セシリア・オルコットとイチャラブしたいッ!!   作:シシカバブP

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整合性? だから無いってそんなの。


第2話 一目惚れ

 最初はただの興味本位でした。

 世界に2人しかいない男性操縦者。その内、初代ブリュンヒルデ(モンド・グロッソ優勝者)織斑千冬の弟、織斑一夏はすでに教室にいなかったので、もう一人の方に声を掛けてみたのですが……

 

「ちょっとよろしくて?」

「はい?」

 

 真横から声を掛けたわたくしの方を向いた瞬間

 

 

――トゥンク……❤

 

 

(え、えええっ!?)

 

 

 今のは一体なんですの!? 目が合った瞬間、胸の奥から湧き上がってくるこの感情は!

 お、おおおおお、落ち着くんですわセシリア・オルコット! そそそ、素数を数えて落ち着くんですの……! 1,2,3,5……って1は素数じゃありませんわぁ!

 

 はっ! あちらがわたくしを見て固まってる! わたくし、変な人間だと思われてませんわよね!?

 

「あ、あの、聞いておりますの?」

「だ、大丈夫。急に声を掛けられて、ちょっとビックリしただけだから」

 

 そ、そうですわよね!? 急に話しかけられたらそうなりますわよね!? ふぅ……。

 

「セシリア・オルコットさんだっけ? イギリス代表候補生の」

「ご存知ですの?」

「一応、入学前に少し調べたからね」

 

 お、驚きましたわ。確かにわたくしは代表候補生、厳しい選抜試験を潜り抜けてきた自負はありますが、それでも海外の方が未だ候補生でしかないわたくしをご存知とは……。

 

 

――キュンッ❤

 

 

 なななな、何が『キュンッ❤』ですの! ま、まさか、わたくしが……栄えある英国貴族、オルコット家の次期当主たるわたくしが……!

 そ、それよりも、わたくしから話しかけたのですから何か話題を振らなくては……!

 

「それで、ええっと……」

 

 そこまで言いかけて、わたくしは致命的な過ちに気付いてしまいました。

  ファーストマン(織斑一夏)の自己紹介で時間切れになったせいで、この方の名前を知りませんわぁ!

 

「? ああ、俺の自己紹介キャンセルされたんだっけ。榊悠人だ、よろしく」

 

「は、はい!」

 

 思わず声が上擦ってしまいましたわぁぁぁ!

 

(もしかして、これが……一目惚れというものですの……!?)

 

「さ、榊さん。あ、貴方に、お願いがありまして……」

「お願い?」

 

 そう、榊さんに……っていえいえいえいえっ!! わたくし何を言おうとしていますの!? 出会ってまだほんの数分しか経っていない殿方に!

 

――トゥンク……❤

 

 だ、ダメですわ! そんなの、淑女にあるまじき……!

 

――トゥンク……❤

 

 あ、ああああああああああああああああああああっ!!

 

「俺に出来る事ならいいよ」

「あ、あの……! わ、わたくしと……!」

 

 

「わたくしと、付き合ってくださいまし!!」

 

 

 ああ、言ってしまいました……。

 初対面の殿方に、淑女たるわたくしから交際を申し出るなんて……。変な人間だと思われましたわ……死にたい。

 

「俺で良ければ、喜んで」

「へ?」

 

 今、なんて?

 

「俺相手じゃ、オルコットさんと釣り合わないかもしれないけど」

「そ、そんなこと!」

 

 ほ、本当に受けてくださいますの? こんな突然訳の分からないことを言い出したわたくしを?

 

「あ、あの、出来ればわたくしのことは『セシリア』と呼んでいただけると……」

「いいの?」

「お、お願いしますわ!」

「……分かったよ、"セシリア"。これからよろしくな。俺のことは好きに呼んでくれ」

「はい! 悠人さん!」

 

 ああ、目の前の殿方を、悠人さんと名前でお呼びしたら、心が……。

 今のわたくし、頭の中が真っ白になっているのは、羞恥のせいでしょうか。それとも、幸福のせいでしょうか……。

 

(お母様、お父様。わたくし、報告しなければならないことが出来ましたわ……)

 

ーーーーーーーーー

 

「――であるからして、ISの基本的な運用は――」

 

 1時限目のIS基礎理論の授業が始まって10分ほど。山田先生がすらすらと教科書を読んでいるが、正直頭に入ってこない。

 いやだって、入学初日からセシリア・オルコット(前世の推し)に告白されるとか、どんなサプライズだよ? 最高過ぎて、思わずドッキリを疑うレベルだぞ?

