セシリア・オルコットとイチャラブしたいッ!! 作:シシカバブP
なお、作者はイギリスに行ったことは無い模様。
セシリアの両親とのインパクトの強すぎるファーストコンタクトを済ませた俺は、チェルシーさんに案内されてオルコット邸の廊下を歩いていた。
当初は適当な安ホテルにでも泊まろうと思ってたんだが、
『招待した方をお泊めしないなんて、オルコット家の沽券に関わりますわ!』
というセシリアの一言で、そのままオルコット邸に泊めてもらうことになったのだ。
『むしろ、どうしてそこでホテルに泊まるという考えに至りますの?』
セシリアに詰問された時は、どう返したらいいのか非常に困った。
いやだって、彼女の家に泊まるって、なかなか勇気がいるもんだろ? 今更何を気にしてるんだって? うるせぇ!
「悠人様のお部屋は、こちらになります」
そう言ってチェルシーさんがドアを開けると、庶民の俺が初めて見るような豪華な部屋だった。
ソファーとガラステーブルのセットがまず目に入り、奥の部屋にはキングサイズのベッドがチラッと見えた。窓からはオルコット邸のこれまた豪華な庭園を見ることが出来そうだ。
これ完全に、ホテルでいう『スウィートルーム』ってやつじゃん。マジか。
「これはまた……」
「もし手狭に感じましたら、そうお申し付けください。お時間いただきますが、別の部屋をご用意いたします」
「いやいや! ここで十分ですから! 俺この部屋気に入ったなー!」
「?」
チェルシーさんが不思議そうな目でこっちを見て来る。
すんません。庶民が英国貴族の家に泊まろうとして申し訳ございませんでしたぁ!
「あの……」
「あ、大丈夫です。ちょっと考え事してまして」
「はぁ……」
「悠人さーん」
おっと、セシリアに呼ばれちゃったな。さっさと荷物を置いて、と。
これからセシリアに、ロンドンの街を案内してもらう約束をしてたんだが、まだ準備が……。
「まだ準備中でしたの。もしかして、この部屋では手狭でした?」
「いやいや全然。というか、セシリアもチェルシーさんと同じこと言うなぁ」
「あら、チェルシー?」
「はい、お部屋にご案内しましたところ、難しい顔をされておりましたので」
「そうじゃないんですって。むしろ広くて驚いてたというか」
ビジネスホテルが文字通りウサギ小屋に感じるぐらいだ。
IS学園の寮部屋もそこそこ広いと思っていたが、上には上があるな。
「ああ、だからセシリアは寮の部屋にあのベッドを」
「あああああああ! 変なことを思い返さないでくださいまし!」
「ああ、やはりお嬢様が注文されたベッドは、寮のお部屋には大き過ぎましたか」
「やはりって、気付いていたならどうして止めてくれなかったんですの!?」
「はて?」
「チェルシー!?」
う~む、ずいぶん仲が良いな。原作でも言及してたが、主従というより姉妹だなこりゃ。もちろんチェルシーさんが姉。
あ、確か最初に案内してくれたメイド、ルイーザさんは『エクシア』って呼んでたな。ということは、あの子がチェルシーさんの妹か。
原作では心臓に病を患っていて、極秘裏に手に入れたISを使って生体融合処置を施された。そのISの入手先の関係で、セシリアの両親は命を落とすことになった。
だが、この世界線では二人は存命だし、エクシアも普通に生活しているように見える。
(なるほど、これが『亡国機業が存在しない流れ』ってことか)
