プリキュアとおじさん 作:キュアオットセイ
「さて、機体の性能こそ鮫と鳥じゃ天と地の差だがこちらには数の理がある。ボサっとしてると喰われるぞ」
「くっ……!」
キュアウィングとの
個で劣るものが、優秀な者に勝るための方法は昔からただ一つ。
数の暴力、プリキュア風に言うのであれば「みんなで力を合わせる」ってヤツである。
二次大戦における日本の零戦に対するアメリカのマスタングの例に見てとれるように、航空戦においても突出した性能を持っていようが、数の差というものの前では全て虚しいのだ。
「くっ、これがG(加速度による慣性力)、それに上下運動による気圧の変化にもまだ身体がついてきていない。……早期決着を狙わないと身体が持たないか。……一か八かだ。おじさん、貴方の実力を信じますよ」
「おいおい、こっちは君らと違って体は無強化の純一般人、それも老いていて不健康でボロボロなんだからあんまり無茶しないでくれよ」
「一般人は仲良くしてる女の子をサメの餌にしたりしませんし、サメと一緒に空を飛びませんよ。───行きますよ!」
『ひろがるウィングアタック!』
ウィングはそう唱えると拳を突き出して、こちらに急加速してきた。
「ヒーローが物理技を敵とはいえ人に打つなよ!確かに俺倒せば解決だけどさぁ!この高度で食らったらタイミングと打ち所によっちゃお陀仏だ!」
青いのすらやらなかった暴挙に出た鳥人間に俺はそう悪態を付くと、鮫竜巻部分の竜巻部分を操作して俺と彼の間の盾とする。
「ぐっ」
「竜巻も操れるんだな、これが」
瞬間、バスケットボール大の光弾がこちらに飛んでくる。が、三次元的に動けるこの大空でそんな弾速のものに当たっているなら俺はとっくに撃墜されてる。
「おじさん、もういい加減やられて!」
「……次はピンクいのが来たか。サメの上を飛んで接近。ほう、まるで因幡の白兎だな。なればこそ、その末路を知らないとは言わせないぞ」
「きゃっ、また食べr」
鮫の上を跳ぶ白兎は渡り切ることは叶わず、無惨に食われるのだ。
「プリズム……!おじさん、貴方はとんだ昼行燈でしたね」
「人生で一度は言われてみたい言葉ランキング上位を言ってくれてありがとう、少年。では、そのままの意味にならないようにもう少しだけ頑張るとするか」
宙返り、捻り込み、急旋回、ハイ・ヨー・ヨー、ダイブアンドズーム、……キュアウィングは明らかに近代の航空戦の心得があるような変態的な起動で俺が操るサメを振り切り、機会があれば打倒していく。
「ぜえ、ぜえ、君、勉強しすぎじゃ無いか?飛んだ後のことまで考えてるとか、やりすぎだぞ」
「もし夢を叶えたらと毎日想像するのが、男の子って生き物じゃないんですか?」
「───ああ、心底同意するとも!」
その言葉を皮切りに、キュアウィングが再度必殺技の構えによりこちらに向けて急加速する。ここが正念場か……!
───瞬間、視界の端に青いのが突如現れる。
ぐっ、奇襲のタイミングが成長してる、勝負用のサメを一体使うしか───
「なっ、残像?」
「やっと、捕まえた。ウィング、今です!」
サメを空ぶったと思ったら、背後から青いのの声聞こえて、そのまま首根っこを掴まれてしまう。
……ここまでか。しかしあの残像は……あぁ、
視界を下方に移すと、そこには透明なレンズやグラスを光弾から複数作り出し何重にも光を捻じ曲げて俺の目に入る光を操っているキュアプリズムがいた。
ピンクいのも器用な真似をする。屈折、偏光を操り像を映し出すくらいは光に関する造詣が深いと見える、いや名前に冠しているから本能的に分かるのだろうか。だとすると一度接近して打ち出したあの光弾は俺に追尾してスカイの像を見せる為のスクリーンかレンズに変形した訳か。
鳥人間に航空力学同様、光学分野を本気で学ばせたら凄い能力になりそうだな。
「プリンセス!今度こそ、助けに来ました!」
「えるぅ〜!」
サメの残党を鮮やかに振り切り、囚われの姫を救出した新米騎士は声高らかにそう宣言し、決闘擬きは遂に幕を閉じたのだ。
「あっ、サメを浄化しないと!」
青いのがひとしきり喜んだ後、そう声をあげた。
「いや、良い。勝負は君たちの勝ちだ。それに、コイツは今の君らではまだ壊し切る事は出来ん。皆、消耗してるし、帰って休め」
そういうと俺はサメと竜巻を掌サイズのアクアリウムに引っ込めた。
「それがこのランボーグの元になったモノ?綺麗……、こうしてみるとサメも愛嬌があるね。食べられるのはもう勘弁だけど」
「おじさんの作品……。僕にも見せてください!……サメが竜巻に乗ってぐるぐる周り続けてる、シュールだ」
「あっ、私も!……俯瞰するとこんな感じだったんですね。色々、戦う時の対策が浮かんで来ました」
「全く、そんな興味津々で見てくれるとは。創作者冥利に尽きるな。……ふむ、記念にそれは君たちにあげよう。シリアスをぶっ壊したい時に使ってくれたまえ」
ささっと作品の応急手当てを済ませて、青いのに投げ渡す。
「あぁ、後ピンクいの。ヨヨさんにコレについて聞かれたら『これはちょっとしたジョークなので勘違いなさらぬよう』とだけ言っておいてくれ」
「?、わかったよ、おじさん」
こんなんが俺の作風だと思われたら堪らんし。
天気は台風一過と言った具合の雲ひとつない夕焼け空、橙色の戦士が新たに誕生したのだ。
「
俺は大好きなパイロットモノの映画の主題歌のある一節を空を見ながら口ずさんでいた。
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カバトン氏に誠心誠意謝り倒し(with ステーキ)、財布を代償にあっさりと許しを得た俺は再び日常生活に戻っていった。
「今日という今日こそはくたばれ!プリキュア!いけ、ミョウガのランボーグ!」
「スカイパンチ!……前のサメみたいな奴は無いんですか?いや、敵が弱いことは被害が少なくていいことなんですけど……、私もウィングみたいにガチンコバトルしてみたいというか……いや、ヒーロー的にはダメな事はわかってるんですけど」
「諦めろ、理由無しじゃ使わん。ロマンが足りないからな。で、今日の要求はなんだ」
日常的に一番強い奴、一番強い技だけ使っても陳腐が過ぎるというモノである。それに怪物の失敗作供養としては正義の味方に倒させるのがきっとこの上なく誠実という考えに今も変化は無い。よって、俺の財布の危機は続行決定である。
「その、おじさんに空や飛行機に関する話を聞いてみたいです」
新たに加わったオレンジのが、厚顔無恥にもそう要求した。……くっそ、一人増えたじゃねぇか。だが今回は……
「なんだ、鳥人間。それならお安いご用だとも。映画1本見るだけで事足りる。ピンクいの、虹ヶ丘家ってDVDプレイヤーある?」
「あるけど、なんて映画?」
「それはな────」
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プリキュアの能力はこれからもちょくちょく盛ります。無論、取ってつけた能力では無く名前に則した能力にして出来る限り不自然になったり痛くならないように気をつける所存です。
今回で言えば、ウィングの航空戦技術やプリズムのレンズ、スクリーン作成による像の発生などです。
あと、私は色々カッコつけて書きますが所詮は素人の浅知恵なので詳しい方から見たら全然見当違いの事を書いてるかもしれません。どうかご容赦ください。