人生とは選択の連続だと思う……でも、これは絶対違うだろ 作:チョチョイのチョイス
「──オーリム〜、データまとめた資料ここ置いとくぞ?」
「ああ、ありがとう」
「フトゥーはそろそろ休んどきな。コーヒー入れといたから」
「すまないね」
さて、ただいま俺はパルデア大穴のエリアゼロの最奥まで来ています。
何しにって?知り合いの研究者夫婦の様子を見にだよ。
それなりに交流のある2人で、今回に関しては選択肢による行動じゃない。全然地上に戻らない知り合い2人を心配してたまにこうして様子を見に来てるのさ。
「まだ、研究は一段落つかないか?」
「そうだな。もう少し……」
「ボクも気になることがあってね」
「そろそろ、一人息子に顔出しに行きなさいよ」
「「………」」
はぁ……、ため息が出るわこれ。
研究に没頭はいいが地上に残してる一人息子を放ったらかしってのは親としてどうなのかねー。
それを指摘したら気まずそうに無言になるし、いまさら顔なんて合わせられないとかそんな感じか?
【研究所をぶっ壊せ!吹き飛ばし、更地にしたらもうここに用はないね!】
【研究データを吹き飛ばそう!全ての努力を水の泡にしたら諦めがつくね!】
【上記2つを使って脅しをかけよう!】
極端…!
怖いわ、もう人の倫理に欠けすぎて怖いよ、あなた。
「あんまり酷いと、研究データ吹っ飛ばしてここ更地にするからな?」
「「うぐ……」」
こちらの言葉に苦い顔をする2人。息子に会いたい気持ちは強いはずなのに馬鹿なんだからほんと。
そもそも2人のしてる研究が過去と未来のポケモンたちを呼び出すとかいう生態系を破壊しかねないものの時点で本当はやっちゃダメなんだよなー。
まあ選択肢のせいでやばくなった場合のケツ拭きは俺がやることになったんだけどね!
HAHAHA!………はぁ。
「ぶっちゃけ、本音言えばやめて欲しいという気持ちもあるんだよね。危ないし」
「いまさら、無理だ…」
「……虫がいいのはわかってるが、何かあった時はキミ頼りだからね。ホントに申し訳ない。だが、やらせて欲しい…!」
「はぁ……、流石にパラドックスポケモン相手だと"今の手持ち"じゃきついんだよ。何かあったら"各地に散らばってる俺の仲間"を連れてくる必要があるわけで」
全員手元に戻すとなるとそれなりに準備期間が必要だ。
何事もなければそれでいいけど……どうせなんか起きるだろうしなあ。
【コライドンの様子が気になるなー。原始的な服装に着替え民族的なダンスを踊りながらコライドンの元へ向かおう】
【ミライドンの様子が気になるなー。未来的な服装に着替えロボット的なダンスを踊りながらミライドンの元へ向かおう】
【2匹の様子が気になるなー。現代的なヤンキースタイルで現代を舐められないようにメンチを切りながら向かおう】
………うーん。今そういう雰囲気?
まじ?方向転換の角度が物凄いよ?
ギュンッ!!て角度変わったね。もうほぼUターンみたいな感じ。
いや、着替えめんどくさいしヤンキーで行きますよ。
「ん?チョイスどこ行くんだ?」
「ミライドンとコライドンのとこだぜ……」
あ、口調も変わった。
「……チョイス君、その歩き方と口調はなんだい?」
「今日の俺はヤンキーだぜい?」
「相変わらずよく分からない男だな…」
分かる。分からないってことが俺もよく分かる。
この選択肢よく分からん。助けてくれ。
そんな気持ち虚しく歩き出す俺の足。勝手に身体が動く。ほんとにこれ俺の体?怖なってくる。
ズンズンガニ股で肩で風を切るように、そして手はポケット。顔は下から睨みつけるような角度。
……フッ、クソだせぇ。
何が悲しくてこんなヤンキーごっこしてなきゃいけないんだよ。
「……アギャ」
「……ギャ?」
あ、いた。
「へへ、見つけたぜー?」
「「……っ」」
いやもうどこの悪役?なんかもう違うくない?ヤンキーではなくない?
あ、2人とも全力で逃げ出した。相変わらず少し臆病だなー。
いやー、相変わらず早い。もうかなり離れた所まで行ってる。
【よし!チョイス、こうそくいどうだ!】
【よし!チョイス、こうそくいどうだ!】
もう選択肢ちゃうやんけ!
一択!ただの一択!うそやろ!?
こうそくいどう?そんなの出来るかあ!
【返事は、おう!……だ】
自我を出すなーッ!!
……まあやりますよ、はい。
「おう!」
返事をした途端に動き出す体。
土煙を上げながら足を動かす。
……いや、なんか背中近づいてるぞ。まじかよ、俺の体どうなっちゃうの?車並みのスピードの2匹に追いついちゃってるよ。
俺こんなに足速かったんだな!
「よし!捕まえ──」
【はいタッチー、次お前鬼なー】
【捕まえてそのままジャーマンだ!逃げたものはどうなるか思い知らせるべき!】
あ、じゃあ鬼ごっこしましょっか、はい。
「はいタッチー、次お前鬼なー」
「「ギャ…!」」
そのまま追い越して走り去る。
………いや、足が止まらん。どこまで行くの?
ミライドンもコライドンも追いつけてないよ?ねえ?
………あの、ほんといつ止まるの?
誰か俺を止めてくれぇーーーッ!!!
「はぁ……はぁ……」
「す、すごい汗だな」
「……何をしていたんだい?」
「鬼ごっこ…!」
「「ア、ハイ」」
汗が止まらん、足がバキバキ。結局、2匹は俺に追いつけずに3時間ほど全力疾走してたわ。
最後は何とかミライドンに追いかけられ、追い詰めた俺をコライドンが空からの奇襲で捕まえてくれた。
感謝…!圧倒的感謝…!
ありがとう。
もう泣きながら頭をワシャワシャしてあげたよね。ほんと。
「……よし!帰る!」
「あ、ああ、そうか」
「気をつけていくんだよ」
引き攣る笑顔の2人に別れを告げラボを出た。
あとはポケモンの背に乗ってここを出て──
【ひとっ飛びのジャンプで大穴を出てみよう!出来るまでジャンプし続ける】
【ロッククライミングとかしたことないなー。……よし!よじ登ろう!】
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!
"オーリム、フトゥー"
チョイスとの出会いはエリアゼロにて素っ裸で水浴びをしているチョイスを見つけるところから始まった。
研究内容を聞いて猛反対したチョイスだったが、それならばと彼の強さを見込んで何かあった時、パラドックスポケモンを倒すという約束をしてもらった。タイムマシン制作の際、チョイスにアドバイスを貰っていた。チョイスに対する印象は変人だが人智を超えた超人だと思っている。
"チョイス"
水浴びを見られた可哀想な男。ついでに息子も見られた。
昔から選択肢による無茶苦茶な学習のおかげで、そこら辺の学者すら度肝を抜くほどのIQを持っている。