セシリア・オルコットとイチャラブしたいッ!! 作:シシカバブP
1/27追記
誤字修正。SEOってなんやねん……(セルフツッコミ)
日本では12月は師走と呼ばれている。語源は諸説あるらしいが、もっとも有名なのが「普段は弟子にあれこれ任せている師匠も走り回るぐらい忙しい月」という意味らしい。
それはイギリスのオルコット家でも同様のようで、セシリアの生誕パーティに向けて、使用人の人達を始め、ルイーザさん達もあちこち駆け回っていた。
そして
「うーん、似合わん」
夏休みに泊めてもらった部屋で、人生初のタキシードを着て第一声がそれだった。
なんというか、サスペンダーの上からベストを羽織っている姿がしっくりこないと言うか……。
――コンコンッ
「悠人様、チェルシーです」
「あ、はい、どうぞ」
「失礼いたします。まあ、お似合いですね」
「そうですか? 自分としては微妙な感じがするんですが」
「いえ、そんなことはありません。あとはベストの上からジャケットを羽織られれば完璧です」
「はぁ」
どうもこれでいいらしい。前世のスーツ姿に感覚が引き摺られてるんだろうか。
「そろそろパーティが始まりますので、ご準備を」
「もうそんな時間か。分かりました」
初めてのタキシードで予想よりも時間を使ってたらしい。危ない危ない。
ジャケットを羽織り、念のためスマホをマナーモードにすると、俺はチェルシーさんの後に続いてパーティ会場に向かった。
オルコット邸の大広間。立食式の料理が並び、社交界の紳士淑女が集まる中、ブルードレスに身を包んだ主役のセシリアが現れると、歓談の声が静まり返る。
「セシリア・オルコット様の誕生日パーティにお集いの皆様、今宵は盛大な祝福をお願い申し上げます」
チェルシーさんがそう告げ、セシリアが会釈をすると、その紳士淑女が一斉にセシリアに詰めかけた。
俺が遠目で見ただけでも媚を売ってると分かる奴にも、セシリアは丁寧に返事を返していく。
「貴族って大変だなぁ」
「何を言ってるんだ」
壁際でセシリアウォッチングをしていたら、近付いてきた親父に頭を小突かれた。
親父も俺と同じでタキシードを着てるんだが、なんで向こうは似合ってんだよ……べ、別に、悔しくなんかないんだからねっ!
「その貴族に、将来お前はなるんだぞ」
「そうなんだよなぁ。って、お袋は?」
「あっち」
親父が指さす方を見ると、お袋はルイーザさんと一緒に英国マダム達と優雅な語らいをしていた。
な、なんだあのコミュ力の塊は……。
「みなさん、少し失礼しても?」
「おや、どうされ……ああ、なるほど」
「いってらっしゃい、セシリア様」
おや? さっきまでセシリアと話してた紳士淑女達が、モーセの海割りのように――
「悠人さんっ!」
「うおっとぉ!?」
ドレス姿で俺に向かって飛び込んできたセシリア。俺はそれをキャッチ&ターンで1回転することで、飛び込みの勢いを殺すことに成功。
せ、セシリアさんや。俺さんまだ右腕治り立てなもんだから、もう少し、ね?
