セシリア・オルコットとイチャラブしたいッ!! 作:シシカバブP
次回から、まーた(現実から見て)季節外れの海回になります。
アクシデントによりトーナメントが中止になった翌日。軽い腰の痛みで、俺は目を覚ました。
「夢じゃ、無いんだよな……」
瑞々しい裸体を曝け出したままのセシリアが、俺の上に重なって眠っている。
周囲には俗に言う栗の花の匂いが立ち込め、ベッドシーツは所々カサカサになっていて、よほど勘の鈍い人間でなければ何があったかバレバレの状態だ。
昨晩、セシリアからの強烈な告白を受け入れた俺は、今まで我慢していた男(意味深)を解放した。
その後も部屋に戻って第2ラウンドを開始して……気が付けばこの状態である。うわぁ、思い出したら幸福感でどうにかなりそう。
「うぅん……あ、ゆうとさん……」
「おはよう、セシリア」
「おはようございます……❤」
――チュッ
おおっ、目覚めのキスなら今まで何度もされたが、今朝のはドキドキした。やっぱり、一線を越える前後で違うのだろうか。
心なしか、セシリアの色気が前より増している気がするし。
「悠人さん……わたくし、今とても幸せですわ」
「俺もだ」
「ふふっ、ではお揃い、ですわね❤」
「セシリア、愛してる……」
「悠人さん……❤」
目を閉じて待ち受けるセシリアに、今度は俺の方から唇を重ねる。
「んん……ゆうとさぁん……」
「セシリア……」
最近よくしているフレンチ・キスではなく、最初の頃のような唇を重ねるだけのキス。けれど、今の俺達にはこれで十分だ。
なぜならそれだけで、俺とセシリアとの繋がりを感じることが出来るから。
あっ、でもイチャラブをやめるつもりはないぞ? それはそれ、これはこれ。
ーーーーーーーーーーーーー
「それじゃあ、また後でな」
「はい❤」
1組の教室に着くと、ハグをしてからお互いの席に着く。いつも通りの光景だ。
「榊君とセシリア、今日は大人しいね?」
「おい、そりゃどういうこった」
「だって今朝の食堂でも、キスしてなかったし」
言われてみれば、テーブル席で密着していた以外は普通に朝食食ってたな。
……正直、昨晩の
「ねぇねぇセシリア、もしかして榊君と何かあった?」
「はい?」
突然話を振られて、セシリアがコテンと首を傾げる。可愛い。
「それはぁ……内緒ですわ♪」
手を両方の頬に当て、満面の笑みを浮かべるセシリア。おぉう、完全に何かあったって言ってるようなもんだろそれ。
「何その態度……まさか!」
何かに気付いたのか、岸原さんが俺の方に視線を向ける。
ああ、気付かれたよなこれ……。
「榊君、男子が大浴場を使えるようになったのっていつだっけ?」
「昨晩だな」
正確にはもっと先だったのが、ボイラー点検後にまーやんの好意で入らせてもらったんだが。
「織斑君が篠ノ之さんと揉めた後、デュノアさんに担がれて部屋に戻ったのは?」
「……昨晩だな」
なんで知ってるんだと思ったが、ワンサマーが部屋に戻るまでの間に誰かが遭遇したんだろう。
「もうひとつ質問いい? その時セシリア、どこにいたの?」
「「「!」」」
「君のような勘のいい女子は嫌いだよ」
「やったわねっ! とうとう一線を越えたのね!」
何この茶番劇……乗った俺も俺だけど。
「皆さん、落ち着いてくださいまし。わたくしから言えることは一つだけですわ」
「な、何よ……」
「女性は殿方から求められるほど、美しくなれるのですわ」
「「「「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」」」」
まさかの惚気(不意打ち)を食らって、何人かが泡を吹いて倒れた。
セシリア、恐ろしい子……!
