目が覚めたら黒服の娘だったんだが…   作:菱野 モチ

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にっき

──月──日

 

おねえちゃんに言われたから、今日から『日き』をつけてみる。わたしの文字のれんしゅうになるし、人げんはわすれる生きものだからなんだって。おねえちゃんの考えてることは、あいかわらずよく分からない。

でも、わたしとおねえちゃんは『ふつう』になりたいから、一しょにがんばる。

 

 

──月──日

 

お母さんが、ずっとかえってこない。いつものことだと思ってたけど、ちょっと長すぎる。おねえちゃんがときどき食べものをとってきてくれるけど、ぜんぜん足りない。

お金もないのに、どうやってとってきてるんだろう…?

…あんまり、気にしないことにする。うん。

 

 

 

──月──日

 

まだかいてると中の絵を、おねえちゃんに見られてしまった。とてもはずかしい。おねえちゃんはとってもよろこんでくれたから良かったけど…まだ色もつけてなかったのに。ぷんぷん。

 

 

 

──月──日

 

さむくなってきた。ゆかがつめたいし、おなかがすいてたからおねえちゃんにいっぱいひどいことを言った。

そんなの、おねえちゃんも一しょなのに。

おねえちゃんもぜったいおなか空いてるのに、自分のごはんを分けてくれた。

わたしも、いつかこんなおねえちゃんになれるかな。

 

 

 

──月──日

 

お母さんがかえってきた。前見たお父さんとはちがうお父さんをつれてきた。二人も。

人形みたいな人と、まっ黒な人。わたしたちをむかえにきたって言ってた。

おねえちゃんはめずらしくいやがってたけど、わたしはうれしかった。お母さんはいやなことばっかりしてくるから。

いたいのも、あついのも、きらいだ。

 

 

 

──月──日

 

やっぱり、わるい人じゃなかったみたい。ごはんは毎日食べさせてくれるし、新しいおへやはあったかいから。

デザインは『ろうや』みたいであんまりだけど…

 

 

 

──月──日

 

『じっけん』にひつようだからって、おねえちゃんとへやを分けられた。ちょっぴりさびしいけど、わたしが良い子にしてたらまたすぐ会えるって黒い人が言ってた。がんばる。

『じっけん』ってなんだろ?

 

 

 

──月──日

 

なんだか良く分からないけど、しらない子たちがたくさんきた。みんなわたしと同い年くらいか、ちょっと年下くらいらしい。一人じゃ広いからちょうどよかった。この子たちはわたしの家ぞくらしい。黒い人が言ってた。

じゃあ、わたしがみんなのおねえちゃんだね!

 

 

 

──月──日

 

きのう来た子たちと、おはなしした。はじめはみんなわたしをこわがってるみたいだった。「なんで?」ってきいたら、ここに来るまでにわたしを何人も見たらしい。う~ん??おねえちゃんのことかな?

でも、おねえちゃんは一人だし……

じこしょうかいしようと思ったけど、みんな名前がないんだって。

わたしはおねえちゃんだから、みんなに名前をつけてあげた。

ピンクちゃん、キリンちゃん、トラくん。われながら、いい名前だと思う。

みんな目がわらってなかったけど、きっと気のせいだよね。

 

 

 

──月──日

 

今日もいつもみたいにみんなであそぼうと思ったのに、おきたらだれもいなかった。

ごはんをもってきてくれた黒い人にきいたら、「そのうち会えますよ」だって。さびしいけど、次に会えるときはもっと『しんみつ』になれるんだって。『しんみつ』っていうのは、なかよしの家ぞくみたいなことを言うらしい。会えるの、たのしみ!

でも、広くなっちゃったおふとんがさびしくてちょっとないちゃった。わたしはまだ、おねえちゃんじゃないのかもしれない。

 

 

 

──月──日

 

黒い人が、いつもよりなんだかうれしそうにわたしのへやにやってきた。ずっとやりたいことがあって、今日はそれができるんだって。で、わたしの力をかしてほしいらしい。

黒い人には『おん』があるから、がんばる。

これがおわったらおねえちゃんに会えるんだって!やったぁ!!

 

 

 

 

 

 

──月──日

 

おねえちゃんがいた。おねえちゃんが手をのばしたらわたしの手だった???わたしはおねえちゃんになった?おねえちゃん?わたし?はんぶんこしたのかな??わかんない?おねえちゃんがここにいるのに、かおが見えない?ちがう、おねえちゃんがわたし?なんでわたしからおねえちゃんの手がはえてるんだろ?おねえちゃんに会いたいな。ちがうんだよおねえちゃんはわたしなんだってこわいよおねえちゃんたすけておねえちゃんだからおねえちゃんはわたしなんだって

 




──月──日

双子の実験体を入手。以前の個体から時間が随分時間が経ってしまった。
以前の個体では人格を二つ有していても神秘の暴走に耐えられなかったため、今回初めて異世界に干渉することとなる。それ以前に、前提としての合成実験に耐えうる素材かどうかだが。



──月──日

黒い髪の個体をA、白い髪の個体をBとする。
診断の結果、Bの方がより適性が高い、月並みな言い方をすれば丈夫であることが分かった。よってストックはBの素体を用いる。
コピーかつAとの合成実験を介さないため、オリジナルほどの神秘を内包することは難しいと思われる。



──月──日

Bの複製に成功。続いてAの素材化に着手。問題なし。
人格の破壊、生命機能の維持、ともに問題なし。



──月──日

内臓として運用するため、孤児三名を迎え入れた。
Bのクローンを目撃されたものの、大きな問題はないと思われる。



──月──日

ひとまず、合成実験は成功。Bの精神が不安定だが、無事崩壊はせず。
内臓の移植は後々行う。



──月──日

異世界からの魂の受容に成功。理想通りの状態、かつ人格の共存を保つことにも成功。
期待が高まる。



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