セシリア・オルコットとイチャラブしたいッ!! 作:シシカバブP
それと一夏のヒロインですが、箒達じゃないです。(壮大なネタバレ)
昼食で胃も心も満腹になり、午後も万葉温泉を満喫するべく、俺達は岩盤浴エリアへ。
知らない人のために説明すると、天然石のタイルの上にタオルを敷いて横になり、汗をかくサウナみたいなものだ。
浴場と違って、ここは男女一緒に入れるということで、セシリアと並んで岩盤浴用のタオルを敷いて寝っ転がる。
「あ、暑いですわね……」
「めっちゃ汗だくになるなこれ」
10分やそこらで、顔と言わず腕からもダラダラと汗が流れ落ちる。たぶん背中も汗だくになって、下に敷いてるタオルはべちゃべちゃになってる気がする。
「確かこれ、血行改善の効果があるんだっけ?」
「表の効能表にはそう書いてありましたわ。それと……」
「それと?」
「美肌の効果もあると」
「ほう」
横を向くと、セシリアの整った顔から、俺と同じうように汗が流れ落ちている。ここからさらに美肌が追加されるのか。
とはいえ、こんな汗だくになる場所に長時間居られるわけもなく、さらに20分ほどで俺達は限界を感じて撤退した。そして大量に汗をかいた後することは一つ。
「「ごく、ごく……ぷはぁ!」」
「やっぱ美味いなぁ!」
「温泉という環境の影響もあるのでしょうが、それにしても良いものですわ!」
岩盤浴エリアを出て二人飲んでいるのは、温泉の定番であるコーヒー牛乳だ。さすがにセシリアは、腰に手を当てずに飲んでいるが。
「さて、これからどうしましょう? まだ帰るには早い気がしますが」
「そうだなぁ……次は足湯に行ってみるか」
「あら、そのような場所がありますの?」
「しかもこの建物の屋上にあって、展望足湯になってるんだってさ」
「まぁまぁ! それは一度体験してみませんと!」
セシリアも乗り気になったようだ。それじゃあ空の牛乳瓶を自販機の隣にあるプラスチックのケースに捨てて、最上階に行ってみようか。
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三方を海に囲まれた絶景を眺めながら足湯に入ったり、リフレクソロジー(足ツボマッサージみたいなやつ)を受けて痛気持ちよくなったり、昼を食べた貸し部屋でゴロゴロしたり。気付けば日も暮れて、そろそろ帰り支度をする時間になっていた。
いやぁ、それにしても極楽だった。セシリアも満足してくれたようだし、これは補填してくれた女神様様だな。
で、タオルや館内着などを返却、朝来た道を戻り、モノレールに乗って学園側を目指す頃には、辺りはだいぶ暗くなっていた。
「今日は楽しめたか?」
「ええ、もちろんですわ! 特にあの足湯でしたか、あの景観も含めて素晴らしかったですわ」
「そうかそうか。セシリアも満足したようだし、もしまた機会があれば、今度は泊りがけで行こうか」
「はい!」
今回は日帰りだったから、全部を回ることは出来なかったんだよな。カラオケや卓球はともかく、寝湯や石風呂は是非とも入ってみたいな。
そうしてセシリアと今日の思い出を話していると、モノレールは学園側のホームに到着した。
いつも通りのIS学園。しかし、学生寮に入ると、何やら騒がしい気が。いつも騒がしいだろって? いや、いつも以上に騒がしいというか、ドタバタしてるというか。
「あっ、榊君にセシリア!」
「谷本さん、ただいま戻りましたわ」
「ただいまって……二人共、今日は外出してたの?」