亡国機業が存在しないから生体融合型ISの入手先が無く、エクシアの心臓病は存在しないことになった。そして、セシリアの両親が命を落とす原因も無くなった。そう修正されたようだ、この世界線では。
「…とさん、悠人さん」
「おっと、姉妹喧嘩は終わったか?」
「姉妹喧嘩では……いいえ、もういいですわ」
おっと、揶揄い過ぎてセシリアが拗ねちゃった。ここからは飴をあげないとな。
「ほらほらセシリア、機嫌直してくれよ~(頭撫ぜ撫ぜ)」
「ちょっと悠人さん! ここでそれはにゃ~ん❤」
「お、お嬢様……チョロすぎです……!」
頭を撫ぜた途端へにゃりとした笑顔で俺に抱き着くセシリアを見て、チェルシーさんが戦慄していた。
長らくオルコット家に仕えてきたチェルシーさんをして、こんなセシリアを見るのは初めてだったんだろう。
「ふにゅ~❤……はっ!チェ、チェルシー! 違うんですのよ!? これは悠人さんの能力が……!」
「今あったことは、奥様に報告しておきますね。悠人様、こちらがお部屋の鍵になります。それでは、ロンドンの街をお楽しみくださいませ」
「チェルシィィィィィ!」
セシリアの言い訳をさらっとスルーして、チェルシーさんは俺に部屋の鍵を渡すと、スーッといなくなってしまった。いや、普通に部屋から出て行ったんだが、あまりにも音もなくいなくなったからさぁ。
「うぅ……もうこうなったら、今夜お母様に揶揄われるのは諦めますわ! 悠人さん! 行きましょう!」
「お、おお!?」
「悠人さんには責任を取っていただきますわ! 飛行機の中で自重した分イチャラブしますわ!」
「セシリアからイチャラブってセリフが出て来るとは……望むところだと言わせてもらおう」
がっちり俺の腕にしがみ付くセシリアに促される形で、俺達はロンドンの街に繰り出すことになった。
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オルコット邸から車に乗って(その間も、セシリアは俺の腕から離れなかった)30分ほど、ロンドンの街に到着した俺達は、デカい川の前で車を降りた。
「こちらがテムズ川です。よく小説などの舞台になってますわね」
「ここがそうなのか。ってことは、あれが『ロンドン橋』か」
「そうですわ。夜になるとライトアップされて綺麗なのですが、その時間までここにいると晩餐に間に合わなくなりますから、今回は御用慮くださいまし」
「そうなのか、残念」
というか晩餐って……俺、テーブルマナーとか微妙だけど大丈夫なんだろうか……。
という不安を素直にセシリアに言ったところ
「今日は身内のみの晩餐ですから、そこまで悩まなくても大丈夫ですわ。とりあえず、スープをすすって飲まなければ問題ないかと」
「ああ、それがあったか」
すすって食べて問題ないのって、日本ぐらいらしいからな。注意せねば。
次にセシリアが案内してくれたのは、まるでアテネの神殿のような柱が何本も立った建物だった。
「大英博物館ですわ。内部には約700万点もの美術品や工芸品が収蔵されておりますのよ」
「確かロゼッタストーンもここに展示されてるんだよな。歴史の教科書でしか見たことないけど」
「はい、博物館で展示されているものの中で、一番の見どころとも言われておりますわ」
そう言うと、セシリアは博物館の中に……って、入場料とか払わなくていいのか?