「あらあらセシリア、レディは欲張らないのが信条ではなかったの?」
「お母様、わたくし知りましたの。少し欲張るぐらいでないと、大切なものは得られないと(わたくし、鈴さんやシャルロットさんみたいになりたくありませんわ)」
「(セシリア、結構酷いこと言うな)」
それ、大尉さんにワンサマーを持ってかれた旧ハーレム勢を擦りまくってるよな。
「あれがミスタ・ユート……」
「世界に二人しかいない、男性IS操縦者ですか」
紳士淑女の視線が突き刺さって痛い痛い痛い……
そんな俺とセシリアの隣に、ルイーザさんが並ぶ。
「ちょうどいい機会ですので、紹介いたします。皆さんご存知かと思いますが、榊悠人さんです」
「ご、ご紹介にあずかりました、悠人です」
突然紹介され、凄まじく微妙な言葉しか出せなかった。ルイーザさん、せめて事前に教えておいてくださいよぉ……
「そして、彼とセシリアが婚約したことを、この場を借りてご報告いたします」
「「「「おおーっ!」」」」
「お、お母様!? 本当に発表する気でしたの!?」
「当然です。それと皆様、二人の婚姻は卒業後になりますので、その時にも祝福をよろしくお願いいたします」
「「「「おおーっ!?」」」」
まさか婚姻のスケジュールまで決まっているとは思わなかったのか、会場は大いに盛り上がっていた。
そんな中セシリアは、俺の胸に飛び込んだ状態のまま、耳の先まで真っ赤に茹で上がっていた。うむ、可愛い。というか、俺もたぶん顔真っ赤。
「そんなの認めないぞっ!!」
俺達を含め、会場の全員が大声のした方を向く。
そこには、いかにも貴族ーな見た目の青年がツカツカとこっちに向かって歩いてきた。
「(セシリア、あの人は?)」
「(あの方がナムラント男爵家の御子息、コンラッド・ナムラント様です)」
「(あれが自称セシリアの婚約者か)」
「(あ、あくまで自称ですからね!? わたくしの婚約者は悠人さんだけですからっ!)」
そんなセシリアとのやり取りに内心ほっこりしていると、コンラッドはルイーザさんに詰め寄っていた。
「セシリア嬢は僕の婚約者ですよ!?」
「そんなこと、私もフィリップも承知していないわ。そもそも以前セシリア本人の口から否定されてるじゃない」
「あれはただの照れ隠しです! そもそも、あんな男がセシリア嬢と釣り合うわけが――」
「あ゛ぁ?」
「ちょちょちょっ、セシリア、落ち着け落ち着け!」
「あ、あら、ついうっかり」
怖かった! セシリアの口から漏れた声も怖かったけど、目から殺意漏れてた! そしてそれに気付かないコンラッドはある意味すげぇ!
「悠人さんはわたくしが選んだ男性です。それ以上の侮辱はお辞めくださいませ」
「ぐ、ぐぬぬ……!」
俺から離れたセシリアが、再度コンラッドとの婚約を否定。その突き放しに、プルプル震えていた彼だったが
「貴様に決闘を申し込む!」
「は?」
「勝負は今この場! 勝った方がセシリア嬢の婚約者になる! さあ勝負だ!」
勝手にルールを捲し立てると、コンラッドは俺の返事を聞かずに隠し持っていたらしいレイピアを……ってぇ!
「セケェ! お前それでも貴族かよ!」
「英国貴族は恋と戦争では手段を選ばんのだ! 大人しく死ねぇ!」
勝利を確信した顔とともに、レイピアの切っ先が俺に迫って……あれ?
――ヒュンッ
「よ、避けただと!? い、いや! まぐれに決まっている! 今度こそ死ねぇ!」
――ヒュンッ
「ば、馬鹿な!?」
コンラッドが突き、それを躱すというパターンを続けることしばし、
「えい」
「のわぁぁぁ!!」
――ドスンッ
疲れてきた奴さんの突きを躱し、そのまま突き出された腕を掴むと、俺は
本当は頭から落としてやってもよかったが、下手に後遺症が残る真似をするのもあれなので、ちゃんと背中から落としてやった。
「すごいじゃないか悠人!」
「素晴らしい戦いだったぞ!」
「ただISに乗れるだけかと思っていたが、これはこれは……」
親父達が褒めてくれるが、正直釈然としない。何故かと言えば……
「なあセシリア、こいつ弱すぎじゃね?」
「いえ、彼はフェンシングの大会に何度も出場している実力者ですわ」
「それにしてはあの突き、めちゃくちゃ遅かったような……」
なにせ、ド素人の俺が躱せるようなスピードだったからな。あれで大会経験者って言われても……
「悠人さん、貴方はIS学園で誰と模擬戦をしてましたか?」
「誰って、セシリアだろ?」
「わたくし以外には?」
「セシリア以外だと……鈴とかヴィシュヌとか?」
パッと思い付いた二人を挙げると、セシリアは我が意を得たりと頷いた。
「鈴さんとヴィシュヌさん、共に近接戦を得意とするお二人ですわ」
「いや俺、あの二人に勝ったこともないんだが」
「それでも模擬戦を重ねるうちに、悠人さんの目が二人の速度域に慣れてきたのですわ。……体が反応出来るかはさておき」
「最後の一言が痛い。ただまあ、なんとなくセシリアが言いたいことは分かった」
確かに鈴の青龍刀やヴィシュヌの蹴りに目が慣らされたら、さっきの突きは遅く感じるか。
さて、俺が勝った理由は分かったんだが、問題は投げられた衝撃で失禁したこいつをどうするかだ。
そう思っていると、使用人の方々が登場、失禁ボーイの四肢を持ち上げると颯爽と会場を出て行った。
「ぐぞぉ、リーワンジンめぇ……! IS適性以外はゴミだって言ってたのにぃ……!」
なんか最後に変なこと言ってたような気が……気のせいか?
