一応は副船長やってます。   作:アルピ交通事務局

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斬れないものは蒟蒻だけ

 

「はーっくしゅん!!…………寒いな…………」

 

 ワノ国の豪雪地帯こと鈴後(りんご)に俺はやって来た。やって来たにはやって来たんだが思ったよりも寒くて大きなクシャミをしちまった。

 俺は寒いのも暑いのも好きじゃねえ、秋と春が大好きなんだ……この世界には季節の概念があるし季節がコロコロと変わる島や季節が固定されちまってる島も存在してる。チョッパーの冬島なんかが良い一例だ……夏島の夏と冬島の冬がどれぐらい地獄なんだ?北海道民は冬が地獄と語ってたし、埼玉県民は夏が40℃越えが年々出てきて洒落にならねえって言ってたな。

 

「こんなことなら都で服を買ってくりゃ良かったな…………いや、旅支度の前に布を買えばいいか」

 

 これからワノ国を出て行くんだから色々と用意しとかなきゃならねえ。

 先ずはその為の第一歩を踏み出す為に俺は鈴後(りんご)にやって来た。原作知識が確かならばと試しに来てみた。

 

「お………あったか」

 

 俺が鈴後にやってきた目的は刀を手に入れる事だ。

 オロチの馬鹿野郎は他の大名に傘下にくだれって命じるが全員が仕えるべき主は光月家のみだと言って……絶賛監禁されている。

 暫くすれば大名がオロチ、いや、カイドウをぶっ倒そうとするが負けちまう。おでん以上の猛者が居ないワノ国はどうあがいてもカイドウを倒す事が出来ねえ。

 

「グルルルル!!」

 

 だから予言に従う。少なくとも今の俺じゃカイドウが覇気も能力も無しで酔っ払った状態でボコられて終わる。

 その為には強くならなくちゃならねえが、武器が必要だ。俺は刀と銃のどちらかを選べって言われたら迷わず銃を選ぶタイプだが、なにも刀を使っちゃいけねえルールは何処にもねえんだ。良質な刀はオロチやカイドウの手元か反旗を翻そうとしている侍達の手元……そして鈴後の侍達の墓にある。この国から出ていくことがバレればアウトだから鈴後にやってきたってわけだ。

 

「おぅ、悪いな……墓荒らしに来ちまったよ」

 

 一匹の狐に墓荒らしをしに来た事を伝える。

 この狐は霜月牛マルの飼っていた狐、ご主人の帰りを待ち墓を荒らす罰当たりな存在をぶっ倒している。墓荒らしなんて罰当たりな真似なのは分かってるがやらなくちゃいけねえ。ワルサーP38を抜いて1発銃を空に向けて撃った。

 

「悪いがこっちもマジなんだ…………なに、1本だ。1本あれば文句は言わねえ」

 

「グォオオオ!!」

 

 狐は1本だけくれと言ってもくれない。襲ってくるのでヒラリと避けるのだが向こうは普通に追いついてくる。

 原作通りにするならばこの狐を殺すわけにはいかねえからな……いや、そもそもで殺せるかどうかも怪しいもんだ。

 

「ったく……こういうのは苦手なんだがな」

 

 ガブリと狐が噛んでくる。滅茶苦茶痛いが我慢していると睨んでくる狐と視線を向け合う。

 狐は絶対に渡すものかと睨んでくるのだが俺は恐怖を感じない。今更この程度でビビるかよ。

 

「1本だ…………1本だけくれ………無論、タダでだなんて都合のいい事は言わねえよ」

 

「グルルルル……グォ!」

 

「ん?どした?」

 

 流血するレベルで俺に噛みついていた狐は突如として吠える。

 何事だと思っていると颯爽と走っていくので追いかけてみれば緑色の河童がスコップを手にしていた。

 

「すまぬ…………すまぬでござる!こうするしか、こうするしか道が無いのでござる!」

 

「グォオオオ!!」

 

「許せとは言わん!最後に地獄に落ちる覚悟は出来ておる!だが、拙者はやらねばならぬ事があるのだ!!」

 

 スコップを手にして墓を掘る河童。涙を流しており謝罪をしていると狐は河童に噛みついた。

 河童は狐の事を気にすることをせずに血が流れようが構わないと墓荒らしを続けていた。

 

「ほぉ、こんなところで出会えるとは」

 

「む、な、何奴!?」

 

「おっと、物騒な物は閉まってくれ。俺はあんたと喧嘩をしに来たんじゃねえ…………河童の河松さんよ」

 

