目が覚めたら黒服の娘だったんだが…   作:菱野 モチ

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今回凄く読みにくい文になったことを詫び、コユキの目の前で自殺します。クソガバ表現注意です。あとこのキヴォトスの奴ら幼女に抱き着きすぎだろ!…いや危なっかしいし妥当なのか…?

↓産業
フーコとおじさん仲直り
保護者が増えた
不穏な空気


なかなおりっ!

「んうぅ…」

 

ホシノとの一件があった、その日の深夜にフーコは目覚めた。眠そうに目元を擦っている。

 

「おはようフーコ。大丈夫?目、見えてる?」

 

「うん…おはよぉせんせー」

 

「まだ眠そうだね。お風呂は明日の朝にでも入れば良いから、寝てても良いよ?」

 

「うん…そうする…」

 

もぞもぞと布団に潜り、やがてまた寝息を立てはじめるフーコ。

パニックを起こす恐れがあると言われていたものの、落ち着いているようで良かった。(ただ寝ぼけているだけかもしれないが)

 

しかしトラウマだらけの子供が、あんなことをされて落ち着いているのは少し引っ掛かる。

 

『先生、あの子は本当に人間なのですか?』

 

『なんで先生は、そんなに人を信じられるの?』

 

生徒に言われた言葉がフラッシュバックする。

 

「私は信じてるよ、フーコ。」

 

半ば静かな独り言のように、決意を固める。

私が信じてあげられないで、誰がこの子を信じてあげられるだろう。

きっと痛みに慣れてしまっただけだ。そうに決まっている。

 

ホシノの先生として、フーコの母親として。

今日の自分の判断は本当に正しかったのだろうかと一人反省会をしながら、次第に私も夢の世界へと旅立った。

 

 

 

 

 

 

「せんせー!おきて!」ユサユサ

 

「んお゛…頭いてぇ…どうしたのフーコ…まだ5時じゃん!」

 

深い眠りに入りはじめていた脳を揺さぶられ、無理やり瞼をこじ開ける。時計を見ると、普段私が起きる時間よりも随分早かった。しかも今日は日曜日である。

 

「ごめん…でもわたし、おじさんにあやまらなきゃ…」

 

「フーコが!?何で?」

 

あまりの衝撃発言に、霧が晴れたように眠気は吹き飛んだ。

ホシノには悪いが、フーコは最悪アビドスそのものを拒絶すると思っていた。聞こえは悪いが仲良くしていた人に突然暴力を振るわれたのだ。あの子の過去を考えるとそうなっていても何ら不思議ではなかった。

あるいはもう、痛みに慣れすぎてしまったのだろうか。

 

 

「かえさないと…これ、わたしのおめめじゃないんだって。」

 

自前の、紅く光る目を指さすフーコ。それが自分の物であることくらい、考えなくても分かることだ。取ろうと思って取れるものでもない。

そんな常識すら教わることなく、歪んだ教育を施されてきたのだろうか。『大人』の言うことに何の疑問も持たずに生きるしかなかったのだろうか。

 

「せんせー?ないてるの?」

 

「……フーコ、それはフーコの物だよ。返さなくて良い。」

 

「でも…おじさんが…」

 

「ホシノの勘違いだったんだって。きっとホシノの方も謝りたいって思ってるよ」

 

「そう、なんだ。よかったぁ…あのね、おめめとるのってすごくいたいの。だから…」

 

「もう、そんな事しなくて良いんだよ。フーコは私が守るから。フーコはフーコの人生を、好きに生きて良いんだよ。」

 

曇り切った瞳を治すことも、弄ばれた身体を元に戻してあげることもできない。

でも、どうか生きて欲しい。楽しいことだらけの人生を、笑顔で歩んでほしい。

泣きながら小さな身体を抱きしめる私を、困惑したように見つめる少女。彼女が私の涙の意味を理解するその日が、一日でも早く来ることを願った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん、フーコ。昨日ぶり。先生も」

 

朝ご飯を手早く済ませ、昨日同様アビドスに到着すると、なんとも言えない重苦しい空気になっていた。

 

「皆暗いね…どうかしたの?」

 

おおよそ予想は付くが、ホシノがどこまで話したか分からない以上、私が下手に話して委員会のみんなを巻き込むわけにはいかない。ホシノもフーコも、そんなことは望んでいないだろう。

 

「ホシノ先輩、昨日先生たちが帰った後、自室に引きこもっちゃって…」

 

「事情を聞いても『私が弱いからフーコちゃんを傷つけた』『悪いことをした』みたいなことしか言ってくれなくて…」

 

「トイレに出てきた時に捕まえようと思ったけど、ダメだった…」

 

「意外だね、シロコなら部屋のドアを吹っ飛ばすくらいしそうなもんなのに。」

 

「私が止めたわ。」

 

げんなりした顔で答えるセリカ。

 

「あぁ…そういう…」

 

「どうしよう…なかなおり、したいのに…」

 

「ん、天岩戸。」

 

「でも、フーコちゃんと先生なら開けてくれるかもしれませんね。」

 

「物は試し…フーコ、行ってみる?」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

「ホシノ先輩~?フーコちゃんと先生が来てくれてますよ☆」

 

「おじさーん!」

 

「ホシノ、開けてくれない?ねえ!」

 

「寝たふりしてるわね…」

 

「こういうのは抱え込んじゃうと良くないんだよね…シロコ、ピッキングとかできない?」

 

「ん、任せて。…セリカ、針金持ってきて。」

 

「わ、分かりましたけど…時間かかるかもですよ?」

 

「…よし、邪魔者は消えた。」

 

「ちょっとシロコ!?待―――――」

 

