セシリア・オルコットとイチャラブしたいッ!! 作:シシカバブP
最初はただの興味本位でした。
世界に2人しかいない男性操縦者。その内、初代
「ちょっとよろしくて?」
「はい?」
真横から声を掛けたわたくしの方を向いた瞬間
――トゥンク……❤
(え、えええっ!?)
今のは一体なんですの!? 目が合った瞬間、胸の奥から湧き上がってくるこの感情は!
お、おおおおお、落ち着くんですわセシリア・オルコット! そそそ、素数を数えて落ち着くんですの……! 1,2,3,5……って1は素数じゃありませんわぁ!
はっ! あちらがわたくしを見て固まってる! わたくし、変な人間だと思われてませんわよね!?
「あ、あの、聞いておりますの?」
「だ、大丈夫。急に声を掛けられて、ちょっとビックリしただけだから」
そ、そうですわよね!? 急に話しかけられたらそうなりますわよね!? ふぅ……。
「セシリア・オルコットさんだっけ? イギリス代表候補生の」
「ご存知ですの?」
「一応、入学前に少し調べたからね」
お、驚きましたわ。確かにわたくしは代表候補生、厳しい選抜試験を潜り抜けてきた自負はありますが、それでも海外の方が未だ候補生でしかないわたくしをご存知とは……。
――キュンッ❤
なななな、何が『キュンッ❤』ですの! ま、まさか、わたくしが……栄えある英国貴族、オルコット家の次期当主たるわたくしが……!
そ、それよりも、わたくしから話しかけたのですから何か話題を振らなくては……!
「それで、ええっと……」
そこまで言いかけて、わたくしは致命的な過ちに気付いてしまいました。
「? ああ、俺の自己紹介キャンセルされたんだっけ。榊悠人だ、よろしく」
「は、はい!」
思わず声が上擦ってしまいましたわぁぁぁ!
(もしかして、これが……一目惚れというものですの……!?)
「さ、榊さん。あ、貴方に、お願いがありまして……」
「お願い?」
そう、榊さんに……っていえいえいえいえっ!! わたくし何を言おうとしていますの!? 出会ってまだほんの数分しか経っていない殿方に!
――トゥンク……❤
だ、ダメですわ! そんなの、淑女にあるまじき……!
――トゥンク……❤
あ、ああああああああああああああああああああっ!!
「俺に出来る事ならいいよ」
「あ、あの……! わ、わたくしと……!」
「わたくしと、付き合ってくださいまし!!」
ああ、言ってしまいました……。
初対面の殿方に、淑女たるわたくしから交際を申し出るなんて……。変な人間だと思われましたわ……死にたい。
「俺で良ければ、喜んで」
「へ?」
今、なんて?
「俺相手じゃ、オルコットさんと釣り合わないかもしれないけど」
「そ、そんなこと!」
ほ、本当に受けてくださいますの? こんな突然訳の分からないことを言い出したわたくしを?
「あ、あの、出来ればわたくしのことは『セシリア』と呼んでいただけると……」
「いいの?」
「お、お願いしますわ!」
「……分かったよ、"セシリア"。これからよろしくな。俺のことは好きに呼んでくれ」
「はい! 悠人さん!」
ああ、目の前の殿方を、悠人さんと名前でお呼びしたら、心が……。
今のわたくし、頭の中が真っ白になっているのは、羞恥のせいでしょうか。それとも、幸福のせいでしょうか……。
(お母様、お父様。わたくし、報告しなければならないことが出来ましたわ……)
ーーーーーーーーー
「――であるからして、ISの基本的な運用は――」
1時限目のIS基礎理論の授業が始まって10分ほど。山田先生がすらすらと教科書を読んでいるが、正直頭に入ってこない。
いやだって、入学初日から
まさか、転生特典の効果がここまでとは……。
(これだけで、この世界に転生した甲斐があった)
そしてお互いファーストネームを呼び合った時、思わず抱き締めなかった自分の理性を褒めてやりたい。さすがにそれをやったらアウトだ。
「織斑君、何か分からないところがありますか?」
「あ、えっと……」
左右をちらちら見ていたワンサマーが視界に入ったまーやんが、何かあったかと訊いてきた。
まあそうだろうな。今までISと何の関わりも無かった奴が、急にIS学園に入れられたんだから、予備知識なんかあるわけないだろう。
だから当然、ワンサマーの回答は
「ほとんど全部分かりません」
「え……ぜ、全部、ですか?」
「織斑、入学前の参考書は読んだか?」
まさかの回答に困惑するまーやんを見て、織斑先生が介入してきた。
表紙に『必読』とデカデカ書かれた参考書だ。俺もIS学園に送られることが決まった日、織斑先生から渡されている。当然、ワンサマーにも配布されたはずだが――
「古い電話帳と間違えて捨てました」
――ゴンッ!
