セシリア・オルコットとイチャラブしたいッ!! 作:シシカバブP
クラス対抗戦が終わり、食堂で残念会なるものをやった翌日。(ワンサマーがクラス代表になった時にも、食堂でパーティを開いていて、俺とセシリアも隅っこで参加してた)
「榊、お前に学園から訓練機が貸し出されることになった」
朝のSHR、織斑先生の唐突な連絡から始まった。
正確には、事前に知っていた俺以外だが。
「「「ええ~~!?」」」
割れる! 窓ガラス割れるから! なんつー超音波!
「それって、榊君にも専用機が渡されるってことですか!?」
「でもどうして、織斑君と一緒のタイミングじゃなかったんだろう?」
「言われてみれば……」
わいわい騒ぐクラスメイト達に、疚しい事でもあるのか織斑先生からの回答はない。
あんまり面白い話でもないんだろうな。俺の予想通りなら。
「それで、俺はどうすればいいですか?」
「お前の機体を整備室に用意している。放課後、山田先生と一緒に整備室に行け」
「分かりました」
この先生、俺がさっさと話を進めようとして、あからさまにホッとしたんですけどぉ……。
「連絡は以上だ、山田先生」
「あ、はい。それでは、1時限目の授業を始めますよー」
そのまま強制的にSHRを終えて、生徒達の疑問を封殺した織斑先生は山田先生に話を振ると、いつも通り教室の隅に移動した。
まあ俺も、詳細説明を求める気はないんですがね。そもそも最初は専用機欲しくなかったし。
「う~ん、はぐらかされると、余計気になっちゃうよ~」
「織斑君も気にならない?」
「いや、千冬姉にも何か考えがあるんだろ?」
横から相川さん達が話しかけるが、ワンサマーの回答は予定調和といえるものだった。
姉の言うこと、全然疑わないのな。いや、自分と直接関係ないからか。
ということがあった放課後、俺はまーやんの後を付いて、初めて整備室に来ていた。
基本訓練機の貸し出し時にしか用のない場所らしいし、その訓練機も最近まで予約がびっしりで借りられなかったから、今日まで寄り付くことが無かったんだよな。
そして当然の如く、セシリアも俺の横を歩いている。
「今回榊君には、この『打鉄』を貸与することになっています」
説明するまーやんの斜め後ろに、ブラックカラーのISが用意されていた。
日本の第2世代IS『打鉄』。主武装が刀とアサルトライフルで、両肩部の盾は再生機能が付いてるんだったか。
これとフランスの『ラファール』が、学園が保有している訓練機だったはずなんだが……
「打鉄って決まってるんですか」
「学園の訓練機にはラファールもあったはずですが?」
「オルコットさんの言う通りなんですが……これまでの貸し出し状況から、打鉄の方が長期貸与した際の影響が少ないんですよ」
「つまり……打鉄って人気がない?」
そういうことだよな。貸出率が低いから、1機減っても大丈夫だろうって。いやまあ、俺としてはどっちでも良いっちゃ良いんだが。
「そそそ、そんなことないですよ! 打鉄だって、世界シェアトップ3に入る傑作機なんですから!」
「それでも近接戦と防御力が強みの打鉄に対して、機動性と汎用性が売りのラファールの方が人気があるのは事実ですわ。少なくとも学園内では」
「あうぅ~……」
セシリアの指摘で、まーやん涙目。
『歩く武器庫』なんて異名もあるラファールの方が、武装の選択肢が多くて人気なのかもな。操縦の簡易性も高いって話だし。
「セシリア、あんまりイジメるなって」
「ですが、せっかく悠人さんも専用機持ちとなるんですから、きちんと意に沿ったものを選ぶべきですわ!」
セシリアの言うことはもっともなんだが、
「俺としては、今までセシリアの訓練を見学してるだけだったから、一緒に模擬戦とか出来ればそれでいいかなって」
「ゆ、悠人さん❤(胸キュン)」
「あ、あの~……」
「すみません山田先生、少し待ってください」
「あ、はい……」
え、私が悪いんですか? みたいな顔をするまーやんを一旦横に置いて、セシリアの腕を掴んで引き寄せる。
「だからセシリア、俺じゃ力不足も甚だしいのは分かってるけど、放課後の訓練も、付き合ってくれるか? 出来れば報告書の書き方も、一から教えてくれると嬉しんだけど」
「もちろんですわ! わたくしも悠人さんと模擬戦なんて、今から心が躍るような気分ですの! 報告書の件も承知しましたわ。その代わり、ご褒美を期待しても?」
「ご褒美かぁ……俺に用意できるものかな~?」
「もうっ、悠人さんってば、白々しいですわよ」
「悪い悪い。それじゃお詫びに、ご褒美の一部を先払いするよ」
そう言うと、俺はセシリアの後頭部に手を回して、そのまま自分の顔に引き寄せて
――チュッ
「……ご褒美、先にいただいちゃいましたわ❤」
「ちゃんと合ってたようで良かった。これで『これじゃない』って言われたらどうしようかと」
「ふふっ、心配性ですのね。それでは、成功報酬の方も期待しておりますわ❤」
――ガンッガンッガンッ
すごい音がして振り向くと、まーやんが壁に頭を打ち付けていた。なして!?
