セシリア・オルコットとイチャラブしたいッ!! 作:シシカバブP
病院で目覚めてから数日。やっと俺は退院して、IS学園に戻って来ることが出来た。とはいえ、利き腕に包帯が巻かれたままなわけだが。
そんな状態なのに、どうして退院することになったかって?
『片腕が動かないだけで、他は意識も含めはっきりしているんだろう? なら座学ぐらいは出られるだろ』
という脳筋ブリュンヒルデの鶴の一声で、俺の退院が決定したらしい。マジかよ。
「それで、腕の火傷が完治する前に退院ですか」
「確かに四六時中ベッドの上もしんどいとは思ってたが、まさかなぁ……」
「織斑先生らしいといえばらしいですわね……」
久々に1組の教室に入ってクラスメイトから囲まれるイベント……もなく、俺の席にはセシリアの他に、退院の裏話を聞いてため息をつくヴィシュヌだけがいた。
ちなみに今回の爆弾テロの犯人や、その後そいつらがどうなったか等は世間には知らされていないらしい。
犯行声明自体が各国首脳部にだけ直接送られて来たものだったのも含め、その後各国(主に英国)が行った報復作戦を知られると困るからだとか。
俺も事の経緯はセシリアから聞いていたが、
『そこまでやるか?』
『当然ですわ。といいますか、前世紀にコリアが日本に対して行ってきた外交問題の数々を思えば、今までこうならなかったのが不思議なくらいですわ』
と、セシリアに返されてしまった。
前世の日本が我慢強かったのか、はたまたこの世界の国際社会が我慢弱いのか。
ISを作った篠ノ之博士が日本人で、日本政府が前世よりも強気だからって可能性もあり得るな。
『けどさぁ……いくら(この世界の核が)放射能汚染のないクリーンな兵器だからって、半島全域を焼き払うのはやり過ぎじゃね?』
『もしトップだけを倒したとします。その後新しい王朝が建つにしろ、選挙等で民主国家になるにしろ、また同じことが起きますわ。実際にサウス・コリア時代、どの政党がトップに立っても外交問題が後を絶ちませんでしたから。ならば国が建たなくなるようにしようというのが、各国上層部の決断だったのでしょう』
『あ~……』
そう言われると、もう俺からは何も言えなかった。
どうやらこの世界の半島は、かなりのヘイトを集めていたようだ。
そんなことを考えていたら、ヴィシュヌが別の話題を振って来た。
「ところで、榊さんは病院で期末テストを受けたのでしたね」
「ああ、山田先生の厚意でな」
ヴィシュヌが言う通り、俺の入院期間と2学期の期末テスト期間が見事にブッキング。危うく追試か強制補習になるところだったが、まーやんがわざわざ放課後にテスト用紙を持って来てくれたおかげで、俺はその場でテストを受けることが出来た。
しかも、解答が終わったその場でまーやんが採点してくれたんだが、点数は……まぁ、赤点は回避できたってことで。……危なかったがな。
半ばぶっつけ本番だったのもそうだが、利き腕が使えないから解答用紙に答えを書くのにめちゃくちゃ苦労した。採点していたまーやんにも
『えっと……榊君、ここなんですが、なんて解答しました?』
なんて聞かれてしまうぐらい、ミミズがのたうち回ったような字になっていた。すまんなぁまーやん、余計な手数かけさせて。
「まあまあ、よろしいではありませんか。これで悠人さんも、予定通り英国へ帰省できるわけですから」
「だな。で、だ」
そう言って視線を前に向けると、そこには机に突っ伏して微動だにしないワンサマーと、旧ハーレム勢(別クラスの鈴を除く)が。
「義兄上、大丈夫か?」
「補習……」
「まったく……あれだけシャルロットに教えを乞うておいて」
「ごめんね一夏、僕にはこれが精いっぱいだったよ……」
どうやらワンサマーは、シャルロットブーストを使っても赤点を回避できなかったようだ。
そうなると、奴の年末年始は織斑先生と一緒に補習授業か。……それって自宅か学園かの違いなだけで、大して変わらないのでは?
と、そこに織斑先生とまーやんが教室に入って来る。もうSHRの時間か。
「連絡事項だが、今日から榊が復帰する。が、見ての通り片腕が使えないため、実習の時間は見学とする」
織斑先生の説明で、半分魂の抜けているワンサマーを除く全員の視線が突き刺さる。
悪いことしてないのに、この仕打ちは酷いって。
「それと……おい、織斑」
――パシィンッ!