「必読と書いてあっただろうが、馬鹿者」
本日通算3回目のゲンコツを食らったワンサマーが、顔面を机に縫い付けられる。
当時から原作読んで思ってたんだが、どうして捨てちまうかねぇ。本当はあまりの分厚さに読みたくなくて、わざと捨てちまったんじゃねぇのか? ちなみに俺は捨てたくなった。織斑先生の報復が怖くて我慢したが。
「あとで再発行してやるから、1週間以内に覚えろ。いいな」
「い、いや、1週間じゃ……」
「私はやれと言った。いいな」
「はい……」
という原作通りのやり取りをした後
「他に分からない奴はいるか? そうだな……榊、お前はどうだ? 織斑と同じで、ISの予備知識は無かったはずだが」
俺に矛先が向いてきたか。まあ確かに、俺もワンサマーと同じ……ところがギッチョン!
「ここまでの分は大丈夫です。入学前に怖ーい人が置いていった参考書を読んでいたので」
「ほう。もちろん全部読んだんだな?」
「それは無茶です。入学前の1週間で4割が限界でしたよ」
俺は正直に答えた。
この参考書マジで分厚いから、1週間で全部は読めなかった。睡眠時間以外の全部を使って、かつ速読すればいけるかもしれんけど。だからさっきも言ったんだ、俺はこいつを捨てたくなったって。
「4割……まぁ及第点か。期末試験はその参考書の範囲から出題されるから、それまでには読み終えておけよ。赤点を取って、夏休みを補習で埋めたくなければな」
そう言うと、織斑先生はまた教室の端に戻って行った。
確かに、夏休みを補習で潰されないためにも、頑張らなきゃならんな。
セシリアとのイチャラブ生活のためにも!
「(榊君っていうんだ)」
「(SHRの自己紹介、織斑君で止まっちゃったから)」
そうだね、君達俺の名前知らなかったもんね。仕方ないよね。
分かってても、そうやって自分のことヒソヒソ話されると悲しいもんだ……。
一方、ワンサマーはどうなったかと言えば
「えっと、織斑君。分からないところは授業後に教えてあげますから、頑張って? ね?」
「ありがとうございます。それじゃあ、放課後にお願いします」
「放課後……教師と生徒が二人っきり……だ、ダメですよ織斑君! 男女二人っきりでなんて……!」
――バシィィンッ!
「山田先生、授業の続きを」
「あ、あい……」
妄想垂れ流しのまーやんを、織斑先生の出席簿が襲う――!
そんなんで本当に教えられるのか……?