「山田先生!?」
「お、終わりましたか? もう私、現実逃避しなくて大丈夫ですか?」
「あ、はい。お時間いただきました。貸与の説明をお願いします」
「はい、分かりました」
おそらく俺とセシリアのイチャラブを五感で感じないようにしてたんだろう、額を真っ赤にしたまーやんが、何事も無かったかのように説明を始めた。
「今日から榊君に、この打鉄を専用機として貸与するように通達がありました」
「どうしてこの時期になんですの?」
セシリアも相川さん達が思っていた疑問を口にした。
ワンサマーが新造機体で俺が訓練機という差、それは分かる。元々ISコアが貴重なのだから、『
ならどうして、貸与時期まで別々なのか。
織斑先生は半ば黙殺しようとしてたし、まーやんも立場上、自分からは言えないだろう。
「当初は織斑にだけ専用機を貸与して、データ収集すればいいと思っていた。けれどクラス対抗戦で思っていたよりもデータが取れなかった。なら
「……」
お~お~、まーやんの目が泳いどる泳いどる。ここまで分かりやすい人も珍しいな。
「なんですのそれは!? 悠人さんは織斑さんのスペアではありませんのよ!?」
「どーどーセシリア。怒るな怒るな」
「ですがぁ……」
俺のために怒ってくれるのは嬉しいが、ここでまーやん相手にキレても仕方ない。そんでワンサマーが悪いわけでもない。
でもワンサマーの朴念仁属性、あれは許されない。地獄に落ちろ。(火の玉ストレート)
「え、えっと……説明に戻っても?」
「どうぞどうぞ」
「それでですね、今から榊君にこの打鉄に乗ってもらって、
「ああ、いつぞや織斑がやってたやつですね」
「そうです。それじゃあ、打鉄に乗ってください」
「はいはい……よいしょっと」
膝立ちのような体勢の打鉄に乗り込むと、一瞬立ち眩みのような感覚に陥った。
「悠人さん?」
「大丈夫、まだこの感覚に慣れないだけだ」
この、大量の情報がISから脳に直接送られてくる感覚。いつかは慣れないと、毎日が頭痛デーになっちまうな。
俺が乗ると、まーやんが打鉄に接続されたPCで各種設定を行う。
「はい、あとは30分ほど待てば設定完了、晴れて榊君の専用機になります」
「悠人さん。訓練機とはいえ、専用機を持った感想はいかがです?」
「正直ビミョー」
「「ええ~……」」
正直に答えたら、セシリアはおろか、まーやんにも変な目で見られた。
「もうちょっと何か無いですか? 高揚感とか、満足感とか」
「無いですね」
「専用機を得ることを目標に、IS学園を目指す方もいらっしゃるという話もありますのに……」
「いやだって俺、セシリアとイチャラブするためにこの学園に在籍してるし」
「ゆ、悠人さぁん❤」
――ガゴンッ
……ちょっと
その後は何事もなく、視界の端に表示された(ハイパーセンサーから送られてくる)カウントダウンが終わると、打鉄の最適化が完了した。
「明日から榊君は、この打鉄に乗って実習に出てもらいます」
「そっか。もうあの訓練機の回し乗りをしなくていいのか」
「回し乗り……」
IS実習では4,5人のグループになって、順番に訓練機に乗って歩行や飛行の練習をしていた。文字通り、1機のISを複数人で回し乗りしているのだ。
セシリアは入学当初から専用機持ちだったから、この感覚は分からないだろう。その証拠に、微妙な顔で首を捻っている。
「それで、待機状態にするにはっと……おおっ!」
呼び出せばすぐに展開・待機状態に出来るって原作に書いてたような記憶があって、試してみたらすぐに打鉄が消えた。すげぇ。
そして、俺用になった打鉄の待機状態は……
「ネックレス……いえ、IDタグですわね」
「かっこいいですね!」
長円形の金属プレートが付いたチェーンが、俺の首にかかっていた。
元々は軍用の認識票で、昔は『ドッグタグ』と呼ばれていたやつだ。最近ではセシリアが言った『IDタグ』って呼び方が変わってるらしいけど。
「それから報告書ですが、模擬戦などで得られたデータは、基本的には打鉄から学園に自動送信される設定になっているので、そこまで凝った物でなくて大丈夫ですよ」
「あ、そうなんですか?」
「そ、それは困りますわ! 悠人さんに報告書の書き方を教えると約束してますのにぃ!」
あ、そうか。『手間かかんなくてラッキー』とか思ったけど、セシリアとイチャラブする大義名分が無くなるのか。それはいけない。
「別に、凝った物でも良いんですよね?」
「え? ええ、まぁ……」
「というわけでセシリア、予定通りよろしくな」
「悠人さん……はい!」
「よしよし、愛いやつ愛いやつ(ハグ&ナデポ)」
「きゅ~❤」
――パァァァァンッ
「あ……」
「あ……」
「あ……」
3人とも、同じセリフが出た。
俺とセシリアの惚気を見てしまったまーやんが、勢い余って殴ったのは……
「少し様子を見に来てみれば……山田先生、これは一体どういうつもりですか?」
我らが担任織斑千冬が、まーやんのグーパンを掴んでいた。さっきの良い音は、つまりそういうことだ。
「す、すみません! 別に織斑先生を殴ろうとしたわけではっ!」
「では、どういうわけですか?」
「そ、それは……」
「それじゃあ俺達、これで失礼しますね」
「あっ、ちょっと榊君! オルコットさんまで!?」
外面は笑顔だが、目が全然笑っていない織斑先生のことはまーやんに任せ、俺とセシリアは颯爽と整備室から逃げ出したのだった。
あっ、ちなみに特典ガチャの開発資材、ちゃんと拡張領域に入ってたよ。というか、ほぼ完成していて、あとは組み立てるだけの状態で。なんというか……プラモデル?
特にまーやんも言及してなかったし、もし特典と関係無かったとしても有難く使わせてもらおう。(ゲス顔)
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……このオリ主に専用機渡しても、絶対活躍しないよばっちゃ。