応援ありがとうございます!
ハルカ、覚醒。
地獄のような一日が終わり、次の朝を迎える。とはいえ私は一睡もできなかった。多分みんなも同じだと思う。
「おはようございます…」
社長に抱えられたまま、挨拶をするフーコ。
各自、生気のない声で挨拶を返す。必死に笑顔を作ってはみるものの、上手くできている自信はない。
いつも通りの朝のルーティーンを終え、朝食の用意をする。
普段はまともな朝食なんか滅多に食べられないのだが、今日は違う。何せ私達にはお金がある。
フーコが文字通りその身を削って稼いでくれたお金が。
私が、私達が自分より小さな少女の尊厳を貶め、身体を汚させてまで稼がせたお金が。
「………ごめん、私、朝ごはんいらない…」
やっとのことでそれだけの言葉を絞り出し、こみ上げる吐き気と共にトイレへ向かう。
喉までせり上がってきた不快感を、思い切り吐き出す。もう吐き出すものもなくなったのか、少し黄色がかった胃液だけがびちゃびちゃと音を立てる。
みんなに、フーコに心配をかけたくなくて、必死に声を殺して泣いた。
15分くらい経っただろうか。ようやく吐き気がおさまり、涙も止まってくれたので、食卓へ戻り、自分の席に着く。
私に限らず、みんな箸が進んでいないようだった。普段は取り合いになるベーコンも、誰も手を付けていない。
嫌でも昨日の出来事が頭をよぎるからだろう。
今から口に出す言葉がフーコを傷つけてしまわないか、不安で仕方ないからだろう。
みんなに気を使いながらも、箸を進めるフーコ。その一口はとても小さいが、幸せそうにご飯を食べている。
きっと彼女は分かってないのだ。自分がどれほど大切なものを金に換えてしまったのか。
そういった教育も何も受けてこなかったのだろう。いやむしろ、昔からずっとそうしてきたのかもしれない。
そうやって生きていくしかなかったのかもしれない。
自分のしたことを知ってしまった時、理解してしまった時。この子は何を思うんだろう。どうなってしまうのだろう。
ぐるぐると巡り始める思考をよそに、社長が重々しく口を開く。
「……フーコ。大事な話があるの。」
いつもの飄々とした雰囲気はどこへやら、張りつめた空気が場を覆う。ムツキもハルカも、固唾をのんで見守っている。
「…これからは、私たちの『先生』と一緒に暮らしてほしいの。その方があなたにもーーーーー」
そこまで言ったところで、目の前の少女の異変に気付く。細い両手で己を抱くような姿勢を取り、歯はカチカチと音を立てている。
「せん…せい…、っおとな…!ご、ごめんなさい!わたしがっ、わたしがなにかしちゃったんですよね!?なんでもしますっ…から…すてないで…」
息も絶え絶えに、縋りつくように懇願するフーコ。あまりの痛々しさに、目を伏せたくなる。
私が膝をついて抱きしめるよりも先に、ハルカがフーコをぎゅっと抱きしめる。いつものようなオドオドした様子はなく、その眼には何か決意が籠っているようにも見えた。
「大丈夫です、フーコさん。大丈夫ですから…」
抱きしめたまま、まるで赤子に対してするように愛を込め一定のテンポで背中をトントンと叩く。
ハルカの服の肩の部分がうっすらと湿ってきた頃、ようやく落ち着いたのかハルカから離れるフーコ。
「ごめん…なさい。また、めいわくを…」
「迷惑なんかじゃないわ。」
「そうだよ。誰もフーコを捨てようなんて思ってないし。」
「えっ…っでも……」
「私の言い方が悪かったわね。私たちはアウトロー集団なのよ。」
「私達と一緒にいると、フーコちゃんが危ない目に遭っちゃうかもしれない。」
「もしそうなったら、ここじゃフーコを守り切れないかもしれない。」
「…現に新しい方の拠点は壊されちゃいましたしね…」
「先生もあなたと同じでヘイローが無いの。でも、ここよりずっと警備がしっかりしているところにいるわ。」
少し心苦しそうに言う社長。まだあの事件を引きずっているのだろう。
「……もう、しゃちょうたちとは…あえないんですか?」
涙を目に一杯に溜め、言葉を紡ぐフーコ。
「いやいや!そんなことないよー?ね、みんな?」
「勿論よ!毎日会いに行くわ!」
「流石に毎日は無理だと思うけど…私も会いに行くよ。絶対。」
「わわわっ!わたしもです!!」
「ありがとう…ございますっ…」
溜めていた涙が頬を伝う。なんだかこっちまでもらい泣きしてしまいそうだ。というかガッツリもらい泣きしてしまった。
しばらく泣き合って、皆で顔を洗ってから、先生のいるシャーレに向かう。
「ほうほう…君が横島フーコちゃんね!アルから話は聞いてるよ!これからよろしくね!」
