セシリア・オルコットとイチャラブしたいッ!! 作:シシカバブP
第38話 夏休み特別企画(今更)
学園祭が終わり、月が変わった最初の日。朝のSHRでまーやんの第一声から始まった。
「榊君ですが、今日からIS実習の模擬戦には参加しません」
「え?」
「先生、どういうことですか?」
突然の連絡内容に、全員が頭に疑問符を浮かべる。
「それがですねぇ……榊君の専用機が学園に返却されることになりまして……」
「返却って……」
「「「ええ~~~~!?」」」
「どどど、どういうこと!?」
「榊君、専用機取り上げられちゃったの!?」
「取り上げられたとか、人聞きの悪いこと言うな。自分の意志で返したんだよ」
「それこそどうして!?」
よっぽど俺のやったことが理解できないのか、みんなが俺を質問攻めしてくる。
「俺が専用機を渡されたのって、日本政府の意向によるものが大きいからさ」
「え? だって榊君、日本人だし……」
「え~、そのことですが……」
その疑問に応えるべく、まーやんが声を上げる。半ばヤケクソ気味に。
「榊君は今日をもちまして、イギリス国籍になりました!」
「「「な、なんだってぇぇぇぇぇ!?」」」
俺とセシリアを除く、1組全員が絶叫。
「榊君、イギリス人になっちゃったの!? なんで!?」
「でもイギリスって……まさか!」
ぐるんっと、クラスの視線が俺からセシリアに移る。
「みなさんが仰りたいことは分かりますが、違いますわよ。わたくしと悠人さんはまだ未成年ですから、結婚できませんし」
「そ、そうだよね……」
「てっきり、二人が籍を入れた関係で国籍が変わったものだと……」
さすがにそれはないだろう。……籍入れてなくても、俺がセシリアラブなのは変わらないが。
「でも、それならどうして? 榊君」
と聞かれたから、答えておくか。別に隠すような事でもないし。
「俺の親父がイギリスの企業に転職することになってな。その関係で両親ともイギリスに移住・国籍変更することにしたから、俺も一緒に変えたってだけの話だ」
「はぁ……」
「でも、それで専用機も返しちゃうんだ」
自分から専用機を返すなんて、普通はあり得ないか。でも俺、あんまりIS自体に思い入れが無いからなぁ。
ちなみに最前列の席では、ワンサマーが『自分から力を捨てるとか、あり得ないだろ……』とかブツブツ独り言を呟いていた。怖っ!
「連絡事項は以上だ。1時限目の授業を始めるぞ」
これ以上混沌とする前に、織斑先生が手をぱんぱんと叩いて話をぶった切った。
普段からこうしてくれると助かるんだが。基本、自分の損得でしか動かないからなぁこの先生。(偏見)
ーーーーーーーーーーーーー
放課後、整備室で専用機(待機状態のIDタグ)をまーやんに渡した俺とセシリアは、そこから部活棟に足を運んでいた。
テニス部への入部届自体は事前に出してあるが、実際に部活へ顔を出すのは今回が初めてになる。
専用機返却の描写がずいぶんあっさりしてるって? 仕方ないじゃん、思い入れが無いんだから。
「榊君、本当にテニス部に入る気なのね」
テニスコートに入って、部長(ネクタイの色からして、2年生だと思う)の第一声がそれだった。
あ~、あんまり歓迎されてない?
「部長、その言い草はどうなんですの?」
「怒らないでセシリア。まさか男子が我が部に入るなんて思って無かったから……」
「ああ、そりゃそうですよね」
「悠人さん!」
いやだって、言われてみれば納得出来る理由だったし。
そうして俺達が話をしている間も部員が続々と集まって来る。で、まずは他の部員との顔合わせから始めることとなった。なったんだが……
「今日から1年1組の榊君が我がテニス部に入るわ」
「「「お~(パチパチ)」」」
「みなさん、意外と普通の反応ですわね」
「榊君には悪いけど、織斑君ほど知名度無いからね~」
「それは事実だし、変に距離置かれるよりはマシかな?」
俺は別にワンサマーみたく、マネージャー業がしたくて入部したわけじゃないし。
「う~、なんか納得いきませんわぁ……」
「それに織斑君と違って、榊君はセシリアと出来てるって話だしね。彼女持ちに粉掛けようって子はいないでしょ」
「それなら納得ですわ!」
「セシリア……」
掌を高速回転させるセシリアに、みんなゲンナリ顔になった。ウチの嫁がすまんなぁ。(言ってみたかった)
そんなやり取りを経て、さっそくテニス部の活動が始まった。
軽いストレッチをこなして、まずはウォーミングアップのショートラリー。
で、俺もまずはやってみようということで、コート内に入ってラケットを振ってみたんだが……
「大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫……。やっぱバドミントンとは違うって実感した」
まずは何と言っても、ラケットとボールが重い。そんで、打ち返す時のインパクトがデカくて、最初バドミントンと同じ要領で打ったら手首がやられそうになった。
さらに、基本ネット前での応酬になるバドミントンと違って、テニスはコートを走り回ることになるから、結構足も使うんだよな。
「悠人さん、まずはフォームを見ましょうか」
そう言ってセシリアが俺の後ろに回ると、俺の腕を取る。
「ここでラケットを引いて……こうですわ!」
あっ、テニスウェアの上から双丘が当たって……。
「当ててますのよ❤」
また耳元でASMR! セシリア、恐ろしい子……!