「お前達、席に着……これは一体なんだ?」
SHRの時間になったのか、織斑先生とまーやんが教室に入って来た。が、この惨状を見て口元を引き攣らせていた。
「ええいっ、全員さっさと座れぇ!」
出席簿を教壇にバンバン叩きつけると、泡を吹いていた生徒達が蘇生、命令通り自分達の席に戻って行った。すっげぇ……。
「まったく……よし、SHRを始めるぞ」
「織斑先生」
「なんだ、ボーデヴィッヒ」
おん? いつもは終始無言のボーデヴィッヒが手を上げている。珍しい。
「少しお時間をいただけないでしょうか」
「……いいだろう、手短にな」
「はっ、ありがとうございます」
織斑先生から許可を取ったボーデヴィッヒは席を立つと、つかつかとワンサマーの席の前まで歩いて行った。
「な、なんだ――むぐっ!?」
「「「「ええぇぇぇぇっ!?」」」」
ワンサマーの胸倉を掴んだボーデヴィッヒが、そのまま唇を奪ったのだ。……うん、ある意味原作通り。
「お、お前は私の嫁にする! これは決定事項だ!」
「……嫁? 婿じゃなくて?」
「日本では気に入った相手を『俺の嫁』というと聞いた。故に、お前は私の嫁だ」
「はぁ?」
ワンサマー、目が点になる。奴がオタク文化に明るいとは思えないから、そりゃ理解出来んだろうな。
というか、『日本文化=オタク文化』みたいにしてボーデヴィッヒに説明すんな、黒兎の副長さん。
「いいい、一夏ぁ……!」
「ほ、箒? これ俺悪くない!」
「お前が悪いに決まってるだろぉぉぉぉ!」
「待てっ! いくら木刀でもお前の腕で唐竹割されたら俺死ぬって!」
「問答無用ぉぉぉ!」
鬼と化した篠ノ之が振り下ろした木刀が、ワンサマーの頭を西瓜割りする、まさにその時
――バキィッ
「なぁ!?」
篠ノ之とワンサマーの間に割り込まれたブレッド・スライサー――ラファール・リヴァイヴの近接武器――とぶつかり、真ん中から折れた木刀の切っ先が床に落ちた。
それをしたのは言うまでもなく――ISを部分展開したシャルロットだった。
「危なかったぁ……サンキューシャルんんっ!?」
「「「「ええぇぇぇぇっ!?」」」」
……これは読めなかった。
まさかシャルロットが、ボーデヴィッヒと同じように(部分展開してない方の手で)ワンサマーを引き寄せ、唇を重ねに行くなんて。
「シャル、なんで……」
「僕、白馬の王子様を待つ気は無いんだよ。だから一夏、僕の王子様になってよ♪」
ファーッ!? なんだこのシャルロット、完全覚醒してるじゃねぇか!
「ふんっ、フランスの
「残念。こと恋愛において、ドイツがフランスに勝てる道理は無いよ」
「ふふふふ……」
「あははは……」
こっわぁ! 二人の間で火花バッチバチなんですけどぉ! 俺那珂ちゃんのファンやめます!
――ドゴォォン……
なんか廊下からすごい音がした気が……あっ、これアカン奴や。
――ドゴォォン!
「一夏ぁぁぁ!!」
「り、鈴っ!?」
甲龍展開済みの鈴が教室のドアを蹴破って登場、両肩の衝撃砲をワンサマーに向けてますね、ええ。
「ま、まさか本当に撃ったりしない……よな?」
「死ね!!」
「ぎゃあああああああ!!」
――ドカァァァァァンッ!!
その日のSHRは織斑先生が鈴を制圧するまでの間、轟音と爆音が鳴り響いた。
……いやいや! 教室の被害がデカくなる前に制圧しろよブリュンヒルデ!!
といいつつ、セシリアの惚気が有耶無耶になったから良しとしよう。
当のセシリアも、2時限目が終わった辺りで冷静になったのか
「や、やっちまいましたわぁぁぁ……」
両手で顔を覆ったまま、机に突っ伏してした。
「なら、今度から思い付きでやらないでください」
「はぐぅ!」
ヴィシュヌからも正論パンチ(むしろキック?)を食らい、セシリアはKOされたのだった。
ーーーーーーーーーーーーー
――???
