セシリア・オルコットとイチャラブしたいッ!!   作:シシカバブP

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更新頻度が戻らず苦戦中。


第75話 俺らは帰省する、まーやんはキレる

 2学期が終わり、世間ではクリスマスが間近になった頃。

 

――ポーンッ

 

 シートベルト着用のランプが消えた音を聞くと、俺はシートベルトを外して椅子にもたれかかり、少しだらけた格好になった。

 

 夏休みと同様に、オルコット家のプライベートジェットに乗ってイギリスへの帰省真っ最中である。

 当然の如く、隣にはセシリアが俺の肩に寄りかかっている。というか、パイロットを除けば俺達二人しかいないんだがな。

 

「冬のイギリスって、すげぇ寒いんだっけ?」

「そうですわね。イギリスは日本より緯度が高いですから」

 

 そうなのだ。あまり気にしたことも無かったんだが、日本って結構南にあるんだよな。最北端の北海道ですら、ヨーロッパだとイタリア北部と同緯度だって、この前世界地図を見て知った。

 

「それで悠人さん、右腕の方はよろしいんですの?」

「おう。痛みも無くなったし、重いもん持たない限りは日常生活に問題ないくらい回復してるぞ」

「それは良かったですわ。なら、こうしても問題ありませんね?❤」

 

 そう言うと、セシリアは俺の右腕をギュッとしがみ付いてきた。おおっ、今回はセシリアの双丘が当たった感触が……ヨシッ!(現場猫)

 なら、俺も……

 

「ひゃっ❤」

 

 復活した右腕でセシリアの腰に手を回して引き寄せると、可愛い声が聞こえてきた。久々のイチャラブ成分が気持ちええんじゃ~!

 

「もうっ、悠人さんってば、強引ですわ」

「すまんすまん。だけど、よく考えるとまずいなぁ……」

「何がですの?」

「3日入院してただけで、セシリア欠乏症だ。これから先、長期間離れる場面があったら我慢できる自信がない」

「そ、それは……」

 

 やっべ、セシリアに引かれたか?

 

「それは、わたくしも……」

 

――ギュッ

 

「わたくしも悠人さんがいなかった分を、ここで取り戻したいんですのぉぉ!❤」

「セシリアァァ!」

 

 セシリアの魂の叫びを聞いて、俺の理性はあっさり白旗を振った。

 で、夏休みの時にも使ったベッドルームに直行。今回は前回を上回るイチャラブを発揮した。

 ……これ、降りる前に香水とか使わないとまずいかな?

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 機内で目一杯イチャラブした俺達は、現地の昼過ぎにヒースロー空港に到着。

 そして空港を出ると、

 

「お二人共、お待ちしておりました」

「チェルシー、出迎えご苦労様ですわ」

「お久しぶりです、チェルシーさん」

 

 夏休みの時と同じく、チェルシーさんが俺達を出迎えてくれていた。

 その背後には、これまたあの時乗ったロールスロイスが待機していた。

 

「お乗りください。悠人様のご両親も本邸に居られますので」

「え? 親父達が?」

「はい。お嬢様の生誕パーティについて、奥様や旦那様と色々お話しされておりました」

「ええ~……?」

 

 どうしてセシリアの誕生日パーティに、ウチの両親が出張る必要が?

 

「とにかく、まずは本邸に行きましょう。ささっ、悠人さん」

「お、おう」

 

 セシリアの言うことももっともだと頭を切り替えて、俺達はロールスロイスに乗り込み、オルコット家の本邸に向かうことになった。

 

 

「パーティ当日は親交のある貴族家を招待することになっています。色々窮屈かとは思いますが……」

「いえいえ、お気になさらず。貴族には我々庶民には考え付かないような苦労があることは、理解しているつもりです」

「そうですよ。それに、ウチの悠人がセシリアちゃんと恋仲になった時点で、それぐらいは想定の範囲内ですわ」

「そう言っていただけると有難い。それでは、次に当日の流れですが……」

 

 

 本邸に着き、チェルシーさんの案内でラウンジに通されると、そこではウチの両親とセシリアの両親が、テーブルの上の紙を指さしながら作戦会議をしていた。どういう状況?

 

「あ、あの、お母様? お父様?」

「あらセシリア、おかえりなさい」

「おかえり、セシリア」

「まあ、悠人も一緒なのね」

「おかえり、悠人」

「えっと、ただいま戻りました?」

「お、おう、ただいま?」

 

 顔を上げた4人が平然と挨拶するもんだから、俺もセシリアも思わず疑問形で返事しちまった。

 

「それで、何を話されてましたの……?」

「何って、貴女の生誕パーティよ」

「悠人は大丈夫だよな?」

「無論だ。セシリアの誕生日は12月24日。つまり、明後日だ」

「さすが悠人君。いや、セシリアの婿になるんだから覚えていて当然だね」

「そりゃあもう」

「お、お父様!? 悠人さんまで!」

 

 え? なんでセシリア慌ててんの? それがあるから冬休み初日から帰省したんじゃ?

 

「た、確かにこれまでは誕生日にパーティを開催しておりましたが……」

「今年はそのパーティの場で、悠人さんとの婚約を発表しようと思うの」

「ええぇ!?」

「それで、私達も呼ばれて色々作戦会議中なの」

「お袋……親父?」

「まあなんだ……頑張れ(俺の肩にポンと手を置く)」

 

 俺、普通にセシリアの誕生日を祝う気で来たんだけど、そんなサプライズがあるなんて聞いて無いんだが?

