ヤマトにバレずにワノ国を出ていくのは一苦労だった。ヤマトも「僕も大海原をかけるんだ!」と目を輝かせていた。
食料とかが全然集まってねえから食料集めをすると適当な嘘をぶっこいた……じゃなきゃ、カイドウの野郎に追いかけ回される。転生したばかりの俺じゃカイドウをどうのこうの出来ねえ。ワノ国に帰る時はワノ国を支配しているオロチの馬鹿野郎とカイドウの馬鹿野郎をぶっ殺す時だ。
「はぁ〜……しっかし見渡す限りの海だな」
滝登りならぬ滝下りを行った。
念には念を入れて何重にも補強した船底だったが一部は損傷した……本来だったらこのまま航海するのは厳しいだろうが、そこは俺の錬金術で元に戻してやった。錬金術様々だぜ。
「赤いのに従えばいいとおでんの日誌には書いてあったな」
何処に繋がっているか分からねえエターナルポース。
針の先端が赤い部分が目的地がある方角だとおでんの日誌には書かれていた。今の俺はそれを信じるしかねえ。エターナルポースが示す島に上陸してから後の事を考えるが……果たして何日で辿り着く事が出来るのかだ。
一応は3週間分の食料を詰め込んでいる。
錬金術を用いれば食材の腐敗を防ぐことが出来るが何時かは食料が底を尽きる。この世界には嘗ての大航海時代で存在していた壊血病を始めとする様々な病気が存在している。この世界独自の病気だって存在している、マジで厄介だ。
「進んでるのか進んでねえのかよく分からねえな」
波に揺られているという感覚はあるが、船が前に進んでいるという感覚はしない。
試しにと人差し指に唾液をつけて風の流れを感じ取ろうとするが風が全くと言って流れていない……こいつぁ厄介だ。
「…………理論上は不可能じゃねえが、試してみるか」
この世界では風が発生しないという海も普通に存在している。
全くと言って流れていないであって1つも流れていないわけじゃねえ。だったらやる価値はあるなと両手を合わせて手を仰げば…………突風が吹き荒れた。鋼の錬金術師でロイ・マスタング大佐が指パッチンで火種を作ってそれを錬成してスゲえ炎にしている。だったら手を仰いだ時に生まれるほんの少しのそよ風を素材に風を錬成する事が出来る筈だ……いや、そもそもで風自体が空気が熱で移動しているだけに過ぎねえ。
ものは試しにと腕を仰がずに風を発生させることは出来ねえのか試してみたが無理だった。
錬金術は無から有を作るものじゃない、有を有に等価交換する技術だ。要するに素材が、最初の火種が必要になる。風は空気の移動だが移動の為にエネルギーが必要になる。最初に必要なエネルギーを生み出してそれをベースに更に大きなエネルギーを生み出している……そんな感じだなこいつは。
「いいね、いいね……無双する事が出来る転生特典をくれたな仏さんはよ」
風を吹かせては船を前進させる。かなりぶっ壊れた転生特典だがこれが中々に良いと実感しつつも船を飛ばす。
転生者養成所の地獄の教官達や仏は俺がラブライブやアイドルマスター、バクマンなんかの日常系があんまり向いてねえタイプの人間だって言ってたが、そっちの方が俺はありがてえ。青春ってのを謳歌してから人生は本番だと俺は思う。
「……ん?島が見えてきたな」
数日間錬金術で風を錬成して進んでいけば島が見えてきた。
エターナルポースが示してくれている島かと思ったがエターナルポースが示してくれている島とは若干だが異なっている。だが、島である事には変わりはねえ。ワノ国は鎖国国家、中の情報は分かっても外の情報は全然分からねえ状態だから情報収集も大事だ。
こいつは少しだけ進路を変えるかと進路を変えて島に立ち寄る。
立ち寄った島には色々な果物や動物がいたが人は居なかった。くそっ、なんでこんな時にハズレを引くんだ……けどまぁ、これはこれでラッキーだ。飯の調達には困らねえ…………ていうかなんか匂うな。
「この匂いはアルコール類の匂い…………この湖からか…………うっ……こりゃ酒じゃねえか!」
島に上陸して色々と歩き回っているとアルコール類の匂いがした。
湖からアルコール類の匂いがすると試しに舐めてみれば酒の味がした。
「っぐ…………流石に飲むわけにゃいかねえな」
前世の年齢と合わせりゃ二十歳は超えているが肉体的な年齢では二十歳を越えちゃいねえ。
