東方心在録   作:ゼロ・ワン

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後半の更新が長くなってしまいました。

本当は年末のうちにしたかったんですが。


勇者

それはまるで、切り取られた写真のようだった。 

 

全ての存在、生徒達や霊夢にチルノ、ロールスラッシャーまでもが止まっていた。

 

「咄嗟に止めようとして全員やっちゃったけど、ロールスラッシャーってストップが効いたんだね、登場作品のDaysだとこっちはストップ系統使えないから知らなかったな。」

 

そこに、担当してた場所全体のハートレスを討伐し終え、グライドをしながら霊夢の方に来たトワが現れる。

 

「それにしても、時間属性耐性を持ってる人は霊夢含めて居ないのか、まあ紅魔郷とかで咲夜の時間停止効いてたから分かってはいたけど、霊夢に時間耐性の装備を用意しなくちゃだ。」

 

そう予定を追加しながら、チルノの前に降り立つ。

 

「さて、ぼくが代わりに、と…うーん、もしかして。」

 

チルノを眼前で見ながらうんうん唸り出して数秒後、トワは確信する。

 

「いけるな。」

 

エスナ

 

「おっと!」

 

「氷符「ソードフリーザー」!?お前誰だ!いや誰でもいい!早く…私の後ろ…へ?」

 

いつの間にか現れチルノが生成した氷剣を躱すトワを不審者として見て、即座に不審者関係なく庇おうとしたところでチルノは周囲に気付く。

 

「これは…どういうこと?咲夜が居たのか?」

 

「違うよ、君たちが危なそうだったからぼくがやったの、話しをしたいから君を先に解放したんだ、他は未だ止めておくね。」

 

「お前が?そうだったのか助けてくれてありがとう。」

 

皆を助けたお礼を、まだチルノ以外が止まった状況で言うのは素直過ぎないかなと思いつつ、トワは話しを進める。

 

「それで、君としたい話しだけど、その前に自己紹介からぼくはトワ。」

 

「私はチルノ、それで話って何?」

 

「これをぼくと一緒に握って欲しいんだ。」

 

そう言ってキーブレードの柄をチルノの前に出す。

 

「分かった。」

 

「いい返事をありがとう、それでこれは「握ったよ、これでいいの?」もう握ったの?未だ説明の途中だよ。」

 

せっかちというより素直過ぎるため、チルノは即座に持ち手の周りを囲む黄色い部分を掴んだ。

 

「ああ、うん、取り敢えず説明を続けるけど、これはキーブレードと言って、君たちが言うところの魔物ことハートレス達の弱点なんだ。」

 

「え!じゃあ、はーとれす?になった慧音も直ぐに倒せるの?」 

 

「へ?慧音だったの?じゃなくて、うん直ぐ倒せるよ、何だったらキーブレードで物理的に攻撃したり、魔法を強化して出したりすると元の存在に戻せるの、さっき霊夢がキーブレード何回か攻撃してたでしょ。」

 

「戻せるの!」

 

このロールスラッシャーの正体に驚きつつ、キーブレードの説明を目を輝かせていくチルノにしていく。

 

「あれ?でも霊夢が持っているのは全然見た目が違うけど?」

 

「キーブレードの形は人それぞれだからだね、後々変えることも可能だよ。」

 

そこまで話してから継承の儀について解説する。

 

「それだ、さっき一緒に柄を握って貰ったのは継承の儀と言って、一緒に握った人をキーブレードの使い手にすることが出来るんだ「出た!これで合ってる?」え?えぇぇぇぇ!?」

 

まだまだ、話している途中だと言うのにチルノは即座に氷剣からキーブレードを出現させた。

 

その見た目は全体が波打つようで流線型だが、先は何処も尖っている。

そんな流氷のような全体に加えて、剣先の少し前からくっつくようにして白色と青色と金色で彩られた雪の結晶がついていた。

 

「うっそ、"ダイヤモンドダスト"じゃないか、行けそうとは思ったけど、継承して直ぐに出した上でこんな強力なやつ。」 

 

久し振りにしたのではないかと思う程の驚愕をチルノに向けるトワ、チルノはそれに気付かず自分のキーブレードに目を輝かせている。

 

「ダイヤモンドダスト?それがこのキーブレードの名前?」

 

「あー、うん、そうだよ、それ凄い強いやつ、具体的には魔法が凄い強くなるよ。」

 

