セシリア・オルコットとイチャラブしたいッ!!   作:シシカバブP

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嘘みたいだろ。この演劇、ラスト以外は大体原作沿いなんだぜ……?


第36話 バトル・オブ・シンデレラ

 生徒会長に主力を引き抜かれて休業状態になった俺達1年1組は、もうそれならと開き直って、第4アリーナで行われる生徒会主催の演劇を見に行くことになった。

 ちなみに、4組の更識さんに状況を説明したところ

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい! お姉ちゃんがまた迷惑かけて……!」

 

 平身低頭して1組のみんなに詫びを入れていた。

 なんか、わざわざ更識さんに頭下げさせたみたいで非常に罪悪感を感じたが、こうなっては後の祭りだ。

 すまん更識さん。後でお姉さんを絞めるなりして憂さ晴らしをしてくれ。

 

「それにしても、すごいセットだね~」

「一体いつの間に用意したんだろう?」

 

 のほほんさん達が話しているように、アリーナを丸々使ったセットがそこにあった。

 一体どこからそんな金が……なんて考えるのは、俺が根っからの庶民だからだろうか。

 

「それでセシリア、やっぱりそこに座るんだ……」

「そうですが、何か?」

 

 相川さんに指摘されて首を傾げるセシリアは現在、俺の膝の上に座っている。

 俺は別に構わないぞ。セシリア1人乗ったぐらいで潰れるほど、俺の膝はヤワじゃないし。

 

「それに、そのために最後列に座りましたのよ。後ろの方に迷惑をかけないように」

「配慮するところそこじゃないから!」

「はて?」

「くぁー! ヴィシュヌさんがいないからツッコミ役が足りないぃぃ!」

 

 絶叫して頭をわしゃわしゃする相川さん。のほほんさんは我関せず、極力こっちを見ないようにしているようだ。

 

「おっ、始まるみたいだぞ」

 

 ブザーが鳴って照明が落ちると、ざわざわしていた観客席が静まり返る。

 そしてセット全体を覆っていた幕が上がり、姿を現した舞踏会場にライトが当たる。

 

『むかしむかしあるところに、シンデレラという少女がいました』

 

 聞き覚えのある声――たぶん生徒会長のはず――のナレーションとともに、王冠を被った王子様スタイルのワンサマーが舞台袖から現れた。

 

「織斑君、かっこいー!」

「これはこれでありね!」

「ところで、シンデレラ役はどなたなんでしょう? 会長が連れて行った内の誰かだとは思いますが」

 

 みんながワンサマーの容姿に言及する中、セシリアが疑問を口にする。

 さて、原作通りならこの後……

 

『否、それはもはや名前ではない。幾多の舞踏会を駆け、群がる敵兵をなぎ倒し、灰燼を纏うことさえ厭わぬ地上最強の兵士達。彼女等を呼ぶに相応しい称号……それが『灰被り姫(シンデレラ)』!』

 

「「「はい?」」」

 

 観客席一同、総ポカン。遠くて分かりづらいが、舞台上のワンサマーも同じ顔をしてるようだ。

 少なくともグリム童話のシンデレラは、そんなお話じゃない。

 

『今宵もまた、血に飢えたシンデレラ達の夜が始まる。王子の冠に隠された隣国の軍事機密を狙い、舞踏会という名の死地に少女たちが舞い踊る!』

 

「「「なんじゃそりゃ~!?」」」

 

「もらったぁ!」

「鈴さん!?」

 

 セシリアが驚き口にした通り、白地に銀のあしらいをしたシンデレラ・ドレスを着た鈴が、三枚刃の手裏剣みたいなものをワンサマー目掛けて投げつける。

 それを寸でのところで躱すワンサマー。あんな早い投擲、よく躱せたな。

 

「一体何すんだよ! 俺を殺す気か!?」

「手加減してるわよ! いいからその王冠を寄こしなさい!」

「は? 王冠? それで止まってくれるんなら……」

 

 鈴から催促されたワンサマーが、素直に王冠を外そうとしたところ

 

『王子にとって国とは全て。その重要機密が隠された王冠を失うと、自念の責によって電流が流れます』

「はい?」

 

 突然のナレーションに、ポカンとしたワンサマーだったが

 

――バリバリバリッ!

