セシリア・オルコットとイチャラブしたいッ!! 作:シシカバブP
それと、今日で初投稿から1年経ったみたいです。時間が経つのは早いですね~。
とある日、イギリス首相官邸内の会議室では、政府高官やIS関連企業の重役、上位爵位を持った貴族達が集まっていた。
「それでは、
「はい、その通りです」
首相の言葉に、IS関連企業『アルヴィス・ヴィッカース社』の役員が首を縦に振る。
「オルコット嬢に貸与されたブルー・ティアーズのデータから、
「ほう、オルコット卿の御令嬢がか。素晴らしい」
「さすが、名門オルコット家ですな」
周りの貴族達からの称賛に、出席していた
「それで、婿殿の方はどうでしたかな?」
「婿殿……ああ、2人目の男性操縦者の」
「オルコット嬢と仲が良いとは聞いていましたが、もうそこまで?」
「はい。彼のご両親とも対面しましたが、お互いいい関係を築いていますよ」
「これはまた、めでたいですな」
悠人の両親がイギリスに渡った当日に、
『私、セシリアちゃんみたいな娘が欲しかったんですよ~』
『それを言うなら私達も、悠人さんが義理とはいえ息子になってくれて嬉しいですわ』
『『あはははは~!!』』
と、母親同士で意気投合していたのは、居合わせた父親同士の秘密である。
「それで、ミスタ・ユートに貸与したISは"サイレント・ゼフィルス"だったな?」
「はい。ブルー・ティアーズ2号機と呼ぶべき試験機ですが……」
「何か問題があったか?」
「いえ」
「彼は普通にビット制御を行っておりました」
「「「「は?」」」」
報告したヴィッカース役員以外、会議室にいた全員が絶句した。
ビット制御にはIS適性の他にも、BT適性が別途必要になって来る。それ故に、首相を筆頭とした会議の出席者は
それがいざ蓋を開けてみれば、セシリア程ではないにせよ、ビットをそれっぽく制御していたのだ。
「こういう時、日本では『タナボタ』と言うのでしたか」
「まさにまさに。これはまた、オルコット卿のお手柄ですな」
「私としても、彼を家族ごと誘った甲斐がありましたよ」
「ええ。我がヴィッカース社としても、彼の父親である榊京介が来てくれたのは渡りに船でした」
政府高官の一人が『そうなのか?』と問うと、役員は他の出席者を見回しながら説明を始めた。
榊京介は元・倉持技研の開発主任であり、一時期は日本の代表候補生に貸与する第3世代機開発にも抜擢されるほどの実力者だった。
それが、1人目の男性操縦者であり、ブリュンヒルデの弟である織斑一夏の専用機『白式』の開発を倉持が受注してから、彼の人生は大きく変わってしまった。
白式開発のために人員が引き抜かれ、代表候補生に渡すはずのIS開発がストップしてしまったのだ。さらに白式のデータ収集・解析を優先するという理由で、開発自体を永久凍結。とどめに別の委託先を探すなどのアフターケアも一切無し。
そんな非道に我慢が出来なかった京介は倉持を辞し、妻子を連れてイギリスに渡ったと。
「倉持技研、下衆ですな」
「今頃は
「ですが、希少な男性操縦者も大事でしょうが、自国の代表候補生を蔑ろにするのは如何なものか」
「然り。これを許す日本政府も、自国の顔を自分達で潰しているようなものでしょう」
ここにいる英国人による、倉持技研やその判断を良しとした日本政府への感想は辛辣の一言だった。
「しかし、そろそろ我が国の専用機にも、実績が欲しくなりますな」
「ですな」
「クラス対抗戦は仕方ないにしても、学年別トーナメントが中止になりましたからな。他の国も実績に飢えているでしょう」
IS学園はこの半年近く、公式記録を取れるイベントを行えていなかった。
先ほどの高官の言った通り、学年別トーナメントが中止になったのが痛かった。そのせいで、特に欧州勢の専用機はまったく実績が無いままなのだ。
「確か再来週、キャノンボール・ファストが開催されますな」
「キャノンボール・ファスト? 国際試合はまだ先では?」
「いえいえ、IS学園が学外実習として、市の特別イベントに参加するやつですよ」
「ああ、彼の学園にはそれがありましたな。では、そこでオルコット嬢とミスタ・ユートには頑張ってもらいましょう」
「異議なし」
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イギリスとは打って変わって、日本の首相官邸内の会議室では、参加者が揃ってお通夜状態になっていた。
「それでは、白式の解析は全く進んでいないと?」
「そ、それは……」
ギロリッと首相に睨まれ、倉持技研からやってきた役員は冷や汗を流しながら弁明を続けた。