酒は飲んでも飲まれるなって格言がある。この歳で酒の味を知っちまうのはどうかと思うがとにかく酒はダメだ。
「しかし、酒が流れている島とは…………なんだ?ONE PIECEの世界からトリコの世界にでも迷い込んじまったのか?」
コラボしまくってたからって実際に酒が流れるところとかは無い……いや、新世界には雷が落ちまくる島が存在するんだったな。
酒がある島があるのは非常に珍しいがコレは飲むことが出来ねえ……が、なにかの役に立つかもしれねえ。近くに存在している木を錬金術で樽に作り替えて酒を確保しておく……そういや大航海時代は水がダメで、基本的には酒なんだよな。
酒が湧き出る食材の宝庫な島にひとまず滞在する。
食材の補充ってのもあるが、純粋に俺自身の強さを磨いておかなきゃならねえ。見聞色の覇気はやり方は分かる、見聞色の覇気は要するに気配探知能力だ。未来予知レベルの見聞色の覇気は不可能だけど、何処になにがあるのか、世に言う気を感じ取る力は地獄の転生者養成所で会得済みだ。
だが、問題なのは武装色の覇気だ。
河松が言っていた様に刀に武装色の覇気を纏わせるよりも銃弾に武装色の覇気を纏わせる事は難しい事で……そもそもでキッカケすら会得出来てねえ。正拳突きを木に叩き込む。通常よりも威力は出ているが武装色の覇気を纏わせる事が出来ていると聞かれればNOだ……新世界に居る一流の海賊や四皇は当然の如く覇気を会得している連中……
「そういや、まだ四皇じゃねえんだな」
ふと今が原作開始の18年前である事を思い出す。
海賊王ゴールド・ロジャーが死んでから数年経過していてシャンクスやバギーが独立をして海賊稼業を始めるがまだシャンクスは四皇と呼ばれる海賊じゃねえ。凄腕の海賊である事には変わりはねえけどな。
「…………う〜ん…………」
シャンクスが四皇じゃねえと考えてから3日が経過する。
このよく分からねえ無人島から出ていくべきか出ていかねえのか悩んでいる。色々と調べた結果、人が暮らす意味合いでは問題のねえ島だ。作物は豊富というか作物を採取した途端に恐ろしい速度で作物が実る。なにかの拍子でトリコの世界の島が流れ込んで来たんじゃねえのかと思わず疑っちまうレベルで便利な島だ…………この島を拠点に出来るならしてえが、残念な事に俺はエターナルポースの作り方を知らねえ。エターナルポースの作り方を知ってるんだったらこの島のエターナルポースを作ってからヤマトが百獣海賊団からパクってきたエターナルポース示す島に向かってたんだがな。
「今の俺にゃ力がねえ。悪魔の実が欲しいかどうか聞かれれば錬金術と銃で充分だが…………うっし、修行に費やすか」
原作の悲劇のキャラを救うっていう考えはねえ。明日は我が身の命なのに他人を救えるほどに俺は強くはねえ。
ここならば豊富な食料が揃っている。尽きる事がねえ食料が揃っているから永住も出来るものだと色々と考えた結果、修業をする事にした。武装色の覇気と見聞色の覇気を基礎でもいいから会得しないといけねえんだ。
河松はイメージすれば武装色の覇気は使えると言っている。
漫画やアニメで見聞色の覇気はなんとなくの気配探知の延長線上にあるものだという描写がある。その認識で間違いがないと信じるしかないと紙コップと三角形のダイス、4面ダイスを作り上げる。
「1……1!3……3!4………4!2……4!……」
人の気配をなんとなくで探知することが出来るレベルの見聞色の覇気は今の段階で使えるが、そんな物は見聞色の覇気使いにとっては呼吸をするのと同じぐらいに簡単な事だ。だから俺は俺なりに見聞色の覇気のレベルを上げる方法を考えた。
見聞色の覇気にも色々と種類って言うか方向性もある。未来を予知する見聞色の覇気もあれば殺気なんかの相手の感情を読み取る見聞色の覇気もある。相手の感情を読み取るタイプの見聞色の覇気はこの島の動物達から会得する事が出来るが未来を予知する事が出来たり空間認識能力をパワーアップさせたタイプの見聞色の覇気はそれじゃあ会得する事が出来ねえ。
仮に相手が居るのならばジャンケンで見聞色の覇気を鍛えていた。
ジャンケンで見聞色の覇気を用いて相手の動きを先読みしまくってなにを出すのか予知していたが、残念な事に俺は1人だ。だからサイコロを使う。紙コップにサイコロを入れて振ってなんの目が出るのかを当てる。
