目が覚めたら黒服の娘だったんだが…   作:菱野 モチ

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次回以降、地獄ラッシュです。衝撃に備えてください。


いやなよかん

「なるほど…複数のヘイローが出たというのはその子ですか」

 

「うん、ホシノ達に保護されてた時になったんだって。すぐに戻ったみたいだけど…」

 

「ふむ、ふむ。それでこの『全知』の称号を持つ天才病弱清楚美少女ハッカーである明星ヒマリの下へやって来た、と…」

 

「てんさい、びょうじゃく…?せいそ、びしょうじょ…」

 

「フーコ、今からする話はちょっと難しいから、そこのお姉ちゃんと遊んでてくれる?」

 

「えっ聞いてないんだけど。」

 

「うわーっ!!へんたいだぁあーっ!!!」 

 

「そうだった、フーコは変態が嫌いなんだったね…」

 

「私は変態じゃないよ。涼しくて合理的な服装を選んでるだけ。」

 

「ごちゃごちゃ言わずに服を着てきなさい。」

 

ぶつくさ文句を言いながらも空気を読んでくれたのか、上着を着るエイミ。ただ胸元のチャックを閉めただけで、すごく暑そうにしている。

 

 

「さて、話に戻りましょうか。…結論から言えば、過去の例でそのような…数十ものヘイローを持った人間はいません。」

 

「近い事例で二重人格者のヘイローが2種類、または2つが混ざったものが一つ、なんてものがありますが…」

 

「十重人格者ってこと?」

 

「いえ、その可能性は消して良いでしょう。そうなること自体稀ですし、人間の知能では数十の人格を同居させるなんてことは到底不可能です。できたとしても、意思の疎通は不可能でしょう。」

 

「そもそも、あの子のヘイローは一度消えていると聞いています。しかし、ヘイローが消えても生きているなど…あり得ない。」

 

「………」

 

「先生、あの子は本当に人間なのですか?」

 

「ッ!それは…」

 

人間に決まっている。あんなに小さくて、愛らしくて、温かい。血が流れていて、涙も流す。

あれが人間でなければ、何を人間と言えよう。

 

「申し訳ありません、失言でした。折角私を頼って下さったと言うのに…」

 

「いや、助かったよ。ありがとうヒマリ。」

 

特例の中の特例。全知を持ってしても、その存在をまったく捉えることができない。

 

(不気味な…)

 

向こうでエイミと遊んでいる少女が、異形の怪物のように見える。この出会いすらも仕組まれたもののような、まるではじめからそうなるように決まっていたような奇妙な感覚に襲われる。

 

(私の杞憂に終われば良いのですが…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「膨大な神秘。隻眼隻脚の神の器と、それを満たす恐怖。数多の生贄…準備は整いました。あとは出力するのみ…」

 

「彼女は、我らの悲願を叶えられると思うかね?」

 

「当然でしょう。彼女はこの私、黒服の娘なのですから…」

 

「彼女が顕現せし時、この世界はどうなってしまうのか…」

 

「実に、実に興味深い!フーコ。いえ、もうこの名は必要ありませんか…■■■よ!私の望む世界を、我々が手にすべき『崇高』を…楽しみにしていますよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フーコ、どうしたの?お腹痛い?」

 

「うん…なんか、あたまがぴりぴりするの…いたくないけど、やなかんじ…」

 

「明日起きてまだ治ってなかったら、病院行こっか。明日はちょうどアビドスに行こうと思ってたんだけど…」

 

「おじさんにあえるの!?せんせー!はやくねよ!」

 

「はいはい、明日までに治ると良いねぇ。」

 

「ぜったいなおす!おやすみ!」

 

「おやすみ、フーコ。」




「くそっ!逃げられた…!?」

アビドス高校から遠く離れた砂漠地帯。そこにそびえる、無機質な建物。
その持ち主は、姿を消した。

「やっぱり…」

あの子がアビドスに来てから、黒服からの干渉がほぼ途絶えた。ただの偶然とも思っていたが…

間違いなく、あの子は黒服と繋がっている。
そして、ユメ先輩の死とも関わっている。

(早く戻らないと。対策委員会の皆が危ない!)

磁気を伴う砂嵐で、携帯では連絡が取れない。飛ばされてくる物に気を配りつつ、急ぎ足でアビドス高校を目指す。

「もう、騙されない…!」
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