セシリア・オルコットとイチャラブしたいッ!!   作:シシカバブP

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どちらかと言えば説明回で、ラブはあんまり無いです。
次回は濃い目で行こうと思ってますので、ご期待ください。


第3章 学年別トーナメント? そんなことより男装は?
第12話 ボクっ娘


――???

 

 薄暗い部屋の中で、唯一の光源であるディスプレイを見ていた女性が椅子に座ったまま、バンザイをするように背筋を伸ばした。

 

「う~ん、さすがにいっくんも、突然専用機を渡されても使いこなせないか~。失敗失敗♪」

 

 エプロンドレスを着て、うさ耳のカチューシャを付けた女性――ISの生みの親、篠ノ之束――は自分の頭をこつんと叩きながら一人呟いた。

 彼女は入学式からこっち、IS学園の校内カメラにハッキングをかけては、織斑一夏の行動を覗き見ていた。

 

「せっかく束さんが白式を作ってあげても、対戦相手がいないんじゃ成長しないよね~」

 

 本人が言うように、実は一夏の白式は彼女が作ったものである。

 正確には『倉持技研が開発を凍結したものを、束が引き取って組み上げた』が正しい。

 つまり一夏は白式を通して、最初から束に観察されていたわけである。

 

「どうしよっかな~……あ、そうだ!」

 

 後頭部に両手を当てていた束は勢いよく起き上がると、カタカタと高速でキーを叩き始めた。

 すると、ディスプレイに一夏の代わりに、銀髪の眼帯をした少女の画像が映し出される。

 

じゃがいもの国(ドイツ)からの転校生、こいつを使おうか。VTSとか腹立たしいけど、いっくんの養分にはちょうどいいよね?」

 

 VTS。『ヴァルキリー・トレース・システム』という、過去のモンド・グロッソの部門受賞者(ヴァルキリー)の動きをトレースするシステムで、使用者の肉体的・精神的負担が大きいことから、アラスカ条約で禁止されている禁忌の技術である。

 束はドイツから画像の少女、ラウラ・ボーデヴィッヒがIS学園へ転校して来ること、彼女の専用機『シュヴァルツェア・レーゲン』に同システムが秘密裏に積まれていることを知っていた。

 そして当初はVTSを嫌悪――束にとって、VTSは自分の生み出したISに取り付く寄生虫でしかない――していたが、それを一夏の経験値稼ぎに使おうと思い付いたのだ。

 

「そういえば、いっくん以外にも男が入って来てたっけ……まいっか」

 

 一瞬『邪魔だから消そう』と危ないことを考えた束だったが、すぐに興味を失って放置することに決めた。

 それは束の元々の性格――妹である箒と織斑姉弟以外に興味が無い――に加え、悠人の転生特典も大いに影響していた。

 

「そうと決まれば、束さんもいっくんをサポートしてあげよう♪」

 

 一人で完結した束は、またカタカタとキーを叩き始めたのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 打鉄を専用機として渡されてから数日が経ち、ぼちぼち空中機動も出来るようになった頃。

 セシリアと(恋人繋ぎで)登校すると、教室内がいつもより騒がしかった。

 

「やっぱりハヅキ社製のが良いなぁ」

「私はミューレイのがいいかなぁ。特にスムーズモデル」

「あれかー。性能はいいけど、値段がねぇ……」

 

 みんな手にカタログを持って、あれやこれやと談笑していた。

 あったね、ISスーツ談義。確か俺のスーツはワンサマーと同じ、イングリッド社製のものを男用に改造したらしい。

 みんなと違って色も形も選べやしないが、現状たった2人しかいない男性操縦者用のスーツを用意してくれただけでも御の字だな。さすがに女性用を着るのは勘弁願いたい。

 

「諸君、おはよう」

「お、おはようございます!」

 

 俺が席に座った(セシリアとハグ&キスした)タイミングで、織斑先生方が教室に入って来た。まーやん、そんな死んだ目で見ないで。

 先生達の登場で、クラスメイト達が自分の席に戻って行く。やっぱブリュンヒルデの(無意識の)威圧はすごいね。

 