目の前の、人のよさそうな成人女性が快活にそう告げる。
(おっぱいでっか…)
俺からの感想は以上です。
先生って聞いたから妖怪足舐めハゲ男か不健康そうなベッドヤクザ眼鏡をお出しされるものと思って身構えていたが、とんだ杞憂であった。ていうか、そもそも性別が違っていた。
黒髪ロングに笑顔が良く似合う巨乳のちゃんねーを前に圧倒されてしまい、思わず社長の影に隠れる。
「…うーん、やっぱ私…大人が怖い?」
膝をつき目線をこちらに合わせつつ、距離は離れたままをキープして問いかける先生。乳にビビッている場合ではない。この人と良好な関係を築いていけば更なるネームドキャラとお近づきになれる可能性がぐんと上がるのだ。
簡潔に言えばものすごいプラスになるやつだ。
俺のイチ押しはもちろん便利屋68の皆さんなのだが、それらを抜きにするとまずゲーム部の皆さん、超人、ソラちゃん、あとミカ様くらいかなぁ…特にゲーム部とは仲良くしたい。部長好き。
おっと先生を待たせてしまっている。勝手にビクビクしている自分の身体を奮い立たせ、先生に歩み寄る。
「そう…かもしれません。でも、せんせーはちがうんですよね?」
先生の指をきゅっと握る。一瞬悲しそうな顔をしていた先生だが、満面の笑みに戻った。
私がこうすることで嫌がる女はいなかった…
「うん。君が嫌がることは絶対しないし、君の望みは可能な限り叶えるよ。だから…」
「……はい、わたし、せんせーといっしょにいます。」
「…ありがとう。あと、フーコって呼んでも良いかな?」
「いいですよ。これからよろしくおねがいします。せんせー」
「丸く収まったっぽいよ。良かったね、アルちゃん?」
「…ええ。帰るわよ、みんな。先生、どうかその子をよろしくお願いします。」
深々と頭を下げる社長。
「任せて。子育て経験は無いけど…」
「じゃあ先生、フーコちゃん。またね。」
寂しげにムツキがそう言い残し、先生の部屋のドアノブに手をかけたその時、先ほどまで先生の横に立っていたフーコがこちらに走ってくる。
「…あのっ!しゃちょう、カヨコさん、ハルカさん、ムツキさん、いままで、ありがとうございました!」
いつもより大きな声でそう告げ、大きく頭を下げる。
感謝するのはこっちの方だ。私たちは結局この子に何もしてあげられなかったのに。
視界がぼやける。目元が熱い。
「う”ゥううう…ふぐっ!フーコぉ!絶対、絶対また会いに来るからぁ!」
かつてなく汚い泣き方を披露しながらフーコに抱きつく社長。私もみんなも似たような別れの言葉を告げ、部屋から出ていく。
「…寂しく、なりますね。」
「そうだね。」
「…フーコちゃんも、寂しいんじゃないかな。先生になついてくれたらいいんだけど…」
「大丈夫でしょ。先生お人好しだし、それに寂しくなったらまた会いに行けばいいしね。」
「先生、明日予定空いてるかしら。」
「早速会いに行こうとしてる?」
少しの間一緒に居た少女が一人抜け、元の四人に戻っただけのはずの帰り道は、なんだか嫌に寂しかった。
私も明日会いに行こう。
先生(女)
生徒に泣きつかれ幼女を預かる羽目に。仕事が増えるかと思ってたけどフーコちゃんは賢いので負担にはならない。むしろフーコセラピー開幕である。
その小さな身体に背負う業の深さに仰天している。色んな子達と交流して、少しでも心を軽くしてあげたいと考えている。
無論努力が実るはずもなく、傷を負う女の子が増えるだけである。全部裏目に出て♥️
心身ともに健康で丈夫だが、他者が傷つくのはしんどい性格をしているため、フーコといるとガリガリ精神を削られる。可哀想。
便利屋68
判断は正しかったのかずっと迷っている。空元気で頑張るものの、ちょっと控えめになった(主にハルカ)
フーコを酷い目に遭わせたやつをとっちめたいとは思っているが、あまりにも手がかりがないので無理そう。ずっとマイナス感情抱えて生きて♥️
フーコ
色んな人に激重感情を向けられているが、本人は上の空。
というのも、元々人の気持ちに対して鈍いところがある上に今は心が壊れた子の身体なので余計に感情が薄くなってる。
時折もう一つの人格が大きく顔を出すので、そこでバランス(?)を取っているのかもしれない。人体の不思議だね。(ジオードニキ)この前の便利屋大発狂も(そんなに嬉しかったのかな…?)くらいに考えてた大間抜けである。周りを曇らせてはよ死ね。
今回のグズグズについては片割れの感情暴走(大人怖すぎ)も勿論あったんですが、便利屋の皆ともっと一緒に居たかったので好きに暴れさせた部分もあるっぽい。カスがよ…
今回は曇らせが足りなかったって…?しょうがねぇなぁ(王者の風格)