人生とは選択の連続だと思う……でも、これは絶対違うだろ 作:チョチョイのチョイス
「──この課外授業を通して成長したあなた達にまたこうして挨拶できることを楽しみにしておりますよ」
校長先生のお話。生前は長くて眠くなる話だったが、どうしてコウもこの人の言葉はここまで響くのか。
──宝探し
ついに始まる課外授業。
グラウンドに集まった生徒へ向け言葉を紡いだ校長先生。
お?生徒の中にいるネモもワクワクしてる様子。あなたのバトルジャンキーぶりは嫌いだけどこう見ると年相応の少女だねぇ。
「それでは最後に……"チョイス先生"」
「え?」
……ん?あれ?今俺呼ばれた?なんで?
校長?校長先生?どうしたの?
「今回の宝探し、見回りとして基本的にチョイス先生が巡回してくださいます。……どうぞ」
いやどうぞって……何も言うことないが?
やめてよ、何も用意してないよ?そんな風に場所を譲っても何も喋れんよ?……嘘やろマジかよ。
【ここは劇的に前に出よう!みんなにインパクトを残すのだ!】
【しっぽを巻くってこの場から逃げよう!】
なんでだよ!行けって言われたら行くよ!けど劇的ってなんだよ!こっわ!怖すぎるわ!内容をいえ内容を!
……ぐぬぬぬぬ、上しか選べないよなぁこれは…!
選んだ瞬間、体が動きだし俺は手持ちのポケモンを外へと出していた。
いつの間にか全員サングラスをかけている。
……いや、なんでよ?
それでも体は勝手に動き、ドヒドイデの上へと腰をかける。手にはギルガルドを装備。
カイリキーとオノノクスが斜め後ろ左右にてスピーカーを担ぎ、BGMが響き始めた。
アーマーガアは俺の背後で羽をばたつかせ空を飛び、ミミッキュが俺の頭の上へと乗る。
……え?ほんとにこのスタイルで俺みんなの前に出るの?
あ、カイリキーからグラサン渡された。かけろってこと?
……アリガトウネー(棒)
オノノクスが親指を立ててグッドしてる。これで目立てるな!なんて言ってるようなそんな雰囲気。変なとこでノリいいのやめてくれ。
そんな思い虚しく、ポケモン達は俺を運んで行く。
生徒達から歓声と拍手が鳴り響いた。
教師の方を向くと、呆れる人と笑う人が。あ、キハダがサムズアップしてくれた。楽しんでくれてるのか……フッ、悪くねぇな(チョロい)
さて、やって来た朝礼台。
あ、アーマーガアが俺の方に止まった。……もうこいつくらいの重さならなんとも感じないのやばい気がしてきた。俺ほんとに人間かなー?
さてと、何を言うか──
【盛り上がってるー!?アリーナァァァア!!】
【黙れ。ぶち殺すぞ、ゴミめら…!】
え?どした?なんか地雷踏まれた?どした選択肢、話聞こか?
見て?みんなワクワクした顔だよ?そんな中で殺すとか言っちゃうの?やばいねお前。
「盛り上がってるー!?アリーナァァァア!!」
「「「イエェェェェェェェイッ!!!」」」
うおっ!?盛り上がりすぎじゃね?凄いね。これが若者の元気か。
「さて……宝探し。自分の宝を探してくる課外授業か。……俺の旅と似てるね」
明確な目的もなくただただ巡り巡った俺の旅。
最終的にこのパルデアで教師をしていて、今じゃこの生活が何よりも心地いいものになってたりする。……それでも多分、俺の人生はこれがゴールじゃないんだろうな。
「自分にとっての宝を探す。この課外授業の目的はそれだが、別に道は一つじゃない。立てた目標に向かうのはいいが、それ以上に道草を楽しめ。大いにな。ほしいものより大切な物が、きっとそっちにころがってることもある。……進む道は人に任せず自分で選べよ若者どもよ!」
「「「おおぉぉぉぉぉおッ!!!」」」
「よぅし……行ってこいッ!」
「……みんな行ったなー」
「あんたは行かないのー?」
課外授業が始まり俺が来ていたのは保健室。
保健医のミモザから出されたクソ甘コーヒーを喉へ流し込みながらソファに深く体重を預けた。
「行くけどさー、仕事だし。でもちょっと息抜きがしたい」
「あっそ……」
そんな返答とともにミモザが俺の隣へと腰を掛けてきた。
手にした紅茶を飲み、一息つく。やっぱりこう見ると美人だなー。……本人には絶対言わん。
「ねぇ…」
「ん?」
「さっき、道は自分で選べーとか言ってたじゃん」
「んー?……ああ」
さっき……宝探しの挨拶のことか。確かに言ったなー。とあるハンターさんの言葉借りて言ったけど案外様になってた……よね?
「養護教諭……私なれると思う?」
「………」
養護教諭なりたかったんだっけ?でも試験落ちまくて受からなかったから保健医になった……んだよな?
【無理無理無理wwwwww】
【さあ、知らん】
んー、道徳心の欠片もねぇなこいつ。もう死ねよ。
上なんてクソ野郎すぎだろ、くたばれ。
「さあ、知らん」
「………っ」
顔色が暗くなるミモザ。うぐぐぐ、罪悪感…!
「さっきも言ったが、進む道は人に任せず自分で決めるもんだ。やりたいならやればいい。やると決めたらあとは進むだけ。何かつまづいた時は話くらい聞くさ」
「……チョイス」
飲み干したコップを流し台へ置く。
……チョイスって名前ほんとになんなんだろ。こういう雰囲気の中に呼ばれたら笑いそうになるぞ。
てか、そろそろ俺も出なきゃまずいかな。
「そんじゃ、俺行くからねー」
「あ、うん」
「じゃ、ばいちゃ」
そのまま部屋を出て玄関へ。
まずどこから行くか。
……久びさにカエデのお菓子食いたいし、セルクルタウンから行くか!
「はぁ……ほんとにもう、色々ずるいなぁ…」
1人残ったミモザは紅茶を飲みながらそんなことを呟いていた。
"ミモザ"
二日酔いで頭を押えたチョイスがベッドを借りに来た時がはじめまして。
それからというものチョイスのサボり場(休憩スペース)になった保健室。そこから仲良くなり色々面倒を見てる。
お姉さんぶりたい背伸びしたミモザとそれにお構い無しに甘えるチョイスの構図が出来上がった。
"チョイス"
ミモザは癒し。選択肢のせいで心がきつくなった時はだいたい保健室に来てる。たまに胃薬を貰ってたりする。