目が覚めたら黒服の娘だったんだが…   作:菱野 モチ

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最近あまりにもフーコちゃんをボコボコにしていたので、マンネリ防止がてら休憩回です。


討伐!ロッカーの魔物

~一時帰宅のちょっと前~

 

「せんせー…ちょっといい?」

 

「どうしたのフーコ。何か困り事?」

 

私が仕事をしている間はいつも便利屋や万魔殿に遊びに行っているフーコが、今日は部屋に残っている。

 

「ユズおねえちゃんとおはなししたい…」

 

「っ!……知ってたんだね、ユズのこと。」 

 

以前フーコがゲーム部に遊びに行った時の話である。ユズが勧めたゲームが原因でフーコのトラウマを刺激してしまった。

ユズはそのことをずっと気に病んでいるそうだ。

活動やゲームは変わらずやっているものの元気が無かったり、自虐的な発言が多くなったり。何より、ロッカーに隠れている時間が増えたらしい。

私は勿論、フーコも気にしていないのだが…

 

「だめ…かな…?」

 

「フーコは優しいね。じゃ、行こうか。ユズには元気になって欲しいしね。」

 

「うん!」

 

「…とその前に……」

 

モモトークでミドリ、モモイ、アリスに作戦を伝える。少し過激かもしれないが、普通に行ったんではまた引きこもってしまうだろうから仕方ない。

 

 

 

 

 

 

「ユズ、新作が出ました!買いに行きましょう!!」

 

「えぇ…な、なんで私も?」

 

「水臭いこと言わないで!さあさあ!」

 

「帰りゲーセン寄ろうよ。」

 

みんなが突然騒ぎ出す。あんまり外に出たくないんだけどな…というか何か新作出てたっけ…?

 

「う、うん。分かった」

 

渋々ながらロッカーから出て、買い物に出かける。なんだか久しぶりの感覚だ。

 

 

 

 

「よし、誰もいないね。フーコ、今の内だよ!」

 

「ごめんなさいユズおねえちゃん…」

 

 

 

 

「たっだいまーっ!」

 

「新作、売っていませんでしたね…」

 

「てかユズちゃん、クレーンゲームも上手いんだね。流石すぎる…」

 

「どうしようこれ…売る?」

 

何となくやったクレーンゲームで一発ゲットした趣味の悪い鳥?のぬいぐるみを抱きながら、部室に入る。

 

「あっ!先生からモモトークを受信しました!」

 

「ホントだ。良かったねお姉ちゃん、フーコちゃんも来るって。」

 

「ホント!?久しぶりじゃ~ん!……ユズ?どうしたの?」

 

「わ、私は居ない方が良いよね…」

 

いつも通りロッカーに引きこもり、ドアを閉める。

 

「まだそんなこと言ってんのー?フーコも気にしてないって言ってたじゃん!」

 

「で、でもっ!私のせいでフーコちゃんが怖い思いをしたのは事実だし…」

 

前回の出来事を思い出し、思わず俯く。

明らかに自分の物ではないサイズの影が見えた。

 

「やあ」

 

「ひえぇええぇえええ!!!????」

 

「フ、フーコちゃん!?どうしてここに!?」

 

「ユズおねえちゃんとおはなししたくって…」

 

「わ、私とお話しても楽しくないし、また傷付けちゃうかもしれないし……」

 

「ユズおねえちゃん、わたしのこと、きらい?」

 

「いや、そんな訳ないよ!そうじゃなくて…」

 

「じゃあすき?」

 

「う、うん…好き…だよ?」

 

「わたしも、ユズおねえちゃんのことだいすきだよ!!」

 

「!!ぁ、ありがとう…フーコちゃん…」

 

「ユズおねえちゃん、ないてるの?」

 

「ごめん…ごめんね…なんだか嬉しくて…」

 

「また、あそんでくれる?」

 

「うん!うん!もちろん!」

 

「うへへ、やったぁ!」

 

泣きじゃくる私に抱きつくフーコちゃん。突然のことにびっくりする。

割れ物を扱うように優しく、優しく抱き返す。

 

「ユズおねえちゃん、あったかいねぇ。」

 

「あ、ありがとう…?」 

 

「かなしいの、なおった?」

 

「うん、もう大丈夫。ありがとうね、フーコちゃん。」

 

ゆっくりとドアを開け、暗い世界に別れを告げる。暖かい闇は私にとって安心できる場所に変わりはない。でも今は、こっちの方が居心地が良い。

 

「仲直りできた?」

 

いつのまにか部室にいる先生。泣き腫らした目を見られたくなくて、大きめのジャケットで顔を隠す。

 

「先生の作戦でしたか…」

 

「いや?フーコがやりたいって言ったんだよ。私達は協力しただけ。」

 

「うまくいってよかった…!」

 

心底嬉しそうに笑うフーコちゃんに我慢ができなくなり、背後から抱き上げる。

後頭部からとても良い匂いがする。お日様の匂いと言うやつだろう。

抗えない欲望に突き動かされ、吸う。

 

「あっユズ!ずるいです!アリスもフーコ吸いを実行します!」

 

「私も私も~!」

 

「わ、私も良いかな…?」

 

「やあぁ…たすけてせんせー…」

 

許可なく全身を吸われまくってるフーコが助けを求めているが、私に彼女らを止めるのは不可能だ。

 

「あとで私にも吸わせてね、フーコ。」

 

「やだ!せんせーのばか!へんたい!」

 

「なんで私にだけ当たり強いの?」

 

 

 

 

「………」ブッスー

 

部屋の隅でしゃがみ、いじけるフーコちゃん。

私筆頭にやりすぎてしまったかもしれない…

 

「ふ、フーコちゃん?ごめんね?」

 

「フーコ、一緒にゲームしましょう?」

 

「やだっ!」

 

「ごめんってフーコ…でも恥ずかしがることないよ、めっちゃ良い匂いだったし!」

 

私が言うのもおかしい気がするが、そういう問題では無いと思う。

 

「フーコちゃん、これあげるから元気だして?」

 

先ほど手に入れた巨大キモ鳥人形を持ってくるが…

 

「……いらない」

 

幼女の感性を持ってしても、これはナシらしい。どういう層向けに販売してるんだろう…

 

その後、いじけるフーコちゃんをなんとか慰め、一緒にゲームした。

帰り際にセクハラしようとした先生はフーコちゃんの「へんたいせんせーはきらい!」発言に死んでいたが、どこか嬉しそうでもあった。きも。

 

 

なおキモ鳥人形はフリマサイトに出品した。

トリニティ在住のファンの子に爆速で買われた。キヴォトスには変態が多いようで困る。




嘔吐、自傷を除く限界描写が知りたい今日この頃。
怪文書は次に持ち越しです。

次回

  • 陸八魔、完全にママになる
  • 超人的コーヒータイムwithフーコ
  • パンデモワンダーズ
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