セシリア・オルコットとイチャラブしたいッ!!   作:シシカバブP

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説明回&短めです。

次回から新章かつ、イチャラブしていく予定ですので、少々お待ちください。


第51話 マッチポンプの後には

――IS学園、地下特別区画

 

 学園の教師でさえ一部の人間しか存在を知らない区画で、真耶は先日回収された所属不明機の残骸を解析していた。

 一夏と箒が共同で破壊したものと、逃走する機体を追撃していたシャルロット・ラウラ組を妨害するように自爆したものと。

 しかし、調べても調べても、有用な情報は出て来ない。

 

「やっぱりダメですか……」

 

 やがて一時休憩しようとディスプレイから目を離すと、すでに冷めきったコーヒーの入ったマグカップに口を付ける。

 結局分かったことと言えば、襲撃したISが無人機だったことと、そのISコアが未登録のものだったということ。

 それ以上のことを調べようにも、自爆した機体はコア諸共消失、一夏達が破壊したものも原型を留めている部品の方が少ない。コアが残っていただけでも御の字という状況である。

 

(これを送り込んできた者の目的は、一体何だったんでしょう……?)

 

 各国が試作すらしていないISの無人機。しかも、アリーナ上部の遮断シールドを突破するほどの出力を持つビーム兵器を持った機体。そんなものを複数機用意できるような組織……

 

(組織……いいえ、もしかして組織ではなく、個人?)

 

 

 通常であれば何を馬鹿なと鼻で笑われるような仮説。しかし真耶には、いや、ISのことを学んだ人間なら誰もが、その仮説を一蹴することは出来ない。現に、このISは"一人の人間が作ったもの"なのだから。

 そう考えると、先ほど解析結果を聞きに来た千冬の反応も頷けると、真耶は火傷の心配が無くなったコーヒーを、カップに残っていた分全てを一度に飲み切った。

 

「それに、大丈夫なんでしょうか……」

 

 千冬の決定で、回収されたISコアについては政府に黙っていることになった。

 

『考えてもみろ、ISコアはどの国も喉から手が出るほど欲しているものだ。例えIS委員会に渡したとしても、不要な争いの種になるだけだ』

 

 言っていることは分かる。しかし、もしコアの存在がどこかに漏れれば、このIS学園そのものが狙われる。不要な争いとやらがこの学園で起こることになる。

 

『心配するな。私を誰だと思っている? これでも元世界最強だ。学園の一つぐらい、守って見せるさ』

 

 にやりと口元をつり上げる千冬に、多少は安心感を抱いた真耶だったが、彼女が部屋を出て行った後も、全ての不安が拭い去られたわけでは無かった。

 

「このまま、何事も無ければいいんですが……」

 

 自分自身、無理だろうなと半ば諦めながら、真耶は未登録のISコアを同じ特別区画内にある保管室に安置すると、地上に上がっていった。

 千冬から指示された通り、日本政府に対して『回収した機体のISコアは全て破壊された』と虚偽の報告をするために。

 

「あ、そういえば取り調べの時間ですね」

 

 あの戦闘に関わった専用機持ち全員強制参加の事情聴取。それをやらないと報告書が書けないことを思い出し、真耶はその足で学生寮に赴くと、専用機持ち達の部屋を順番にノックしていった。

 

 

 この日、五反田蘭が通う聖マリアンヌ女学園の学園祭があり、一夏は彼女と一緒に見て回るという約束をしていたのだが、それは見事にドタキャンとなった。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

――???

 

「……」

 

 秘密ラボの一角、四畳半の畳が敷かれ、その上にちゃぶ台が置かれた場所に、束はゲンドウポーズで佇んでいた。

 

「束さま、作戦は成功したのにどうされたのですか?」

 

 束の向かい側に座るクロエは、ちゃぶ台の上の藤かごからミカンを取りながら、主の謎行動に首を傾げていた。

 

「くーちゃん……」

「はい」

 

「いっくん、弱すぎぃ……!!」

 

 怒鳴らないようにしつつも、天を見上げながら両手をワキワキさせる束。それに対して、さらに首を傾げるクロエ。

 

「そうでしょうか? 織斑一夏ですが、そこまで弱いようには感じませんでしたが……」

 

 クロエの言うように、別に一夏はそこまで弱いわけでは無い。

 原作と比べると少ないと思われるが、それでもVTS事件や銀の福音などで実戦経験はそれなりに積んでいるし、白式だって第二形態移行(セカンド・シフト)済みである。

 さらに更識楯無との特訓もあり、現時点で一夏は、成り立ての代表候補生レベルの実力は持っているのだ。

 

