セシリア・オルコットとイチャラブしたいッ!!   作:シシカバブP

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これにて原作2巻相当、終了です。
次回から、まーた(現実から見て)季節外れの海回になります。


第19話 俺達は誘蛾灯の陰でイチャラブする

 アクシデントによりトーナメントが中止になった翌日。軽い腰の痛みで、俺は目を覚ました。

 

「夢じゃ、無いんだよな……」

 

 瑞々しい裸体を曝け出したままのセシリアが、俺の上に重なって眠っている。

 周囲には俗に言う栗の花の匂いが立ち込め、ベッドシーツは所々カサカサになっていて、よほど勘の鈍い人間でなければ何があったかバレバレの状態だ。

 

 昨晩、セシリアからの強烈な告白を受け入れた俺は、今まで我慢していた男(意味深)を解放した。

 その後も部屋に戻って第2ラウンドを開始して……気が付けばこの状態である。うわぁ、思い出したら幸福感でどうにかなりそう。

 

「うぅん……あ、ゆうとさん……」

「おはよう、セシリア」

「おはようございます……❤」

 

――チュッ

 

 おおっ、目覚めのキスなら今まで何度もされたが、今朝のはドキドキした。やっぱり、一線を越える前後で違うのだろうか。

 心なしか、セシリアの色気が前より増している気がするし。

 

「悠人さん……わたくし、今とても幸せですわ」

「俺もだ」

「ふふっ、ではお揃い、ですわね❤」

「セシリア、愛してる……」

「悠人さん……❤」

 

 目を閉じて待ち受けるセシリアに、今度は俺の方から唇を重ねる。

 

「んん……ゆうとさぁん……」

「セシリア……」

 

 最近よくしているフレンチ・キスではなく、最初の頃のような唇を重ねるだけのキス。けれど、今の俺達にはこれで十分だ。

 なぜならそれだけで、俺とセシリアとの繋がりを感じることが出来るから。

 あっ、でもイチャラブをやめるつもりはないぞ? それはそれ、これはこれ。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

「それじゃあ、また後でな」

「はい❤」

 

 1組の教室に着くと、ハグをしてからお互いの席に着く。いつも通りの光景だ。

 

「榊君とセシリア、今日は大人しいね?」

「おい、そりゃどういうこった」

「だって今朝の食堂でも、キスしてなかったし」

 

 言われてみれば、テーブル席で密着していた以外は普通に朝食食ってたな。

 ……正直、昨晩の()()で幸福メーターが満タンになったからか、それだけでセシリア成分の摂取が足りていたというか。

 

「ねぇねぇセシリア、もしかして榊君と何かあった?」

「はい?」

 

 突然話を振られて、セシリアがコテンと首を傾げる。可愛い。

 

「それはぁ……内緒ですわ♪」

 

 手を両方の頬に当て、満面の笑みを浮かべるセシリア。おぉう、完全に何かあったって言ってるようなもんだろそれ。

 

「何その態度……まさか!」

 

 何かに気付いたのか、岸原さんが俺の方に視線を向ける。

 ああ、気付かれたよなこれ……。

 

「榊君、男子が大浴場を使えるようになったのっていつだっけ?」

「昨晩だな」

 

 正確にはもっと先だったのが、ボイラー点検後にまーやんの好意で入らせてもらったんだが。

 

「織斑君が篠ノ之さんと揉めた後、デュノアさんに担がれて部屋に戻ったのは?」

「……昨晩だな」

 

 なんで知ってるんだと思ったが、ワンサマーが部屋に戻るまでの間に誰かが遭遇したんだろう。

 

「もうひとつ質問いい? その時セシリア、どこにいたの?」

「「「!」」」

 

「君のような勘のいい女子は嫌いだよ」

 

「やったわねっ! とうとう一線を越えたのね!」

 

 何この茶番劇……乗った俺も俺だけど。

 

「皆さん、落ち着いてくださいまし。わたくしから言えることは一つだけですわ」

「な、何よ……」

 

 

「女性は殿方から求められるほど、美しくなれるのですわ」

 

 

「「「「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」」」」

 

 まさかの惚気(不意打ち)を食らって、何人かが泡を吹いて倒れた。

 セシリア、恐ろしい子……!