「はい、朝から出てまして、今戻ったところですわ。それにしても、何かありましたの?」
「そっか、朝から居なかった二人は知らないか。実は今朝からシステムトラブルがあったみたいで」
話を要約すると、IS学園のシステムが誤作動を起こし、朝からついさっきまで停電していたらしい。しかも窓にも防御シャッターが降りてきたそうで、寮の中にいた面々は真っ暗な部屋で身動きが出来なくなっていたと。
「非常灯すら点かないとは……避難誘導などは?」
「しばらくして、ISに乗った先生達が外まで誘導してくれたよ。一部の廊下は防火用の隔壁も降りてたから、それをこじ開けるのに乗って来たって榊原先生が言ってたよ」
「隔壁ぃ? なんだそりゃ。この寮、そんなもんまであんのかよ」
「私もびっくりだったよ。というか、今日まで誰も知らなかったんじゃないかな」
「恐らくそうでしょう。わたくし達がいない間に、そのようなことに……」
まったくだ。そんなイベントというかアクシデントが……ん? ちょっと待てよ……。
「なあ、その時篠ノ之達も一緒にいたのか?」
「篠ノ之さん? そういえば……デュノアさんやボーデヴィッヒさんも見かけなかったかも」
「その感じだと、ヴィシュヌや2組の鈴も見てないか」
「うん……」
「それはおかしいですわね。そう言ったトラブルが発生した時に、真っ先に避難誘導するように先生方から指示がされそうなものですが……」
たぶん、それよりも重要度の高い命令を受けたんだろう。そして俺は思い出した。これって間違いなく……
(抜かったぁ! これワールド・パージ編じゃねぇかよぉぉ!)
ワールド・パージ。原作8巻のイベントであり、大まかに説明すると、
とにかく、復旧したってことはワンサマーが何とかしたんだろう。それならまあ、俺が特にどうこう言うことは無いかな。出来れば、今回の件でワンサマーの朴念仁が改善されていればいいなぁ。
覚えてる限りだと、この一件でワンサマーがハーレムの面々を意識するようになるはず。そうなれば、朴念仁卒業もワンチャン……
「悠人さん、どうかされましたか?」
「ああいや、何でもない。停電してたってことは、冷蔵庫の中身大丈夫かなって」
「ああ、それは心配ですわね」
「うわっ、それもあったじゃん! 私のスーパーカップ、今頃ドロドロに溶けてるよねぇ……」
あれって溶ける時に水分と乳成分が分離するから、再度凍らせても別物になっちまうんだよな。谷本さん、ご愁傷様。
その後、掲示板に今回の経緯が貼り出された。
システムの老朽化による誤作動。まーやんを始めとする教師たちによって、今はシステムが更新され問題が解消されたとのこと。
さすがに、外部からハッキングされましたとは言えないだろう。まあ、そうなるよな。
さて、当事者である専用機持ち達はどうしてるかと言えば
「「「「はぁ……」」」」
システム復旧で再開した寮の食堂、生徒達(停電騒ぎで食堂が使えなかったために、昼飯抜きになった生徒が相当数いた)が久々の食事にありつく中、織斑ハーレムの4人は料理に手を付けないままテーブルに突っ伏していた。
「どうしたんだよ皆、疲れ切った顔して」
「疲れてんのよ……」
代表してツッコむ鈴の声には力は無く、それを見てもワンサマーはきょとんとした顔で首を傾げるのみ。
……これ、絶対朴念仁改善されてないよな?
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――???