「では山田先生、SHRを」

「はい」

 

 

「今日はなんと転校生を紹介します! しかも二人です!」

 

 

「「「えええええええっ!?」」」

 

 

 咄嗟に耳を塞いでたから良いものの、知らずにいたら鼓膜がやられたんじゃないかってくらいの大音量だった。

 さっきのISスーツ談義から、そろそろかと思ってたが案の定だった。

 

 ここで原作のおさらいだ。クラス対抗戦から数日後、フランスとドイツから転校生、しかも専用機持ちがやって来る。

 一人はフランスの代表候補生、シャルル・デュノア。ラファールを作った会社、デュノア社の縁者だ。しかも名前から分かる通り、こいつは『3番目の男性操縦者』として転校して来る。実際は男装した女子生徒なんだがな。男装している理由については、またの機会に。

 もう一人がドイツの代表候補生、ラウラ・ボーデヴィッヒ。現役のIS部隊隊長で、織斑姉弟と因縁がある。というか、姉を崇拝していて、弟に嫉妬と憎悪を抱いているという面倒な設定持ちだ。

 そしてこの二人も篠ノ之と鈴同様、原作ではワンサマーという誘蛾灯に引っ掛かる人材なわけだ。

 

「それでは、入ってきてくださーい」

「失礼します」

「……」

 

 まーやんの声に続いて、教室のドアが開いて――

 

……あるぇ?

 

 入って来たのは、白に近い銀髪を腰近くまでおろし、左目に眼帯をしたドイツ人。そしてもう一人が……

 

 

()()()()()()・デュノアです。フランスから来ました。この国では不慣れなことも多いかと思いますが、よろしくお願いします」

 

 

 濃い金髪を首の後ろで束ねた、人懐っこそうな顔の、()()()()()穿()()()()()()()が。

 

 だ、男装してねぇ!! どゆこと!?

 原作ではワンサマーと白式のデータを奪うために、父親でもあるデュノア社社長の命令で、男装して転校してきたって設定だったはず。

 これはあれか、転生特典の『ご都合主義』の影響か。面倒なイベントが無くなって、デュノア社のピンチ(第3世代機の開発が上手くいってなくて、そのために白式のデータが欲しかった)も無くなったってことなのか。

 

――パチパチパチッ

 

 そんなことは知らないクラスメイト達が、デュノアの挨拶に拍手する。男装してなきゃ、ごくごく普通に良い子だからな。

 

「……」

 

 さて、もう片方の転校生、ボーデヴィッヒは腕組みした状態でダンマリを決め込んでるな。まーやんも、どうしたら良いか分からずワタワタしてるし。

 

「……挨拶しろ、ラウラ」

「はい、教官」

 

 見かねた織斑先生が指示を出すと、見事な敬礼(ドイツ式?)を返していた。クラス一同総ポカンである。そりゃそうだ。建前とは言え、ここは『学園』であって『軍隊』じゃないんだから。

 そして織斑先生も、頭を抱えそうになるのを我慢していた。

 

「教官はやめろ。ここでは私は教員で、お前は一般生徒だ。だから織斑先生と呼べ」

「了解しました」

 

 そう答えたボーデヴィッヒは、俗にいう『気を付け』の姿勢に。まるっきし軍隊のそれだ。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒ」

「……」

「あ、あの、以上……ですか?」

「以上だ」

 

 名乗っただけでまたダンマリを決め込んだボーデヴィッヒに、恐る恐るまーやんが訊いたところ、返ってきた回答がそれである。まーやん涙目。

 あ、そのボーデヴィッヒが、つかつかとワンサマーの方に――

 

――バシンッ!

 

 特に理由のない(心当たりがない)平手打ちが、ワンサマーを襲う!