 まさか、転生特典の効果がここまでとは……。

 

(これだけで、この世界に転生した甲斐があった)

 

 そしてお互いファーストネームを呼び合った時、思わず抱き締めなかった自分の理性を褒めてやりたい。さすがにそれをやったらアウトだ。

 

「織斑君、何か分からないところがありますか?」

「あ、えっと……」

 

 左右をちらちら見ていたワンサマーが視界に入ったまーやんが、何かあったかと訊いてきた。

 まあそうだろうな。今までISと何の関わりも無かった奴が、急にIS学園に入れられたんだから、予備知識なんかあるわけないだろう。

 だから当然、ワンサマーの回答は

 

「ほとんど全部分かりません」

「え……ぜ、全部、ですか?」

「織斑、入学前の参考書は読んだか?」

 

 まさかの回答に困惑するまーやんを見て、織斑先生が介入してきた。

 表紙に『必読』とデカデカ書かれた参考書だ。俺もIS学園に送られることが決まった日、織斑先生から渡されている。当然、ワンサマーにも配布されたはずだが――

 

「古い電話帳と間違えて捨てました」

 

――ゴンッ!

 

「必読と書いてあっただろうが、馬鹿者」

 

 本日通算3回目のゲンコツを食らったワンサマーが、顔面を机に縫い付けられる。

 当時から原作読んで思ってたんだが、どうして捨てちまうかねぇ。本当はあまりの分厚さに読みたくなくて、わざと捨てちまったんじゃねぇのか? ちなみに俺は捨てたくなった。織斑先生の報復が怖くて我慢したが。

 

「あとで再発行してやるから、1週間以内に覚えろ。いいな」

「い、いや、1週間じゃ……」

「私はやれと言った。いいな」

「はい……」

 

 という原作通りのやり取りをした後

 

「他に分からない奴はいるか? そうだな……榊、お前はどうだ? 織斑と同じで、ISの予備知識は無かったはずだが」

 

 俺に矛先が向いてきたか。まあ確かに、俺もワンサマーと同じ……ところがギッチョン!

 

「ここまでの分は大丈夫です。入学前に怖ーい人が置いていった参考書を読んでいたので」

「ほう。もちろん全部読んだんだな?」

「それは無茶です。入学前の1週間で4割が限界でしたよ」

 

 俺は正直に答えた。

 この参考書マジで分厚いから、1週間で全部は読めなかった。睡眠時間以外の全部を使って、かつ速読すればいけるかもしれんけど。だからさっきも言ったんだ、俺はこいつを捨てたくなったって。

 

「4割……まぁ及第点か。期末試験はその参考書の範囲から出題されるから、それまでには読み終えておけよ。赤点を取って、夏休みを補習で埋めたくなければな」

 

 そう言うと、織斑先生はまた教室の端に戻って行った。

 確かに、夏休みを補習で潰されないためにも、頑張らなきゃならんな。

 セシリアとのイチャラブ生活のためにも!

 

「(榊君っていうんだ)」

「(SHRの自己紹介、織斑君で止まっちゃったから)」

 

 そうだね、君達俺の名前知らなかったもんね。仕方ないよね。

 分かってても、そうやって自分のことヒソヒソ話されると悲しいもんだ……。

 

 一方、ワンサマーはどうなったかと言えば

 

「えっと、織斑君。分からないところは授業後に教えてあげますから、頑張って? ね?」

「ありがとうございます。それじゃあ、放課後にお願いします」

「放課後……教師と生徒が二人っきり……だ、ダメですよ織斑君! 男女二人っきりでなんて……!」

 

――バシィィンッ!

 

「山田先生、授業の続きを」

「あ、あい……」

 

 妄想垂れ流しのまーやんを、織斑先生の出席簿が襲う――!

 そんなんで本当に教えられるのか……?

 

 そして、ふとセシリアの方を向くと

 

「っ!……♪」

 

 目が合って一瞬驚いた後、少し頬を赤らめて小さく手を振ってきた。可愛い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 2時限目は、ISの各種装備の特性についての授業だった。

 そこは実戦も絡むからか、織斑先生が壇上に立って授業を行っていた。まーやんも、俺達と同じようにノートを取ってるし。

 

「そういえば、来月行われるクラス対抗戦に出場する代表者を決めねばならんな」

 

 授業時間の8割方を消化した辺りで、ふと思い出したかのように織斑先生の説明が止まった。

 クラス対抗戦……これってあれか、クラス代表を決める、初のバトルイベント。

 

「対抗戦以外にも、生徒会や委員会の会議に出席する、言ってしまえばクラス委員みたいなものだ。一度決まると、その年は基本変更無しだ」

 

