東方心在録   作:ゼロ・ワン

8 / 10
過去編二話目
さて、主人公を助けたのは?


Qあなたは何ですか?A勇者です。

ハートレス達と闘い、一撃でダウンしたところを活発そうな少年に助けられ、その少年に引っ張られて駅前広場から続く坂をかけ降りて入った路地裏。

 

『う~ん、体調も苦しいし体に焼き付く痛みが今もあるけど、どう考えてもこうやって走れる時点で、さっきの痛みからの絶望は大袈裟だったね、うん…普段痛みに会わないとは言えあれはダサい。』

 

黄昏の陽光の中で更に、冷静な分析によって思考も黄昏ているが、一旦それは置いて少年に頼む。

 

「はぁ、はぁ、もう離してくれないかな、もうハートレス達も追ってきてないからさ。」

 

そう言いながらも、失礼にならないよう手を振りほどいたりはしない。

 

「ああ、それもそうだな、でももう少しだけ付いて来てくれないか、お前と落ち着いて話せるよう俺達の秘密基地に来て欲しいんだ。」

 

少年は後ろを見回してから手を離すが、それでも尚、話しをするために付いて来るように頼む。

 

「う~ん、どうしよっかな?ちょっとごめん考えさせて。」

 

「お、おう、俺も無理強いはしないけど考えてくれ。」

 

少年の言葉に難色を示して、そのまま長考に突入する。

 

『さて、付いて行っていいものかな?ここがもし"夢"でないのなら、トワイライトタウンに居るキーブレードの使い手の時点で、キングダムハーツのストーリーにがっつり関わることが確定するんだけど、その場合なら見たところ時系列的にはDaysの時点から関わる感じ…か、ロクサスとシオンの仲良くしている姿を確かに直で見たい…けど、ぼくが居るせいで"ロクシオ"、の邪魔になりたくはないんだけど、…あれ。』

 

そこまで、考えたところで右手に握るキーブレードを見て思い至る。

 

『そういえば、よくよく考えたらこの時点でもう駄目かな、キーブレードの使い手は本編の時点で色々あって激減している上に、キーブレードを持っているのを完全に見られているわけだし、ま、どっちみちここじゃ完全に住所不定無職だし、どうせならキングダムハーツの登場人物と繋がりが欲しいな、ファンとして。』

 

考えたら、ついていくという選択肢以外を選んでも仕方ないという結論が出たので、

 

「うん決めたよ、君についていく。」

 

そういうと少年も頷いて、「それなら、こっちに来てくれ。」そう言って路地裏の中にあったフェンスの向こう側へと扉を開けて入って行った。

 

『ついていくとは言ったものの、先ずは設定を考えないと、ファンとしての知識はあるからその辺の説明のためにもね、何でキーブレードを持ってるか辺りはもう思い付いたけど、他も直ぐに考えないと。』

 

少年のことは一旦置いて、設定を急いで考える。

 

 

 

一方、放置されていることなんて知らない少年は、

 

「ピンツ、オレット、何かハートレスと闘ってた不思議な奴を連れて来たぞ。」

 

一足先にフェンスの向こう側、高架下の秘密基地に入って、元々中に居たぽっちゃりとした少年"ピンツ"と快活そうな少女"オレット"にそう声をかける。

 

「え?"ハイネ"今ハートレスと闘ってたって言ったの?本当に?」

 

「ええ!?凄いねその人!よく無事だったわね。」

 

そんな二人の言葉を聞いてハイネは否定として、「いや、多分二人が想像してるような感じじゃない、倒されそうになってたから助けたんだ。」、と状況を説明する。

 

「兎に角、早く入ってこいよ!」

 

少し二人と話しても、入って来ないので入室を促す。

 

「おっとごめんよ、ハイネ…でいいかな、考えて事してたら時間が経ってたよ。」

 

若干気障ったらしく、カッコつけて入室する…ものの、

 

「さっきは、負けそうになってた割に元気そうだな。」

 

「うっ、それは…その。」

 

と、カウンターを喰らう。

 

「そうだ、名前を聞いて居なかったけど、なんて言うんだ?」

 

「え~っと、ぼくはトワ、だよ。」

 

言葉のカウンターを受けて精神的に仰け反っているときに、急に尋ねられて戸惑うが取り敢えず名乗る。

 

 

