セシリア・オルコットとイチャラブしたいッ!!   作:シシカバブP

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「シシカバブ!? 今週ずっと残業だったんじゃ……」
「残念だったな、トリック(今月期の残業時間上限オーバー)だよ」

というわけで、久々の更新です。


第69話 愛をとりもど"した"!!

 記憶喪失(年上限定)になったワンサマーが復帰した1年1組の授業は、今まで通り進んでいった。

 

「ここまでで、分からないことがある人はいますかー?」

「はい!」

「織斑君、どこが分かりませんか?」

「さっきのハイパーセンサーの応用のところで――」

「ああ、そこは――」

 

 座学のIS理論の授業も、まーやんが説明し、ワンサマーが質問、それに答えるという2学期からの流れがそのまま続いている。

 ふと視線を向けると、安堵のため息をつく織斑先生が。どうやら記憶喪失で期末テストが散々という可能性を危惧してたんだろう。

 

「(織斑君、記憶喪失って感じしないねー)」

「(うん、ホントにピンポイントなところだけ忘れてるんだね)」

「(もしかして、クラリッサさんの代わりに一夏の隣になるチャンスなんじゃ?)」

 

 一部ゲスいことを考える輩がいるが、織斑先生と同じように安堵してる生徒が大半だ。で、そのゲスい輩(シャルロット)

 

――バシィィィンッ!

 

「ぎゃんっ!」

「デュノア、授業中に余所見とは余裕だな?」

「ず、ずびばぜん……」

 

 ブリュンヒルデの出席簿アタックを浴びせられていた。

 

「もうっ……」

「シャル、何か織斑先生にやったのか?」

 

 そこまでの流れを見て、呆れるまーやん。そして状況が分かってないワンサマー。ホンット―に、大尉さんへの一目惚れ以外は原作通り朴念仁なのな。

 

「わたくしとしては、出来れば織斑さんには思い出していただきたいですわ」

「そうなのか?」

「ええ。織斑さんはともかく、クラリッサさんが可哀想ですわ」

「ああ、そういうことか。それは確かにな」

 

 一目惚れで告白されて受け入れたら、当の相手が自分の記憶を失くしたとか、結構きついだろうな。

 

「もしわたくしが悠人さんに忘れられてしまったら、耐えられませんから……」

「セシリア……」

「悠人さん……」

 

――スパパァァァンッ!

 

「おぶっ!」

「きゃんっ!」

「お前達、せめてイチャラブは授業が終わってからにしろ」

「あい……」

「申し訳ありません……」

 

 油断した。いつぞやよりは威力低めとはいえ、まーた出席簿アタックを食らっちまった。

 そうこうしていると、授業終了のチャイムが鳴った。

 

「はい、それでは1時限目の授業は終わりますねー」

「2時限目はIS実習だ。今みたいに浮かれすぎて遅れるんじゃないぞ」

「「「「はい!」」」」

 

 教師2人の締めで、ある意味いつも通り座学が終わったのだった。いってぇ~……。

 

ーーーーーーーーー

 

 2時限目のIS実習の時間。これもまた、今まで通りの流れになっていた。

 

「あんた、本当に記憶喪失になってるの!? 先週と全然変わって無いんだけど!?」

「俺だって良く分かんねぇんだよ! うりゃぁぁ!」

「はぁぁぁ!」

 

 恒例の模擬戦、アリーナの上空で、鈴とワンサマーがいい勝負をしていた。

 

「いや、やっぱり記憶喪失とか嘘でしょ」

 

 口にした谷本さんに同意するように、周りのみんなが目の前の光景を見て頷く。

 ワンサマーの奴、座学の時もだがISの操縦方法とかも忘れてないみたいだな。

 

「織斑さんは、エピソード記憶だけが抜けてしまったようですね」

「ヴィシュヌさん、それって何なの?」

「記憶には意味記憶とエピソード記憶の2種類があります。言い換えれば、"知識"と"思い出"ですね。織斑さんはその内、思い出の一部だけが失われてしまったのでしょう」

「なーるほど。だから織斑君は、座学や操縦方法っていう"知識"は以前のままだってことなんだ」

「私の推測が正しければですが」

 

 へぇ、記憶ってそんな風に分かれてるのか。初めて知った。

 

「セシリアは知ってたか?」

「はい。とはいえ、脳科学は完全に専門外ですから、概要程度ですが」

「そのエピソード記憶だけ失くした例ってあるのか? それが蘇った前例とか」

「ありますわ。といいますか、エピソード記憶に障害が起こる病気が『アルツハイマー型認知症』ですから」

「あ、なるほど。言われてみれば、確かに同じか」

 

 『婆さんや、朝飯はまだかの~?』ってあれ。あれも言ってしまえば、『朝飯を食ったことを忘れた』っていうエピソード記憶の喪失だもんな。

 

「しかしそうなると、奴が記憶を取り戻すのは難しそうだな」

「しかも、その原因が篠ノ之博士となりますと……」

 