 

「お前達、席に着……これは一体なんだ?」

 

 SHRの時間になったのか、織斑先生とまーやんが教室に入って来た。が、この惨状を見て口元を引き攣らせていた。

 

「ええいっ、全員さっさと座れぇ!」

 

 出席簿を教壇にバンバン叩きつけると、泡を吹いていた生徒達が蘇生、命令通り自分達の席に戻って行った。すっげぇ……。

 

「まったく……よし、SHRを始めるぞ」

「織斑先生」

「なんだ、ボーデヴィッヒ」

 

 おん? いつもは終始無言のボーデヴィッヒが手を上げている。珍しい。

 

「少しお時間をいただけないでしょうか」

「……いいだろう、手短にな」

「はっ、ありがとうございます」

 

 織斑先生から許可を取ったボーデヴィッヒは席を立つと、つかつかとワンサマーの席の前まで歩いて行った。

 

「な、なんだ――むぐっ!?」

 

「「「「ええぇぇぇぇっ!?」」」」

 

 ワンサマーの胸倉を掴んだボーデヴィッヒが、そのまま唇を奪ったのだ。……うん、ある意味原作通り。

 

「お、お前は私の嫁にする! これは決定事項だ!」

「……嫁? 婿じゃなくて?」

「日本では気に入った相手を『俺の嫁』というと聞いた。故に、お前は私の嫁だ」

「はぁ?」

 

 ワンサマー、目が点になる。奴がオタク文化に明るいとは思えないから、そりゃ理解出来んだろうな。

 というか、『日本文化=オタク文化』みたいにしてボーデヴィッヒに説明すんな、黒兎の副長さん。

 

「いいい、一夏ぁ……!」

「ほ、箒? これ俺悪くない!」

「お前が悪いに決まってるだろぉぉぉぉ!」

「待てっ! いくら木刀でもお前の腕で唐竹割されたら俺死ぬって!」

「問答無用ぉぉぉ!」

 

 鬼と化した篠ノ之が振り下ろした木刀が、ワンサマーの頭を西瓜割りする、まさにその時

 

――バキィッ

 

「なぁ!?」

 

 篠ノ之とワンサマーの間に割り込まれたブレッド・スライサー――ラファール・リヴァイヴの近接武器――とぶつかり、真ん中から折れた木刀の切っ先が床に落ちた。

 それをしたのは言うまでもなく――ISを部分展開したシャルロットだった。

 

「危なかったぁ……サンキューシャルんんっ!?」

 

「「「「ええぇぇぇぇっ!?」」」」

 

 ……これは読めなかった。

 

 まさかシャルロットが、ボーデヴィッヒと同じように(部分展開してない方の手で)ワンサマーを引き寄せ、唇を重ねに行くなんて。

 

「シャル、なんで……」

「僕、白馬の王子様を待つ気は無いんだよ。だから一夏、僕の王子様になってよ♪」

 

 ファーッ!? なんだこのシャルロット、完全覚醒してるじゃねぇか!

 

「ふんっ、フランスの第2世代機(アンティーク)使いが、私に勝てるとでも?」

「残念。こと恋愛において、ドイツがフランスに勝てる道理は無いよ」

「ふふふふ……」

「あははは……」

 

 こっわぁ! 二人の間で火花バッチバチなんですけどぉ! 俺那珂ちゃんのファンやめます!

 

――ドゴォォン……

 

 なんか廊下からすごい音がした気が……あっ、これアカン奴や。

 

――ドゴォォン!

 

「一夏ぁぁぁ!!」

 

「り、鈴っ!?」

 

 甲龍展開済みの鈴が教室のドアを蹴破って登場、両肩の衝撃砲をワンサマーに向けてますね、ええ。

 

「ま、まさか本当に撃ったりしない……よな?」

 

「死ね!!」

 

「ぎゃあああああああ!!」

 

――ドカァァァァァンッ!!

 

 その日のSHRは織斑先生が鈴を制圧するまでの間、轟音と爆音が鳴り響いた。

 ……いやいや! 教室の被害がデカくなる前に制圧しろよブリュンヒルデ!!

 

 といいつつ、セシリアの惚気が有耶無耶になったから良しとしよう。

 当のセシリアも、2時限目が終わった辺りで冷静になったのか

 

「や、やっちまいましたわぁぁぁ……」

 

 両手で顔を覆ったまま、机に突っ伏してした。

 

「なら、今度から思い付きでやらないでください」

「はぐぅ!」

 

 ヴィシュヌからも正論パンチ(むしろキック?)を食らい、セシリアはKOされたのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

――???