 

「もしかしたら、セシリアに色目を使ってた馬鹿なボンボンが文句を言ってくるかもしれないけど、さらっと受け流してくれていいですからね」

「は、はぁ……セシリアに執心な奴がいると」

「ええ。ナムラント男爵の次男坊なんだけど、何を勘違いしているのか、セシリアが自分に好意を持っていると思い込んでいるのよ」

「セシリア?」

「事実ですわ……あまり思い出したくありませんが。過去に一度軽くお話しただけなのですが、それ以降『僕はセシリア嬢の許婚だ!』と吹聴して回るようになりまして……」

「もちろん、誰も信じる人はいないよ。一昨年のパーティの時に、セシリア本人が『わたくしに許婚などおりませんわ!』と公言したからね」

「なら、問題ないのでは?」

「残念ながら、その次男坊はセシリアの言葉を『ただの照れ隠し』と自分に都合のいいように解釈しているみたいでね……」

 

 説明してくれているフィリップさんはゲンナリ顔だ。それを聞いていた俺、セシリア、ルイーザさん、親父、お袋からもため息が漏れた。

 マジでいるんだな、そんな、なろう系小説の序盤で出てきそうなテンプレ貴族が。

 

「分かりました。そのナム……ナムラント?何某には気を付けておきます」

「そうして頂戴」

 

 あのアンポンタンのことより、もっと楽しい話をしましょう。というルイーザさんに求められるまま、俺とセシリアは2学期に起こったことを話し始めるのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

――一方その頃、日本では

 

 IS学園の最寄り駅から少し行ったところにある商店街、その地下にある『バー・クレッシェンド』。

 フランスの調度品で統一された大人の社交場で、千冬と真耶がビールの入ったグラスを傾けていた。

 

「本当に織斑君はぁ……酷すぎると思いませんか!?」

「あ、ああ、そうだな……」

 

 ……否、管を巻く真耶に、千冬が引いていた。

 

 

 

 なぜ真耶が管を巻いているのか。それは今日の朝から行われた、補習授業まで遡る。

 

『――と、ここまでで分からないところがある人はいますかー?』

『……は、はい』

 

 2学期中の授業よりも、さらに分かりやすくかみ砕いて説明した。そう思っていた真耶の自信は、一夏の挙手で脆くも崩れ去った。

 

『え、えっと……どこが分かりませんでした?』

『ここと、ここなんですけど……』

 

 そう言って教科書を指さす一夏を見て、真耶は一瞬頭がクラッと来た。『そこ、2学期の授業中も質問を受けて、説明したところじゃないですか』と。

 しかし、そんなことはおくびにも出さず、真耶は前回と同じように説明していく。

 

『――ということです。OKですか?』

『う~ん……分かったような、分からないような』

 

 ええ~……と真耶の感情が顔に出そうになったところで、一夏の横から手と声が。

 

『一夏君、ここの部分は――』

 

 その手と声の主は、ドイツ軍の軍人でラウラの部下であるクラリッサ・ハルフォーフだった。

 一夏が補習でドイツに来られないと知った彼女は、これまで溜まっていた有休を大放出して急遽来日。補習の時間、一夏の隣の席に座って面倒を見ているのだ。

 今も、真耶とは説明の仕方を変えて――当然、行きつく結論は同じであるが――一夏に話す。すると

 

『なるほど、そういうことだったのか!』

 

 と、真耶があれほど説明してもチンプンカンプンだったのが、あっさり納得してしまったのだ。

 

 

 

「最後に確認テストをしたら、ちゃんと正解してたんですよ!? 私の授業、そんなにダメでしたかぁ!?」

「い、いや、そんなことはないと思うぞ?」

 

 プンプン起こったと思ったら、次の瞬間には泣き上戸になる百面相真耶に、千冬は何とかフォローしながらビールを呷る。

 

(真耶の奴、こんなに酒癖が悪かったか? それとも、それだけストレスが溜まってたか……一夏だけが原因だとは思いたくないな……)

 

「私に威厳が無いからですか!? 童顔だからですか!? 確かに織斑先生やクラリッサさんのように年の功みたいなものはないですけど!」

 

――カチンッ

 

「……真耶」

「はい?」

 

 千冬の低くなった声に、真耶は先ほどまでのマシンガントークを止めて首を傾げた。

 普段だったら踏まなかったであろう地雷、それを酔った勢いとはいえ思い切り踏み抜いてしまったことを、彼女はまだ気付いていない。

 

「年の功……年の功、か」

「あ」

 

 そう、例え同性であっても、女性に"年"の話は地雷になり得るのである。

 そして意外と気付かないものであるが……千冬も酒を飲んでるし、酔いはするのである。

 

「お前に言われるほど年食ってはいないわぁぁぁぁぁ!!」

 

「いだだだだだっ!! せ、先輩ギブ! ギブアップゥゥゥゥゥゥ!!」

 

 涙目の真耶にヘッドロックをかける千冬をカウンター越しから見ていた初老のマスターは、注文を受けていたチーズの盛り合わせと一緒に、一度酔いを醒ました方が良いだろうと冷水の用意を始めるのだった。




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……最近、全体に対するセシラブ成分の割合が減って来てるよばっちゃ。
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