「なるほど、こう振ればいいのか」
「そうですわ。悠人さん、いけずですわ……」
周りに聞こえないように小声で文句を言われたが、さすがにここでイチャラブは……するに決まってんだろ!
「そうかそうか。セシリアも結構汗かいてるな」
「はい?」
首を傾げるセシリアの顔に、俺はタオルを近付けるフリをして、周りに見えないように
――チュッ
「~~!?」
「誰がいけずだって?」
「もうっ、悠人さん!///」
自分から誘っておいて、運動後とは別の理由で顔を赤くするセシリアが可愛い。
「部長、あれって……」
「はいはい、口から砂糖吐きたくなかったら見ちゃダメよー」
「上級生にすら、悠セシの恐ろしさが伝わってるなんて……」
「今日はいつもより多めに塩分摂っておきましょう」
ありゃ、見えないようにしたつもりだったのに、失敗したか。
でもセシリアが可愛いからヨシッ!
「えっと……それでは悠人さん、今のフォームで、もう一度ショートラリーをしてみましょう」
「ああ、分かった」
それから俺は時間ギリギリまで、セシリアを相手にショートラリーを続けたのだった。
う~む、やってみたらテニスもなかなか面白いな。食わず嫌いは良くないって良く分かったわ。
ーーーーーーーーーーーーー
部活動の時間が終わり、セシリアの着替えが終わるのを待って、俺達は寮に戻って来たんだが……
「榊君、待ってましたよ」
「山田先生?」
なぜかまーやんが、出入り口で待ち構えていたのだ。
「どうしたんですか? 今日は専用機の返却以外にタスクは無かったはずですが」
「その専用機についてなんですよ。榊君から返却された打鉄の拡張領域に、忘れ物が入ってましたよ」
「拡張領域に?」
言われて思い出そうとするが、別に何も入ってなかったはずだが。特典ガチャで入手した武装はセシリアのブルー・ティアーズに付いてるし。
「はい、これです」
「これ?」
「なんですの、これ?」
まーやんから渡されたのは、紙切れが一枚。マジで入れた記憶が無いんだが?
ピラッと裏返すと、そこに書かれていたのは『夏休み特別企画!』の文字とURL。500mlペット飲料に貼られてるシールみたいなやつか?
「今度から貸し出し物を返す時は、ちゃんと中身を確認してくださいね」
「はぁ、分かりました」
全く身に覚えがないが、とりあえず返事をすると、まーやんは満足したように首を縦に振って寮の奥へと消えていった。
「マジで覚えが無いんだがなぁ」
「もしかしたら、何か別の物を入れた時に誤って一緒に入ってしまったのではありませんか?」
「それは、あり得るかも」
夏休みにイギリスへ行った時に、荷物類は全部拡張領域に入れてたからな。その時に混じった可能性も無くはない。
そうして部屋に戻り、セシリアが大浴場に行っている間、俺は渡された紙に書かれたURLが気になってスマホを……あれ、なんかメールが来てる。
『夏休み特典URL配布のお知らせ
いつもご利用いただきありがとうございます。
「セシラブッ!!」運営チームです。
夏休み特別企画といたしまして、特典ガチャ5連を配布いたしました。
[対象]IS世界へ転生されたユーザー
[受け取り方法]特典受け取り用URLからアクセスしてください
[使用期限]夏休み終了から2カ月
今後とも「セシラブッ!!」をよろしくお願いいたします。』
……
お前かぁぁぁ!!
