一応は副船長やってます。   作:アルピ交通事務局

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前々から書きたかったONE PIECE……書くの難しいでござる。


ハードボイルドは無理なハーフボイルド

 

「「「「『おでんに候!!』」」」」

 

「っ!?」

 

 偉大なる航路(グランドライン)の後半、新世界と呼ばれる世界にある鎖国国家、ワノ国。

 光月おでんが処刑されるさまを見た俺は激しい頭痛に襲われたと思えば色々と思い出す……そう、自分が転生者になる為に地獄で訓練していた転生者候補生で遂に転生者になったという事を。

 

「…………ONE PIECEの世界か」

 

 仏曰く転生先はランダムで時が来れば自分が転生者である事を思い出すと言う。

 今現在、煮えてなんぼのおでんに候と光月家の光月おでんが語っていた光景がフラッシュバックで脳裏を過る。そして実感する。自分がONE PIECEの世界に転生した事を。

 

「九里にいけ!奴等は行くとするならば九里に行くのだ!」

 

 クソ野郎こと黒炭オロチが赤鞘の侍達を追いかけるように指示を出す。

 先ずはと自分の体を確認するのだが幼い子どもだ……幼い子どもで転生特典がまだ分からねえ。確か過去にはヒトヒトの実 モデル勇者とか言う泳ぐことが出来ねえけども滅茶苦茶チートな悪魔の実を与えたって話を聞いたな。

 

「っち…………」

 

 ONE PIECEの世界に来たんだから悲劇のヒロインを救済しようぜ!とはならねえ。

 明日は我が身な世界であり先ずは強くならなきゃならねえ。閻魔大王は余程の世界じゃない限りは金と強さは極めておけとは言っている。バトル物の世界は悪い奴が居やがるからな。ONE PIECEの世界はなにが正義でなにが悪なのかよく分からねえからな。

 

 転生して直ぐに自分の無力さを実感する。

 ワノ国を支配下に置いているのは四皇のカイドウ……個人としては作中でも最強格で部下も尋常じゃねえ程に強え存在だ。今の俺は子供で転生したって事を実感したばかりだ。そりゃ確かに地獄でバトル物の世界に転生して人を殺しても問題が無いようには鍛え上げたが、それとこれとは話が別だ。

 

「冬がやって来るのか…………耐えろってか?」

 

 ONE PIECEの原作通りに事が運ぶって言うのならば、コレから約20年の間はワノ国は地獄の冬を迎える。

 城下町以外は枯れ果てた大地、飲むことが出来ねえ汚染水とクソみてえな時間だ。例え転生特典としてチートな悪魔の実や能力を貰ったとしても生き残れない……俵藤太が持っていた宝具があれば食いっぱぐれる事はねえか?無尽俵があれば……いや、ダメだな。無尽俵なんて争いの火種にしかならねえ。

 

「……っつぅ………」

 

 カイドウが赤鞘の侍達を追い掛ける姿を見るモブキャラになっていると再び激しい頭痛に襲われた。

 転生特典を与えられた。具体的にどんな転生特典なのか教えてくれるのだが……悪魔の実としての能力じゃなくて俺個人、例え誰かと結婚したり子供が出来たりクローンを作り上げたとしても俺にしか使えねえ能力だ。

 

「この能力がありゃ飢えは凌げるが……バレりゃ奴隷一直線だな……」

 

 かなりヤバい能力を俺に与えやがった。

 この能力がヤバいかどうか聞かれればヤバい……元々、この能力自体がチートみたいなものでデメリットらしいデメリットはあるが地獄の転生者運営陣営はなに考えてるか分からねえけどデメリット無しなのはヤベえよ。せめて悪魔の実にしやがれよ……いや、黒髭に狙われたくねえか。

 

 ともかく与えられた転生特典は凄まじい物だった。

 これさえあればと思えるほどに万能な転生特典だったが……それを持ってしてもカイドウ達に勝つことが出来ねえ。万能ではあるが戦闘特化な転生特典じゃねえ…………慢心するな、昔、それこそ地獄の転生者養成所が無かった頃に転生特典でサルサルの実モデル闘戦勝仏を持って転生して調子に乗ってたらセンゴクに殺された記録がある。孫悟空は仏に勝つことは出来ない、無敵に思える孫悟空の唯一の弱点であるお経を仏の姿になったセンゴクが唱えれば頭の輪っかで締め付けられて激痛に苦しめられている内に殺されたんだよな。

 

「おでん様ぁ」

 

「カイドウを九里に向かわせない!」

 

 ONE PIECEの世界に転生した俺は当たりだと思っている。

 ワールドトリガーとかラブライブとかがあったが、俺にゃ似合わねえと思う。ワールドトリガーは戦争モノだけども死なない様に工夫されている。ラブライブは好きだが彼女にしたいとは思わねえ、後方彼氏面してるのが楽しいんだ。コレぐらいの世界の方がちょうどいい……ブラッククローバーでも良かったな。憧れを言えばアニメのポケットモンスターだな。あの世界に行きてえって奴はかなり多いらしいからな。

 

 カイドウを含めて海賊達を九里に向かわせねえと街の人達は止めに入る。

 しかし海賊達の方が武器を持っていて遥かに強い。カイドウが金棒を振れば街の人達はボコボコにされて百獣海賊団とオロチの馬鹿の進撃は止まらず九里へと向かっていく。

 