 墓荒らしをしていたのは赤鞘九人男の1人である河童の河松だった。

 ここに来れば会うことが出来る可能性は秘めていたがまさかこんな形で出会うとは思わなかったぜ。河松は名前を呼ばれれば刀を握るので俺は両手を上げる。

 

「オロチの間者……にしては若すぎる」

 

「まだ6歳のガキだよ…………生きてたんだな」

 

「カーパッパッパ、おでん城は焼け落ちたが直ぐ近くに川が存在しておったから泳いで逃げたわ!」

 

「なるほどな……で、偉大なる侍、光月おでんの家臣である赤鞘九人男の1人がなんでまた墓荒らしなんて罰当たりな真似をしてるんだ?」

 

「決戦の時に備えてでござる!」

 

 馬鹿正直に答えるかね、普通は。

 でもまぁ、その言葉を聞くことが出来るのならばこっちにとって色々と好都合だ。

 

「だったら俺に刀を1本くれやしないか?」

 

「お主にだと?」

 

「ああ、そうだ……これから冬の時代がやって来る。光月おでんを蔑む教育を光月おでんを知らない世代にするのは勿論、オロチに歯向かうならば問答無用で色々とする……光月トキの予言が確かならば20年も待たなくちゃならねえ。だが20年もありゃ全盛期と呼ばれる時代を過ぎちまう侍が多い」

 

 ONE PIECEの世界は老いの概念が存在している。

 よく漫画とかで武術とか剣術とかの達人のジジイが出てくるが、ONE PIECE世界ではちゃんと老いて弱体化する……まぁ、弱体化しても異常なまでに強えジジイとババアばっかだから厄介なんだけど。

 

「だから若い世代に1本刀を託しちゃくれねえか?」

 

「オロチとカイドウを討つのに協力をしてくれると……それは実にありがたい言葉だが、この様な幼子を戦わせるのは」

 

「おいおい、20年足してくれや。20年経過すれば俺は26歳になる……26歳ならばバリッバリの現役だよ」

 

「むぅ……ならば流桜は使えるでござるか?カイドウは龍でその皮膚は恐ろしく硬い!流桜を刀身に纏わせなければカイドウを斬る事が出来ぬでござる!」

 

「悪いが今はまだ流桜は使えねえ……俺は刀よりも(こっち)派なんだよ」

 

「ならば何故刀を手に入れようとする!」

 

「刀も扱えるようにしておきたいわけだ…………しかし、銃は否定しねえんだな」

 

 銃はあっさりと人を殺すことが出来る武器だ。

 刀と違って非常に便利な武器で侍的にはNGなところがあるんじゃねえのかと思っていたがあっさりと受け入れている。

 

「銃も立派な武器でござる。雪之丞の兄であるイゾウも二丁拳銃の使い手…………ふむ…………そうだな…………」

 

 銃を否定しない河松はなにかを考える。

 尚、この間にも狐はガッツリと噛みついていやがる……おいおい、大丈夫なのか?

 

「ならば拙者が投げる石を撃ち抜いてみせよ!それが出来たのならば20年後の希望の一振りをお主に託す!」

 

「そういう展開嫌いじゃねえな」

 

 墓荒らしを一旦中止にする河松。墓場から去っていってくれたと狐は河松を放すのだが警戒心は解いてねえ。

 さて…………確実に勝たなきゃいけねえ場面だ、こういう場面を完璧に勝利してこその転生者だ。

 

「男ならば1発勝負あるのみ!いくでござるよ!」

 

「おう」

 

 河松はその辺に落ちていた石を拾って投げた。

 何処に投げたのかを確認すると同時に体が動く。使うのはワルサーP38じゃねえ、コルト・パイソンだ。1発勝負ならコレに賭けるのが1番だ。投げた石をクイックドロウの要領で、抜いて向けて直ぐに発砲すれば石は砕け散った。

 

「見事…………それだけの腕があるならば20年後の決戦の時に戦ってくれるであろう」

 

「じゃあ、約束通りに1本くれ」

 

「だが……」

 

「なんだ?この期に及んで出し渋るのか?」

 

「いや、そうではない…………実は手元に1本も刀は無いのでござる」

 

「はぁ!?じゃあ、このやり取りはなんだったんだよ!」

 

「すまぬ……」

 

 ここはカッコよく刀をくれる感じの展開だってのに河松は1本も刀を持っていなかった。

 自前の刀を渡すわけにはいかないしと悩んだ河松だが刀を持ってないと分かったのならばもう関係ねえ事だ。

 

