どうでも良いんですけど、ティーパーティーと仲良くなりたいです。特にセイアちゃんが好き。なんで背中丸出しの服着てるんですかねあの子。風邪ひくよ?
陰でトリカスにボッコボコにされたいですし、ロールケーキを突っ込まれたいです。
セイアちゃんを庇って大けがしたいです。自慢の予知夢に俺は映ってなかったから油断したんだろセイアちゃん。甘い甘い、俺は転生者さ!
なんとか一命は取り留める俺。お見舞いに来てくれたミカに「犯人が許せない」「セイアさんは無事だったから良かったけど次はあなたか桐藤さんが狙われるかもしれないから気を付けて」みたいなこと言ってガリガリ精神削りたい。
裏で手を引いてたことがバレたとき必死に言い訳してほしい。
撃たれたときに何か取り返しのつかない事態になってるのも良いよね。神経かすめて手がうまく動かせないとか、弾が体内に残ってるのも良いですね。
前書き、本編、後書き全部曇らせなのやばすぎるな
『しゃちょー!』
パタパタとこちらに走ってくるフーコ。あぁ、やっと見つかった。
無事とは言い難くとも、生きて帰ってきてくれた。
両手を広げ、抱きしめる。じんわりと広がる温もりに安心する。
しかし、同時に違和感。その小さな体に見合わない熱の広がり。
恐る恐る身体を離すと、一面の赤。腹部の裂け目がぴりぴりと広がってゆく。
内臓は大量の血とともに流れ出て、止めることができない。
咄嗟に身を伏せ、パーツの一つ一つを拾い集める。
『ねえ、しゃちょー。』
肩が跳ねる。確かによく知った声のはずなのに、底冷えするほどの恐ろしさが背中を撫でる。
『わたし、すっごく、すっごくいたかったよ?』
裂け目はその小さな体を一周し、ジャージを脱いだ時のように皮がゆっくりと落ちる。
目や筋繊維もぼろぼろと崩れ、水っぽい音と共に地面に落ちる。
気分が悪い。吐きそうだが、吐けない。それどころか言葉も出ず、体も動かない。
『ねえ』
骨だけになったフーコが、こちらに歩み寄る。跪いた私とちょうど目が合う身長の少女は私に顔を近づける。
『どうしてたすけてくれなかったの?』
私の口は開かない。言い訳の一つもできず、涙だけが零れ落ちる。
拾い集めた臓器の一つ一つに人間の口が現れ、一斉にゲラゲラと笑い出す。
恐怖と嫌悪から、拾い集めたフーコの破片を投げ捨てる。やっと体が動いてくれた。
ぼちゃぼちゃと地面に落ちた臓器はピタッと嗤うのをやめ、口々に声を上げる。
『またにげた』『またにげた』『またわたしをてばなすんだね』『もういたいのはいやだよぉ』『やっぱりたすけてくれないんだ』『すてないで』
また判断を誤ってしまった。取り返すようにまた拾い集めようとするが、手を伸ばしたものから血の海に沈んでいく。消えていく。
『さようなら』
骨が言い残し、風呂の残り湯のように、何かに吸い込まれるように血も消えていく。
「いやだ…、まって。私が悪かったから!戻ってきて!フーコ!お願い!!」
何もなくなった空間に、私は一人。腕の中には誰もいない。
また、見捨てたのだ、私は。
「はあはあはあっ!…ぁ?」
目が覚めると、見知った天井。便利屋68本拠地のソファの上に、私は寝かされていた。
「あ、アルちゃん起きたー。二人とも、アルちゃん起きたよ!」
「よ、良かったですアル様…お体の具合はどうですか?」
「社長、何があったかは知らないけど最近無理しすぎ。そんなにキツいの?先生からの依頼。」
「ここ最近、ロクに寝たり食べたりしてないんじゃないの?今日はお休みしたら?」
「も、もう昼…こんなことしてる場合じゃないのに…!」
ブツブツと呟き、隈だらけの目元を擦り、ソファから腰を浮かせる。
「ちょ、ちょっと!アルちゃん!?」
「む、無理しないでください…アル様!」
「そうだよ。どうしてもっていうなら私達も手伝うし…」
各々私の邪魔をする。早くあの子を見つけてあげないといけないのに。こんなところで休んでいるわけにはいかない。こうしている間にもあの子は傷を増やされているのかもしれないのに。
「どきなさい、あなた達。」
「やだ!今のアルちゃん、とーってもつまんないもん!」
「同感。社長らしくないよ。私たち、四人で一つでしょ?」
「すみませんすみません…でも、そのままでは行かせられません…!!」
沸々と怒りがこみ上げる。あなた達は何も知らないからそんなことが言えるんだ。
私の身体なんてどうだっていい。あの子の命に比べたら。
「どけって言ってるのよ!!何も知らないくせに!!!」
「あ、アル様…きゃっ!」
ドアの前に立つハルカを突き飛ばし、強引に外に出る。
「尾けてきたりしたら殺すから。」
そう言い残し、振り返ることなく街へと繰り出す。昨日だけで『そういった』組織は3つ4つ潰したが、そのどこにもフーコはいなかった。
「今日は東部ね…」
ふらつく足取りで、廃墟群をひたすら歩く。無機質な摩天楼が、私をなじっているように見え、歩を速めた。
「なぁに、さっきの?」
「わ、私は何ともありませんから…」
「…社長のあんな姿、初めて見たかも。」