「ただいま戻りました……」
「……くーちゃんごめんねぇ、こんな遅くまで」
「いいえ」
日付が変わろうかという時間に秘密ラボへ戻って来たクロエを、束は本当に済まなそうな顔で出迎えた。
これに関しては、完全に束の誤算であった。
原作及び束の計画では、まずクロエがIS『黒鍵』を用いて学園のメインシステムをハッキングする。そうなれば、先日の無人機襲撃で専用機がダメージを負っている織斑ハーレム達に白羽の矢が立つ。千冬ならそう判断すると、束は読んでいた。
その読みは当たり、ハーレムの4人は電脳世界にダイブ、その先で
束の誤算は2つ。1つ目は、一夏が白式のデータ収集と修理のために学園を離れていたこと。これに関しては束も手を打っていた。白式を介して一夏の無意識領域に呼び掛けることで、学園――正確にはハーレムの面々――に危機が訪れていると思わせ、学園へ早急に帰還させようとしたのだ。
しかしそれはうまくいかなかった。何故なら2つ目の誤算、一夏が『修理が終わるまで帰って来るな』と、千冬にガッツリ釘を刺されていたからである。そのせいで、一夏は無意識下で学園に戻ろうと考えたところで
「いやいや、今帰ったら千冬姉に怒られる」
と思い留まり、白式の修理が終わる夕方まで学園に戻って来なかったのだ。
学園に戻って来た時には日が暮れ、そこから電脳ダイブをして箒を救出した頃には、逆に幽閉しているクロエの方が力尽きてしまい、他の3人を解放して撤退するハメになってしまった。
……本当は、潜伏していたカフェの閉店時間になってしまい、お店を追い出されたが正しい。
「はぁ……結局、いっくんに箒ちゃんを意識させる作戦は失敗かぁ……」
「束さま、それなのですが……」
「ん? どしたの?」
「実は撤収する直前、織斑一夏がどのような女性を理想としているのかを確認いたしました」
そう、このまま何も成果無しではいられないと、クロエは最後に一夏の意識に入り込んだのだ。
「そして、彼の理想の女性像なのですが……」
「うんうん」
「彼は、年上好きでした」
「……へ?」
クロエが言った言葉が理解出来ず――実際は理解を拒み――鳩が豆鉄砲を食ったような顔になる束。
「織斑一夏は、織斑千冬のようなクール系の年上女性が好みなのです!」
「ファーッ!?」
とうとう束の口から悲鳴が飛び出す。
「そ、それじゃあ、箒ちゃんは……」
「はい、完全に恋愛対象外です」
「は、ははははは……」
クロエの追撃に、束の目からハイライトが消え始め、そしてその場で崩れ落ちた。
「いっくんが年上趣味……クール系の年上趣味……」
「た、束さま……」
さすがに自分の主を心配してクロエが声を掛けるが、束からの反応は無く、ただただ年上趣味を連呼するだけの存在になり果てていた。
その日、束は本気で一夏の精神(趣味嗜好)を弄ろうかと悩み続けたという。
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束すら驚愕した、一夏の年上趣味。それが周囲にも発覚するのに、実はそこまで時間はかからなかった。
きっかけは、ラウラの専用機であるレーゲンの修理部品を持ってくるため、彼女の部下が学園に来たことだった。
「久しぶりだな、クラリッサ」
「はっ! 隊長もお元気そうで!」
整備室でラウラに向かって敬礼する、ドイツ軍の軍服を着た女性士官。彼女こそラウラの部下であり、ドイツ軍IS配備特殊部隊『シュヴァルツェ・ハーゼ』の副隊長でもあるクラリッサ・ハルフォーフ大尉である。
ラウラと同じように眼帯をしたクラリッサが荷の受け渡しをしている場面を、偶然通りかかった一夏一行。そこで、クラリッサを見た一夏の歩みが止まった。
「一夏、どうかしたのか?」
「あれってラウラじゃない」
「そういえば、本国から部下の人が来るって言ってたよね。たぶん、隣の人がそうなんじゃないかな?」
「……」
「ちょっと一夏、大丈夫?」
鈴が肩を揺するが、一夏の視線はそのまま動くこと無く、ラウラと共にキビキビと動くクラリッサをじっと見ていた。そして
「……なぁ、箒、鈴、シャル」
「な、なんだ?」
「何よ?」
「どうしたの?」
「これが、"一目惚れ"ってやつなのかな……?」
「「「はぁ!?」」」
一夏の戦術核級なカミングアウトに、3人は驚愕と悲鳴が合わさった声を上げたのだった。
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……やってやったぜ、ばっちゃ。