「海賊狩りのゾロ、まさかこの様なところで見れるとはな」
スゲえシュールな絵面だな。大の大人が一輪車に乗って剣を手にしている。
カバジだがカバティのどっちかだったと思うが、ゾロに狙いの的を絞っている。
「剣士として貴様の首を取れば名を上げるだろう」
「剣士だぁ?大輔、アイツとタイマンしてえから他頼んでも構わねえか?」
「絶対に勝つことが条件だぞ」
「なら、簡単な話だ」
剣士と聞いて反応を示すゾロ。雑魚を倒すのが俺達の仕事だが、ゾロは一輪車に乗っている男に興味を抱いている。
こういう時に覇王色の覇気があれば便利なんだが、どうもオレに適性はねえ。仕方がねえなとゾロに花を持たせる。
「見せてやろう、このカバジの曲芸を!」
「奇妙な剣術に負けるかよ」
「さて……お前等が相手か」
「グルグル」
「っへ!海賊狩りのゾロが居ねえならテメエごときどうにでもなるんだよ!!」
ゾロがカバジを相手にすれば、居なくなったと喜ぶバギー一味。
ゾロとルフィが居なければ勝てる、特に雑魚な俺には勝てると予想してるんだろうが随分と甘く見られたもんだ。
「アイツの武器は銃だ、撃てば次弾装填までに時間がかかる」
「俺のはフリントロック式銃じゃねえよ……生憎な事にテメエ等に向けるほどに俺は弱くねえんだ」
そう言うと俺は手を合わせてからライターを取り出す。
大勢の敵を相手にして機関銃はともかく拳銃で挑むのはめんどうだ。もっともコイツ等レベルならばコレで終わらせる事が出来る。
ライターの火打ち石の部分をカチッと押した……すると、バギー一味が一瞬にして燃え上がった。
「やっぱコレ強えな」
ロイ・マスタング大佐の発火の錬金術は広範囲で高火力で一気に焼き切る事が出来る。
雑魚を一掃するにはコレ以上に便利なものはねえなともう一度手と手を合わせて焔を錬成した。
「終わったぞ」
「おう、こっちも終わりだ……って、丸焦げだな」
「軽く炙ったんだよ」
凶暴なライオンとかも居たが、焔の錬金術には勝てなかったみたいだ。
ゾロの方も終わったかどうかの確認を取る。ゾロは原作と違って怪我をしてねえから余裕でカバジを倒したみてえだ。
「後はルフィがバギーの野郎を倒すだけだ」
「そうだな……ん?」
「どうした?」
「あの女、居なくねえか?」
ゾロはナミが居なくなっている事に気付く。言われてみれば何時の間にか居なくなってやがるなと見聞色の覇気を広める。
漁夫の利を得ようとしていると言うか、バギー一味のお宝が置いてある場所に向かってやがる。コソドロ根性見上げるねぇ。
「あの野郎、ドサクサ紛れに宝を盗もうとしてやがる……ちょっと行ってくる」
漁夫の利を得ようとしても無駄だっての。
見聞色の覇気を頼りに向かえばナミはバギー一味のお宝が入っている大包みを背負っていたがバギー一味に追われていた。
「た、助けて!!」
「お前さん、随分と都合のいいことを言うじゃねえか」
俺を見た途端に頼りにするナミ。
俺達の船長であるルフィを売り付けて俺達が喧嘩をしてる最中にお宝を盗もうとした。更にはお宝を盗んだのがバレたから俺に助けをこう、なんともまぁ随分と都合のいいことを言うな。
「おめえよ、喧嘩を売るならば泥棒するならばしていい相手とそうじゃねえ相手の1つや2つぐらい見抜け…………そいつを寄越すなら考えてもいいぜ」
「だ、ダメ!コレは私のお宝よ!」
ちっとは反省の1つや2つすると思ったがあんまり凝りてねえナミ。
宝を差し出せば命を助けてやると念の為に言ってみるものの、ナミはお宝が入った袋を渡そうとしない。見聞色の覇気で探ってみれば怖いという感情があるがそれと同時になにがなんでも成し遂げてみせるという野望を感じた。ったくよぉ、めんどくせえもんを背負ってる女はコレだから厄介だ。
「ヘッヘッヘ、泥棒もここまでだな。海賊の世界にすら仁義はある。裏切る様な真似を続けているからこうなるんだ!!」
「ッ!!」
全くだ、悪党には悪党の美学ってもんがある。
その美学を穢すような真似をしたらいけねえ、悪は悪として貫くことが出来るから意味はあるんだよ。バギー一味の男はナミに襲い掛かろうとした、その瞬間だった。壁が壊れてルフィが飛んできたって、おい
「なに神憑りな事をやってんだおめえ」
「大輔か……いや、コイツ思った以上に手強くてよ」
「自慢のガトリングはどうした」
バギーに苦戦しているルフィ。殴打系の武器に関しては最強のルフィ、対するバギーは刺突系の攻撃に関しては無敵だ。