感情を持っていない覇気も染み込んでねえサイコロだ。
先ずは空間になにがあるのかを読み取る見聞色の覇気を鍛えるにはちょうどいい。4面ダイスで出来るようになれば次は6面ダイスで最終的には100面ダイス用いてなんの目が出ているのかを当てる様に出来るようにする。それが出来るようになれば今度はサイコロを投げてなんの目が出るのかを当てる予知に近いレベルの見聞色の覇気を会得する。
「ふぅ…………結構キツいなこいつは」
修行を開始して1週間、なんとか4面ダイスは卒業する事が出来て6面ダイスになった。
6面ダイスに挑戦してなんの目が出るのかを当てているのだが思ったよりもキツい。見た目はただ単にどんな賽の目が出るのかを当てるだけのスゴい地味な絵面だが、こいつぁ見た目の100倍以上は厳しい修行だ……肉体的な面では全くと言って辛くねえ、根比べな修行だ。
だがまぁ、1歩ずつちゃんと前進する事が出来ていると自覚している。
現に4面ダイスから6面ダイスに変える事が出来ているのがその証拠だ。俺はちゃんと成長していってる
「ふーむ……何時も以上に切れているが……」
武装色の覇気も当然の如く練習するがこいつぁ意外と苦戦している。
銃を用いての武装色の覇気は一気に段階をすっ飛ばしていると先送りにして肉体や刃物に武装色の覇気を纏わせる特訓をしている。具体的に言えば獣の骨を包丁で捌くだけという至ってシンプルな事だ…………軟骨ならばまだしも体を支えるのに必要な硬い骨は包丁で真っ二つにする事が出来ねえ。一流のシェフだったら魚の頭はここを切れば簡単に切れるというが俺にゃそんな技術はねえ。
武装色の覇気を包丁に纏わせて普通の包丁じゃ切れねえ骨を切る。
見えない鎧を身に纏うイメージだとレイリーは言っていてミホーク達は黒刀に至ると言っている。武装色の覇気を包丁に纏わせたら若干だが包丁の色が変わった気がしなくもない……が、骨をちゃんと切ることが出来ているので武装色の覇気の入門は出来ている。
だが、流桜と呼ばれるレベルの覇気は出来ていない。
体外に余計な覇気を出して触れずに殴る覇気や内部に侵食して破壊する覇気を会得する事が出来てねえ……まぁ、焦っても意味はねえ。先ずは1歩ずつ、1歩ずつ歩けばいい。100%無理ならば諦める事が出来るが0,1%でも可能性があるならやればいいだけだ。少なくとも覇気の門を潜ることが出来てるんだ。
基礎的なトレーニングをしつつも覇気を会得する修業を集中する。
この食材だけが豊富な島に来ることが出来たのは奇跡だが、これでいいんだ。
「う〜ん…………基礎だけは出来たが………」
そんなこんなで1年が経過した。
ニュース・クーすら来ない無人島なので情勢がどうなっているかは不明だが武装色の覇気は腕や刀に纏わせる、見聞色の覇気は100面ダイスを当てる事が出来るまで成長した……一応はと試しにやってみたが覇王色の覇気は無理だった。完全に適性がねえと直ぐに分かる代物だった。
誰かが無人島に上陸して来ねえかと一時期期待していた事もあったが、誰も上陸して来なかった。
基本的にはログポースに従って航海をしているからログポースが示す道以外を海族も海軍も航海する事が出来ねえんだろう。
「銃に覇気を纏わせる事が出来ねえ半人前が出て行っても…………いや、経験を積まなきゃ意味はねえか」
銃弾に覇気を纏わせる事が出来るには出来るが銃を撃った瞬間に纏わせていた覇気を消えちまう。
飛ばすタイプの覇気を会得する事が出来てねえ、大物の海賊に会ったのならば一瞬にしてやられるかもしれねえと恐れるが逃げてたら意味はねえと覚悟を決めて俺は無人島を出ていき風を錬金術で錬成してエターナルポースが示す道を進む
「しかし……何処に辿り着くんだ……カイドウの百獣海賊団からパクってきたエターナルポースって事はカイドウが縄張りにしている島……いや、それだとかなりの距離を飛ばしてきたんだが」
海に出れば本当に今更な事を呟く。
ヤマトがカイドウの百獣海賊団からパクってきたエターナルポースって事はカイドウが縄張りにしている島の可能性が滅茶苦茶高え。まぁ、ワノ国よりは窮屈じゃねえのは確かだろうが、それでも居心地は悪い。多分だけど上納金的なのを回収してたりするんだろう……白ひげと赤髪海賊団はそういう感じのシステムは一切しねえカタギに手を出さねえ主義…………海賊として正しいのはカイドウやビッグ・マムだが、まぁなんとも面倒な事だな。
