目が覚めたら黒服の娘だったんだが…   作:菱野 モチ

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思いの外伸びてて嬉しい限り…
横島フーコの名前の由来なんですが、邪(よこしま)で不幸を運んでくる…みたいなイメージで付けてます。こういう創作物特有のダジャレみたいな名前大好き


貴方も今日からゲマトリア

「おはようございます。どうですか、新しい世界での目覚めは」

 

まだ朦朧とした意識の中、閉じようとしている瞼を無理やり開くと、全身真っ黒の変態と目が合う。

あー、夢じゃなかったかぁ…

 

『おふぁよ…ベッド固くない?』

 

「私は気にならないのですが…分かりました。買い換えておきましょう。体調や感情に変化はありますか?」

 

『マスク外してる時なんかめっちゃ気分悪かった。アンタに対する恐怖?みたいな』

 

「そのマスクは流暢に喋れるようになるだけでなく、貴方の人格をサポートできるよう、元の人格を押さえつける効果もあるのです。恐らくですが、マスクを外すと本来の人格が顔を出すのでしょうね。」

 

『なるほど。意識とかは私のもんだけど、本能的(?)に恐怖を感じてたわけだ。』

 

「今は恐怖を感じませんか?」

 

『全然。ヨユーよヨユー』

 

「それは良かった。娘に嫌われるというのは、父親として良い気分ではないですからね」

 

『アンタも冗談とか言うんだな』

 

クックッと笑う黒服。この人良く笑うな。

 

「さて、今日の予定ですが…貴方さえ良ければ、貴方を私の仲間に紹介したいのですが…」

 

『ゲマトリア?』

 

「やはりご存知でしたか。そうですよ…約一名、精神衛生上よろしくない方が居ますが…」

 

絶対ベアおばのことじゃん…

 

『了解。身だしなみ整えなきゃ…』

 

 

ーどっかのアジトー

 

「紹介します。私の実験台(むすめ)です」

 

『横島フーコです。よろぴく』

 

一つの体から頭が2つ生えた人形が、興奮したように体を軋ませる。

 

「おぉ…ついに別世界に干渉できたのか!素晴らしい!おっと、自己紹介がまだだったな。私のことは、『マエストロ』と呼びたまえ。」

 

この名を気に入っていてね、と続ける。ゲマトリアメンバーの名前に対する意識ってみんなこんな感じなのか…?

 

首の無い男性が抱えた写真から、どこか高貴な印象を受ける男性の声が響く。

 

「故あって、背を向けた状態での自己紹介となるご無礼、どうかお許しくださいませ。

わたくしの名はゴルコンダ。こちらはわたくしの相棒、デカルコマニーです。良好な関係を築きましょう。どうぞよろしく。」

 

「そういうこったぁ!」

 

「あぁ失礼。彼はいつもこんな感じなのです。」

 

再び「そういうこったぁ!」とクソデカ大声で叫ぶデカルコマニー。このコンビめっちゃ好き。

 

「では各自、自己紹介も済んだようなので…」

 

「ちょっと待ちなさい!」

 

「…何ですか、ベアトリーチェ。」

 

「私の紹介がまだでしょう!」

 

数多の眼を見開き、黒服を怒鳴り付けるベアトリーチェ。常に赤いから怒っててもわかんねぇ…常に怒ってるのか?(凡推理)

 

「フーコよ。こいつは芸術も理解しないカs…ゲフンゲフンだから話を聞く必要は無いぞ。」

 

わざとベアトリーチェに聞こえるように俺に耳打ちするマエストロ。

 

「そういうこっt「デカルコマニー!シーッ!」」

 

渾身の相槌を打とうとするデカルコマニーを慌てて制止するゴルコンダ。

 

「どこまでこの私を侮辱すれば気が済むのですかあなた達ィ…!」

 

全員にバカにされブチギレるベアトリーチェ。

俺が知ってるゲマトリアじゃないんだが…なんかアットホーム過ぎない?

 

『あの…ベアトリーチェさんと言うんですか?これからよろしくお願いします』

 

「…少し興奮しすぎたようです。えぇ、よろしくお願いします。私のことは『ベアトリーチェお姉さま』とお呼びなさい。」

 

あっぶねぇ~…前の世界のノリで『ベアおば』とか呼んでたら殺されてたわ…

 

『はい!ベアトリーチェお姉さま!』

 

「こんな幼子に…悪影響が出るぞ、黒服よ。」

 

「それはあなた方もでしょう。ギシギシ煩いんですよ木偶人形が。」

 

「何だと?」

 

「まあまあお二人とも…いい大人が子供の前で喧嘩をするものではないですよ…」

 

「そういうこったぁ!」

 

今にも取っ組み合いを始めそうな二人を宥めるゴルコンダ。手慣れている…

 

収拾が付かなくなってきたところに、黒服が一度咳払いする。

 

「まあそんなわけで、我々ゲマトリアは貴方を歓迎しますよ、横島フーコ。」

 

我々の邪魔をしない限りですが、と付け加える。

元よりそんなつもりはない。俺としてはこの世界の人達と仲良くしたいだけだし、黒服というパトロンを自ら失うような真似はしたくない。

それだけならまだ良いが、逆らったら最悪殺されてもおかしくないし…

 

『ありがとうございます。これからよろしくお願いしますね!』

 

ゴルコンダや黒服のおかげで、俺を加えたゲマトリアの初めての会合は穏やかなムードで締め括られた。

心なしか各々穏やかな表情をしていたような気もするが、何を考えているのか分かったもんではない。

 

苦労が絶えなさそうな新たな人生が幕を開けた。

 




横島フーコ
実験の副産物なのか転生特典なのか、とにかく周りの庇護欲を掻き立てる能力(?)があるっぽい。あと前世では美術部でした。この設定今考えました。

マエストロ
黒服作『イメージを映し出すマシーン』とフーコの知識によって別世界の芸術作品に触れ、多大なインスピレーションを得た。趣味が合うのでフーコのことは気に入っている。

その他ゲマトリアメンバー
全員フーコのことを新メンバーとして受け入れてはいるし特に嫌ってもない。黒服同様情のようなものはあるが、それはそれとして酷いことはいっぱいやる。
割り切るときはしっかり割り切るのも大人の対応なのです。


次回!!!曇らせ開始!!!!

マスク外してる時のフーコのセリフというか話し方について

  • わかりやすく平仮名カタカナのみ。ふえぇ…
  • 読みづらいから普通に漢字使用
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