 

「ぎゃああああっ!?」

 

 織斑に電流走る――! 文字通り電流が走ってるんだよなぁ。

 

『嗚呼! なんということでしょう。王子様の国を思う心はそうまで重いのか。しかし私達には、ただ見守る事しか出来ません』

 

(((ひ、ひどい……)))

 

 鈴の乱入までは笑っていた観客席も、これにはドン引きせざるを得ない。

 

「すまん鈴! これは渡せそうもねぇ!」

「ちょっと一夏! 待ちなさぁい!」

 

「一夏ぁぁぁ!」

「僕にその王冠!」

「私に渡せぇぇ!」

 

 また電流を流されては堪らないと逃げ出すワンサマー。追いかける鈴。さらに舞台袖から現れた、同じくシンデレラ・ドレスを着た篠ノ之、シャルロット、ボーデヴィッヒ(残りの織斑ハーレムの面々)

 ……それで、どうして君達は全員武装してるのかな? 原作では対弾シールド持ちだったシャルロットも2丁拳銃になってるし。

 

「突然連れて来られて何かと思えば、どうしてこうなったのでしょう……」

 

 ドレス姿で一人頭を抱えているヴィシュヌが、逆にシュールに見えてしまう。

 

「邪魔をするな!」

「うるさいわねぇ! そっちが邪魔なのよ!」

「ふんっ、先にお前達から排除してやろう」

 

「なんか織斑君そっちのけで乱闘始めてるんですけど……」

「ねぇセシリア、シンデレラってこんな内容だっけ……?」

「いいえ、まかり間違ってもこのようなお話ではありませんわ……」

 

 もはや1組全員の口元が引き攣っていた。原作知識がある俺ですら、いざ現物を目の前にして頭を抱えそうになってるぐらいだ。

 

『さあ! ただいまからフリーエントリー組の参加です! みなさん、王子様の王冠目指して頑張ってくださ~い!』

 

「「「はい?」」」

 

『見事王冠をゲットした人は、生徒会長権限で織斑君と同じ部屋に住む権利をあげちゃいまーす!!』

 

「「「はいぃぃぃ!?」」」

 

 どうやら知らなかったのは1組を含めた観客席の人間だけのようで、専用機持ちと同じように舞台袖から

 

「織斑君、大人しくしなさい!」

「私と幸せになりましょう、王子様」

「そいつを……よこせぇぇぇ!」

 

 数十人のシンデレラが現れ、舞台上を逃げ回るワンサマーを執拗に追いかけ回す。

 これは……地獄だ。つーか怖ぇ。

 

「悠人さん?」

 

 あまりに怖かったのか、気付けば膝の上に乗っていたセシリアを抱き締めていた。

 

「わりぃ、あの光景はあまりに怖かったもんで、つい」

「いえいえ、そのまま抱き締めてくださいまし。正直わたくしも少し恐怖を感じましたから……」

 

 そう言って、俺の方に腕を回すセシリア。

 う~ん、絵面はイチャラブのはずなんだが。まるで、ビビりの2人がお化け屋敷に入ったみたいな……。

 

 そうこうしている内に、さすがのワンサマーもシンデレラ部隊に包囲されてしまったようだ。

 

「待て待て! 話せば、話せば分かる!」

「「「「「「問答無用ぉぉぉ!!」」」」」」

 

 総理大臣が青年将校に暗殺されそうな問答の末、ワンサマーへの突撃が敢行され、

 

――バリバリバリッ!

 

「ぎゃあああああああああっ!!」

 

 先ほどとは比べものにならない、ワンサマーの悲鳴と電流の流れる音が響き渡った。

 そして悲鳴が聞こえなくなり、黒焦げで口から煙を吐き出すワンサマーの頭からは、王冠が無くなっていた。

 

「王冠は!? 王冠はどこ!?」

「誰が取ったの!?」

「私だっ!」

 

 王冠を探して右往左往するシンデレラ達の中から、一際大きな勝鬨を上げたのは

 

『なんと、王冠と一緒に王子様を射止めたシンデレラは、ラウラ・ボーデヴィッヒちゃんでした~!』

 

「ら、ラウラぁ!?」

「アンタ、いつの間に……!」

「なんということだ……!」

「もう、何が何やら……」

 

 一枚上手だったボーデヴィッヒを見上げて打ちひしがれるハーレムの面々、ため息をついて(かぶり)を振るヴィシュヌ。

 

『こうして軍事機密を手に入れたシンデレラは、また新たな舞踏会を探して旅を続けるのでした。めでたしめでたし~』

 

 ナレーションの会長が、無理矢理話をまとめようとしてたところで

 

『えっ、か、簪ちゃん!? どうして打鉄弐式を展開してるの!? さすがのお姉ちゃんもISで殴られたら死んじゃうから! ま、待って待って――』

 

 そこでブツンッと放送室からの声が途切れた。とうとう妹さんの堪忍袋の緒が切れたようだ。インガオホー

 

「……教室に戻ろっか」

「……そうだね」

 

 誰かが言い出したのにみんなが乗っかり、俺達1組はぞろぞろとアリーナの観客席を後にした。

 

「待ってください! 私も戻りますから!」

 