「悪いが、ねえなら自力で掘らせてもらう……1本だけな」

 

「グルルルル!!」

 

 刀を盗ろうとすると狐は威嚇する。

 

「悪いが、取らせてもらうぞ」

 

 何処に眠ってるのか分かりづらいが、俺にはこの能力がある。

 両手を合わせて地面に触れれば地面にあった雪が一瞬の内に溶けた……錬金術で氷を水に切り替えた。

 

「お主、妖術使いでござったか!?」

 

「その呼び方は好みじゃねえ……ほら、掘るんだろ?だったらちっとはマシな道具を使え」

 

「かたじけないでござる」

 

 地中にある鉄分とかを用いて鉄製のスコップを作る。

 河松と俺の分で河松は狐に噛み付かれるが気にすることはせずに先人達に申し訳ないという気持ちを惜しみながら墓を掘る。

 

「そういやよ、気配を探知する技と流桜ってどうやんだ?」

 

 ついでだから今のうちに聞いておく。

 恐らくだが俺には覇王色の覇気の適性はねえ、見た目が大泥棒の右腕の存在に覇王色の覇気は似合わねえからな。だから覇王色の覇気はとっとと諦めて見聞色の覇気と武装色の覇気を会得しておく。だが、問題はどうやって会得するかどうかだ。

 

「流桜はまず出来ると思い込むのが大事な技でござるがしかし…………」

 

「なんか問題でもあるのか?」

 

「刀に流桜を纏わせるのと銃の弾に流桜を纏わせるのは大きく異なるもの。刀は体の一部として認識しやすい物だが、銃は体の一部として認識しにくい。銃弾に纏わせるだけでなく発砲した後も流桜を纏わせなくてはならぬ難しい物だ」

 

「なるほどね……」

 

 言っている事は理解も納得も出来る。

 武装色の覇気を纏わせる事が出来れば体の一部として認識しやすい刀ならば武装色の覇気を纏わせやすい。だが、拳銃は撃つ物だ。纏わせた覇気を飛ばさないといけねえ。触れずに相手を叩きのめす覇気を応用した技術って言ったところだ。

 

「爆弾に流桜を纏わせることは?」

 

「理論上は可能でござるが銃よりも難易度は高いでござる。爆弾は爆発する一瞬のみしか攻撃出来ぬ。その一瞬に流桜を流し込むことが出来るか否か…………」

 

「なに爆弾に纏わせる事が出来るって教えてくれただけでもありがたいさ」

 

 爆弾に覇気を纏わせる事が出来るんだったらロケットランチャーとかグレネードランチャーとかに武装色の覇気を纏わせる事が出来る。

 理論上は不可能じゃないと言うのならば逆に言えば絶対に出来る事だと冬木の聖杯でデメリット無しで信長を召喚した物作り開発関係の転生者で1番ヤバいと言われている浦原が言っていた。

 

「掘れたでござる…………っむ」

 

「白鞘か…………コレを貰うな」

 

「待て待て待て!そんな物で良いのか!?白鞘でなく名は無いが名刀と呼ばれる刀はここには存在してるのであるぞ!」

 

「いいんだよ、コレで」

 

 墓荒らしを続けていると白鞘の刀が出てくる。

 貰うならばこの刀をありがたく貰おうとすると河松は他の刀が良いと言ってくる

 

「おいおい、目が腐っちまったのか?これもこれで充分な名刀じゃねえか」

 

「ぐぬぬ……」

 

 白鞘から刃を抜けば綺麗な刀だった。こんな物を見せられればますますこの刀が欲しくなる。

 河松に刃を見せれば河松目線でも充分な名刀である事は確かで言い返すことが出来てねえ……どうやら俺の目利きの腕は確かなみてえだな。

 

「せめてちゃんとした鞘に」

 

「いやいやいや、白鞘の刀の方が浪漫があるだろう……」

 

 俺の刀を名刀だと認めてくれる河松はちゃんとした刀にする事を言うが俺は白鞘の方に浪漫を感じるな。

 この刀は……出来れば使わねえ方向で行きてえ。銃で活躍をしてえんだよ俺は。

 

「ならば、その刀に名を与えようではないか!20年の時を待つ刀、ならば名は」

 

「馬鹿野郎、斬鉄剣1択だ」

 

 オリハルコンで出来た刀なら真魔剛竜剣と名付けたが、ワノ国の白鞘の刀ならばもうそれは斬鉄剣と名乗るしか道はねえ。

 河松は刀の名前をつけようとしていたがそれも出来ない事だと分かれば軽くショックを受ける。

 