何かと思ったらあの紙、女神様の仕業だったのかよ! つーか、文面完全にソチャゲのそれだろ!
そもそも『セシラブッ!!』ってなんだよ!……これもしかして、俺が転生前に女神様の前で言った『セシリアと学園でイチャラブしたいッ!!!!』の略か。
ま、まあいい。ツッコミどころは満載だが、とりあえずこのURLがフィッシング詐欺の類で無いことが分かっただけでも上々だ。
気を取り直して、俺はスマホでブラウザソフトを立ち上げると、紙に書かれたURLに飛んでみた。
そして飛んだ先で表示されたのは、暗幕の画像と『OPEN』の文字。なんだ、どこかで見覚えが……
試しにタップしてみると、暗幕が開き、中央に『夢』と書かれたカプセルトイの筐体が鎮座し、上からデフォルメされた篠ノ之達が……ってぇ!
これISABのガチャ画面じゃねぇかよぉぉぉ!!
どうりで見覚えがあると思ったわ! 学生時代に俺のバイト代を溶かしまくった元凶じゃねぇか!
あっ、7人全員落ちてきた。え~っと……SSRの黒カプセルが1、SRの白が2つ、Rの黄色が2つか。
『特典ガチャ結果(夏休み特典5連)
・専用機 Lv4
説明:イギリス政府からデータ収集用の機体が貸与される
・資金 Lv3
説明:口座に100万円送金
・IS適性 Lv3
説明:IS適性がBランクになる
・身体能力 Lv4
説明:更識家当主(笑)と同じくらいになる
・資材 Lv5(Max)
説明:以下の内、1つをランダムで入手(専用機取得後)
・ビームピストル
・ミサイルポッド
・シールドビット
なお、この連絡を受け取った時点から有効となります』
まずは上から見ていくか。
専用機。まーやんに打鉄を返却したと思ったらこれかよ。まあ、イギリス政府も男性操縦者のデータは欲しいだろうから、なるべくしてなったと言うべきか。
資金。前々回のガチャに比べて、額が増えたな。よし、これでセシリアへ贈る婚約指輪を買おう。
IS適性。普通は喜ぶべきなんだろうが……。まあ、あって困るもんでもないだろう。
身体能力。これは素直に嬉しいかもしれん。説明文、更識家当主(笑)って……もうあの会長、女神様の中で弄られ枠確定してるじゃん。
ラスト、資材。……
ロックオォォォン!!
ガンダム00に登場するケルディムガンダムの装備じゃねぇか! いや嬉しいよ!? 俺狙い撃てねぇからライフルが無くて良かったし! つーか女神様、アンタもアニオタか!?
――♪
なんて興奮していたら着信音が。
「もしもし?」
「悠人、僕だ」
「親父、どうかしたのか?」
相手は親父だった。まあ、出る前に通知が出て知ってはいたが。
「こっちはやっと荷解きが終わってな。国籍の移動も、ルイーザさんやフィリップさんのおかげで無事に終わったよ」
「おお、それは良かった」
「お前も今日からイギリス人になったわけだが、何か問題が発生したりしてるか?」
「いいや? 国籍が変わったからって、突然英語の成績が良くなるわけでもないしな」
「そりゃそうだ」
二人してあはははと笑う。強いて言えば打鉄を返したぐらいか。対して問題でもないが。
「それで、だな。本題は別にあるんだ」
「ほう?」
「転職先のアルヴィス・ヴィッカース社に、今日初出社したわけなんだが……」
「なんか問題でもあったのか?」
「お前の専用機、来週IS学園に届けることになった」
「……パードゥン?」
「どうもイギリス政府がお前の稼働データを欲しがって、ヴィッカース社に前々から用意させてたらしいんだ。で、僕は最終調整のために、機体を持ってまた日本に行くことになったわけで……」
「……」
あまりの内容に、二の句が継げなくなっていた。さっき引いたガチャ、効力発揮するの早過ぎませんかねぇ!?
「それと一緒にブルー・ティアーズの新武装も持っていく予定だから、セシリアさんには悠人から伝えてくれるか?」
「それは、まあ、いいけど……」
「頼んだよ。それじゃあ、また来週」
プツッと通話が切れたスマホを、じっと見つめる。もう、何が何やら……。
「ただいま戻りましたわ――悠人さん?」
そんな俺を、風呂から戻って来たセシリアが不思議そうな顔で見ていた。
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……ネタに走ったらこれだよばっちゃ。