東方心在録   作:ゼロ・ワン

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前作を読んでいてくれた方はお久しぶりです。
初めての方は初めまして。
今回はアカウントの由来でもあるくらい好きな、キングダムハーツと東方のクロスです。
バトルものは初めてなので若干不安ですね。

後、前作を読んでくれていた方向けに、前作はまだ完結諦めてないのであしからず。


プロローグ

大きな大きな時計台の屋上で、暖かくて優しい夕焼けに照らされながら、その少年?少女?は目覚めた。

 

「うう、…体が痛い…あれ?何故か身体が痛い…それに…ぼくは何で家じゃなくて、こんなに硬いところで寝てたんだろう?…そもそも…ここは…何処?」

 

ずっと硬い屋上で寝ていたのか、身体の節々から痛みが訴えられるが、それ以上に気になることとして、自らが眠っていた場所が就寝前とまるで違うため痛みを無視して周囲を確認する。

 

「ここ何処か見覚えがあるような、うわぁ!」

周囲を見回すために、立ち上がると自分の居る場所が高い建物であり、手すりが無いことに気付き驚いて尻餅をつく。

 

カラン

 

尻餅をついた拍子に、右手が何か金属質なものに触れる。

 

「あれ?この硬い物は、なんだろう?」

 

その人物の手元には普段使いするには巨大過ぎる"まるで戦うための剣"のようなテンプルキーが落ちていた。

 

「これは…キーブレード…なのかな?キングダムハーツの。」

 

その人物はキーブレードをおもむろに掲げてそう呟いた。

 

 

 

それから数年後、あの夕焼けの街とはまるで違う場所、忘れられた存在が集う最後の楽園"幻想郷"にてある異変が起きていた。

 

「ああもう!あんたらうざったいのよ!攻撃が効きにくいし!倒しても倒しても復活するし!それになにより!襲った連中を仲間にするその能力!巫山戯るんじゃないわよ!」

 

その異変の一分、"ぜんまいのような触覚を持った黒い影のような魔物"に幻想郷の秩序である"幻想郷の素敵な巫女"博麗霊夢が怒りを籠めて叫ぶ。

 

ワサワサ

 

霊夢の怒声を気にも止めない様子で、その六体の"魔物達"は心の飢えを満たすために霊夢にその爪で襲いかかる。

 

「遅い。」

 

その言葉の直後、引っ掻きを躱して霊夢は魔物のうち最も後ろの個体の後ろに回って、

 

「ハアッ!」

 

右手に持った大幣で兜割りを喰らわせる。

 

ワサワサ

 

だが、大幣を受けても魔物はピンピンとして、その黄色い真ん丸の瞳で霊夢を見つめる。

 

「…ええ知っているわよ、貴方達がこの程度じゃピンピンしていることくらい、倒れるまで何回も攻撃すればいいだけよ!」

 

魔物達のうち兜割りを喰らった個体もあまりダメージになっていないのか、平然として霊夢にまた引っ掻き攻撃をするために爪を各々振り始める。

 

それに対抗して霊夢もまた大幣を握りしめる。

 

シュパン

 

「え!」

 

だが、霊夢と魔物達が次の行動を始める前に閃光が迸り、魔物が一体消し飛ぶ。

 

「"ハートレス"相手に手こずっているようだけど、手伝おうか?見てのとおりこれくらいのハートレスなら軽く倒せるよ。」

 

消し飛んだ魔物の後ろから、顔すら隠す深い黒いフードの付いたコートを着た怪しい格好をして"巨大な鍵"を持った人物が不意に現れる。

その人物は魔物達をハートレスと呼び、まるで今まで何体も倒してきたかのように軽く言う。

 

「誰よあんた!というか今までもこの程度一人で倒してきたから結構よ!」

 

その態度に苛ついた霊夢がそう言って、また大幣でハートレス達に殴りかかり、弾幕も交えて攻撃を行う。

 

「ふ~ん、まぁ分かったよ、でもどうするかな?……よし決めた、そう言うならもう少し君の戦いを見てることにするよ。」

 

「ええそうよ、そこで私の華麗な闘いを見てなさい。」

 

霊夢に助力を断られたコートの人物は、そんな不思議なことを言って考え込むと、霊夢の観察を決めたようだ。

 

 

華麗と豪語した霊夢の実際の闘いは、

 

