目が覚めたら黒服の娘だったんだが…   作:菱野 モチ

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毎日投稿を目指してはいるのですが、何せやることが多い…(言い訳)
その内週一とかになるかもしれないです…お許しを…
お気に入り600越え!?ありがとうございます!!


アルちゃんから見たフーコ

「お金が…無いわ…」

絶望しきった顔で社員達に告げ、一見高級そうに見える偽ブランドの黒財布を逆さにして振る。最近は依頼もめっきり減り、新たにバイトを始めることもできないのだ。

 

「えぇー!じゃあ、今日のお昼も抜きー!?」

ぶーぶーと文句を垂れるムツキ。

 

「待って、私達のバイト代は?先週社長に預けたよね?」

 

「…………滞納してた分の家賃に充ててしまったわ…」

 

「だからって全部渡すことないじゃん…どうすんのこれから…」

 

「だって…これ以上待たせるなら出ていけとか言われたし…」

 

「もう大家さん脅した方が早いんじゃない?」

冗談めかしてとんでもないことを言い出すムツキ。

 

「そ、その役は私にお任せください!アル様に迷惑をかけるようなやつ…ふふ…ふふふ!」

案の定ムツキの冗談を真に受け、既に爆弾を手にしているハルカ。全力で止める。

 

もういっそこの部屋の家具達をいくつか売ってしまおうかと考えていると、珍しく電話が鳴り響く。

 

「はい、便利屋68です。えぇ、ええ!是非やらせて頂きます!では!」ガチャ

 

「喜びなさい皆の衆!待ちに待った依頼よー!」

 

「やったー!!」

 

「で、依頼内容は?報酬は?」

 

「…………………………」

 

「え?」

 

「聞く前に切っちゃったわ…」

 

「何してんの…」

 

黒電話故に相手の番号が分からないのでかけ直すこともできず、契約不履行ということで報酬は当然払われず、その日の午後には依頼主が殴り込みに来た。

 

「便利屋ァ!何故裏切ったぁ!?」

 

戦闘ロボット集団のリーダーらしい男性型ロボットが吼える。

結局、依頼内容は企業による嫌がらせに手を貸すことだったらしい。

 

(聞いてなかったなんて言えないわね…)

「当たり前じゃない!この便利屋68に、そんなみみっちい依頼は似合わないわ!こっちから願い下げよ!」

 

「ならば何故一度依頼を受けた!?」

 

何も言い返せず大量の汗をかくアルを見てため息をつくカヨコ。

 

「何も言わないか…ならば報復を始めさせて貰うぞ!射撃部隊、撃てーッ!」

 

かっこつけているが、せいぜい数十基の部隊である。しかも射撃部隊以外の部隊も見当たらない。

案外、うちの社長と似てるのかもな…と天を仰ぐ。あ、あの雲ネコみたい。

 

「やってやろうじゃない!便利屋68、行くわよー!!」

 

社長の鶴の一声で、こちらも応戦を始める。

弾とか爆弾とかもタダじゃないんだけどなぁ…

 

 

しばらく銃撃戦が続き、動いているロボットの数も目に見えて減ってきた頃、突如後ろから押され、バランスを崩して転ぶ。

何が起きたのかと顔を上げると、ちょうど頭を撃ち抜かれた子供と目が合う。

自分を庇って撃たれたのだと理解するのに、そう時間はかからなかった。

 

「ちょっとあなた!大丈夫!?起きなさい!返事して!」

その小さな身体を壊してしまわないように、しかし力を込めて揺さぶる。返事はない。

 

「どういうことだ!?便利屋は4人じゃなかったのか!?」

 

「カタギに手を出しちゃったんじゃ…」

 

「…撤退!撤退ー!」

 

混乱した挙句、バラバラになって逃げ出すロボット達。追いかけたいのは山々だが、この子を置いていくワケにもいかない。

ロボット達が離れ、自分達の持ち場で戦っていた社員達が集まってくる

 

「目を覚まさないの…!血もこんなに…死、死んじゃう!!わ、私のせいで…この子が!!」

冷静さを完全に失い、上ずった声で必死に言葉を紡ぐアル。

 