「何分ISはブラックボックスが多いものでして、まして
「はぁ……もういいです、建設的な話をしましょう。その解析を進めるために、一体何が必要なんですか?」
「そ、それでは、榊京介という男を逮捕していただけますか!」
突然おかしな事を言い出したなと、他の参加者は倉持の役員に怪訝な視線を送った。
「……その榊京介氏は何者なのですか?」
「この男は元々我が社の社員なのですが、開発主任という立場でありながら、ある日突然姿を消してしまったのです! もしかしたら我が社の技術を他国に売り飛ばす売国奴の可能性も……ですから、奴を捕まえてください! 奴は白式のデータ解析にも参加していましたから、そこから司法取引をして解析作業をやらせれば……」
「……はぁ」
役員が捲し立てる妄言に、首相は目頭を押さえ、先ほどよりも大きなため息をついた。
「貴方は何を言っているのか、理解しているのですか?」
「何を、とは? 私は犯罪者を――」
「その榊京介氏ですが、今はイギリスにいますよ」
「はぁ!?」
理解が出来ないという顔をする役員を見て、『なんでお前が知らないんだよ!』と参加者一同、心の中で叫んでいた。
「ある日突然姿を消した? 辞表を提出しているでしょう。技術を売り飛ばす? すでにイギリス政府に確認を行い、調整も終わっています。もちろん、彼の転職先であるアルヴィス・ヴィッカース社にもです」
「あ、アルヴィス・ヴィッカース社!? どうして出国させたのですか! そこで足止めしていただければ、我々が奴を連れ戻して――!」
「日本には職業選択の自由もあれば、犯罪者でもない限り出入国の自由もあります。そもそもですね、榊氏が倉持技研を辞したのは、貴方達が先に不義理をしたからでしょう」
「な、何を……!」
「打鉄弐式」
「!?」
『どうして知っているんだ!?』と言いそうになった役員は、寸でのところで言葉を飲み込んだ。
「倉持技研は日本の代表候補生に貸与するISの開発を受注したにも関わらず、さらに白式の開発も受注した。その結果、打鉄弐式の開発を永久凍結にして、しかも新しい委託先も探さずに放置した」
「さらに度し難いことに、IS管理局の人間を買収して、打鉄弐式の件を握りつぶしていたと。果たしてどちらが売国奴なのやら」
首相の言葉に続いたのは、今回の件で内部監査を行った官房長官であった。
そして首相以下、主要な大臣達が事の経緯を知った以上、倉持技研の命運は決まっていたのだ。そう、この会議は始まる前から。
それでも、白式の――篠ノ之束が手掛けた機体――の解析が進んでいれば、まだお目溢しをする余地もあった。しかし、彼らはその必要が無いほどに無能だった。
「倉持技研に対する処置は、追って通達を出します。それでは、本日の会議はこれにて解散とします!」
首相の宣言に、ぞろぞろと会議室を出て行く参加者達。そして最後には、膝から崩れ落ちる倉持技研の役員だけが取り残されたのだった。
翌日、日本のIS関連企業である倉持技研の不正が取り沙汰されると、マスコミはこぞって倉持技研に突撃を開始した。
当初は不正を否定していた倉持だったが、その後政府が公式の場で倉持技研の不正を公式発表してからは、どうすることも出来なくなっていた。
無論、買収されたIS管理局を管轄する省庁も糾弾されることになったが、倉持のそれとは比べものにならないほど軽微であった。
『倉持技研、買収で不正を口止めか!?』
『かつての世界シェア第2位も、どこまで真実なのか』
『売国奴・倉持の闇に迫る』
週刊誌もゴシップのようなタイトルで記事を掲載し、それを読んだ人達からも非難の声が上がるのに時間はかからなかった。
そして数日後、倉持技研は正式に解体された。
ただし、白式のデータ収集と解析を行える一定レベル以上の研究員は残留、政府直轄となった。
それ以外の人員は、ほとんどが他のIS企業から声がかかることも無く、他業種での再就職も全敗を喫し、自分達が無能であったことを証明していた。
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『いっくんは心配するかもだけど、これ以上あの無能共に白式を預けるのもね~。まっ、残った連中でもメンテぐらいはできるでしょ』
誰も知らないとある場所で、うさ耳を付けた女がそう呟いてニヤリと笑っていた。
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……次はちゃんとセシラブしたいよばっちゃ。