「おお〜、そんなに魔法が強くなるんだ!…それなら?トワお願いがある。」

 

そんな大雑把で話すくらい、強いキーブレードだ、チルノがもっと目を輝かし、そして少し考え込んだと思うとトワに頼む。

 

「切り替え早っ、それでえっと、何?」

 

「私と慧音を闘わせて。」

 

 

 

「チルノ!」

 

霊夢の焦った声が響く、このままでは真っ先にチルノが、その次に生徒達が切り裂かれてしまうからだ、だが、

 

「冷符「瞬間冷凍ビーム」!」

 

問題ない、気がついたらキーブレードを握っていたチルノが、キーブレードから文字通りビームを出して、ロールスラッシャーを瞬く間に凍らせる。

 

「凍った!?」「え!先生が凍ってる!」「チルノそれどうやったの!」「持ってるその剣は何?」

 

驚愕する霊夢や生徒達を他所にいつの間にか現れたトワがチルノに語りかける。

 

「そう、その調子、ロールスラッシャーは魔法が効かない、魔法では少しも傷付かない、でも簡単に凍るから、凍らせて身動きを取らせないで。」

 

「そして、凍って脆くなったところを物理攻撃で叩くんでしょ、覚えているよ、氷塊「グレートクラッシャー」!」

 

そのまま、チルノはキーブレードの周りを凍らせて作った大槌を振り下ろし、殴り付ける。

 

「!?」

 

「させないよ!冷符「瞬間冷凍ビーム」!」

 

殴り付けた拍子に少し氷が剥がれ芯も少し解凍したため動こうとするが、即座にチルノによって再び固められる。

 

「すっげー!チルノカッケーよ!」「先生が!チルノちゃん止めて!」「落ち着けよ、魔物達は倒しても復活するのは寺子屋で習っただろ!」「え?そうだっけ?チルノちゃんいっけー!」

 

急にチルノが大立ち回りしだしたことで、生徒達はヒーローの存在に興奮し始める。

 

「後は大丈夫だね、チルノそのまま溶けないよう凍らせて殴り続ければ勝てるよ。」

 

「分かった!さあ慧音!私が元に戻してやるからな!早く生徒の皆のところに戻るんだ!」

 

そういいながら、もっと苛烈にチルノは攻撃していく。

 

 

 

「あんた、いつ継承させたの?そしていつチルノと話したの?そもそも、いつの間に来てたのよ?」

 

「うん、説明すると、ぼくが担当してたところが粗方片付いたから手伝いに来たんだ君も粗方片付けたようだけど、そして探してたら、遠目で見てピンチたったから君達の時を止めたの、その後にチルノだけ解放して話したり継承したりしたんだ。」

 

「あんた、どっかのメイドみたいなことが出来るのね。」

 

「十六夜咲夜のことかい?それならさっきチルノもそう思っていたみたいだよ。」

 

幻想郷はもとより、汎ゆる世界でも時間停止は強力な分希少なのか、十六夜咲夜の仕業かと勘違いされるトワ。

 

「それにしても、あんた私達のことに詳しいわね、紅魔館名物とは言えあのメイドまで知ってるみたいだし。」

 

「昔、幻想郷についていろいろ調べてた時期があってね。」

 

「嘘じゃなさそうね、それでどうしてチルノに闘わせたの相性はいいみたいだけど、キーブレードを手に入れたばかりで元々が弱いし。」

 

霊夢の疑問は最もだが、キーブレードは心の武器元々の強さだけでは決まらない。

 

「いや、ぼくも普通のキーブレードだったらやらせなかったよ、でも彼女の熱い心が強力なキーブレードである、ダイヤモンドダストを呼び寄せたんだ、それに…」

 

「それに?」

 

トワは少しばかり言い淀む。

 

「それに…『さっきは焦ってダサいところを見せて皆を不安にさせたから、今度は強くてカッコいいところを見せて皆を安心させるんだ!』なんて言われちゃったらね。」

 

「あんた、結構計算する性格に見えたけど、そういう行動もするのね。」

 

霊夢のその言葉にプイッと顔を背ける。

 

「え〜と、ごほん、そろそろだろうしライブラっと。」

 

気を取り直す序に、魔法を使う。

 

「その魔法は?」

 

「相手の体力を見る魔法だよ、チルノがそろそろ勝ちそうだからね。」

 

そうして二人で話し合っている最中もロールスラッシャーを行動させないようにしながらチルノは攻撃を続けていた。

 