「そんな単調な攻撃なんて!」

 

ハートレスのひっかきを軽く避けながら、その個体に回し蹴りを叩き込み、

 

「ボサッとしてんじゃないわよ!」

 

様子見のつもりなのかこちらを見ながらも、動きが鈍いハートレスに弾幕を飛ばし、

 

「飛び掛かっても無駄よ!」

 

飛び掛かってきたハートレスをサマーソルトで返り討ちにして圧倒する。

 

その様子に、ハートレス達も物理的な戦法一辺倒では通じないと判断したのか、ハートレスの内一体が彼等の種が持つ能力を使用する。

 

「あんたらのそれ本当にやっかいよね。」

 

そのハートレスは体を直ぐ様平べったくしていき、遂には影となって地面を伝う。

 

影となって物理的に干渉出来ないようになり無敵となる、その能力を使用して近寄って来たハートレスを霊夢は、

 

「でも、それの対処はもう知っているのよ!」

 

周りの地面を弾幕で抉ってから影の居る部分を蹴っ飛ばす。

 

ワサワサ

 

蹴っ飛ばされた衝撃で影となって張り付くための地面が空中分解してしまい、これにはハートレスも堪らず実体化してしまい、

 

「これで終わりよ!」

 

実体化したハートレスに霊夢は飛び掛かって、空中で兜割りをして地上に居た別の個体に叩き付ける。

 

 

パチパチ

 

その霊夢の闘いを、霊夢の後ろから観戦していた黒コートの人物は拍手を送る。

 

「流石は博麗の巫女、素晴らしい闘いぶりだね、これは褒めるしかないね。」

 

その口調は感心したという、感嘆が伝わって嘘偽りが無さそうだが、霊夢は澄まし顔で、

 

「ふん、いきなり出てきたよく解んない奴に褒められたところで嬉しくとも何とも無いわ。」

 

そう言って突き放すかのような態度だ。

 

「でも、闘いぶりは素晴らしくてもハートレス達にはあんまり効いてないようだよ。」

 

そう言って指を指した先には、あれだけ蹂躙されたというのに未々元気そうなハートレス達がまたこちらを狙っていた。

 

「は、余計な心配よ、あいつらだってずっと殴っていれば倒せることは何回も証明しているの、あんたももうどっか行って頂戴、鬱陶しいわ。」

 

そう言って、霊夢はまたハートレス達と闘いを再開する。

 

そんな霊夢の後ろでは先ほどまで飄々としていた黒コートの人物が、ぶつぶつと小声で悩んでいた。

 

「う~ん、…どうしよう、挑発して乗せようと思ってたんだけど、このままじゃ"キーブレード"を広める取っ掛かりにする予定が…どうするかな?…よし!いいや、もうやろう!」

 

黒コートの人物は何かを決めた様子で、先ほどから右手に持っていたその"巨大な鍵"を向ける。

 

「えい。」

 

その掛け声と共に"巨大な鍵"の先端から淡い橙色の光球が飛ぶ。

 

鍵を向けた博麗霊夢に向かって。

 

 

その光球は、霊夢に攻撃を与える…わけではなく、すっと霊夢の中に染み渡る。

 

「あー、何か言ったかしら、兎も角いい加減帰りなさいよ。」

 

霊夢は後ろからだったとは言え、光球が染み込んだことに気付いていない様子で黒コートの人物の元へ行き、まだ居た黒コートの人物に帰還を促す。

 

「…さっきは素晴らしいと評したけど…やっぱり大抵の手段では"解放"は愚かハートレスの討伐すら難しいようだからさ、もういい加減力を貸すからね。」

 

だが、黒コートの人物は霊夢の言葉を無視して、先ほど断られたというのに再び力を貸すと言う。

 

「途中、何を言っているのかは解らなかったけど、さっきも言ったとおり手伝いは結構よ!って!?あんたあの馬鹿みたいに大きな鍵はどうしたのよ?」

 

霊夢が振り返ると、黒コートの人物は完全な手ぶらであることに気付く。

 

シュパン

 

「え?って何よこれ!」

 

その先ほども聞いた特徴的な音と共に、霊夢の大幣が光って、その光が止むと先ほどまで"大幣"だったものが、

 

「!?これあんたの鍵じゃない!」

 