 う~んと二人して頭を捻るも、解決方法なんて出て来やしない。こりゃ、よくある『何かきっかけが出てくるのを待つ』しか無さそうだ。

 というか、なんで俺がワンサマーのことで頭を捻らなきゃならないんだ。セシリアが気にしてるから付き合うけど。

 

「勝負あり! 二人とも戻って来い!」

「いってぇ、まだ鈴には勝ち越せねぇか」

「当然よ! とはいえ、アンタも5月頃と比べたら強くなってるじゃない」

「そうか?」

「ええ。クラス対抗戦の時よりは、ね」

「うぅ、思い出させないでくれよ……」

「あ、ちゃんと更識のことは覚えてたんだ。妹の方は覚えてるのに、姉の方は忘れちゃってるんだもんねぇ」

「そうなんだよなぁ。聞いた話じゃ俺、その人に特訓まで付けてもらってたのに忘れちまって。申し訳ないなぁ」

「ま、無理して思い出せるもんじゃないし、気長に行きなさい」

「ああ……」

 

 どうやら鈴が勝ったついでに、ワンサマーに色々アドバイスしているようだ。遠目からでもワンサマーの顔色がコロコロ変わって面白い。(不謹慎)

 

「模擬戦を通して何か思い出せばと思ったが、やはりそう簡単にはいかないか……」

「こういうのは焦っても効果が無いと聞いています。長期戦のつもりでいましょう」

「そうだな……」

 

 隅の方で、織斑先生とまーやんの話し声が聞こえてきた。

 なるほど、いつも通りワンサマーの経験値稼ぎだと思ってたが、そういう思惑もあったのか。唯一の家族に一刻も早く記憶を取り戻して欲しいってのは、分からなくもないな。

 

「しかしこうなると、私としてはクラリッサが心配だ」

「ラウラとしては、大事な部下だものな」

「ちなみに、あれからクラリッサさんは?」

「一度本国に戻った。他の部下達に聞いてみたが、やはり気落ちしているそうだ」

「やはりそうか……」

「ちなみにシャルロットは、クラリッサの後釜を狙っているのか?」

 

 ジロッとボーデヴィッヒがシャルロットの方を見る。ああ、今朝のこと、実は気にしてるのか。

 

「最初はそう思ったんだけど……それで僕が一夏の一番になったとしても、嬉しいと全然思えなかったんだよね……」

「私もだな。自力で振り向かせたならともかく、記憶喪失などという姑息な手段で一夏の想いを奪い取るなど言語道断だ」

「うぐっ!」

「箒、そのくらいにしておけ」

「あ、ああ、すまない……」

「へ、平気だよ……」

 

 篠ノ之の持論でシャルロットがダメージを受けてるが、篠ノ之よ、お前が木刀を振り回してたのは"振り向かせる"に含むのか? 俺は大いに異論があるぞ。

 

「篠ノ之さん、織斑さんに対して木刀を振り回しておりましたが、あれはどうなのでしょう……」

「セシリアもそう思うか」

「はい」

「しののんの求愛は過激だからねー」

 

 いつの間にかのほほんさんも混じり、ワンサマー達が戻って来るまでの間、篠ノ之の求愛行動の謎について議論が続いた。

 

ーーーーーーーーー

 

 昼休み。ここまで来たら言うまでもなく、いつも通りの――

 

「はい悠人さん、あ~ん❤」

「あむっ」

 

「2学期もあと1ヵ月っていうのに、この二人は……」

「全然熱が収まる気配が無いよね」

「あの二人には冷却期間とか無いんじゃない?」

 

 いつも通り俺の上にセシリアが乗り、セシリアとあ~んし合っている。さすがに麺類は無理だから、今日みたいにフォークとスプーンで食えるもの限定だがな。

 

「……」

「どうした一夏?」

「いや、あの二人……」

「ああ、またやってるのね……」

「悠人もセシリアも、よく続くよね。僕も一夏とああなってみたかったなぁ……

「いつものことではないのか?」

「そうなんだけど……あれを見てると、何か頭の隅がチリチリしてくるっていうか……」

「一夏?」

 

 なんだなんだ? ワンサマー達のテーブルの方が騒がしい――

 

「あ、ぐああああああ!!」

 

「「「一夏(義兄上)!?」」」

 

 おいおいおい! なんかワンサマーが頭抱えて苦しみだしたんだが!?

 

「あ、ああ……」

「一夏ぁ!」

「だ、誰か保健室と織斑先生に連絡を!」

 

「悠人さん!」

「仕方ない!」

 

 本当はこういう面倒事に巻き込まれたくはないが、そうも言ってられないだろ!