その結果、ロールスラッシャーの体力はもうほんの僅か、決着をつけることが可能だ。

 

「うん、いけそう、チルノ!相手の体力はもう無い!トドメだ!」

 

「分かった、さっきのお返しだよ、氷符「ソードフリーザー」!」

 

「いっけー!」「チルノちゃん、トドメよ!」「先生を止めてあげて!」

 

凍りつきボロボロになっていたロールスラッシャーの鎧を砕きながら、キーブレードに纏わせた氷剣が斜めに寸断し、両断した。

 

「勝った。」

 

「スゲーよ、チルノ最強だ!」「でも、先生がまた魔物に。」「仕方ないよ、今はチルノが勝ったことを喜ぼうよ。」

 

「安心しろ!」

 

チルノの感嘆の一言にそんな悲喜こもごもの感想を言う生徒達に、チルノが宣言する。

 

「私は最強だけど、最強なだけじゃないんだ!慧音は今から元に戻るから見ていて!」

 

そこまで言ったところで、両断された鎧からハートが飛び出す。今まで幻想郷の住人が見てきた解放されていない銀色ではなく、綺麗な桃色のハートが、先ほど慧音がハートレスとなった場所へ飛んでいく。

 

そして、飛んで行った先で再び慧音として復活した。

 

「先生が元に戻った!?」「夢じゃないよね!」「先生が戻ったんだ。」「チルノありがとう!」

 

そう言いながら生徒達はまだ復活したばかりで眠っている慧音に飛びつく。

 

「どうだ、これが私の力だ!」

 

そう言いながら、チルノも皆の元へと向かう。

 

「先生!」「先生!」「先生!先生!」

 

 

 

そんな生徒達の喜びの声に慧音もゆっくりと目を覚ます。

 

「ふわ〜あ、全く騒がしいな、これではおちおち眠ってもいられない、私はいいが他の人にしては駄目だからな。」

 

「「「は〜い!」」」

 

生徒達の元気な声を聞いたところでチルノが声をかける。

 

「お目覚めの気分はどう?慧音。」

 

「清々しいな、先ほどまで悪夢を見ていたようだったのに、ありがとうチルノ、それに霊夢とそこの黒い格好の方。」

 

そこで慧音は一蓮の流れを見ていた二人に声をかける。

 

「いや、いいのよ、少しは慧音と闘った殆どチルノが闘っていたもの。」

 

と霊夢は結果から考えて謙遜し、

 

「ぼくもいいですよ、確かに戦い方を教えてキーブレードを与えたのはぼくだけど、残りは全部そこの小さな勇者のお陰です。」

 

トワもお礼の必要はない、勇者のお陰とする。

 

「へ、勇者?私が?」

 

そこでチルノがキョトンとした表情を浮かべる。

 

「うん、言ってなかったけどキーブレードの使い手は勇者と呼ばれる、それに継承出来る人自体が少ないし、継承してもあんなあっさりとキーブレードを出せない、君は間違いなく勇者だよ、しかも天才な。」

 

「チルノちゃん凄い、勇者になっちゃうなんて。」「しかも天才だってよ、チルノスゲーよ。」「天才勇者チルノ!」「天才勇者チルノ!」

 

トワの説明に生徒達がチルノを持ち上げ出す。

 

「勇者、ね、うん!あたいったら最強ね!この天才勇者チルノがこれから皆を守るわ、だから皆安心しなさい。」

 

「ああ、先生として私からも頼んだよチルノ。」

 

 

 

そんな寺子屋一同とチルノがワイワイガヤガヤしている最中、二人に向かって飛んできた者が居た。

 

「おいおい、良いところは全部持っていかれた感じか?」

 

「あら、遅かったわね、私達の担当していた場所はもうとっくに終わったわよ。」

 

そう、霧雨魔理沙である。

 

「それで何の騒ぎなんだ?何か子供達が誰かに寄ってたかっているようだけど。」

 

「あれはチルノだね、さっき継承してそのままキーブレードを出し、そして、ハートレスとなった慧音を見事打ち倒してたよ。」

 

そこまで説明すると、魔理沙は微妙な表情を浮かべる。

 

「あ〜あ、チルノもキーブレードを使えるようになったのか、折角、時間がかかることもあるキーブレードをさっさと出したのに、これじゃ特別感が薄いよ。」

 