「
エターナルポースの針が動いた。
俺が急に進路を変更したとか道を間違えたからとかじゃない……エターナルログポースの針が縦に動いたんだ……そう、縦に動いた。正確に言えば下に動いた…………俺の原作知識が正しければログポースの針が縦に動いた時、それは空島に迎えの道標ともう1つだけ
「……確かに、新世界と前半を行き来するには絶対に避けては通れねえ道だけどよ」
前半の7つの航路は
ゴールド・ロジャーも黒ひげも白ひげもカイドウもビッグ・マムも新世界と前半の海を行き来するにはそこは絶対に避けては通ることが出来る道じゃねえ。
「よりによって魚人島かよ……」
エターナルポースが示す島は魚人島だった。
新世界と前半の海を行き来する上では絶対に通らなければならない道だ……百獣海賊団が魚人島に通じるエターナルポースを持っている事はなんらおかしくはねえ。恐らくだが新世界と前半の海を行き来する海賊、王下七武海とかも魚人島のエターナルポース持ってんだろう。だからそこに関してはツッコミは入れねえけど呆れる。
「こいつは困ったな…………」
魚人島に行くには船を特殊なコーティングをして浮力を無くしてシャボン玉に包まれて深海に沈まなきゃならねえ。
問題はそのコーティングだ。前半の海ならばシャボンディ諸島に立ち寄ってちゃんとしたコーティング屋に頼んでコーティングをする。だが、その逆、新世界から魚人島に行く方法は明示されてねえ。前半の海と同じ用にコーティングをするんだろうが…………問題は何処でコーティングをしてもらえればいいのかだ。恐らくは赤い壁に最も近い島辺りでコーティングをしてくれるんだろうが、その島に辿り着く方法が分からねえ……。
「運に身を任せる…………いや、それは無理か」
世界政府加盟か非加盟かはさておき、何処かに国があればそこで情報を収集する事が出来る。
だが、残念な事にそれが1番わからねえ事なんだがどうしたものかと思いつつも船を進めていると…………巨大な船が浮上してきた。ってか
「俺の船!?」
俺の船が巨大な船の上に乗っちまった。
小さな船だから当然と言えば当然な事だが、なんだこのバカデカい船は。なんだなんだと思いつつも警戒心を最大限にまで上げて見聞色の覇気を発動する……っ……
「コイツぁヤベえな……」
今の俺で勝つことが出来るかどうか怪しいレベルの実力者がゴロゴロといやがる。
長いものには巻かれろとは言うが、出来りゃ巻かれたくねえな。
「おいおい、出る場所間違えてんよ!」
誰が出てくるかと思ったら、パイナップルみたいな髪型をした男が出て来た。
パイナップルみたいな髪型をした男が出て来たと思えばぞろぞろと海賊が出てきやがった……向けている視線は当然、俺の乗っている船だ。
「何処かの小船か……海賊旗は掲げてねえが……」
「あんたマルコか?不死鳥のマルコか?」
「ガキ?」
出て来た男はトリトリの実幻獣種のフェニックスの能力者であるマルコだった。
もしかしたらと賭けに出る。ここで無理ならば俺の人生は終わりだが、勝てりゃいい方向に転がっていく。
「この船、モビー・ディック号って船で間違いねえか?」
「どうした坊主?ガキが調子に乗って海に出て迷子になっちまったか?」
「…………ワノ国、光月おでんが最初に乗っていた白ひげ海賊団か……俺は妙なところで運に恵まれてると言うか呪われてると言うか」
「…………何者だ?」
「ワノ国じゃやっちゃいけねえ事を堂々として、大馬鹿野郎をどうにかしてやろうと考えてる馬鹿野郎だよ」
おでんの名前を出せば表情を変えるマルコ。
コレはちょうどいいと俺がワノ国からやって来た人間だと言うのを教えれば空気も変わった。
「坊主、おでんを知ってるのかい?」
「あんた達みたいにありのままの光月おでんは見てねえな……ただ最後の生き様を見せてくれた、そいつだけは知ってる」
「…………ついてきな、坊主」
おでんの最後の生き様という言葉を出せばマルコは悲しそうな顔をした。
それと同時に色々と悟ってくれたのかマルコは俺をモビー・ディック号の中に案内してくれる。