「落ち着いて。アルちゃんのせいじゃない。まずは止血しないと…」

社長を落ち着かせようと、冷静に振る舞うムツキ。しかし当然、内心穏やかではない。ぴくりとも動かないまま血を流し続ける子供を目の当たりにして、落ち着いていられるわけがない。

 

「これ、取ってきた。こんなんでも無いよりマシでしょ。」

包帯を手に、息を切らしながら事務所から走ってくるカヨコ。便利屋68最年長ということもあり、咄嗟の判断に優れている。

 

 

「とりあえず応急処置はしました…ま、まだ生きてます!」

 

「ここじゃ危ないから、前の拠点の方で保護しよう。またさっきの奴らが攻め込んでくるかもしれないし」

 

「賛成!ほらアルちゃん、行くよ…大丈夫だよ、きっとすぐ治るから。謝るのはそれからにしよ?ね?」

 

心ここにあらずのままブツブツと謝罪やら後悔やらを口にするアルの手を取り、半ば強引に立たせる。

今まで俯いていたせいで分からなかったが以前丸一週間食事を抜いた時よりも憔悴しきった表情をしている。

 

「じゃ、この子は私が持つから」

空いていた両手で少女を抱きかかえる。

 

(軽っ…)

子供だからこんなものなのだろうか。いや、それにしても軽すぎる。

この子が起きたら、聞かなければいけないことが沢山ある。心労は絶えないな、と少し大きめに息を吐いた。

 

 

「こっちに来るの久しぶりだねー!」

さっきまで使っていた部屋に比べ貧相で狭いソファに腰掛けるムツキ。

 

「とりあえず、寝かせといた。…社長?大丈夫…じゃないよね」

社長机に顔を伏せている社長に声をかける。隣のハルカも、心配そうにしている。

 

「…心配しないで、私は大丈夫よ。それよりもあの子を…」

 

「そうだね、起きた時のために色々買い物しておこうよ!」

 

「待って、お金はどうするの?」

 

「くっふっふ…じゃーん!これ、さっきソファの隙間から出てきたの!」

 

手にはクシャクシャの一万円札が握られていた。

 

「それじゃ、行こっか!アルちゃんはどうする?」

 

「…私は残ってこの子を見ておくわ。あなた達で行ってらっしゃい」

 

「ア、アル様が残るなら私も…」

 

「ハルカちゃんはこっちだよー。じゃ、行ってくるねアルちゃん。その子のことよろしく!」

 

「あぁあ…」

引きずられるようにして連れていかれるハルカ。一人になりたい私の意思を汲み取っての行動だろう。察しの良いムツキにはいつも助けられてばかりだ。

 

バタンとドアが閉まり、途端に静寂に包まれる。

少女の様子を見ようと、寝室に向かう。

ひどく魘されており、その小さな身体を必死によじらせている。

ベッドから落ちてしまったブランケットをかけ直し、せめて夢の中では安らかに居て欲しいと手を握ると、穏やかな寝息を立て始めた。

しばらく手を握っている内に、少女が目を覚ます。

 

妙だ。目が覚めたのならヘイローが点くはずだ。

となると、やはりこの子のヘイローは壊れてしまったのだろう。

他でもない、自分のせいで。

償いは必ずしよう。でも今は、今だけはこの子の意識が戻ったことを喜びたい。

 

「目が覚めたのね!良かった…本当に良かった…!」

両手で少女の手を握り、涙ながらにそう告げる。

 

少女は戸惑ったような表情を浮かべた後、あろうことか私に感謝を伝えてきた。

違う。感謝をするのはこちらの方なのだ。と伝える。

しかし、ピンと来ていない様子の少女。そこで気が付く。この子はきっと自分のヘイローが消えてしまったことに気づいていないのだと。

当然だ。起き抜けに「あなたのヘイローは消えました!」だなんて、悪い冗談にも程がある。

そしてそのたちの悪い冗談を、自分が伝えなければならないことを悟る。

何度もえずきながら、絶え絶えの声で伝える。先程から涙で前が見えない。泣きたいのは私ではなくこの少女だろうに。

 