「うぅ……確か斬鉄は刀の扱う者として1人前の証、これから1人前になろうと言うのであればそれを志にするのじゃ極々自然な事でござる」

 

「河松、考え方を変えな……カイドウの野郎をぶっ倒した後に刀を誰かに継承する。その時にお前の考えた刀の名前を与えやりゃいい」

 

「そうするでござる」

 

「っと、元に戻さねえとな」

 

 刀を掘り当てる事は出来たので錬金術で荒らした墓を元に戻す。仏さんはきっちりと保存しておく。

 

「お主……その妖術があればわざわざ墓を掘らなくてもよかったのでは?」

 

「この錬金術に頼りまくってたら堕落の1歩を辿るんだよ……例えばこんな感じにな」

 

「な、なななな、なんとぉ!?小判を出す妖術ではないか!?」

 

 地中に埋まっている金の粒を錬金術で集めて数枚の純金の小判を作り出す。

 河松はマジかと驚いた顔をしている……やっぱりONE PIECE世界で錬金術はチートだな。

 

「そいつはくれてやるから金に変えて飯にしろ……河松が倒れれば将来の為に武器を備えてくれる人が居なくなる」

 

「なんと礼を申せばいいのやら……」

 

「気にするな……流桜のコツを聞くことが出来たんだからよ」

 

「己を信じよ。己の中のなんとなくを掴み取る……それこそが覇気のコツでござる!」

 

「そうかい……」

 

 だが、そのなんとなくを掴み取るのが常人には出来ない事だ。

 何かしらのキッカケの1つや2つを見つけるか正しい訓練方法を見つけて訓練するしか道はねえな。

 

「お主、今、拙者がなにを言ってるのか分かってたでござるな!」

 

 俺が頷けば河松は鞘に入った刀の束を握った。

 

「……ああ、そうだ。俺は流桜の事を海外風に言えば覇気と呼ぶのを知っている」

 

「妖術と言い覇気の概念を知っているといいますます怪しい奴め!」

 

「だったら今ここで斬り殺すか?将来の芽を摘むか…………光月おでんがそれを許すか?」

 

「っぐ…………………………2度と鈴後に現れるでない!今回は武士の情けで見逃してやろう!」

 

「ああ……じゃあな」

 

 最後の最後でドジを踏んじまったが、光月おでんの名前を出せば河松は刀を抜かなかった。

 光月おでんならば子供を殺すという真似は早々にしねえ。それを河松は分かってくれているので河松は刀を抜かなった……光月おでんは偉大な侍だな。

 

 斬鉄剣と呼ぶに相応しい名もなき名刀を手に入れた。

 これで後は食料の確保をするだけだ。錬金術があれば海水や淡水を飲料水に錬成する事が出来る。毒が混じっている魚を毒と肉に分離する事が出来る……問題はたった1つ、ログポースをゲットする事が出来るかどうかだ。

 

「お〜い!大輔!」

 

 ヤマトと別れてから1週間後に伊達港でヤマトと再会を果たす。

 ヤマトは巨大な風呂敷を背負っておりなんだと思っていると光月おでんのおでんを作るのに必要な沢山の材料と巨大な土鍋を見せてきた。

 

「聞いてくれよ、大輔!光月おでんが使っていた鍋を手に入れたんだ!」

 

「また随分とマニアックな物を…………大根、馬鈴薯…………ちゃんと揃ってるな」

 

「勿論!光月おでんのおでんを食べたいからね!」

 

「………ログポースの方はどうだ?」

 

「えっと……それなんだけどね……」

 

「おい、手に入らなかったのか?それがねえと何処にも行くことが出来ねえんだぞ!!」

 

「いや、手に入れることは出来たんだよ!その……エターナルポースを……」

 

 ヤマトはログポースでなくエターナルポースを見せてくる。

 エターナルポース、スゴくざっくりと言えば登録した1つの島にしか行くことが出来ねえ物だ……

 

「ったくよぉ……ま、何処かの島で調達するしかねえか……んじゃ、おでんを作るぞ」

 

 光月おでん特製のおでんを作った。光月おでん特製のおでんは滅茶苦茶美味かった。

 ヤマトもワノ国で食べた物で1番美味いと言ってくれ…………俺は夜中に1人でコッソリとワノ国を出ていった。え、ヤマトを連れて行かないのかって?……いや、流石にカイドウの子供を連れて海に出たらカイドウに命を狙われるから無理だ。ヤマトには悪いと思っているがこれしか道はねえんだ。

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