セシリア・オルコットとイチャラブしたいッ!! 作:シシカバブP
織斑先生にストーカーを押し付けた俺達は、その後も京都散策という名のデートを楽しんだ。
そして、指定時刻の少し前に宿泊先の旅館に到着。
「色々回ったなぁ」
「人力車でしたか。わたくし、あれが気に入りましたわ」
「あれか。まあ、俺も良かったな」
カーブに入る度に、セシリアが『揺れますわぁ♪』とか言いながら抱き着いてくるのが特に。
人力車を引いてた人? 俺達と同い年ぐらいの、赤髪の兄ちゃんだったのは気にしちゃいけない。
そう、気にしちゃいけないだ。引いてる途中『がっつり稼ぐぞぉぉ! 待っててください、虚さぁぁぁん!』と、IS学園の生徒会役員の名前を叫んでたとしても。
それにしても、俺達が早く来過ぎたんだろうか。旅館前には人が疎らにしかいなかった。
「榊君にオルコットさん、早いですね」
「山田先生、他のみんなはまだ?」
「はい、ここに集まっている人達だけですね」
「わたくし達、早い方なんですね。ですが、この時間でこの集まり具合というのは……」
セシリアにつられて俺も時計を見ると、指定時刻7分前。それに対して、旅館前に集まっている学園生、特に1組生徒は半分もいない。
「ま、間に合ったぁぁぁ!」
「ギリギリセーフ!」
「はぁ、はぁ、はぁ……!」
そこに、滑り込むように道中買ったものを抱えた相川さん達が走って来た。
「そんなにしんどい思いするなら、最初から時間を決めて動けばいいだろうに」
「榊君、それは無理ってもんだよ!」
「そうよ! 人生は予定通りにいかないものなんだから!」
「ちなみに、どこに行っておりましたの?」
「USJ」
「アホか」
なんで大阪のUSJまで行ってんだよ。むしろ、それでよく時間内に戻って来れたな。
その後もぞろぞろと旅館前に生徒が集まって来る。その中には、ワンサマー達の姿も。
「……///」
「……///」
「お二人共、顔真っ赤ですわね……」
「しかもナチュラルに手ぇ繋いでるし」
顔こそ合わさないが、しっかり恋人繋ぎをしているワンサマーと大尉さん。
そして、目のハイライトが消えている旧織斑ハーレムの面々。あ、ボーデヴィッヒは除く。
「あの、ボーデヴィッヒさん。皆さん、一体どうされましたの?」
「ん? ああ、実はな……」
ボーデヴィッヒが言うには、ワンサマーと大尉さんを二人っきりにしたくないのか、他のハーレム連中も一緒に京都散策することになったんだとか。
で、途中和菓子屋で団子を食べていたのだが……
「クラリッサの湯呑を、間違って義兄上が手に取ってしまってな」
「間接キスですわね」
「だな」
「そうだ。で、それからずっとあの調子だ」
(((あ、あまぁぁぁぁぁい!!)))
周りで聞いていた他の生徒達が、キャッキャキャッキャと騒ぎ始める。
俺とセシリアも、昔はあったなぁそんなこと。今は間接キスどころか普通にキスしてるけど。
「織斑君もハルフォーフさんも、節度を守ってくださいねー」
「は、はい……」
「だ、大丈夫です。それぐらいは弁えておりますので」
まーやんが二人に注意する。気のせいか、血管が浮き出てるような……。
「お前達、全員集まってるな……」
「お、織斑先生?」
旅館から現れた織斑先生を見て、そこにいた全員が絶句した。
「先生、その人は……?」
「ああ、これは……」
「チフユの永遠のライバル、アリーシャ・ジョセスターフ。アーリィって呼ぶといいのサ♪」
織斑先生の左腕にしがみつくストーカーが自己紹介すると、絶句から驚きに変わった。
「アリーシャ・ジョセスターフ!? イタリア国家代表の!?」
「本物!?」
「永遠のライバルって言う割には、織斑先生と仲良さそうだけど」
「馬鹿なことを言うなぁ!」
「ラブラブだなんてそんなこと……あるサ♪」
「やめろぉぉぉぉぉ!!」
しがみついたままクネクネするストーカーの横で、悲鳴を上げる織斑先生。
そんな二人に、ワンサマーが近付く。
「あの……」
「一夏助けろ!」
相当困っているのか名前呼びする織斑先生に対して、ワンサマーは一瞬逡巡したが、意を決して
「千冬姉が女の人を好きになっても、俺は気にしないから!!」
「なんでじゃぁぁぁぁ!!」
実弟からのトンデモナイ決意に、織斑先生の絶望の雄叫びが響いた。
ーーーーーーーーー
絶望のブリュンヒルデとストーカーを華麗にスルーして、IS学園1年生はまーやんの指示で旅館の中へ。
そして各自割り当てられた部屋に荷物を置くと、食事場所にしていされている大広間に集合した。
ここでは臨海学校の時に泊まった旅館のように『食事中は浴衣着用で正座』という謎ルールも無く、みんな足を崩して料理を食べていた。ちなみに制服と浴衣が半々ぐらいだ。
「はい悠人さん、あ~ん♪」
「あむっ。んぐんぐ……うん、美味い。相変わらず、IS学園のイベントは金がかかってるな。ほいセシリア」
「あ~んっ! ん~! 悠人さんに食べされていただいたお刺身は、一味違いますわ~♪」
