セシリア・オルコットとイチャラブしたいッ!!   作:シシカバブP

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一夏と無人機とのバトルシーン? 見たければ原作7巻を買って、どうぞ。


第50話 タッグマッチの裏で

 専用機持ちタッグマッチ当日。不参加の俺とセシリアは、他の生徒と一緒にアリーナの観客席に――いなかった。

 じゃあどこにいるのかというと、俺達は在日英国大使館に呼び出されていた。

 

「……」

「……」

 

 大使執務室の中にある応接用ソファに座っているセシリアは、めちゃくちゃ落ち着かない様子だ。正直俺もかなり緊張している。

 そりゃ、向かいに座っているのがこの部屋の主、英国全権大使だからだ。

 今朝呼び出しの連絡を受けて、まーやんに伝えて公欠扱いにしてもらい、そこから大使館に着くなりこの部屋に通されて、かれこれ10分ぐらいこのままなんだが……気まずい……

 

「お二人をお呼びしたのは、もちろん理由があります」

「はい……」

 

 理由は何となく見当が付く。先日俺達がやらかした『Youtube配信中の情報漏洩』の件だろう。

 実際に情報を口にしたのは更識さんだったとしても、すぐに配信を切れなかったのは俺の責任だからな。さすがにそこは言い訳出来ない。

 俺が言う権利は無いんだろうが、出来れば牢屋行きは勘弁してほしいなぁ……

 

 恐る恐るセシリアが返事をすると、大使さんは真顔で頷き、脇に置いていた鞄から書類を取り出した。

 

「お二人の専用機のオーバーホールが終わりまして、現在この大使館地下に保管してあります。ここに受け取りのサインを」

「「え?」」

「どうしました?」

「いえ……てっきり先日のYoutube配信の件で何かあるのかと……」

「ああ、それですか」

 

 今度は俺が恐る恐る口にすると、大使さんは苦笑して

 

「その件については、特に叱責等はありませんよ」

「そ、そうなのですか?」

「ええ。なぜならあの配信で流れた内容は、直前にヴィッカース社が会見発表したものですから」

「「ええ!?」」

 

 大使さん曰く、俺達が配信していた同じ頃、イギリスではヴィッカース社が記者会見を開き、倉持技研から打鉄弐式の管轄を移管されたと発表していたらしいのだ。

 そして、その発表後にヴィッカース社が更識さんに連絡をして、その更識さんが俺達に教えるために部屋に来た。

 つまり、あの時点で更識さんが口にした内容は機密でもなんでも無かったと。

 

「そ、そうだったんですか……」

「良かったですわぁ……」

 

 俺とセシリア、二人揃って力が抜けたようにソファに座り込んだ。

 普通に何かしらのペナルティがあると思ってたから、まさに僥倖……!

 俺達は一安心して、書類にサインするため一緒に差し出された万年筆に手を伸ばした。いやぁ、良かった良かった。あとは地下に行って専用機を受領して……

 

「ですが」

「はい?」

 

 大使さん? どうしてそんな怖い笑顔で、俺とセシリアの肩を掴むんです?

 

「今回の件、お二人の危機管理がなっていなかったのは事実です。お分かりですね?」

「あ、はい……」

「そうですわね……」

 

 大使さん大使さん、肩を掴んでる手に力入れすぎです。痛い痛い痛い……

 

「セシリア嬢は、代表候補生としての心構えを思い出していただきませんと」

「はいぃ……」

「ミスタ・ユートも、セシリア嬢のPONをうまく制御することを、英国政府は望んでいます」

「そ、そそそ、そうなんですか……?」

 

 あ、指食い込んでるってぇぇ……!

 

「何卒! よろしくお願いしますね!?」

 

――ゴリッ!