 

「シャルロット! 保健室に織斑を運ぶから肩貸せ!」

「悠人! うん!」

 

 俺とシャルロットで、気を失ったワンサマーの両肩を抱えて保健室に。

 途中、織斑先生と遭遇した。恐らく、相当慌ててたんだろう、頬に米粒が付いてるのは指摘しないでおこう。

 

「デュノア、織斑は!?」

「食堂で突然意識を失って……」

「織斑先生、まずは保健室に運ぶのが」

「そ、そうだな!」

 

 真顔で米粒を付けた織斑先生を見て笑わないように努めつつ、俺達は保健室へ急いだ。

 

 

 

 

 保健室でワンサマーをベッドに寝かせると、ようやっと全員の気が抜けた。そのタイミングを待っていたのだろう、保健の先生が

 

「織斑先生、ほっぺに付いてますよ」

 

 ちょんちょんと自分の頬を指さすと、織斑先生は最初何か気付いてなかったようだが、次の瞬間顔を赤くして頬を触った。

 で、米粒を発見すると、すぐさまそれを取ってゴミ箱へ。そして今まで指摘しなかった俺とシャルロットを睨みつけてきた。当然俺達は顔を逸らす。むしろあのシリアス展開で笑わなかったのを感謝してくださいよ。

 

「うぅ……!」

「一夏!」

 

 お、さっそくお寝覚めか。原作の臨海学校の時みたいに、数時間は目を覚まさないと思ってたんだが。

 

「一夏、大丈夫?」

「まったく、心配をかけさせる……だが、すぐ目覚めて良かった」

 

 シャルロットは当然として、織斑先生もホッとした表情。まあ、今回は特に何事もなくて――

 

 

「シャル……千冬姉……?」

 

 

「……一夏、今なんて……?」

 

 織斑先生の手が震える。それはそうだ、だって今、ワンサマーは……

 

「思い、出したのか……?」

「ああ……ごめんな、千冬姉。心配させて……」

「一夏……一夏ぁぁぁ!!

「おわぁっ!」

 

 俺もシャルロットも初めて見るだろう、織斑先生の泣き顔。そして姉に抱き締められて気が動転しているワンサマー。

 

「私、ちょっとコーヒー飲んで来ようかしら」

「悠人、そろそろ昼休みが終わっちゃうよ」

「ああ、分かってる」

 

 保健室の先生が棒読みで部屋を出て行こうとするのに便乗して、俺達もこの場から退散した。それぐらいの空気は読めるって。

 

ーーーーーーーーー

 

 俺達が戻った時には昼休みは終わっていて、午後の授業が始める直前だった。

 教室に戻った俺とシャルロットは、保健室であったことを(織斑先生が泣いたこととかは、あとで報復がありそうで怖かったから省略して)みんなに話した。

 

「そっかー! 織斑君、記憶戻ったんだぁ!」

「良かった良かったー!」

「ですが、どうして織斑さんの記憶が突然戻ったのでしょう?」

「「「「う~ん……」」」」

 

 ヴィシュヌの疑問提起に、喜びと安堵から一変、みんな腕を組んで首を傾げた。

 

「まあ、予想はつくな」

「ええ! ボーデヴィッヒさん、分かったの!?」

「ああ。義兄上が倒れる直前に見ていたのは……」

 

 そこでビシッ! と俺とセシリアを指さした。はい?

 

「二人のイチャラブに当てられたからだ!」

 

「「「「な、なんだってぇぇぇ!?」」」」

 

「つまり、悠セシは記憶を取り戻すほどの衝撃だったと」

「かなりんも頭をやられるはずだわ~……」

「え、いや、私頭やられてないよ!?」

「ま、まあ、とにかく一夏の記憶が元に戻って良かったな!」

「そ、そうだね」

「織斑君の記憶が戻ったのはいいニュースですが、やっぱり榊君とオルコットさんは危険ですね……」

 

 まーやん、ジト目でこっち見んといてくださいよ。

 

「わたくしと悠人さんの愛が! 織斑さんを救ったということですのね!?」

「いや、そうとも言えるけど……」

「セシリア、急にテンション上がったわね」

「悠人さん! これは快挙ですわ!」

「おっと」

 

 超ハイテンションのセシリアが俺に飛びつく。もう顔なんかニッコニコで、まるで小さい子が親に褒められた時みたいだ。可愛い。

 

「あの、私達に悠セシは必要ないんで……」

「あの~、そろそろ授業を始めたいんですが~……」

 

 すまんなみんな、まーやん。けど、この状態のセシリアは止められないんだ。

 ……止める気無いだろうって? 無いよ。だって俺、セシリアとハグハグしたいし。

 

ーーーーーーーーー

 

「千冬姉……」

「なんだ?」

「クラリッサさんに会いたい……」

「……お前というやつは、言うに事欠いてそれか」

「無理?」

「奴にも軍人としての仕事がある。呼べばすぐ来れるほど奴も暇ではない」

「そうだよな……」

「ああ、そういえばハルフォーフは今日非番だと言っていたな」

「千冬姉?」

「だからまあ……通話するぐらいは出来るんじゃないか?」

「千冬姉!!」

「うおっ!……まったく、いきなり抱き着く奴があるか。(ふぉぉぉぉぉっ! ひ、久々に一夏に抱き着かれたぁぁぁぁぁぁ!!)」




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……ワンサマーの治療に束なんて要らなかったんだよばっちゃ。
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