「男爵家に送り返しておきます。これで、二度と彼をパーティに呼ばなくていい口実が出来たわ」
どうやらあれは、ルイーザさんが指示したことらしい。
それにしても、めっちゃ活き活きしてんなぁ。そんなに呼びたくなかったのか。……呼びたくもなくなるか。
「アクシデントがありましたが、引き続きご歓談をお楽しみくださいませ」
最後はチェルシーさんが上手くフォローして、パーティは何事も無かったように再開されたのだった。
「悠人さん❤」
「セシリア」
「うにゅ~❤」
「私達もあんな時期があったわね」
「そうだね。だから僕達も……」
「あら、もうっ❤」
「おやおや、お熱いですなぁ」
「しかし、あれを日常的に見せつけられるIS学園の生徒達は気の毒ですな」
「然り然り」
――俺とセシリアがイチャラブして、それに中てられたカップルや夫婦もイチャイチャし始め、ご老人方がそれを肴に酒を飲む形式に変わっていたが。
ーーーーーーーーーーーーー
――一方その頃、中国では
「ああもうっ!」
――ドガァァンッ!
「なんであたしが」
――ドガァァンッ!
「クリスマスなのに」
――ドガァァンッ!
「こんなことしなきゃ」
――ドガァァンッ!
「いけないのよぉ!」
そう愚痴りながらも、鈴は専用機『甲龍』に乗って、歩兵戦闘車や自走砲を相手に暴れ回っていた。
事の発端はイギリスからだった。
ある貴族のボンボンが、自分より高位の貴族が主催したパーティで決闘騒ぎを起こして返り討ちに遭った。
それだけであれば、何も問題は無かった。少なくとも、中国には。しかし問題は、そのボンボンが漏らした人物の名前にあった。
リーワンジン。その名前が引っ掛かった高位貴族が政府に報告、英国政府が調査に乗り出した。その結果、ある重大事件が発覚。
中国最大手の資源会社、中鉱資源公司。李王静(リーワンジン)はそのCEOである。
そしてこの会社、実は統一前のノース・コリアから、密かにウランを始めとした鉱物資源を密輸することで、巨額の利益を得ていた。そしてそれは半島統一後も続いていた。
しかし先日の国連軍事行動で半島全体が更地となり、密輸どころではなくなった。当然、その分の利益は無くなり、中鉱資源公司は大打撃を被った。
李王静は原因となった(と李が勝手に思っている)悠人とセシリアへの報復を決定。その第一段階として、英国貴族のボンボンを焚きつけ、決闘と称して悠人を抹殺しようとしたのである。
英国政府は調査内容を中国政府に送付した。そしてそれを読んだ、中国の最高権力者である
なぜなら、李は中国政府にお伺いを立てずに報復行動を起こしたからである。しかも報復は失敗、相手国から指摘されたのだから、中国の、それ以上に自分の顔に泥を塗られたと俊は感じた。
俊はすぐに英国政府と会談、今回の件の首謀者を責任持って処分すると約束した。
英国側も、自国の貴族が馬鹿な誘いに乗ったという汚点があるためか、中国側に対してこれ以上の抗議はしなかった。
そして、小国の軍隊並みの戦力に守られた中鉱資源公司を無力化するため、専用機持ちである鈴が投入されたのである。
なお、歩兵相手にISは過剰過ぎるため、そちらは公司建屋の制圧も含め、きちんと中国陸軍が行うことになっている。
「一夏とのクリスマスを返せぇぇぇぇぇ!!」
本当はそんなものは無いのだが、そう叫びでもしないとやってられない。
その後も鈴の怒りの捌け口として、ぺしゃんこになった装甲車や、輪切りになった高射砲が量産されていったのだった。
もし本作が面白いと感じていただけましたら、高評価や感想、お気に入り登録をよろしくお願いいたします。
……この作品、綺麗にまとまるといいねばっちゃ。(遠い目)