そんなやり取りをしていると、元々中に居た二人も会話に参加する。

 

「ねぇねぇ、トワ本当にハートレスと闘ってたの?何で逃げなかったの?」

 

「そもそも、何で闘ってたんだい?勝算とかあったの?」

 

オレットとピンツから、闘っていた理由を聞かれて自分でも無謀だったと、今は思っているので少し顔を反らしながら説明をする。

 

「え~と、二人の質問の答えだけど、実はここが夢だと思ってて。」

 

「「「夢!?」」」

 

さっき、考えていた設定は何処に行ったのかと言いたくなるようなド直球にトワは真実を告げて、三人は驚愕の声を上げる。

 

 

 

三人が驚愕したままだが、そのまま夢だと思っていたことの説明ではなく、少々飛んだ話を始める。

 

「何でここを夢かと思っていたか、だけどそもそもの話ぼくは、この世界の人間じゃないんだ。」

 

「ちょっとまって!この"世界"の人間じゃないってどういうこと!?」

 

オレットのその言葉に二人も頷く。

 

「まぁ待って、えっとオレット、一つずつ説明するからね、先ず世界は複数存在しているんだ、ぼくはそんな複数ある他の世界から来たのさ。」

 

本当に一つずつ説明していくが、世界が複数あることを言っていいのだろうか?

 

『3の描写からするとこの三人は後で知るようだし、世界が複数あることくらい今から教えたって問題ないさ。』

 

トワはそういう見解だそうだ。

 

「ちょっと待てよ、それが本当だとしてもなんでここが他の世界だって分かるんだよ、偶然知らない場所ってだけじゃないのか?」

 

ハイネがただの勘違いの可能性を指摘するが、それはもう想定済なのでキッパリと告げる。

 

「そうそう、当然その可能性もあるけどね、それでもぼくは確信をもって言えることがある、ぼくの世界にこんな場所は無かった。」

 

『だって、ゲームの中の世界だしぼくがさっき考えた"設定"からでも全然違うし。』

 

そう心の中で思いながらも表情は変えずに直ぐ来るであろう、三人からのとある質問に備える。

 

「それなら…君の故郷はどんな世界だったの?」

 

そのピンツの質問は正に待っていたものであり、内心でほくそ笑みながら言う。

 

「うん、聞くと思ってたけどそれは"秘密"だよ、だって他の世界のことは教えてはいけないんだ、存在そのものについては必要だから今回話しただけで、これ以上は無し。」

 

そう言って、人差し指を立てながらうっすらと笑みを浮かべた自分の口元に持って、秘密のジェスチャーをする。

 

『いや~ふふテンション上がるな~、おっと顔に出さないようにっと、でもこのポーズ3で"ラクシーヌ"がやってたの見てやってみたいと思ってたんだよね。』

 

そんなミステリアスな表情をしている裏で、トワの中身はやっぱり残念だ。

 

「ええ!?ちょっとだけでも駄目なの?」

 

「残念ながら、これ以上は本当に駄目。」

 

オレットの質問には残念ながら先ほどのとおり答えられない何故なら、

 

『原作キャラなオレットのお願いを断るのは心苦しいけど、これは設定というだけではなくて"秩序の魔法"なんてものが存在しているくらいには、キングダムハーツでは他の世界の情報を流すのはタブーなんだよね、まぁ他の世界への侵略とかになっても困るからだろうけど。』

 

と、割と真面目な理由である、さっきはあんなに残念だったのに。

 

「わかったわかった、教えられないことは理解したから話を進めてくれ。」

 

このまま押し問答をしても、オレットが不機嫌になるだけなので、ハイネが話を促す。

 

 

 

「話に戻るよ、それでぼくは元居た世界ではハートレスと闘うキーブレードの使い手達に憧れていた、普通の一般人だったんだ。」

 

ゲームでカッコいいな~、と思ってたので嘘は言っていない。

 

そこまで話したところで、ピンツから質問が入る。

 

「ちょっと待って、そのキーブレードって何?」

 

「うん、それも答えないとね、キーブレードって言うのは今ぼくが持ってるこれのことさ。」

 

そう言って、闘っていたときからずっと握っていたキーブレードを軽く掲げる。

 

「それがキーブレードなの?何か言葉どおりに鍵みたいな形なのね、それにキーブレードの使い手がハートレス達と闘う、ってどういうこと。」

 