 ここからどう動くかを考える。

 ここがワノ国で光月おでんが処刑されたのならばここから20年の間はどうあがいても冬の時代だ。銀魂で言っていたが、夜明け前が1番暗い。だが夜が長いのも割とキツいものだ。俺にワンパンマンのサイタマぐらいの強さがあれば敵をぶっ殺す事が出来るが……与えられたカードで戦うしかねえが、相手のカードがあまりにも強すぎる。悲劇のヒロインを助けようぜって言う前に自分が悲劇のヒロインになりそうだ。

 

「こりゃ違法出国するしかねえな」

 

 色々と考えに考えた結果、ワノ国から出ていくことを決める。

 今から20年間地獄を耐えなきゃならねえのは苦痛だ。カイドウとオロチをぶっ殺さなきゃならねえのは分かるが、今の俺にゃ無理な事だ。だからワノ国から出ていく……この転生特典があればある程度は上手く行く筈だ。

 

「ただ違法出国しても直ぐに死ぬだけだから鍛えねえとな……かぁ〜あんなに頑張ったってのに0からのスタートかよ」

 

 違法出国しても無駄であると悟る。

 そもそもでここは偉大なる航路の後半である新世界、覇気使いは当然の如く居るしなんだったら四皇の傘下な海賊が多く居る。ワノ国から出国することに成功したとしても、そんな連中に捕まるかもしれねえ……この世界、治安が滅茶苦茶悪いからな。

 

「うぅ……光月おでん……なんて男なんだ!!」

 

 城下町こと花の都から出ていくことを考えていると角の生えた女の子が涙を流している。

 光月おでんファンかと思っていたが違う……というか思いっきり見たことがある見た目…………カイドウの子供であるヤマトだ。光月おでんの心意気や覚悟を知って震えている。しかし肝心のおでんは死んでしまっているからな。

 

「おでんはスゲえ男だった…………」

 

 原作キャラが居たので取り敢えずは関わってみようと思う。

 光月おでんは漢と書いて男と呼べるぐらいの存在……ポンッとヤマトの肩に手を置いてみる。ヤマトは共感者が居てくれたと喜んでくれるのだが直ぐに周りの様子に気付いた。花の都の人達がボコボコにされている……

 

「そんなおでんが死んじまった……今のワノ国にはおでん以上の侍は存在してねえ。カイドウをぶった斬る事が出来なかったから…………」

 

「あのクソオヤジ…………」

 

 おでんがカイドウを倒せなかったと言うのだが、おでんはその気になればカイドウを倒せていた筈だ。

 おでんはオロチの配下のマネマネの実の能力者にモモの助の顔をされて驚いている時を突かれてしまってやられてしまったんだ。それさえ無ければおでんはカイドウを倒せていた筈だ。

 

「クソオヤジって……お前、娘なのか?」

 

「僕はヤマト、カイドウの子供だ…………君は?」

 

「名乗るほどのものじゃねえ……それよかテメエ、カイドウの子供なんだな」

 

「うん……僕を殺したいのかい?」

 

「あいにく、確実に勝てねえ勝つつもりもねえ喧嘩を売るほど俺は馬鹿じゃねえ」

 

 今の俺は村人Aに過ぎねえんだ。

 花の都に居れば光月おでんの名やオロチを罵倒する言葉が出てしまう。それを聞かれれば殺される可能性がある……今やらなくちゃいけねえ事は力をつける事だ。

 

「……ねぇ、この所業はホントに良いことなの?」

 

「良いわけあるかよ。少なくとも、ワノ国を滅茶苦茶にしようとしてるロクでなしだ……」

 

 カイドウの子供でありカイドウの背中を見ていたヤマトはカイドウの所業に疑問を抱く。

 少なくとも良いことではない……尾田神が悪い海賊を描かせているが中々に悪どい海賊である。歴史上の偉人というか大海賊時代はマジでこういう海賊が当たり前の如く居たんだ……昔の俺ならば受け入れる事が出来なかったけど今の俺ならばあっさり受け入れる事が出来る。地獄の転生者養成所の訓練のおかげだな。

 

「美味い飯を食えない世の中は最悪だよ……飢えはどんな世界、どんな時代でも苦痛なんだ」

 

「君、ワノ国の人間なんだよね?まるで他の世界を知ってるみたいな口ぶりだよ!」

 

「ワノ国の外の情勢は知らねえが、ワノ国以外にも国は沢山あるぐらい常識だろうが」

 

「それもそうだね」

 

 あっさりとしているなヤマトは。ともかくこのままここに居ると色々と心苦しい思いをする。

 仏め、ONE PIECEの世界に転生させてくれた事はありがてえがなんでよりによってワノ国なんだよ。もっと他にあっただろう。

 

「そういや、俺の容姿はどうなってんだ?」

 

 転生者は魂によって容姿が決まる。

 容姿と魂が密接に繋がっており容姿の人間と何処か類似している点を持っているらしい。そして極々稀にだが転生する度に容姿が変わる魂が不安定な転生者が存在している。花の都を出て行きこれからどうするべきかと思いつつも近くにあったまだ綺麗な川を眺める。

 

「おいおい、この男か…………ハードボイルドな男だが、俺と何処が類似するってんだ。どうせなら冴羽獠だろう」

 

 綺麗な川に自分の顔が写し出されて少しだけ困惑する。

 トレードマークでもある髭や帽子は無いのだが、誰なのかと分かる容姿をしている……そういえば声もそれっぽい声だな。

 

「今度ヤマトに会った時にはちゃんと名乗るか」

 

 俺は九里とは真逆な方向に向かっていった。

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