会は完全に中止となった。

それから数日経ち、千冬姉は日本代表の辞退し現役引退宣言をする。その後俺たちの養生が安定したところで声をかけられていたドイツ軍への短期的な教導の仕事のため1年間ドイツに言ってしまった。

あの時何か起きたのか今となっても分からない。外部から撮った映像では突如巨大な竜巻が会場に出現し破壊したという以外は未だに不明となっている。その後直ぐ近くの海上で重力の乱れが生じ近くの発電所、近海を航海中だった戦艦の機械が完全にイカレテしまい世間では異常気象による世界崩壊が噂されている。

 

・・・・・・・・・・・・・・だが、俺はあの竜巻だけはどうにも異常気象の現象ではないと何処かで感じていた。ただ暖かく俺を守ろうとしてくれたようなそんな感じがしたのだ。

言葉では上手く言い表せない、科学的な根拠もないが・・・・・・・・・・・・・・・・そう感じたんだ。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

フフフフ、まさかグランゾンの再誕と同じ日に一夏が覚醒するとは思いもよらなかった。

正に宿命の相手ということなのでしょうか、それならそれでいいのです。何時か彼が成長し私と対等に戦える存在となるのなら別の方法の魂の解放がなせるのですから。

本当に気分がいい。

これ程気分がいいのは久しぶりですよ。

 

「貴方たちには感謝してますよ、これで一夏は己が持つであろう力を解放することができたのですから。」

 

「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」

私は直ぐ傍で倒れている女性たちに語りかける。

その瞳には光が感じられず既に事切れているかに見える。しかしその胸が微かに上下しているのを確認できるので未だ生存しているようだ。

 

「さて、・・・・・・・・・・・・・・・・・・貴方たちに褒美を差し上げないといけませんね。亡国機業(ファントムタスク)の皆さん。」

大破したISから引き剥がすように3人の女性を引きずり出した。

そして彼女らの頭に手を載せて

 

『ガァァァッ?!?!ぁぁぁぁぁぁぁあああああああああAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!?!?!?!??!!?!!!』

獣の方向のような叫び声を上げ血涙を流し口から泡を吹く。そうして二人の女性への処置が終わり手放した。彼女らは無抵抗のまま崩れそしてそのまま倒れこむ。

 

「―――――――ぁ・・・・」

二人への処置を呆然とした表情で見つめていた残りの女性は私と目があった瞬間に絶望した表情で涙を流し続けていた。

それを無視し私は彼女の頭に手を載せようとし、

 

「――――たすけて・・・・・・・・・・・・・・・・お願い、します。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・助けてください。」

光のない瞳を揺らしながらまるで呪詛のようにつぶやき続ける。

 

私は笑みを浮かべて彼女に語りかけた。

 

「安心してください、決して私は貴方達を殺すつもりはありませんよ。ただ貴方たちの身体に入っている殺害用のナノマシンを破壊するのにはこの方法以外ないのですよ。」

私は彼女の頭に手を押し当てて術式を発動しようとする。

 

 

「―――ぃゃぁ!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・お願い、助けてください!・・・・・・・・・・・・神さまぁ!!」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

彼女は涙を流し顔をグシャグシャにして懇願する。その光景を見て私は彼女の頬を優しく撫でた。

ビクッと肩を震し震えた眼で私を見る女性。

 

「殺しませんよ、別に記憶を奪うつもりもありませんし副作用による弊害はありません。あるとしたら精神的な疾患を患ってしまうかもしれませんが。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あぁ後私、」

 

頬を撫でた手は流れるように口に向かいその掌で口を、いや顔面を掴む。

 

「神という存在が嫌いなんです。口にしないでいただきたいですね。」

もう一つの手で頭に触れ、術式を起動した。

 

 

「ぅん?!!んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんッ!?!!ぅぅぅっぅぅぅぅぅぅぅぅっぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっぅぅぅううううううううううううううううううううう!!?!?!?!?!!!!!?!!??」

 

術式が終わり処置が完了したのを確認した後私は彼女たちの近くの住宅街の道端に寝かせておく。

ISは回収しコアだけを抜き取りとある施設に送りつけた。

来年には可動するから今のうちに物を確保しておいても問題ないだろう。ナンバー登録は、・・・・・・・・弄ってしまえば問題ない。

 

「これで役者は全員舞台に上がりました。篠ノ之束、織斑千冬、織斑十秋・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そして一夏。彼らが織り成す未来の英雄伝を私は楽しみに待っているとしましょう。外世界からね。」

 




今回もここまでよんでくださり有難うございます。
テーマであったマジンの「ネオ」への進化も完成しラスト秒読み状態です。
そしてここで補足(という名の妄想)を・・・・
・今回書いていた一夏十秋兄弟誘拐未遂事件ですが(表では竜巻事件)人一人を誘拐、それも護衛がついているであろう親族を対象にしているのに屈強な男だけだとは思えないのですよね。原作で誘拐する際にきっとISを所持した部隊が配備されていたと私は推測しています。
誘拐班と陽動兼戦力として他国から奪取したISを用いりそれで漸く成功したのではないかと。仮にも織斑千冬の弟ですから若しかしたらIS所持の護衛がいてもおかしくありませんし、それを想定して今回はこのような襲撃の形を書かせていただきました。
もっと細かく作戦内容を書くとしたら、

到着前に本来の護衛人と殺害、若しくは気絶させ成りすます。

対象に合流後特別席に案内する仕草をしながら裏口まで誘導、その後気絶させるか睡眠ガスを嗅がせて意識を奪い連れいくというのが本来の流れ、それに+して対IS用部隊を設けて複数からの攻撃で怯んでいるところで対象を誘拐する。という流れです。

ここでの彼らの誤算は並の成人男性よりも強いということ、秀という存在を知らなかったこと、これが主な敗因かと。
十秋君は秀が手渡した腕輪の効果で全回復してますよ、それと同時に特典であったもう一つの能力が開花してしまいましたがそれは別のお話です。
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