制止する声より先に鳴り響く銃声。留め具を中心に銃弾の雨を降らす。

やがて役目を終えたドアは、シロコの蹴りと共に倒れた。

 

「あわわ…アヤネちゃん、これは…」

 

「はい、私たちは逃げた方が良さそうですね。先生、ご武運を!」

 

「ん、キレたホシノ先輩はヤバいから私も逃げる。先生、フーコ。…頑張れ!」

 

足早に立ち去る三人。私も咄嗟にフーコを抱え廊下を駆けた。怒り心頭のホシノがいつ飛び出してくるかとヒヤヒヤしていたが、一向に出てくる気配がない。

 

「ホシノー?」

 

「入ってこないで!」

 

鋭い叫び声。普段のホシノとは別人のようだ。

お構いなしに部屋に入ろうとするフーコ。何かの意思に操られているかのように、自らの使命を果たすように、迷いなく廊下を進んでいく。

 

「ちょ…ちょっとフーコ!?」

 

「ごめん。でも、やらなきゃいけないきがする…」

 

フーコがここまで強く主張するのも珍しい。とはいえ昨日のようなことが起きてもまずいので、いつでも駆け付けられるよう準備しておく。

 

 

 

 

「おじさん…ごめんねおへやはいって」

 

「………」

 

「わたし、おじさんとなかなおりしなきゃって、おもって…」

 

「せんせいはああいってたけど、やっぱりわたしがわるいんだよね?このおめめも、ほんとはわたしのじゃないんだよね?」

 

「ッ!それは、ちが…」

 

「ごめんなさい。がんばっていたいのがまんするから、おめめかえすから。…そしたら、また…」

 

「フーコちゃんっ!」

 

聞き捨てるにはあまりにも重い言葉を連ねる少女に居ても立ってもいられなくなり、布団を手放しベッドから降り、小さく震える身体を抱きしめる。

痛かっただろう。怖かっただろう。昨日自分を傷つけた相手が目の前にいるのだ、今も怖いに決まっている。

 

「ごめんね、ごめんねぇ…!痛かったよね、怖かったよね。ごめんね、全部おじさんの早とちりだったんだぁ…」

 

ぽんぽんと背中を叩かれる。

 

「だいじょうぶ、だいじょうぶ…おじさんはみんなのために、せんぱい?のためにやったんでしょ?わたしはいたいのなれてるし、だいじょうぶだよ。」

 

「慣れちゃダメなんだよ…!ずっと、ずっと辛かったんでしょ?それなのに私、私…」

 

きちんと言葉にできていたかは分からないが、私はただひたすら謝り続けた。

その間、フーコちゃんはずっと私の背中をさすりながら、私の懺悔を聞いていた。

 

 

 

「おじさん、だいじょうぶ?」

 

10分ほど経っただろうか。呼吸が落ち着き、安心感に包まれていたところ、フーコちゃんの声で現実に引き戻される。

 

「うん、おじさんは大丈夫。ごめんねフーコちゃん。ありがとう。」

 

「なかなおり、してくれる?」

 

「フーコちゃんが良いなら、おじさん願ったり叶ったりだよ。」

 

「ねがったり…?」

 

「これからも仲良くしよう、ってこと。あ、そうそう。これ…」

 

引き出しを開け、バラバラになったワッペンの破片を取り出す。

 

「本当にごめんね。大事なものだったのに…」

 

「っ!そ、それ、いらない。もう、いらない…」

 

少し言葉を詰まらせたかと思うと、予想しなかった反応をするフーコちゃん。

 

(この子は、強いなぁ…)

 

この子はきっと、自分の過去と決着をつけられたのだろう。母の死という呪縛とも呼べるそれを振り払い、自分の人生を歩んでいくのだろう。

 

(私は…まだかかりそうだね…)

 

部屋に飾ったポスターに目を向ける。写真立ての中の先輩は、困ったように笑った…ような気がした。

 

「フーコちゃん。おじさんが絶対守るから、フーコちゃんはそのまま進んでね。」

 

「…?うん、わかった!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「黒服よ。まだフーコを迎えに行かないで良いのか?私は早くこの目で神の顕現を見たいのだが…」

 

「そう慌てないでください。心配せずとも設備の調整は終わっていますよ。」

 

「では何故!」

 

「『彼女』がまだ人間に戻れていないのです。この世界の人間でないと、神の器にはなり得ない。」

 

「しかし、『彼』の魂さえあれば神秘に耐えられるのでは?」

 

「そういうこったぁ!」

 

「彼の魂がベースになっている限り、神秘に耐えられてもそれを出力することができないのです。近頃は『彼女』が表に出ているようですが、まだ足りない。」

 

「なるほど、ヘイローが無かったのはそういうことでしたか。」

 

「そういうこったぁ!」

 

「ふむ、ではこちらから出向くタイミングは…」

 

「フーコのヘイローが点いた時になりますね。」

 

「実に楽しみだ、再会が待ち遠しいな。」

 

「ええ、本当に。」

 

「……はい?フーコに会えるんですか!?いつ!?」

 

「マダム、真面目に話を聞いてください…」

 

「そういうこった!」




笑顔で歩むっておまw足無いやんwww
フーコちゃん、時々ママになるのなんなの…
(補足)
大阪!警察や!はよ開けんかいゴルァ!のシーンですが、跳弾が当たると痛いのでちゃんとアロナバリアを貼っています。フーコちゃんも怪我無くて良かったね♡

黒服が言っている『人間』は精神が最低限安定している状態のことを指します。だから先生やその生徒との交流を通して心がぽかぽかするたびに、お迎えは近づきます。可哀想。

『俺』の魂がないと神秘を抑えられず暴走し、『お姉ちゃん』の魂が無いと神秘を出力することができません。一蓮托生だね!
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