殴る以外でバギーは攻撃しなきゃいけねえ。ナイフで突き刺せばルフィを倒すことが出来る。それに対しルフィは剣で攻撃なんかは出来ない。基本的には殴る、殴る、殴る、それしか使い道がねえ。例え悪魔の実が覚醒したとしても殴るしか出来ねえ。
「あの野郎、ズルいんだ。オレが殴ろうとした途端にバラバラになって回避しやがる」
「卑怯だぁ?海賊の世界に卑怯もクソもあるか!!勝ったものこそが正しいんだよ!!」
殴る瞬間のバラバラになって回避される。
モチモチの実の流動的な肉体を応用して攻撃を回避するのと似たような技術でバギーはルフィのゴムゴムの銃を回避している。
バギーはルフィのズルいに対してやったもん勝ちだと言い張る。試合じゃなくて命を懸けた戦いなんだから当然と言えば当然だな。
「ちょっ、あんた達手を貸しなさいよ!あのままじゃあんた達の船長が負けちゃうわよ!」
「それだったらそこまでの男だった」
「なに、問題はねえよ……ルフィ、そいつは体をバラバラにして色々と動かすことが出来るけど足だけはそのまんまだ!弱点は足だ!」
俺とゾロが全然力を貸さない事に関して色々と言ってくるナミ。
ここで死ぬのならばゾロはルフィはそこまでの男だったと言うのだが、一応はと俺はヒントを与えておく。バギーのバラバラの実は足だけは浮かせえる事が出来ない。足だけは移動させられない。狙うところは先ずは足だ。
「サンキュー!大輔!ゴムゴムのぉ!!」
ルフィはバギーに対してかかと落としを叩き落とそうとする。
それを察したバギーは体をバラバラにして回避するが、予想通り足だけは残っており足に強烈な殴打を受ける
「ギャァアアアア!!て、テメエ、よくもオレ様の足を」
「後はお前の顔面をぶん殴るだけだ!」
「オレ様の赤い鼻を殴るだぁ?誰が赤っ鼻だクソガキがぁ!!!」
何処からそれを連想してるんだよ。
赤い鼻の事を指摘されたと怒りを顕にするバギー、生意気を言うルフィに対してナイフを握った拳を飛ばすがルフィは回避し、バギーは頭と手足だけだというなんとも珍妙な姿になっていた。
「オレ様の逆鱗に触れた以上はもう終わりだ!見せてやるぜ!!」
「っ!…………………なんも起きねえぞ?」
「胴体の部分、帰ってこねえな」
バギーが殺してやると殺気を強くするが、なんも起きなかった。
バギー自身もなんでなにも起きないのかと驚いており、直ぐに違和感に気付いた。
「探しものはコレかしら?」
「あ〜それです!それです!いや〜迷子になった私の胴体をどうもすみません……って、なにさらしてくれとるんじゃぁあ!」
ロープで縛り付けている胴体をナミは見せる。
バギーは見事なまでのノリツッコミをした後にキレる……バラバラの実は自分の意思でバラバラにも出来るから、ロープで縛られてるところをバラバラにして脱出する事が出来ねえのか……言ったらやりそうだから言わないでおくけどよ。
「コレで厄介なバラバラはもうねえな」
ルフィは笑みを浮かびあげながら腕をグルグルと回した。
「ゴムゴムの
「ギャアアア!!」
ゴムゴムの銃でバギーを殴り飛ばした。
バギーは大声を叫びながら星になった……シャンクスは今や四皇それに対してバギーは最弱の海でお山の大将気取り、いったい何処で道を間違えたらこうなるんだか。とりあえずバギー一味をボコボコにしたからそれでよし。
「おっと、ドサクサ紛れに逃げるんじゃねえぞ」
ドサクサ紛れに逃げようとする事を考えているナミ。
バギー一味のお宝は俺達の物だ。海賊として他の海賊を倒して獲物を得て略奪した。実に海賊らしい行為だ。
「その宝を寄越せよ」
「っ……分かったわよ」
「大輔、半分そいつにくれてやれよ」
「はぁ?ルフィお前、なに言ってんだよ」
「ナミがバギーの体を縛ってくれたからぶっ飛ばせたんだ。それのお礼だよ」
なにを言い出すのかと思えば、ルフィはナミにお宝を半分渡すように言う。
純粋なお礼としてお宝を渡すってコイツはもう……ったく、仕方がねえな。
「半分だぞ。誤魔化し無しだからな」
俺は両手を合わせて近くに落ちていた布を錬金術でくっつけて1枚の布にした。
「あんた、能力者だったの!?」
「大輔は能力者じゃねえよ、錬金術師だ」
「余計な事を言うな…………ん?」
宝を仕分けていると人の気配を感じる。
誰だと振り向けばそこには眼鏡の白髪頭の爺さんが立っていた。
「そこまでだ!お前達の狼藉を見逃すわけには……む?誰じゃ、お前等」
「いや、あんたこそ何者だ……バギーならルフィがぶっ飛ばしたぞ」
「なんと!?あのバギーを倒したのか!?」
バギーを倒したことを驚く爺さん。コレはめんどうな事になるなと宝の仕分けを終えたので宝が入っている布袋を手にする。
