夕暮れ時に、水着衣装を着たアグネスタキオンとトレーナーは、二人で近くの浜辺にやってきていた。
「ふぅン。日中に比べて、この時間の外気温はずいぶんと下がっている。
このことから感じるに、もうじき夏も終わるということだろう」
「そうだね」
「今年の夏は実に良い実験が出来た!猛暑におけるウマ娘の耐久力の向上や、キー君を応用した体の変化。
ククッ。素晴らしいデータが集まったよ!」
「キー君が巨大化したときはすごい大騒ぎになったからね。次はあんなことがないようにしてほしいよ」
「前向きに検討しよう!」
これは来年もやるなと、悪びれた様子のないタキオンにトレーナーは苦笑した。
その時、アグネスタキオンが薄笑いを浮かべながら、トレーナーに向かってからかうような態度をとった。
「ところで、トレーナー君。君はこの夏、私が着てる水着のジャケットやショートパンツをいつ脱ぐのかと気にしていたね」
「はっ?」
「いーやいや!君もトレーナーとはいえ、肉体的には健全な男性である以上、そのような邪な思考が混ざってしまうのはやむなきことだ。
なーのーでー!ここはそんな君の期待を満たすためにも、この二枚の布地を、君が望むのなら特別に脱ぎ去っても」
「いや、全然気にしてないよ」
「えっ?」
「全く興味ない。タキオンも研究ばかりしていて疲れたから、そんな変なことを考えてしまうんだろ?
明日は合宿最終日だし休養日にしておいたから、遠慮なく遊んでゆっくりと休んだ方がいいよ」
「……あーっ!急にこの服を脱いで、ビキニ姿になりたくなってきたよ!」
「あっ!こら!いきなり服を脱ぐなんて、はしたないからやめなさい!」
「きみー!私のこの輝くような体を見て、他に言うべきことはないのかい!?」
「言うべきことって……、もっとちゃんと食べたほうがいいよ?」
「きー!少しは綺麗だとか、身も心も魅了されてしまい一生実験動物にしてほしいとかの感想はないのかね!?
君は私以上に、興味あること以外への関心が薄いんじゃないかい!?」
「おわー!そんな格好で抱き着こうとしちゃいけません!」
「こうなったら、意地でも意識させてみせる!待ちたまえ、モルモットくん!」
浜辺で追いかけっこを始めた二人に、遠くから見ていたマンハッタンカフェがぽつりと呟いた。
「何言ってるのか、わかってるんですかね?タキオンさんは…」
ホットコーヒーをすすりながら、夏の終わりをひしひしと感じるマンハッタンカフェだった。