セシリア・オルコットとイチャラブしたいッ!!   作:シシカバブP

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今回は少し短めでお送りします。


第66話 晩飯で嫁とイチャラブするのは間違っているだろうか

 織斑先生にストーカーを押し付けた俺達は、その後も京都散策という名のデートを楽しんだ。

 そして、指定時刻の少し前に宿泊先の旅館に到着。

 

「色々回ったなぁ」

「人力車でしたか。わたくし、あれが気に入りましたわ」

「あれか。まあ、俺も良かったな」

 

 カーブに入る度に、セシリアが『揺れますわぁ♪』とか言いながら抱き着いてくるのが特に。

 人力車を引いてた人? 俺達と同い年ぐらいの、赤髪の兄ちゃんだったのは気にしちゃいけない。

 そう、気にしちゃいけないだ。引いてる途中『がっつり稼ぐぞぉぉ! 待っててください、虚さぁぁぁん!』と、IS学園の生徒会役員の名前を叫んでたとしても。

 

 それにしても、俺達が早く来過ぎたんだろうか。旅館前には人が疎らにしかいなかった。

 

「榊君にオルコットさん、早いですね」

「山田先生、他のみんなはまだ?」

「はい、ここに集まっている人達だけですね」

「わたくし達、早い方なんですね。ですが、この時間でこの集まり具合というのは……」

 

 セシリアにつられて俺も時計を見ると、指定時刻7分前。それに対して、旅館前に集まっている学園生、特に1組生徒は半分もいない。

 

「ま、間に合ったぁぁぁ!」

「ギリギリセーフ!」

「はぁ、はぁ、はぁ……!」

 

 そこに、滑り込むように道中買ったものを抱えた相川さん達が走って来た。

 

「そんなにしんどい思いするなら、最初から時間を決めて動けばいいだろうに」

「榊君、それは無理ってもんだよ!」

「そうよ! 人生は予定通りにいかないものなんだから!」

「ちなみに、どこに行っておりましたの?」

「USJ」

「アホか」

 

 なんで大阪のUSJまで行ってんだよ。むしろ、それでよく時間内に戻って来れたな。

 

 その後もぞろぞろと旅館前に生徒が集まって来る。その中には、ワンサマー達の姿も。

 

「……///」

「……///」

 

「お二人共、顔真っ赤ですわね……」

「しかもナチュラルに手ぇ繋いでるし」

 

 顔こそ合わさないが、しっかり恋人繋ぎをしているワンサマーと大尉さん。

 そして、目のハイライトが消えている旧織斑ハーレムの面々。あ、ボーデヴィッヒは除く。

 

「あの、ボーデヴィッヒさん。皆さん、一体どうされましたの?」

「ん? ああ、実はな……」

 

 ボーデヴィッヒが言うには、ワンサマーと大尉さんを二人っきりにしたくないのか、他のハーレム連中も一緒に京都散策することになったんだとか。

 で、途中和菓子屋で団子を食べていたのだが……

 

「クラリッサの湯呑を、間違って義兄上が手に取ってしまってな」

「間接キスですわね」

「だな」

「そうだ。で、それからずっとあの調子だ」

 

(((あ、あまぁぁぁぁぁい!!)))

 

 周りで聞いていた他の生徒達が、キャッキャキャッキャと騒ぎ始める。

 俺とセシリアも、昔はあったなぁそんなこと。今は間接キスどころか普通にキスしてるけど。

 

「織斑君もハルフォーフさんも、節度を守ってくださいねー」

「は、はい……」

「だ、大丈夫です。それぐらいは弁えておりますので」

 

 まーやんが二人に注意する。気のせいか、血管が浮き出てるような……。

 

「お前達、全員集まってるな……」

「お、織斑先生?」

 

 旅館から現れた織斑先生を見て、そこにいた全員が絶句した。

 

「先生、その人は……?」

「ああ、これは……」

「チフユの永遠のライバル、アリーシャ・ジョセスターフ。アーリィって呼ぶといいのサ♪」

 

 織斑先生の左腕にしがみつくストーカーが自己紹介すると、絶句から驚きに変わった。

 

「アリーシャ・ジョセスターフ!? イタリア国家代表の!?」

「本物!?」

「永遠のライバルって言う割には、織斑先生と仲良さそうだけど」

「馬鹿なことを言うなぁ!」

「ラブラブだなんてそんなこと……あるサ♪」

「やめろぉぉぉぉぉ!!」

 

 しがみついたままクネクネするストーカーの横で、悲鳴を上げる織斑先生。

 そんな二人に、ワンサマーが近付く。

 

「あの……」

「一夏助けろ!」

 

 相当困っているのか名前呼びする織斑先生に対して、ワンサマーは一瞬逡巡したが、意を決して

 

「千冬姉が女の人を好きになっても、俺は気にしないから!!」

 

「なんでじゃぁぁぁぁ!!」

 

 実弟からのトンデモナイ決意に、織斑先生の絶望の雄叫びが響いた。

 

ーーーーーーーーー

 

 絶望のブリュンヒルデとストーカーを華麗にスルーして、IS学園1年生はまーやんの指示で旅館の中へ。

 そして各自割り当てられた部屋に荷物を置くと、食事場所にしていされている大広間に集合した。

 

 ここでは臨海学校の時に泊まった旅館のように『食事中は浴衣着用で正座』という謎ルールも無く、みんな足を崩して料理を食べていた。ちなみに制服と浴衣が半々ぐらいだ。

 