 

「いっくん、やっと零落白夜に気付いてくれたんだね。良かった良かった♪」

 

 秘密ラボの中で、IS学園をハッキングして得た映像を見ていた束は、満足気に頷いていた。

 VTSを積んだドイツのISをわざと見逃し、一夏に経験を積ませる。その計画は、確かに成功した。

 さらにこの出来事により、白式のワンオフ・アビリティ『零落白夜』も表に出てきたのである。

 

 零落白夜。バリアー無効化という破格の性能を持ちながらも、使用する度に自機のSEを消費するという諸刃の剣であり、現役時代の織斑千冬が使用していたIS『暮桜』のワンオフ・アビリティでもある。

 本来、姉弟だったとしても同じワンオフ・アビリティが発現するとは限らないのだが……

 

~♪

 

 薄暗い部屋の中で、突然ゴッド・ファーザーのテーマが流れる。音の発信源は作業台の上に置いてあるスマホ。

 

「こ、この着信音はぁ! とぅっ!」

 

 スマホを取るのを最優先したため、同じ作業台に置いてあったマグカップやツールキットが床に散乱するが、束は全く気にせずスマホの通話ボタンを押す。

 

「もすもす終日(ひねもす)~?」

「……」

 

 ぶつっと通話が切れる。

 

「わー! 待って待って!」

 

 すると再度ゴッド・ファーザーのテーマが流れ、束は『今度はちゃんと出よう』と心に決める。……次回出る時にはまた忘れているのだが。

 

「やぁやぁちーちゃん、どうしたのかなぁ?」

「はぁ……まあいい。今日はお前に聞きたいことがある」

「なになに~?」

「今回の一件、一枚噛んでないだろうな?」

「今回?」

 

 束は首をひねる。千冬の聞き方が曖昧すぎて、()()()()()()()()()()()分からないのだ。

 

「VTシステムだ」

「あれのこと? ちーちゃん、あんな不細工なシロモノ、この束さんが作るとでも?」

「そうか。では、邪魔をしたな」

「いやいや、ちーちゃんのためなら束さん、24時間フルオープンだよ!」

「……では、またな」

 

 先ほどと同じくぶつっと通話が切れる。しかし、今度はもう一度かかってくることは無かった。

 

「久しぶりにちーちゃんの声が聞けて、束さんは嬉しいよぉ」

 

 そう言いつつ、束は小学生時代からの親友である千冬に対して嘘をついた。いや、『一部の事実しか話さなかった』が正しい。

 

 千冬は束に対して『VTシステムの件に関係してないか』と聞いた。それに対して束は『VTシステムなんか作ってない』と答えた。

 そう、束は『今回の件に関わっていない』とは一言も言っていないのである。

 確かに束はVTシステムを作ってはいない。しかしその存在をわざと見逃し、一夏に暴走したレーゲンをぶつけるため、抽選システムに細工をしていたのだ。

 

「それにしても、ちーちゃんが引退したのは惜しかったなぁ……あ、やば。腹立つことまで思い出してきた」

 

 自分の作品を壊した挙句、不良品と抜かしたかの国を、束は一度は見逃している。

 先にIS委員会が報復したこともあり、束としては珍しく、最初は大目に見ていた(単純に相手するのが面倒だったという理由もある)。

 だが、2度目は容赦しなかった。南が持つ装備の中で、ハッキング出来るものは全て掌握、北の連中に攻め込むよう仕向けた。北が南を比較的短期間で併合できたのは、そう言った理由もあったのだ。

 

~♪

 

 またスマホの着信音が鳴る。ただし今度は『極●の(オンナ)たち』である。束の選曲についてツッコんではいけない。

 初めてこの着信音が鳴ったからか、束は千冬の時以上に反応し、さっきまでのイライラもすっかり忘れて通話ボタンを押した。

 

「やあやあやあ! 久しぶりだねぇ箒ちゃん!」

「……姉さん」

「分かってる分かってる。用件は分かってるよぉ。欲しいんだよね? 箒ちゃんだけの専用機が! もちろん用意してあるよ! 最高性能にして規格外、そして『白』と並び立つ機体。その名前は――」

 

 

 

 

 実妹との通話を終えた束は、ルンルン気分でキーボードを叩き始める。そうしてディスプレイに映ったのは、頭部から一対の翼が生えた、銀色のISだった。

 

「それじゃあ、箒ちゃんの晴れ舞台を用意しなきゃね。頑張れ箒ちゃん♪」




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……シャル、これで良かったのかなぁばっちゃ。
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