「え~? いっくんならもっと、ゴー君達をズバズバーッ!って倒してくれると思ったんだけどな~。1機倒しただけで箒ちゃん共々へばっちゃうし」

 

 それもあって、束は残った2機の片方を帰還させ、もう片方を自爆させた。

 そうすることで『各国の専用機持ちが束になっても取り逃がした所属不明機を、織斑一夏(ブリュンヒルデの弟)が撃破した』という美談に持っていったのだった。

 

「それは、さすがに高望みが過ぎます」

 

 これもクロエの指摘通り、束が要求するハードルが高過ぎるのである。

 そもそも束本人が自分の高スペック基準で『これくらいは出来るだろう』と考えているのに加え、一夏の周りにいるのが各国の専用機持ち代表候補生ばかりなので、一夏に対する期待値が青天井になっているのだ。それは無理無茶無謀というものである。

 そんな束、さらに不満点を口にする。

 

「ゴー君を撃破した後、箒ちゃんが嬉しさのあまりいっくんに抱き着いたでしょ」

「そうでしたね」

「これ見てよ」

 

 束がちゃぶ台の上にあったリモコンのボタンを押すと、空中投影ディスプレイが表示される。

 そこには線グラフのようなものが映し出されていた。

 

「これ、いっくんの脳波の一部を数値化したものなんだけど、まずここ」

 

 どこから出してきたのか、指し棒をグラフのある点に向ける。そこが、このグラフの数値が最も高い点である。

 

「横軸の時間を見る限り、織斑一夏がゴーレムⅢを撃破した瞬間でしょうか」

「その通り。で、そこからどんどん脳波が下がってってる」

 

 で、ここが箒ちゃんが抱き着いた点、と束が指した個所は、平常時より少し高いかなぐらいの位置にしか無かった。

 

「つまり、織斑一夏は篠ノ之箒に抱き着かれても、あまり興奮していなかったと」

「そうなの! おかしいよね!? 箒ちゃんみたいな美少女に抱き着かれたのに、この反応ってないよねぇ!?」

「そう、ですね……いくら戦闘直後で気が抜けたとしても、異性に抱き着かれてこの数値は……」

 

 むしろお前が興奮してるやろがい! とツッコまれそうな束を前に、クロエは言葉を選びながらも束に同意した。

 クロエ自身は異性との交流をした記憶は無いし、そのような感情を持ったことも無い。しかし知識の上で、この反応は無いだろうとも思っている。

 

「あのいっくんのオマケ(セカンドマン)みたいになれとは言わないけど、もうちょっと何か無いのかなぁ!?」

「あれは参考になりません。なにせ、毎日があのイギリス人とのハッピーデーですから」

 

 普段は感情を表に出さないクロエすら辟易させる悠セシ、恐るべし。

 そこに突然、ガタンッとちゃぶ台を叩いて立ち上がる束。

 

「もしかして……いっくんはゲイだった!?」

 

「束さま、落ち着いてください」

 

 主が口にしたまさかの発言に対しても、クロエは慌てず騒がず束を座らせる。

 そしてすかさず、さっきまで皮を剥いていたミカンを束の口の中に放り込む。

 

「んぐんぐ……いっくん、ゲイじゃない?」

「違います。もし彼がゲイなら、IS学園入学初日に、あれほど居心地が悪そうにしてはいないでしょう」

「そうなのかなぁ?」

「そうです。あれは周りが異性ばかりで戸惑っていたからです。ちゃんと異性を意識する心は持っているはずです」

「そっか……そうだよね!」

 

 クロエの淡々とした説明に、さっきまで泡を食っていた束がいつも通りの状態に戻る。その陰で、クロエは聞こえないようにため息を一つ。

 

「でも、それならどうしたらいいんだろう? いっくんに箒ちゃんを意識させる方法……そうだ!」

「……束さま、何となく予想はつくのですが、何をなさるおつもりですか?」

「くーちゃんに、手伝って欲しいことがあるんだ~♪」

 

 そうしてニコニコ笑顔の束から話を聞いたクロエは、予想通りだったと心の中でまたため息をついたのだった。

 

(これで織斑一夏の朴念仁が解消されるのでしょうか?)

 

 疑問を持ちつつも、主である束の頼みを断るつもりはない。クロエはミカンを食べ終えると、ラボの外に出かける準備を始めた。

 行き先は……IS学園




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……クロエすら辟易させる悠セシ……恐ろしい子ッ!(白目)
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