「いてぇ!」
突っ伏したままのワンサマーの脳天に、出席簿アタックが突き刺さる。ああ、これを見ると学園に戻って来たなぁって思えるな。
「……変なことを考えた奴がいそうだが、まあいい。そこの織斑を含め、残念ながら冬休み中の補習が決まった者が数名いる。まったく、私も山田先生もあれだけ脅していたというのに……」
「あ、あはは……」
盛大なため息をつく織斑先生に対して、まーやんも苦笑いするだけで否定はしない。そりゃ、自分達も補習授業をするために駆り出されるんだから、面白くは無いよな。
「補習期間は冬休み期間の内、大晦日と三が日を除く全日だ。25日のクリスマスには、山田先生の怒りが篭った理解度テストというプレゼントがあるから覚悟しておくように」
「い、怒りなんてそんな……」
「うぼぁっ!」
あ、ワンサマー死んだ。
「連絡事項は以上だ。それでは山田先生」
「はい。それでは1時限目を始めますよー。織斑君、起きてくださーい」
「はい……」
再度机に突っ伏していたワンサマーを叩き起こすと、復帰後最初の授業が始まったのだった。
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時間は過ぎて昼休み。今まで通り学食で昼食を食べる俺とセシリアなわけだが、
「はい悠人さん、あーん」
「あむ」
「なんだろう、仕方ないって分かってはいるけど……」
「胃のムカムカは収まらない……」
今の俺は利き腕が使えないから、セシリアに飯を食わせてもらっている。だからこれはイチャラブが目的ではない。……まったく要素を含んでいないといえば嘘になるが。
ただ、今までと違うところと言えば
「う~ん、俺がセシリアに食べさせられないから、単純にセシリアの負担だけが増えるな」
「何を気にしてらっしゃるのですか。(未来の)夫が大変な時に、(未来の)妻が支えなくてどうするんですの」
「お、おう」
胸元をとんと叩くセシリアに、思わず頼もしさを感じてしまった。これ、将来はセシリアの尻に敷かれそうだな。
セシリアの尻に敷かれる……何も問題ないなっ!(変態)
「うぼぁぁ……」
「もう一夏ってば、いい加減復活してよぉ」
「ねぇ箒、一夏って朝からずっとこうなの?」
「ああ、そうだ……」
別テーブルでは、合流した鈴が魂抜けっぱなしのワンサマーを見て呆れていた。
魂が抜けていようが、腹は減るからな。とりあえず学食まで歩く気力は残ってたか。
「補習……ドイツ行けない……クラリッサさん……」
「落ち込む原因はそれか……」
「心配して損したわ……」
「むぅ……」
おっと、ボーデヴィッヒを除く3人の顔が険しくなったぞ。
原作でも他の女の名前を平気で口にするワンサマーだったが、そこは変わらずか。
「それなんだがな、心配せずともいいぞ」
「へ……?」
「先日、義兄上が補習になったことをクラリッサに伝えたんだが……」
「ラウラァァ! なんで教えちまったんだよぉ!」
「お、おおっ!?」
ガバッと復活したワンサマーが、ボーデヴィッヒの肩を掴んで前後に揺らす。
恋人に赤点取ったことがバレるとか、確かに恥ずかしいわな。
「そ、そうしたらクラリッサがががが、『私が日本に行きます!』と言い出してなぁぁ!」
「え?」
ガックンガックン揺さぶられながらも続いた話を聞いて、ワンサマーの揺する手がピタッと止まる。
「そ、それってつまり、クラリッサさんがここに……?」
「ああ。ついでに義兄上の補習の面倒も見てくれるそうだ。教官にはすでに話が行っているから、その辺りは心配しなくていいぞ」
「ふ……」
「一夏?」
「ふぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
うわっ! ワンサマーが突然立ち上がって奇声あげ始めたぞ!? 周りも何かあったのかと視線がワンサマーに集中しているし。
「マジか! よっしゃぁぁぁぁぁぁ!!」
「お、おおっ!?」
「一夏ぁ! 何やってるのよ!?」
鈴がテーブルをバンッと叩いて立ち上がる。
何やってるって、興奮で頭がおかしくなったワンサマーが、近くにいたボーデヴィッヒの手を引いてワルツを踊り始めたんだが?
「お前達何をしている! 静かに食事も出来んのか!!」
――スパパパァンッ!
「いでっ!」
「ぐあっ!」
「おぶっ!」
「なんでっ!」
「僕たちまでぇ!?」
そして偶然通りかかった織斑先生の出席簿アタックを食らうのだった。篠ノ之とシャルロットは完全な流れ弾だな、ご愁傷様。
「あちらは賑やかですわねぇ」
「ああ、見てる分には飽きなくていいな。巻き込まれたくはないが」
「まったくですわ。っと、そろそろこちらも食事を再開いたしましょう」
「そうしよう。すまんが頼む」
「はい♪」
ワンサマー劇場を見てて残り少なくなった昼休み、俺とセシリアはペースを上げて昼食を食べ切った。
さて、無事とは言えないが2学期が終わり、次のイベントはセシリアの誕生日か。
で、その後は3学期に入って……あっ、また面倒なイベントがあるじゃん。
セブンス・プリンセスとか言う、ワンサマー絡みのでっかい爆弾が……。
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……この話の着地点がまたブレ始めて、終わる終わる詐欺になりそうだよばっちゃ。