 

「い、いきなり何しやがる!」

「私は認めない。貴様があの人の弟であるなど、認めるものか」

 

 平手打ちを食らった頬を押さえながら怒るワンサマーに、ボーデヴィッヒはそれだけ言うと、同じようにつかつかとワンサマーの前を去っていった。で、空いてる席に座ると、腕を組んだまま微動だにしなくなる。見事なまでのガン無視である。

 一同唖然。壇上のデュノアもどう反応したらいいのか分からず、引き攣った笑い顔するしか無くなっていた。

 

「あー……ゴホンッ! ではSHRを終わる。今日は2組と合同で模擬戦を行うから、遅れずに第1アリーナに集合すること。以上解散!」

 

 クラス内に気まずい空気が流れ始めたところで、織斑先生がぱんぱんと手を叩いて無理矢理話を逸らす。

 みんなもその空気から逃れるように、さっさと教室を出て行った。どちらにせよ1時限目からIS実習なら、すぐにアリーナに行って着替えないと遅刻するからな。

 

「悠人さん❤」

「ああ、行こうか」

「はい❤」

 

 そんな空気をものともせず、俺とセシリアは腕を組むと、アリーナに向かって――

 

「榊にオルコット、デュノアを第1アリーナまで案内してやれ。初日で迷子になられても困るからな」

「わたくし達がですか?」

「はぁ、分かりました」

 

 織斑先生から、デュノアの面倒を見るよう言われちゃったよ。

 原作では男装してたからワンサマーにお鉢が回ってきたが、女子として転校してきたのに、どうして俺達に?

 

「えっと、よろしくお願いします」

「シャルロットさんとお呼びしても?」

「うん、僕も二人の事を名前で呼ばせてもらうよ」

「僕?」

 

 おや? 男装フラグが立ってないなら、一人称を男にする必要はないと思うんだが。

 

「ああ、これは……」

「あー、悪いが歩きながらでいいか? このまま聞いてたら、3人揃って遅刻するから」

「そ、そうだね。あはは……」

 

 とりあえずデュノア……いや、シャルロットの話を聞きながら、3人で第1アリーナを目指すことになった。

 ちなみに、俺とセシリアが恋人繋ぎ&腕を組んで歩いているのを、シャルロットは羨ましそうな顔をして見ていた。やっぱり年頃の女の子だし、興味はあるんだろうな。……他のクラスメイトみたいに、精神がやられないことを祈る。でもイチャラブはやめないよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 シャルロットの身の上話は、原作と大きく異なっていた。

 まず大前提として、シャルロットは生まれた時に、父親であるアルベール社長に娘として『認知されている』。

 原作では『愛人の子』だったのが、この世界線ではきちんと婚姻していて、デュノア家の娘として生まれていたのだ。その後実母が病気で亡くなり、継母が家に入って来たものの、『泥棒猫の娘が!』などと言われることも無く、比較的平穏な日々を過ごしていたという。

 

「もう『私』って言っていいんだけど、長い間『僕』で通してきてたから、なかなか変えられなくてね」

 

 一人称が僕になったきっかけ、それはなかなか継母との間に子供が生まれなかった父親が『跡継ぎの男が……』と言っていたのを、偶然聞いてしまったからなんだとか。

 その時まだ幼かったシャルロットは、父親の願いを叶えようと男装をして、一人称も『僕』に変えたんだとか。

 それからしばらくして、継母が弟を出産。シャルロットが男装する必要も無くなった。が、それなりに長い間男の子生活を続けていたため、もはや完全にボクっ娘が染みついてしまったんだとか。

 

(う~ん、シャルロット周りは、完全に原作崩壊が起こってるな)

 

 と考えてる間に、更衣室前まで来ていた。

 ここからは男女で別々に着替えることになる。(当たり前だ)

 

「それでは悠人さん、また」

「ああ」

「それじゃあね、悠人」

 

 セシリア達と別れた俺は、男子用の更衣室(俺とワンサマー用に無理して用意してもらったらしい)に入ると、もそもそとISスーツに着替え始めたのだった。

 そういえば、ここに来るまでにワンサマーに会わなかったな。シャルロットもいないのに、どこで道草食ってんだか。




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……実は当初、シャルともイチャラブする予定だったんだよばっちゃ。
それと一応説明入れておきますが、原作でシャルの弟は存在しません。本作オリジナルです。
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