黒コートの人物が持っていた鍵へと変わっていた。

 

その様子を見ながら、自らの持っていた鍵をサプライズプレゼントとして渡したかのように、喜色を込めて先ほどの言葉の真意を告げる。

 

「言ったよね力を貸してあげるって…だから僕の力を貸してあげる、その"キーブレード"を、ね。」

 

自らの武器が変わってしまったことに、動揺しつつも霊夢は、

 

「キーブレードだかなんだか知らないけど、要らないわよこんなもの!」

 

自分の大幣が失くなってしまった苛立ちも含めて、キーブレードを投げ捨てて文句を言うが、

 

「!?なんなのよこれ!!」

 

シュパン、と音がして直ぐに手元に戻ってしまう。

 

 

 

「おっと、そんなことよりさっさとハートレスを倒して来なよ、こうして話している間にもあいつらは待たないよ。」

 

その言葉通り、ハートレス達が襲いかかる。

 

「解ったわよ!いいわよ!使ってやろうじゃないの!」

 

そう言って、すっと先ほどまで騒いでいたのが嘘のように沈静化し、鋭い表情で霊夢は再びハートレス達に向き直る。

 

 

 

「…激昂していたというのにもう冷静なのか、流石は"博麗霊夢"職務には忠実だな~」

 

黒コートの人物が何か呟くが、霊夢は気付かずそのまま闘いを再開する。

 

「ふ、やっぱりそう来るわよね。」

 

その言葉の通り、ハートレス達は先ずひっかきを選択するが、

 

「ま、もう見飽きたのよ。」

 

それをバックステップで避けてから、バックステップの勢いを足で踏ん張って抑えて直後、即座に前へと飛んでキーブレードで突きを行う。

 

「え!」

 

先ほどまで文句をたれる不満顔か、あるいは真面目に異変に対処する澄まし顔しか、していなかった霊夢の驚愕した原因だが、

 

先ほどまで沢山攻撃を受けても余裕だったハートレスが、キーブレードによる突きを受けた瞬間、

 

 

消し飛んだ。

 

 

「ふっふっふ、驚いたかい。」

 

その表情を見て、黒コートの人物が得意げに言う。

 

「これどういうことよ!」

 

「うん、説明しよう。」

 

驚愕する霊夢に向けて、キーブレードを与えた黒コートの人物が笑いながら語る。

 

「先ずキーブレードは心に干渉する武器なんだよ、だからこそ肉体から離れた心が闇に取り込まれ変化した、ハートレス達に対して特効を持つんだ。」

 

「待ってちょっと待って、そんな一気に言われても何が何だか解らないのよ。」

 

そもそもの根本を語るが、霊夢は情報の波を処理出来ない様子。

 

「う~ん、なら説明は後にして兎に角、キーブレードならハートレス達に高い効果があるから、簡単に倒せるよ。」

 

霊夢が理解出来ていない様子だからと、先ほどの説明は何だったのかさらっと簡潔に説明を済ませると、霊夢にハートレスの討伐を促す。

 

「ああもう!何が何だかわからないけど!さっさと終わらせてやるわ!」

 

その言葉から二分後。

 

霊夢は今までの闘いがなんだったのか、という程あっさりと四体残っていたハートレスが討伐された。

 

 

ハートレス達が討伐された後の博麗神社にて、興味深そうにキーブレードを眺める霊夢と、手ぶらになった黒コートの人物が話していた。

 

「さて、いろいろと聞きたいことはあるのだけど、そもそもあんたの名前を聞いてなから、教えて。」

 

そう霊夢は、いや…この幻想郷の誰もが知らない、この黒コートの人物を知るための第一歩のために名前を尋ねる。

 

「そういえばそうだった、ぼくの名前はトワ、ハートレスに襲われているこの世界を助けに来た者さ。」

 

この時を持って、幻想郷で心の物語が始まった。




この作品ではキングダムハーツ関係の用語はこの場所で少しずつ説明していきます。
ファンで分かるよ~って方は、特に作者からは何もしませんがあんまりばらさないでいてくれるとありがたいです。
伏線とかが凄いシリーズなので、居るかもしれないこれを見て新規ファンになる方々のためにも、と作者は思っております。

オリ主がキーブレードを渡せたということは……キングダムハーツファンだったら解ると思いますが、暫くの間本作品でも秘密です。
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