 

「「ぎゃひぃぃぃぃぃ!!」」

 

 大使さんの最後の一押し(物理)に、俺とセシリアは仲良く悲鳴を上げた。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 その後サインを終え、未だズキズキ痛む肩を引き摺りつつ、俺達は大使館の地下に続くエレベータに乗っていた。

 

「いつつ……それにしても、大使館の地下って何があるんだ?」

「わたくしも直接見るのは初めてですが、噂では緊急時に大使が脱出するための地下通路があると言われておりますわ」

「それはあくまで噂です。実際は食糧庫や公文書の保存室等です。そして――」

 

 大使さんが言葉を区切るのと同時に、チーンという音と共にエレベータの扉が開いた。

 そのまま大使さんの先導で、やや薄暗い通路を進むと――

 

「やあ、待ってたよ」

「親父?」「お義父様?」

「久しぶりって感じじゃないよな。そしてセシリアさんは……いや、もうその呼び方でいいや」

 

 教室2つ分ぐらいの何もない部屋に、親父が立っていた。そして親父、とうとうセシリアのお義父様呼びを黙認することにしたか。

 そして訂正。何もないと言ったが、デカイものが2つ、親父の背後に鎮座していた。

 

「ブルー・ティアーズ……」

「サイレント・ゼフィルスも、オーバーホールが終わったんだよな?」

「ああ、自動修復じゃ直し切れなかった細かい個所とか、装甲やスラスターの疲労した部分とかの交換は済ませてあるぞ」

 

 確かにそれは大事だ。実際キャノンボール・ファストじゃ、それが原因で入賞を逃した場面(ワンサマーのチョンボ)をこの目で見てるからな。

 

「それじゃあ二人共、念のためここで搭乗してくれ。設定が正常か確認するから」

「分かった」

「分かりましたわ」

 

 親父の指示に従って、俺達はそれぞれの専用機に乗り込む。そして腕部のマニピュレータを動かしたり、部屋の中を歩いてみたり。うん、やっぱ打鉄より動かしやすい。

 

「ああ、やはりブルー・ティアーズに乗っているとしっくり来ますわ」

「同感だ」

「フィッティングの分を差し引いても、やっぱり打鉄やラファールは乗り辛かったかい?」

「はい。ラファールでしたら、もう少し違ったかも知れませんが……」

「俺は一時期打鉄に乗ってたが、一度専用機に乗ると重く感じちまうな」

「ははっ、やっぱりそういうものか」

 

 雑談めいたことをしつつも、親父は端末を片手にパラメータをあれこれ確認している。

 それからしばらくして、特に問題が無かったのか専用機を待機状態にするよう言われ、俺達は専用機をそれぞれの待機状態(イヤーカフとIDタグ)に。

 ……うん、やっぱりイヤーカフを付けたセシリアがしっくり来るな。可愛さは変わらずMAXだが」

 

「あの、悠人さん……///」

「悠人、その心の声が漏れる癖は直した方が良いぞ」

「あ」

 

 またオレやっちゃいました?

 いい加減、どうにかしないといけないのは分かってるんだが……でもな親父、これが難しいんだよ。だって

 

「セシリアが可愛いから仕方ない!!」

 

「ゆ、悠人さぁん……❤」

「……美嘉さん、俺達、息子の教育を間違ったのかなぁ……」

 

 すまん親父、これは譲れないんだ。だからそんな遠い目をしないでくれ。

 

 

 

 

 こうして俺達の元に、半月ぶりに専用機が戻って来たのだった。

 そしてそのまま、俺達はIS学園に……

 

 戻るわけ無いんだよなぁ!!

 

「あの、悠人さん? 本当に学園に戻らなくてよろしいんでしょうか?」

「大丈夫だって。ちょっと大使館での用事が長引いて昼を過ぎたから、帰る途中で昼食を済ませるだけなんだから」

「そ、それなら大丈夫……なんでしょうか?」

 

 という理論武装の元、俺達はレゾナンスのフードエリアで軽食を食べていた。

 ちなみに店には入らず、タコスのテイクアウトをしてベンチで食べている。どうして店内で食べないかって? それはな……

 

「はい悠人さん、あ~ん❤」

「んぐ、結構ライムが効いてるが、それがチキンと合うな。ほい、セシリア」

「あむ❤ ん~! か、辛いですわぁ!」

「おっと、これ飲め~(ジンジャーエールの入ったカップを向ける)」

「ごくごく……ぷはぁ、やはりハラペーニョは少しずつでないとダメですわ」

「やっぱそうか。どれどれ……うおっ、結構クるなこれ」

 