私の発言を受けて少し移動し、姿見にその小さな身体を映す少女。そして、一言。

 

「ぁ…こわれ…ちゃった」

 

現実を受け止められないのだろう。それだけ言い放つと、少女はうずくまりうめき声を上げるだけになってしまった。

情けない話、私の精神も限界を迎えていた。目の前の少女にかけるべき言葉もなく、ひたすらに後悔と自分に対する呪いにも近いほどの怒りが脳内を埋め尽くしていた。

 

「はっ…はっ…嫌…いやぁ!」

 

不意に少女が声を荒げる。思わず顔を上げると、過呼吸気味になりながら己の腕に爪を突き立てている少女の姿があった。

両腕からは血が流れ出ており、痛々しい。

 

何か言葉をかけないと。すぐに血を止めないと。

思考とは裏腹に、言葉は出ない。立ち上がることができない。

自分の体を引きずるようにして、少女を抱きしめる。強く、強く。

何を思ってそうしたのかは分からない。でも、しなくてはいけない気がした。

社員達が買い物から帰ってくるまでの数分間、私は腕の中で震えながら何かに向けて謝罪を続ける少女をずっと抱きしめることしかできなかった。

 

 

 

全て奪ったのに、自分のせいで目の前の少女はこんなにも苦しんでいるというのに、それだけしかしてあげられなかった。




おま〇け
黒服「純粋な疑問なのですが、便利屋68にそんなに拠点があるんですか?」

マエ「金欠発言と矛盾するよな」

ベア「寝室に鏡がある理由も不明ですわね。あとキャラ崩壊がひどすぎます」

ゴル「つまり、この作者の書くものはガバガバである、と」

デカ「そういうこったぁ!」

黒服「あと、実験実験と言いながら何の実験をしているのかを明かさないところも感心しませんねぇ…」

マエ「後々からガバるのを危惧しているのだろうな」

ベア「その方が楽ですものね」

理事長「早く私も登場させろ」

読者「お風呂まだ?」

黒服「もっと深刻なミスを発見したのですが、フーコが目覚めた時の反応が3話と4話で違うんですよ」

マエ「本当だな。3話ではヘイローが消えたことについて絶望し嗚咽を漏らしていたのに」

ベア「4話では意識が戻ったことを泣いて喜んでいますわね」

ゴル「これは本当にまずいのでは」

デカ「死ね」

ワイ「うるせぇ!!!」

疑問その1(便利屋の拠点)について
最初にいた拠点は撃ち合いの場になってしまっており、ゲヘナの医療機関に連れてってしまうと他のキャラとの絡みも考えないとな…ということで生やしました。すみません

疑問その2(黒服の実験について)
ガバを恐れているのはガチです。ただ実験の根底はやはり『神秘の植え付け』です。
その為にフーコは日々努力しています。ダメージは相応に受けますが、回復は早いです。
話によって変な実験をされることもあります。探求心は抑えられないから仕方ないね

疑問?その3(カイザーpmc理事の登場)
ノリが良さそうなおっさんで金を持っているので、多分その内出ます。早ければ次の日常回、遅くともアビドスとの絡みの中で出ると思います。

疑問その4(フーコwith便利屋inお風呂)
次回かその次に持ち越します。申し訳ない…

疑問その5
これは言い逃れできませんね…
ヘイロー無くて絶望➡でも生きててよかった➡私のせいでごめんなさい
という流れだと思ってもらえれば…(力技)

その他質問などありましたら(作品内外問わず)コメントにて言って頂ければ、こんな感じでネタにさせていただきますので、よろしくお願いします!
コーナーの名前…『ゲマトリアラジオ』とか…?いい感じの思いついたら教えてください!

正 直

 ノ"~"~`ヽ"⌒゙⌒.ヽ、
.ム    レ )     ."~゙丶
.  ゙、__ ,,,,ノ,,,,,丶 イ   .ノ
  (、と、__;;;;;;;;;,ノ ミ;;;;;;ン

 す ま ん か っ た
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