「はい悠人さん、あ~ん♪」

「あむっ。んぐんぐ……うん、美味い。相変わらず、IS学園のイベントは金がかかってるな。ほいセシリア」

「あ~んっ! ん~! 悠人さんに食べされていただいたお刺身は、一味違いますわ~♪」

 

 白身の刺身が美味かったから俺も食べさせたが、セシリアも大満足のようだ。

 膳にはその他にも、煮しめやら茶碗蒸しやらも載っていて、どれも手間がかかっているのが素人にも分かる。

 

「あの、一夏君?」

「はい?」

「あ、あ~ん……」

「ええ!?」

 

 斜め向こうでは、浴衣姿の大尉さんが煮しめを箸で掴んで、ワンサマーに向けていた。

 

「だめ、ですか……?」

「い、いえ……いただきます///」

 

 上目遣いで首を傾げる大尉さんに逆らえるはずもなく、ワンサマーは口を開くと、差し出された煮しめを食べる。

 

「どうですか……?」

「お、美味しいです」

「そうですか、良かったです♪」

「えっと、それじゃあ俺も……」

「え?」

 

 ワンサマーがお返しとばかりに、刺身を大尉さんの口元に持っていく。

 

「あーん……」

「しょ、しょしょしょ、しょんな!?」

 

 まさかの展開に、大尉さんがワタワタとテンパり始めた。

 まったく、リア充爆発しろ。(自分棚上げ)

 

「ほら、クラリッサさん」

「あ、あーん……///」

 

 観念して刺身を食べる大尉さん。その顔は、刺身の味とは別の理由で蕩けていた。

 

「初々しいですわぁ。わたくし達も、以前はあのような感じだったんですよね」

「ああ、懐かしささえ感じるな」

「もちろん、わたくし達のラブには敵いませんが!」

「それは自信を持って言える」

 

 あの出会いから半年ちょっとしか経っていないが、俺とセシリアのラブに敵うものがあろうか。(反語)

 

 

「お味噌汁が甘ったるいぃぃ……」

「ずずず……うぐぅ」

「ヴィ、ヴィシュヌさん?」

「さすがにこれはキツイです……甘い」

「悟りを開いたヴィシュヌさんですら、悠セシと一クラのダブルは耐えられなかったかぁ」

「あれ? のほほんさんは?」

「最初からお膳持って4組の方に避難していったよ」

「かしこーい……」

 

ーーーーーーーーー

 

 一方、教師陣――千冬と真耶――は、旅館の近くにあるバーのカウンター席に座っていた。

 

「織斑先生、お疲れ様です」

「ああ、本当に疲れた……」

 

 ストーカー、もといアリーシャを何とか引き剥がすことに成功した千冬は、大阪にあるイタリア領事館に簀巻きにしたアリーシャを押し付けると、すぐに京都にトンボ返り。

 その足でバーに入った時にはすでに真耶が待機しており、ツマミのキューブチーズと半分減ったグラスビールが置かれていた。

 そして席に座るとあらかじめ真耶が頼んでいたのか、すぐに千冬の前にグラスビールが置かれ、千冬はぐいっと中の泡立つ液体を流し込む。

 

「ぷはぁっ!」

「いい飲みっぷりですねぇ」

「飲まなければやってられん。それにしてもすまないな、急に呼び出して」

「いえいえ。他の先生方には申し訳ないですが、修学旅行中にお酒を飲む大義名分が得られましたから」

 

 そう言って真耶はグラスの残りを飲み切ると、ビールの追加をオーダーした。

 

「それにしても、ジョセスターフさんってあんな感じだったんですね」

「ああ……私は引退したというのに……」

 

 原作世界と違い、千冬はモンド・グロッソ第2回大会を棄権することなく、決勝戦でアリーシャを下し、大会2連覇を達成した。

 しかし、ドイツが秘密裏に解決したとはいえ、また弟の一夏に危害が及ぶことを恐れて、千冬は国家代表を降りた。

 にも関わらず、あれは千冬との再戦を望んでいるという。しかも、なぜか同性愛の気も覗かせながら。

 

「ちなみに、織斑先生にその気は……」

「あるわけないだろういい加減にしろ」

「あっはい」

 

 念のため聞いてみた真耶だったが、千冬に真顔で睨まれて頷くしかなかった。

 何とか話題を変えようとあれこれ考えた真耶が口にしたのは、一夏についてだった。

 

「えっと……織斑先生としては、弟さんの彼女についてどう思いますか?」

「ああ、ハルフォーフのことか」

「やはり、複雑ですか?」

「まあ、複雑と言えば複雑だが、変な女に引っ掛かるぐらいなら、ハルフォーフが義理の妹になる方がマシというか……」

「つまり、織斑先生は織斑君――紛らわしいですね――一夏君とハルフォーフさんと付き合うのは賛成なんですか?」

「賛成、なのかぁ?」

「煮え切らないですね……」

 

 真耶が眉をへの字にするが、千冬としてもそう答えるしかない。

 

(もしかして織斑先生、弟さんを他の女性に取られて嫉妬しているんでしょうか?)

 

 もしそうならすごいブラコンだなぁと思いながらも、口にしない。それをすれば自分の身が危ういことを、真耶はよく知っているからだ。

 

「それにな……」

「それに?」

 

 真耶が聞き返すと、千冬はビールの残りを呷る。そして

 

「どこかのお節介兎が、何かやらかさないか心配だ」

 

 ため息交じりに、空になったグラスをカウンターに置いた。

 

 

 

 その心配が現実のものになることを、この時の千冬はまだ知る由も無かった。




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……のほほんさんが賢くなったよばっちゃ。
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