「大英博物館は入館無料ですわ」
「無料? マジか」
「はい。ただ、オーディオガイドなどを借りる場合には貸出料がかかります。それと、維持・管理のために2,3ユーロほど寄付するのが推奨されてますわ」
「寄付か。まあ、入場料が2,3ユーロと思えば安いもんか」
俺は1ユーロ硬貨を3枚ほど出すと、入り口に設置されている箱に投入した。
セシリアも……10ユーロ紙幣入れてましたね。き、気まずい……。
「悠人さん、寄付はその人の善意でするものですから、他人の額を気にしてはいけませんわ。それにわたくしが寄付するのは、貴族として当然のことですから」
「お、おう……」
こういうやり取りをしてると、やっぱりセシリアは貴族なんだなぁって再認識するわ。ノブレス・オブリージュだっけか、うむむむ……
それから2時間ほどかけて博物館の中を見て回った。セシリアの説明もあったから、ガイドなんぞ必要なかったな。
そして浮いたオーディオガイド分、館内のカフェを利用することで貢献させてもらっている。
そう、イギリスのティータイムである。
よく映画で出てくるような3段重ねのスタンドに、サンドイッチやスコーンが並べられ……ということはなく。
出てきたのは紅茶とスコーンのセット。それとジャムが入った陶器の器と……なんだこれ。
「これはクロデットクリームと言って、スコーンにこのクリームとジャムを塗って食べるんですの」
「へぇ……おおっ、すげぇ糸引くなこのクリーム」
「ふふっ。それくらい濃厚ですが、甘さはほとんど無いので、ジャムの甘さが引き立つんです」
そう言ってクリームとジャムを塗って食べるセシリアを真似して、俺もスコーンを一口……あっ、美味い。
そして紅茶を……うん、ジャムの甘さと紅茶のちょっとした渋みが良い感じだ。
「悠人さん」
「ん?」
「クリーム、付いてますわよ」
セシリアの指が俺の頬を撫ぜる。その指には、宣言通りクロデットクリームが付いていた。
そしてそのクリームを、セシリアは
「ん……」
口を付けて舐めた。
うああ、いつだったか俺がセシリアの頬に付いたパンくずを取って食ったことあったけど、これ逆の立場だとこんなに恥ずいのかよ……。
「あの二人、こんなところで見せつけなくても……」
「おかしいわ、今日はストレートを飲んでるはずなのに胸焼けが……」
「なんなのよあの二人はぁ……!」
周りのお客さんにも飛び火していた。
なんだろう、本当なら俺とセシリアがアワアワして退店するところなんだろうが、IS学園でこういった視線に慣れちゃったせいで、むしろもっとイチャつきたいというか……あ。
「そういうセシリアも」
「へ?」
セシリアの口元に付いていたスコーンの欠片を指で摘まみ取る。そして
――パクッ
「ゆ、悠人さぁん……///」
「「「「ぎゃああああ!!」」」」
頬を赤らめるセシリアに対して、店内のお客さん全員から悲鳴が上がった。いや、店員さんもだ。
「やめてよぉ……」
「私達、ちょっと休憩していただけなのに、どうして……」
イギリスに来ても、セシラブは不変ということで。
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あの後、博物館の方から懇願されて、わたくし達は退館することになりました。
曰く『他のお客様の迷惑になるから』だそうで。ちょっとイチャラブし過ぎましたわね、失敗です。
「レゾナンスの時も大丈夫だったからいけると思ったんだが、お互い見誤ったな」
「そうですわねぇ……あら、少し冷えてきましたわね」
先ほどまでは少し暑いくらいだったのに、コロッと肌寒くなる。悠人さんに言った通り、イギリスは『1日の中に四季がある』というぐらい気候の変動が激しいですから。
「セシリア、大丈夫か?」
「ええ、これくらいは……くしゅんっ」
「いや、大丈夫じゃなさそうだろ。ほら」
そう言うと、悠人さんは持ってきていたジャケットを羽織ると、わたくしをジャケットの――懐の中に……は、はわわ~っ!
「ゆ、悠人さん!?///」
「これなら寒くないだろ?」
ええ寒くないです! むしろ身も心も温かいですわ! あ、上着越しに悠人さんの温もりが……❤
「お嬢様」
「ひゃっ!?」
「あれ、チェルシーさん?」
チェルシーですって!?
悠人さんと一緒に振り返ると、そこには確かに我が家のメイド、チェルシーの姿が。
「少し早いですが、お迎えに上がりました」
「そ、そうなんですの。分かりましたわ」
「お嬢様」
「な、なんですの?」
「今見たことも、奥様に報告させていただいても?」
「No!」
悠人さんとのイチャラブを止める気はありませんが、かと言ってお母様に弄られるネタを提供する気もありませんわよっ!!
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……ばっちゃ、チェルシーってこんなキャラだっけ?