白身の刺身が美味かったから俺も食べさせたが、セシリアも大満足のようだ。
膳にはその他にも、煮しめやら茶碗蒸しやらも載っていて、どれも手間がかかっているのが素人にも分かる。
「あの、一夏君?」
「はい?」
「あ、あ~ん……」
「ええ!?」
斜め向こうでは、浴衣姿の大尉さんが煮しめを箸で掴んで、ワンサマーに向けていた。
「だめ、ですか……?」
「い、いえ……いただきます///」
上目遣いで首を傾げる大尉さんに逆らえるはずもなく、ワンサマーは口を開くと、差し出された煮しめを食べる。
「どうですか……?」
「お、美味しいです」
「そうですか、良かったです♪」
「えっと、それじゃあ俺も……」
「え?」
ワンサマーがお返しとばかりに、刺身を大尉さんの口元に持っていく。
「あーん……」
「しょ、しょしょしょ、しょんな!?」
まさかの展開に、大尉さんがワタワタとテンパり始めた。
まったく、リア充爆発しろ。(自分棚上げ)
「ほら、クラリッサさん」
「あ、あーん……///」
観念して刺身を食べる大尉さん。その顔は、刺身の味とは別の理由で蕩けていた。
「初々しいですわぁ。わたくし達も、以前はあのような感じだったんですよね」
「ああ、懐かしささえ感じるな」
「もちろん、わたくし達のラブには敵いませんが!」
「それは自信を持って言える」
あの出会いから半年ちょっとしか経っていないが、俺とセシリアのラブに敵うものがあろうか。(反語)
「お味噌汁が甘ったるいぃぃ……」
「ずずず……うぐぅ」
「ヴィ、ヴィシュヌさん?」
「さすがにこれはキツイです……甘い」
「悟りを開いたヴィシュヌさんですら、悠セシと一クラのダブルは耐えられなかったかぁ」
「あれ? のほほんさんは?」
「最初からお膳持って4組の方に避難していったよ」
「かしこーい……」
ーーーーーーーーー
一方、教師陣――千冬と真耶――は、旅館の近くにあるバーのカウンター席に座っていた。
「織斑先生、お疲れ様です」
「ああ、本当に疲れた……」
ストーカー、もといアリーシャを何とか引き剥がすことに成功した千冬は、大阪にあるイタリア領事館に簀巻きにしたアリーシャを押し付けると、すぐに京都にトンボ返り。
その足でバーに入った時にはすでに真耶が待機しており、ツマミのキューブチーズと半分減ったグラスビールが置かれていた。
そして席に座るとあらかじめ真耶が頼んでいたのか、すぐに千冬の前にグラスビールが置かれ、千冬はぐいっと中の泡立つ液体を流し込む。
「ぷはぁっ!」
「いい飲みっぷりですねぇ」
「飲まなければやってられん。それにしてもすまないな、急に呼び出して」
「いえいえ。他の先生方には申し訳ないですが、修学旅行中にお酒を飲む大義名分が得られましたから」
そう言って真耶はグラスの残りを飲み切ると、ビールの追加をオーダーした。
「それにしても、ジョセスターフさんってあんな感じだったんですね」
「ああ……私は引退したというのに……」
原作世界と違い、千冬はモンド・グロッソ第2回大会を棄権することなく、決勝戦でアリーシャを下し、大会2連覇を達成した。
しかし、ドイツが秘密裏に解決したとはいえ、また弟の一夏に危害が及ぶことを恐れて、千冬は国家代表を降りた。
にも関わらず、あれは千冬との再戦を望んでいるという。しかも、なぜか同性愛の気も覗かせながら。
「ちなみに、織斑先生にその気は……」
「あるわけないだろういい加減にしろ」
「あっはい」
念のため聞いてみた真耶だったが、千冬に真顔で睨まれて頷くしかなかった。
何とか話題を変えようとあれこれ考えた真耶が口にしたのは、一夏についてだった。
「えっと……織斑先生としては、弟さんの彼女についてどう思いますか?」
「ああ、ハルフォーフのことか」
「やはり、複雑ですか?」
「まあ、複雑と言えば複雑だが、変な女に引っ掛かるぐらいなら、ハルフォーフが義理の妹になる方がマシというか……」
「つまり、織斑先生は織斑君――紛らわしいですね――一夏君とハルフォーフさんと付き合うのは賛成なんですか?」
「賛成、なのかぁ?」
「煮え切らないですね……」
真耶が眉をへの字にするが、千冬としてもそう答えるしかない。
(もしかして織斑先生、弟さんを他の女性に取られて嫉妬しているんでしょうか?)
もしそうならすごいブラコンだなぁと思いながらも、口にしない。それをすれば自分の身が危ういことを、真耶はよく知っているからだ。
「それにな……」
「それに?」
真耶が聞き返すと、千冬はビールの残りを呷る。そして
「どこかのお節介兎が、何かやらかさないか心配だ」
ため息交じりに、空になったグラスをカウンターに置いた。
その心配が現実のものになることを、この時の千冬はまだ知る由も無かった。
もし本作が面白いと感じていただけましたら、高評価や感想、お気に入り登録をよろしくお願いいたします。
……のほほんさんが賢くなったよばっちゃ。