「あ、あれもあれでカッコいいアル様ではあると思いますが…」
「うーん、なんだか昔のムツキちゃん見てるみたいでやなんだよねぇ、今のアルちゃん。」
「だね。やっぱ私達の社長はもっと抜けてないと…」
「先生、どんな依頼を出したんでしょう…」
「私達が協力しちゃだめな理由が分からないんだよねぇ~…」
「私、ちょっと先生に電話かけてみる……?電源切ってるのかな。ワンコールも無いや。」
「うーん、昨日ちょうどバイト代入ったし、今日はちょっと奮発しちゃおうよ!」
「だね。美味しいもの食べたら社長も元に戻るでしょ。」
「な、鍋ですね!!」
「おっ?いつかの女社長じゃねぇか」
どこかで聞いたことのある声に顔を上げると、屋台を引く犬の姿が目に入った。
昔ながらのラーメン屋『紫関』店主、柴大将である。
「こんなところで会うとはな…何かの仕事か?」
「ええ。とっても大事で、急ぎの用よ。」
「ほーん。その様子じゃ飯もまだだろ。どうだい?一杯。」
「ごめんなさいね。いつも通りお金が無いのよ。」
「…アンタ、嘘ついてるだろ。」
取り繕った表情と嘘を看破され、少し動揺する。
「………」
「なーに、お代はいらねぇよ。食ってきな。ちょうど新商品を考えててな。味見役が欲しかったんだ。」
「あいにく、お腹が空いてな…。」グギギギイギギイギ
とんでもない怒号を上げる腹の虫に、思わず顔を赤らめる。
「はっはっは!無理しなさんなって!やーっとアンタらしい顔が見れたよ。ほら、座りな。」
情けないことに空腹には勝てず、おずおずと席につく。
「へいお待ち!冷めない内に食ってくんな!」
少し躊躇いがちに箸をとり、麺をすする。
「美味しい…」
溜めに溜めていた涙が堰を切ったように流れ出す。
「ううっぐ、ひっ!ひうぅ…」
鼻水も垂れ流し、恥も外聞もなく泣きじゃくる。
「うめぇだろ、俺のラーメンはよ。客もしばらく来ねえだろうし、なんでそんなことになってんのか聞いても良いかい?」
「う゛ぅ…わっ、私が…」
それから、私は話した。フーコの素性や名前は隠しているものの、少し見知った程度の関係の大将に全てを打ち明けた。
何度も守ってもらったこと。私は何もできなかったこと。そして今行方不明になっていること。そして今日、私の弱さがきっかけで大切な仲間を傷つけたことまで話した。
私がえづきながら言葉を紡ぐ中、大将はずっと黙って聞いてくれていた。たまに相槌を打ったり、チャーシューを煮たりしながら。
「吐き出し切ったかい?」
「…ええ。おかげでスッキリしたわ、ありがとう。でも、どうしてこんなに良くしてくれたの?私達は一度あなたのお店を…」
「あー…まあ、それはまぁ、あれだ。ここで店やってるやつの宿命みたいなもんだからな。遅かれ早かれああなってたさ。俺はな社長、人を元気にしたくてこんなことやってんだ。元々はな。」
「さっきのアンタ、そりゃもう酷いツラしてたぜ。今から自殺でもすんのかってくらいな。でももう大丈夫だろ?」
「…ええ。」
「人間しんどいことがあっても、飯食って寝りゃ大丈夫だ。そういう風にできてんだよ。まあ、もしそれでもキツかったら…」
「キツかったら?」
「そんときゃあ、仲間の出番さ。あんたには幸い、それがあんだろ?」
「っ!ええ!ええ!勿論よ!」
「話したくないんなら黙ってても良い。あんたのことだ、仲間を想って黙ってたんだろ。これでも持って帰って、仲直りしな!」
そう言って四人前のギョーザを手渡してくる大将。
「ちょっとこんな…悪いわよ!」
「なぁに、出世払いと思えば安い安い!いつか俺の店建ててくれんだろ?」
「おっほっほ、任せておきなさい!この陸八魔アル、社長として約束は守るわ!近いうちに新装開店してあげる。今から内装でも考えておきなさい!」
(完全復活したな…もう大丈夫か。)
「期待せず待っとくぜ。またその子も連れてきな。俺のラーメンは絶品だからな!」
「そこは期待してなさいよ!…今日は本当にありがとう。絶対にまた来るわ。」
別れを告げ、帰路につく。ここ数日では考えられなかったほど晴れやかな気持ちだ。
帰ったらみんなに謝って、みんなにも協力してもらおう。四人で探せばきっとすぐに見つかる。我ら便利屋68に不可能は無いのだ。
鼻歌が混じり始めた頃、けたたましく電話が鳴り響く。
先生からだ。しかもこの音の時は…
「緊急事態、ね…」
ごくりと喉を鳴らし、電話を手に取る。
「もしもし、こちら便利屋68、陸八魔アルよ。」
『今からシャーレに来れるかな、アル。ごめんね突然。』
「構わないわ。それで、何があったの?」
『新しい動画が届いたんだ。』
「……そう。分かった、今から向かうわね。」
大急ぎで事務所に向かい、ドアの取っ手に餃子の袋をひっかけ、シャーレに向かう。
その足取りは、ひどく重かった。
柴大将「惚れても、良いんだぜ…?」
どうも作者です。曇らせというよりグロに近かった今回。反省して次回ではしっかりと曇らせを書きます、はい。「陸八魔アルよ。」を中国人による詐欺だと思った方、喉を掻き切ってください。