「そういえば、俺が助ける前からずっと持ってたけどそれなんだ?」

 

オレットが不思議そうな顔でキーブレードに指を指して、ハイネが記憶を探って何で持っているのだろうと疑問に思いそう言う。

 

「キーブレードは凄い武器で、強い使い手に儀式をしてもらうことで使えるようになるものなんだけど、長年使い手になりたかったぼくは、昨日儀式をしてもらったんだ(設定)、でもいつの間にか別の世界に居たとは言え、こんな直ぐ使えるようになるものでも無いはずなんだけどね。」

 

最初はド直球だったのに、いつの間にかさっき考えた設定も絡めて上手い説明が出来ているだろう、とトワは考えているが、辛うじて三人も怒涛の情報量で誤魔化されてくれる。

 

「さっきから聞いてて、その…キーブレードだっけの使い手になりたかったのはわかったが、そもそもなんでだ?」

 

ハイネからの質問を聞いて、良い質問だねと上機嫌で説明する。

 

「"キーブレード"その使い手は勇者と呼ばれるようになる、何故ならキーブレードはハートレスに対して特効がある上に、使って倒したハートレスは"解放"されて元の存在として"再生"するからね。」

 

「「「え!?」」」

 

その一言は三人にとって衝撃的の一言に尽きる。

 

「うん、ハートレスというぼくと同じ呼び名で彼等を呼んでいたから想像してたけど、その反応からするとやっぱりそうか、知っているんだね…彼等が人間の成れの果てであることを、ね。」

 

そうハートレスは人間の成れの果て、一度ハートレスになってしまえば人間としての自我はなくなり、ただ、本能的に他者を襲って仲間入りさせることばかりするようになる。

 

「貴方それは流石に嘘でしょ!ハートレスを戻せるって、そんなの、え!」「そんなこと出来るはずがないよ、だって聞いたことがない。」「おいおい、流石に冗談だろ。」

 

三人は割と言いたい放題言うが、それも仕方ないのかもしれない。

 

「言ってくれるね、まぁ信じるか信じないかは置いといて、そんな勇者の方々に憧れてる状況で、ベッドで寝てたらいつの間にか、異世界でキーブレードを手にしていたから、てっきり夢かと思ってたんだ…けど、ごめん一気に話すぎた。」

 

そこまで話したところで、未だ三人が立ち直っていないことに気付いて、回復まで暫く待つこととなった。

 

 

 

三人が回復して、先ほどの説明もある程度納得して暫くした後、オレットから質問が来た。

 

「ねぇ、ところで貴方は女の子?それとも男の子?」

 

「急にどうしたのさ、まぁぼくの性別が分かりにくいのは分かるけどね。」

 

実際、トワ本人も駅で確認したときに、自分の性別が見た目からではわからず、意識して身体を動かすことで確認している、それくらい中性的な容姿だ。

 

「ほら、やっぱり性別を間違って覚えてたら、やっぱり嫌でしょ。」

 

ここで改めてトワの容姿に言及すると、白髪に青い目をして、クラインフェルター症候群のような身長はあるものの、二次成長の要素が薄く華奢な美少年とも、王子様系の美少女にも感じる容姿をしている。

 

「そんなにわかんない?…ならお好きにどうぞ、ぼくはどっち扱いされても気にしないから。」

 

わからないのなら、見たいように見ればいいということになった。




以下キングダムハーツ原作用語の捕捉説明
ロクサス
とある組織の十三番、キングダムハーツの主要人物である少年であり、シリーズの中では主人公を勤めた作品も存在する。
シリーズの売りの一つである、切ないストーリーの体現者でもある。

シオン
ロクサスと同じ組織の十四番に身を置くロクサスの親友の少女である。
ロクサスのヒロインと言えるが、シオン自身に何の落ち度も無いのにロクサスの切ないストーリーの主要要因だったりする。

ラクシーヌ
上記二人と同じ組織の十二番にして二人しかいない女性メンバーであるが、二人が加入して直ぐに別拠点で活動していたため、関わりがほとんどない。
大体のメンバーと仲が良くないものの、組織に加入する前からの仲だった十一番とは仲が良い、というか寧ろ…。

主人公は所謂カプ厨ですが、キングダムハーツファンですからね、脳が焼かれてます。
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