「いっくん、やっと零落白夜に気付いてくれたんだね。良かった良かった♪」
秘密ラボの中で、IS学園をハッキングして得た映像を見ていた束は、満足気に頷いていた。
VTSを積んだドイツのISをわざと見逃し、一夏に経験を積ませる。その計画は、確かに成功した。
さらにこの出来事により、白式のワンオフ・アビリティ『零落白夜』も表に出てきたのである。
零落白夜。バリアー無効化という破格の性能を持ちながらも、使用する度に自機のSEを消費するという諸刃の剣であり、現役時代の織斑千冬が使用していたIS『暮桜』のワンオフ・アビリティでもある。
本来、姉弟だったとしても同じワンオフ・アビリティが発現するとは限らないのだが……
~♪
薄暗い部屋の中で、突然ゴッド・ファーザーのテーマが流れる。音の発信源は作業台の上に置いてあるスマホ。
「こ、この着信音はぁ! とぅっ!」
スマホを取るのを最優先したため、同じ作業台に置いてあったマグカップやツールキットが床に散乱するが、束は全く気にせずスマホの通話ボタンを押す。
「もすもす
「……」
ぶつっと通話が切れる。
「わー! 待って待って!」
すると再度ゴッド・ファーザーのテーマが流れ、束は『今度はちゃんと出よう』と心に決める。……次回出る時にはまた忘れているのだが。
「やぁやぁちーちゃん、どうしたのかなぁ?」
「はぁ……まあいい。今日はお前に聞きたいことがある」
「なになに~?」
「今回の一件、一枚噛んでないだろうな?」
「今回?」
束は首をひねる。千冬の聞き方が曖昧すぎて、
「VTシステムだ」
「あれのこと? ちーちゃん、あんな不細工なシロモノ、この束さんが作るとでも?」
「そうか。では、邪魔をしたな」
「いやいや、ちーちゃんのためなら束さん、24時間フルオープンだよ!」
「……では、またな」
先ほどと同じくぶつっと通話が切れる。しかし、今度はもう一度かかってくることは無かった。
「久しぶりにちーちゃんの声が聞けて、束さんは嬉しいよぉ」
そう言いつつ、束は小学生時代からの親友である千冬に対して嘘をついた。いや、『一部の事実しか話さなかった』が正しい。
千冬は束に対して『VTシステムの件に関係してないか』と聞いた。それに対して束は『VTシステムなんか作ってない』と答えた。
そう、束は『今回の件に関わっていない』とは一言も言っていないのである。
確かに束はVTシステムを作ってはいない。しかしその存在をわざと見逃し、一夏に暴走したレーゲンをぶつけるため、抽選システムに細工をしていたのだ。
「それにしても、ちーちゃんが引退したのは惜しかったなぁ……あ、やば。腹立つことまで思い出してきた」
自分の作品を壊した挙句、不良品と抜かしたかの国を、束は一度は見逃している。
先にIS委員会が報復したこともあり、束としては珍しく、最初は大目に見ていた(単純に相手するのが面倒だったという理由もある)。
だが、2度目は容赦しなかった。南が持つ装備の中で、ハッキング出来るものは全て掌握、北の連中に攻め込むよう仕向けた。北が南を比較的短期間で併合できたのは、そう言った理由もあったのだ。
~♪
またスマホの着信音が鳴る。ただし今度は『極●の
初めてこの着信音が鳴ったからか、束は千冬の時以上に反応し、さっきまでのイライラもすっかり忘れて通話ボタンを押した。
「やあやあやあ! 久しぶりだねぇ箒ちゃん!」
「……姉さん」
「分かってる分かってる。用件は分かってるよぉ。欲しいんだよね? 箒ちゃんだけの専用機が! もちろん用意してあるよ! 最高性能にして規格外、そして『白』と並び立つ機体。その名前は――」
実妹との通話を終えた束は、ルンルン気分でキーボードを叩き始める。そうしてディスプレイに映ったのは、頭部から一対の翼が生えた、銀色のISだった。
「それじゃあ、箒ちゃんの晴れ舞台を用意しなきゃね。頑張れ箒ちゃん♪」
本作が面白いと感じていただけなくても、高評価や感想、お気に入り登録をよろしくお願いいたします。(オイ
……シャル、これで良かったのかなぁばっちゃ。