そして、ふとセシリアの方を向くと
「っ!……♪」
目が合って一瞬驚いた後、少し頬を赤らめて小さく手を振ってきた。可愛い。
2時限目は、ISの各種装備の特性についての授業だった。
そこは実戦も絡むからか、織斑先生が壇上に立って授業を行っていた。まーやんも、俺達と同じようにノートを取ってるし。
「そういえば、来月行われるクラス対抗戦に出場する代表者を決めねばならんな」
授業時間の8割方を消化した辺りで、ふと思い出したかのように織斑先生の説明が止まった。
クラス対抗戦……これってあれか、クラス代表を決める、初のバトルイベント。
「対抗戦以外にも、生徒会や委員会の会議に出席する、言ってしまえばクラス委員みたいなものだ。一度決まると、その年は基本変更無しだ」
ざわざわと教室中が色めき立つ。
正直俺はやりたくないな、絶対面倒な仕事ばっかだし。前世でクラス委員やった経験者が言うんだから間違いない。それに、原作主人公から役を奪うわけにはいかんだろう?(建前)
「はい! 織斑君を推薦します!」
「お、俺!?」
「私もそれがいいと思います!」
「え、ええ!?」
案の定、クラスからワンサマーを推す声が多数。ネームバリューは大事。はっきり分かんだね。
「では候補者は織斑一夏……他にいないか? 自薦他薦は問わないぞ」
「ちょっと待ってくれよ! 俺はクラス代表なんて――」
「自薦他薦は問わないと言った。そして他薦者に拒否権は無い」
「そ、そんな……」
誰かを巻き添えにしようと教室内を見渡すワンサマーだが、誰も指名できないようだ。おそらく俺も、特典『危険回避』で巻き込めないようになってるんだろう。
さて、ここでセシリアが『納得がいきませんわ!』とか言って、クラス代表決定戦をやることに――
「それでは、他に候補者がいないようなので、1組のクラス代表は織斑とする」
――パチパチパチパチっ!!
「くっそぉ……」
あれ? あっさりワンサマーに決まっちまった? セシリアさん?
視線を向ければ、周りのクラスメイトと一緒に拍手をしているセシリアが。ええ~……。
「クラス代表も決まったことだし、授業を再開する」
そう宣言すると、弟が机の上に崩れ落ちたのを無視して、織斑先生は授業を再開したのだった。
放課後、机の上で項垂れているワンサマーをみんなが素通りする中(なかなか薄情なものである)、俺はセシリアの席に近づいた。
「オルコットさ(´;ω;`)せ、セシリア」
「はい、悠人さん!(,,>᎑<,,)」
姓で呼ぼうとしたら泣きそうになって、名前で呼んだらニッコニコの笑顔が返ってきた。
(可愛すぎるんじゃぁぁぁぁぁ!!)
……よし、心の準備完了。
「クラス代表を決めた時なんだけど、セシリアは立候補しなくてよかったのか?」
「悠人さんは、わたくしがクラス代表になりたいと思っていらしたんですの?」
「勝手な想像だけど、セシリアって今回みたいな『希少な男性操縦者だから』みたいな理由で代表選ぶの、嫌いじゃないか?」
俺の知ってる原作では、そこに日本軽視な考えも加わってワンサマーとひと悶着を起こすんだが、そのイベントが完全に立ち消えてたんだよなぁ。
「確かにそう考えもしたのですが……」
「が?」
「とても恥ずかしいことなのですが……クラス代表になったら、色々忙しくなると思いますの」
「だろうな」
前世でクラス委員やった経験者が(ry
「なので、その……」
「悠人さんとの時間を、減らしたくなくて……」
「……」
――ガバッ
「ゆ、ゆゆゆゆ、悠人さん!?」
「ご、ごめん! あまりにも嬉しすぎて……!」
顔を真っ赤にして俯いた状態からそんなこと言われたら、抱き締めずにはいられんよぉぉぉぉ!!
「い、いえ! あの……出来れば、もう少しこのまま……」
何も言わず、少し抱き締める力を強める。
もう心臓がバックバクだ。もしかしたら、セシリアにも気付かれてるんじゃないだろうか。
「悠人さんの心臓の音が聞こえますわ……」
(死ぬぅぅぅぅ!! 幸せ過ぎて死んでしまうぅぅぅぅぅ!!)
俺の中のイマジナリー奥州筆頭が『レッツパーリィ!』とか言いながら、六爪をぶん回してるぅぅ!
『伊達はBASARAにて最弱』? お前みたいなダイヤ厨は
「なんだろう、すっごい胸焼けが……」
「見せびらかしてきよる……」
「てぇ、てぇ……」
「か、かなりーん! しっかりしてー!」
……うん、まだ人が残ってる教室でやるもんじゃないですね。
「み、みなさん! これはちがっ! あ、あうぅ……」
「そ、それじゃあみんな、また明日……」
突発的に衆人環視の中でイチャラブしてしまった俺とセシリアは、お互い顔を真っ赤にして、そそくさと教室から逃げ出したのだった。
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……こう書くと、評価や感想がもらえるってばっちゃが言ってた。