 

「あ、あの二人がまた来たぞ……!」

「というか、同じタコスを二人で食べてるし……」

「間接キスってレベルじゃねぇぞ……!?」

「てぇてぇ」

「いやもうあれ、てぇてぇってレベルじゃないから」

 

 

 店内で食べた時より、周りの視線が多いなぁ。まあそれで怯むほど、俺達のイチャラブはヤワじゃないんだがな。

 

「はい、次はポークビーンズですわ❤」

「おう」

 

「「「「ぎゃああああ!!」」」」

 

 今日もセシラブでタコスが(さらに)美味い!

 

ーーーーーーーーー

 

 昼食を食べ終えモノレールで学園に戻って来ると、アリーナの方から黒煙が上がっていた。

 

「悠人さん、あれは……!?」

「タッグマッチをやってる方からだな……」

「急ぎましょう!」

 

 事情を知らないセシリアに急かされる形で、俺達はアリーナに向かって走り出した。

 そして走りながら、俺は困ったなぁと思っていた。

 

(これ、もし無人機が撃退されて無かったら、セシリアが参戦しようとするんじゃないか?)

 

 そうなると、かなり面倒なことになる。

 

 まず前提として、今回のタッグマッチは篠ノ之束によって無人機の乱入が予定されていた。目的はワンサマーと篠ノ之に実績を与える事。

 で、その際邪魔になる俺とセシリアに対して、専用機のオーバーホールをでっち上げてタッグマッチを不参加にさせた。

 Q.ここで専用機を受領した俺達が無人機と遭遇、戦闘するとどうなるか?

 A.ワンサマー達の活躍の機会を奪ったと、うさ耳博士から逆恨みされる。

 

(まずい、まずいなぁ……)

 

 セシリアとは別の意味で焦っていると、アリーナに行く途中でクラスメイトにばったり遭遇した。

 

「あれ? 二人共、もう国からの呼び出しは終わったの?」

「谷本さん? ええ、用事は済みましたが……何ともありませんの?」

「へ? 何が?」

「ほら、あれ」

 

 セシリアの質問に首を傾げる谷本さん。俺がアリーナの方を指さすと、理解したような顔になって

 

「それが大変だったんだよ。なんか正体不明のISが試合中に乱入してきてさぁ」

「ええ!? そ、それで、その乱入者はどうなりましたの?」

 

 すると、谷本さんは『よくぞ聞いてくれた!』と言って

 

「なんと! 織斑君が乱入してきた3機の内の1機を撃破したんだよ!」

「織斑さんが、ですの?」

「そうそう、そうなの!」

「それで、残りの2機はどうなったんだ?」

「あ~……それはねぇ……」

 

 なんだ、急に歯切れが悪くなって。

 

「1機は逃走して、残りの1機は……自爆したんだよ」

「自爆!?」

「そうなんだ。それで今、アリーナは閉鎖されて、織斑先生達が調査をしてる最中なんだよ」

「そう、ですの……」

 

 どうして二人がそんなに暗く……ってああ、そういうことか。

 

(二人共、乱入者が無人機だって知らないもんな)

 

 事情を知らない人からしたら、『ISが操縦者ごと自爆した』って思うよな。そりゃ暗くもなるか。

 

 表向きの状況を谷本さんから聞いた俺達は、とりあえず職員室に行き、まーやんに報告をした。

 

「はい、お疲れさまでした。事情は周りの子から聞いてるとは思いますが、今日はこのまま寮に戻ってください」

「アリーナの調査が終わるまで、ですか?」

「はい。くれぐれもアリーナの方には近づかないでくださいね。はぁ、学年別トーナメントといい、問題が絶えません……」

 

 きっとこの後、ワンサマーに破壊された無人機の解析もまーやんに回されるんだろうなぁ。可哀想に。

 そんなまーやんに心の中で黙禱すると、俺達は職員室を辞して、言われた通り学生寮に引き上げたのだった。

 

 それにしても、ワンサマーが無人機に勝ったのか……俺が奴を侮り過ぎてたか?




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……オリ主だって、やらかしたら罰が必要だよねばっちゃ。
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