「ゾロ、大輔、行くぞ」
「ああ」
「おう……」
「ま、待たんかお前さん達!」
「爺さん、なんか勘違いしてねえか?俺達は通りすがりの海賊だ……ただ通りかかった街にバギー一味と言う海賊団が居て、戦った。ただそれだけだ」
俺達は決して正義の味方じゃねえんだ。
ルフィはヒーローは好きだがなりたくねえらしいからな、ここで残っちまったらただの正義の味方にヒーローになっちまう。それはルフィの流儀に反する行いだ。
「この喧嘩、オレ達の勝ちだな」
港に向かえばニッシシと笑うルフィ。
海賊としての喧嘩に勝利して財宝を手に入れた事は嬉しいことだと笑みを浮かべている。
「ねぇ、あんた錬金術師って言われてたけど」
「そのままの意味だ」
ルフィがポロッと零した錬金術に関して聞いてくるナミ。
あんまり知られたくねえ事だが知られてしまった以上は正直に答えるしかねえ。そのままの意味、錬金術が使える。俺だけが使えるのであって、クローンを作ったりしても錬金術を使うことは不可能だ。
「もしかして、金とか宝石とか作れるの!?」
「……まぁ、出来るには出来るぞ」
なにせ錬金術だからな、金を作ることぐらいは簡単に出来る。
その事を伝えればナミの目がベリーマークに切り替わりポンッと俺の肩を叩いた。
「私と組みましょう、大輔!」
「バカ野郎、俺と組みたきゃ船長に話を通しな」
あからさまに金目当てな顔をしているナミ。涎が垂れていて下品だぞ。
俺をああだこうだ使いたいならば、先ずは船長に話を通してもらわなきゃ困る。その事について言えばルフィの肩をガッチリと掴むナミ。
「ルフィ、大輔を私にちょうだい!!」
「嫌だよ!大輔はオレの船の副船長になる男だ!欲しいんだったらお前が航海士にでもなって大輔を使ってくれよ!」
「そういう問題じゃねえだろう」
ルフィに寄越せというナミ。
ルフィは大事な船員を渡すわけにはいかないのだと逆にナミに仲間になるように言うのだがナミは嫌悪感を剥き出しにする。
「嫌よ!私は海賊が嫌いなのよ!」
「海賊嫌いなのは構わねえが喧嘩売る相手だけは間違えるなよ。オレ達居なきゃお前死んでたぞ」
海賊が嫌いだとハッキリと言い切るナミに対してゾロは一言忠告を入れる。
なにかの拍子で海賊に喧嘩を売ったとしてナミが勝てるかどうかは話は別だ、今回は偶然にも俺達が居合わせていたからなんとか上手く乗り切る事が出来たが今回だけだぞ。
「そうね……じゃあ、こうしましょう。見たところあんた達は航海士居ないじゃない。私が道を案内してあげるから、海賊をぶっ倒した際の分け前を9割寄越しなさい!」
「9割ってそいつは無理な話だな…………力を貸してやるし報酬は2割が限度だ」
「じゃあ、8割!」
「22%」
「っぐ……」
1割ずつ削っていくナミに対して1%ずつ上げていく俺。
最終的な落とし所というか決着はお宝の取り分の33%をナミに分けるというもので納まった。
「そうだ、大輔。街を壊しちまったからさ修理費を置いていってやろうぜ」
「お前、俺達は曲がりなりにも海賊だぞ?」
「いいんだよ……頼むよ」
「しゃあねえな」
錬金術を使って、その辺の石ころを金塊に変える。
この街の修理費を置いていけと船長命令が下っちまった以上は船長の言う事を聞かなくちゃいけねえ。ナミが目を輝かせるのだが、それはお前のお宝じゃねえぞ。
「で、どうするんだ?偉大なる航路に向かうのか?」
「あんた達、先ずは船を手に入れなさい!こんなボートみたいな船じゃどう頑張っても偉大なる航路を突破する事は出来ないわ!!」
ゾロが進行方向について聞いてくる。
未だにちょっとしたボートで帆船ですらない船だからな、ナミは偉大なる航路に行くならば船を用意しろと言う。
「まぁ、船がねえと酒は飲めねえよな」
「肉も食えねえしな」
「お前等に気を使って禁煙するのも結構厳しいしな」
船が必要だと言われれば納得するゾロとルフィ。
俺も堂々とタバコを吸いてえんだが船の上だからな、勝手にタバコを吸うわけにもいかねえ。副流煙で人を巻き込むのは良くねえ。かと言って電子タバコは存在しねえ。
「それで何処か造船所でもあるのか、航海士さんよ」
「ここから南に行った所に島があった筈よ、一先ずはそこに行ってから考えましょう」
偉大なる航路に入る東西南北の海の海賊達が居る以上は何処かに造船所の1つや2つ存在している。
生憎な事に東の海の造船所が何処にあるのかは知らねえ。造船所と言えばウォーターセブンだと言われてて彼処は海賊王の船以外ならば海賊に船を売ってもいいし修理しても問題ねえんだよな。