 急いで着替えてきたのだろう、ヴィシュヌも回収して。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 さて、そうして教室に戻って来たのはいいが、問題が。

 

「ご奉仕喫茶、続けるか?」

「「「あ~……」」」

 

 黒焦げワンサマーが復活する兆しは今のところ無し。ハーレムの面々もほぼ使い物にならない。そうなると、主力がヴィシュヌしかいないわけで……。

 

「まさかヴィシュヌに、『もえもえ~~~~っ、きゅんっ☆』を高速でやってもらうわけにもいかんだろうし」

「それは忘れてください!」

 

 メイドの所作を練習する際、ヴィシュヌがオムライスに対してやった『もえもえ~~~~っ、きゅんっ☆』

 同性のクラスメイト達ですら次々に撃沈していった、まさにリーサルウエポンだ。俺もセシリアという存在がいなければ危なかった。

 なお、あまりに破壊力があり過ぎて、本番では『美味しくな~れ』に変わったという逸話もある。

 

「仕方ない。榊君、ピンチヒッターお願い!」

「俺ぇ?」

「榊君なら執事服も着れるでしょ? それに所作も大体分かるだろうし」

「そりゃ、織斑とシャルロットの練習は見てたけど。俺じゃジェネリック織斑になるかもあやしいぞ」

「ジェネリックって……それでも、このまま休業してたら経費の回収が出来ないし」

「それがあったか……」

 

 確かに谷本さんの言う通り、このままだと食材は余るわ赤字になるわでマズいことになる。

 

「仕方ない、やるか」

「それで、セシリアもホールをやって欲しいんだけど」

「わたくしもですの?」

榊君と一緒に、やって欲しいな~」

「分かりましたわ! 篠ノ之さん達の代打として! 仕方なく! わたくしもホールをやりますわ!」

「わーたすかるなー(棒)」

 

 みんなのセシリアを見る目が生温い。そんなチョロいセシリアも、俺は好きです。

 

 そうして学園祭の後半は、俺、セシリア、ヴィシュヌでホールを回すことになった。

 あ、訂正。実はもう一人援軍が。

 

「えっと……お姉ちゃんが迷惑かけたから、罪滅ぼしに……」

 

 なんと更識さんが、姉の負債(やらかし)を肩代わりしにやって来たのだ。で、夜竹さん達の手によってメイド服を着せられ、俺達と一緒にホールを担当することに。

 そのおかげもあって、午前中ほど盛況とはいかないものの、なんとか損益分岐点ギリギリ(赤字にならない程度)の売り上げを出すことが出来たのだった。

 

 

 

「ところで更識さん、生徒会長は?」

「額に"犬"って書いて簀巻きにした後、学生寮の2年生の階に転がしておいた」

「うわぁお」

 

 額に"犬"って、それ次何かやったら死罪じゃないですかやだー。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

「今日は疲れましたわぁ」

「ああ、マジで疲れた」

 

 学園祭が終わり、後片付けをして寮に戻って来た俺達は、部屋に着くなり仲良くベッドに倒れ込んだ。

 おそらく今頃、ワンサマーの部屋にボーデヴィッヒが突撃してるんだろう。それを冷やかしに行く元気すら、今の俺達には残ってないが。

 

「給仕があれほど大変とは思いませんでしたわ。今度、チェルシー達を労わなければいけませんわね」

「そうするといい。無理して笑顔を作ってたから、顔の筋肉が痙攣してる気がする」

「ふふっ……悠人さん」

「ん~?」

 

 脱力して返事する俺の方に、セシリアが寝そべったまま寄って来る。

 

「いつもでしたら、このまま抱き着いたりキスをしたりするところですが」

「それは……そうかも」

 

 なにせ入学初日からして、同衾&セシリア布団というパワーワードをかましたわけで、否定する材料が何一つない。

 

「こうやって、一緒に寝るだけでも幸せですわ」

「そうか……」

 

 そう返事をしながらも、俺はセシリアの方に腕を伸ばし、その手を握る。

 

「俺は欲深いみたいだ。こうやってセシリアと少しでも触れ合っていたい」

「悠人さん……」

 

 すると、セシリアが握られた手をスルリと抜け出して、改めて俺と手を繋ぎ直す。恋人繋ぎで、だ。

 

「先ほどの言葉は撤回いたします。実はわたくしも、なかなか欲深いようですわ。なにせ手の繋ぎ方にも希望がありますもの♪」

「セシリアも欲深いのかぁ。でも仕方ないよな、好きなんだから」

「はい、仕方ありませんわ。好きですから」

 

 手の平から伝わるお互いの熱を感じながら、俺達は消灯時間ぎりぎりまでそうしていたのだった。




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……何となくでラウラを選んでみたよばっちゃ。
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