 ざわざわと教室中が色めき立つ。

 正直俺はやりたくないな、絶対面倒な仕事ばっかだし。前世でクラス委員やった経験者が言うんだから間違いない。それに、原作主人公から役を奪うわけにはいかんだろう?(建前)

 

「はい! 織斑君を推薦します!」

「お、俺!?」

「私もそれがいいと思います!」

「え、ええ!?」

 

 案の定、クラスからワンサマーを推す声が多数。ネームバリューは大事。はっきり分かんだね。

 

「では候補者は織斑一夏……他にいないか? 自薦他薦は問わないぞ」

「ちょっと待ってくれよ! 俺はクラス代表なんて――」

「自薦他薦は問わないと言った。そして他薦者に拒否権は無い」

「そ、そんな……」

 

 誰かを巻き添えにしようと教室内を見渡すワンサマーだが、誰も指名できないようだ。おそらく俺も、特典『危険回避』で巻き込めないようになってるんだろう。

 さて、ここでセシリアが『納得がいきませんわ!』とか言って、クラス代表決定戦をやることに――

 

「それでは、他に候補者がいないようなので、1組のクラス代表は織斑とする」

 

――パチパチパチパチっ!!

 

「くっそぉ……」

 

 あれ? あっさりワンサマーに決まっちまった? セシリアさん?

 視線を向ければ、周りのクラスメイトと一緒に拍手をしているセシリアが。ええ~……。

 

「クラス代表も決まったことだし、授業を再開する」

 

 そう宣言すると、弟が机の上に崩れ落ちたのを無視して、織斑先生は授業を再開したのだった。

 

 

 

 

 

 

 放課後、机の上で項垂れているワンサマーをみんなが素通りする中(なかなか薄情なものである)、俺はセシリアの席に近づいた。

 

「オルコットさ(´;ω;`)せ、セシリア」

「はい、悠人さん!(,,>᎑<,,)」

 

 姓で呼ぼうとしたら泣きそうになって、名前で呼んだらニッコニコの笑顔が返ってきた。

 

(可愛すぎるんじゃぁぁぁぁぁ!!)

 

 ……よし、心の準備完了。

 

「クラス代表を決めた時なんだけど、セシリアは立候補しなくてよかったのか?」

「悠人さんは、わたくしがクラス代表になりたいと思っていらしたんですの?」

「勝手な想像だけど、セシリアって今回みたいな『希少な男性操縦者だから』みたいな理由で代表選ぶの、嫌いじゃないか?」

 

 俺の知ってる原作では、そこに日本軽視な考えも加わってワンサマーとひと悶着を起こすんだが、そのイベントが完全に立ち消えてたんだよなぁ。

 

「確かにそう考えもしたのですが……」

「が?」

「とても恥ずかしいことなのですが……クラス代表になったら、色々忙しくなると思いますの」

「だろうな」

 

 前世でクラス委員やった経験者が(ry

 

「なので、その……」

 

 

 

「悠人さんとの時間を、減らしたくなくて……」

 

 

 

「……」

 

――ガバッ

 

「ゆ、ゆゆゆゆ、悠人さん!?」

 

「ご、ごめん! あまりにも嬉しすぎて……!」

 

 顔を真っ赤にして俯いた状態からそんなこと言われたら、抱き締めずにはいられんよぉぉぉぉ!!

 

「い、いえ! あの……出来れば、もう少しこのまま……」

 

 何も言わず、少し抱き締める力を強める。

 もう心臓がバックバクだ。もしかしたら、セシリアにも気付かれてるんじゃないだろうか。

 

「悠人さんの心臓の音が聞こえますわ……」

 

(死ぬぅぅぅぅ!! 幸せ過ぎて死んでしまうぅぅぅぅぅ!!)

 

 俺の中のイマジナリー奥州筆頭が『レッツパーリィ!』とか言いながら、六爪をぶん回してるぅぅ!

 『伊達はBASARAにて最弱』? お前みたいなダイヤ厨はオクラ(毛利)でも使ってろ!

 

 

 

「なんだろう、すっごい胸焼けが……」

「見せびらかしてきよる……」

「てぇ、てぇ……」

「か、かなりーん! しっかりしてー!」

 

 

 

……うん、まだ人が残ってる教室でやるもんじゃないですね。

 

「み、みなさん! これはちがっ! あ、あうぅ……」

「そ、それじゃあみんな、また明日……」

 

突発的に衆人環視の中でイチャラブしてしまった俺とセシリアは、お互い顔を真っ赤にして、そそくさと教室から逃げ出したのだった。




もし本作が面白いと感じていただけましたら、高評価や感想をよろしくお願いいたします!


……こう書くと、評価や感想がもらえるってばっちゃが言ってた。
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