魔理沙は不満そうにぼやく。

 

「まぁまぁ、これからぼくはキーブレード使い達を増やしていくけと、幻想郷のためになるからね、これからキーブレードを手に入れる瞬間もそれまでのドラマも沢山起きるのはまぁ諦めて。」

 

「まぁ、元々そこらの有象無象より私達の方が目立っているしこれからもそうなるでしょうし、余裕を持ちなさいよ。」

 

 

 

そんな風に雑談をして暫くした後。

 

「さて、ぼくの予定では今日はキーブレードを渡すだけのつもりだったけど、忙しくて疲れちゃったよ、そろそろ帰るね。」

 

「あー、資格はどうするの?もともと渡すために人里に来たんでしょ。」

 

霊夢の言うとおりそもそもの目的を、チルノにしか与えていないがさっさと帰っていいのだろうか?

 

そんな疑問の答え魔理沙が推測する。

 

「やっぱり、人里が未だ混乱しているからか?」

 

「うん、もう少し落ち着いてからじゃないと、ぼくみたいな怪しい奴の言うことは信じるどころか排斥されちゃうからね。」

 

トワの服装は全身を覆うコートが真っ黒、長袖の先の手袋をまた同様なことに加え、被っているフードで顔すら見えない。

このような格好で信用してくれるのは極一部だけだと言っていい。

 

「それなら、キーブレードでハートレスを戻せることとかは私達が広めておこうか?」

 

「お願いするよ、君達なら幻想郷の人達も信用されているし。」

 

そう言うと、トワは無造作に片手を何も無い空間に広げ、そこから黒い闇が吹き出し楕円形を描く。

 

「!?何よ、それ。」

 

「これは"闇の回廊"世界を超えることも出来る移動法だね。」

 

「確か、キーブレードは闇も操れるんだったか?それもか?」

 

確かに闇も操れるとトワは言っていたからそれだろうと、二人は考える。

 

「まぁそんなとこ、それじゃ僕は帰るとするよ。」

 

片手を振りつつ闇の回廊へと向かう。

 

「またな!」

 

「手を貸した以上、この異変の解決は最後まで付き合いなさいよ。」

 

「そんな間を空けないまたでくるよ、じゃあね〜」

 

そして、トワは闇の回廊に消えて行き闇の回廊もまた消失する。

 

「行ったな…それじゃ霊夢?」

 

「私達はやることやるわよ。」

 

 

 

闇の回廊にトワが入り、そして回廊が消え、その直後、別の世界に存在する周囲が白い場所に、闇の回廊が出現し、そこからトワが現れる。

 

「これで、幻想郷にキーブレードを渡すことが出来た、最悪ぼくが動けなくてもどうにかなる可能性が出てきたわけだ。」

 

トワは誰も居ないその場所で、そう一人呟く。

 

「さて、ぼくが留守にしている間に誰か侵入者とか、異常はあったかい?」

 

そこにはトワ以外誰も居ないはず、なのに誰かに問いかける。

すると、トワの目の前に沢山の異形が出現する。

 

その異形達はヒトガタであるが、様々な所で違う。

その全身は彩度が薄く明度が高い白系統のモノトーンであり、身体は時折ゆらゆらと揺らめき、顔に当たる部分が彼等の身体のフードや帽子のような部分で隠れ、個体によって長さや場所が違うが何処かしらにジッパーがあった。

 

そして、腕や頭といった目立つ場所にハートレスのエンブレムを逆さまにしたような白いマークがついていた。

 

そして、異形の中なら一体が前に出て口元のジッパーを手を触れずに開いて、

 

"お帰りなさいませ、我らが主、ご質問の件ですがそれらは何も確認されておりません、まだここは発見されていないものと思われます。"

 

「それはよかった、幻想郷の住人にもトワイライトタウンの皆にも此処に"何"があり、そしてそれを作るための"材料"についても知られるわけにはいかないからね…では君たち警備に戻ってくれ。」

 

そう言って、トワはその白い建物の置く深く、中心部へと、自分を出迎えた異形達に警備させながら消えて行った。

 

どさくさ紛れに人里で回収した"材料"を手土産に。




これで第一章は終了です。

機器のフリーズで色々やってたら書いてた部分のデータが少し消えてしまって書ききれず年越したので、もういいかで魔理沙の登場とか慧音の目覚めとか入れていたら遅くなってしまいました。

次回は登場人物紹介です。
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