ウマ話短編集   作:cheese3

14 / 17
ここの文字数が1000文字以上の奴を何も考えず投げているだけなので、ちゃんと全部読みたいって人はpixivの方に行って読んでください。


卒業間近のエアグルーヴ 完結編

「エアグルーヴ、これを受け取ってほしい」

 夜景の綺麗なホテルのレストランで、トレーナーからバラの花束を贈られたとき、エアグルーヴはついにこの日が来たことを悟って体を硬くした。

「誕生日おめでとう、エアグルーヴ」

「…驚いた。貴様にこのようなことができたとはな…」

「はははっ。似合わなかったかな?」

「…いや。そんなことはない。

 常々思っていたが、貴様はよくやってくれている。…その、ありがとう。

 もちろん、私の答えは決まっている」

「そうか。受け取ってもらえてほっとしたよ。

 じゃあ、デザートを食べようか」

「………ん?」

 続きを待ち望んでいたエアグルーヴは、そう言って本当にデザートを食べ始めたトレーナーにいぶかしげな目を向けた。

「待てトレーナー…。続きはないのか?」

「続きって…、このコースはこのデザートで終わりだよ。

 それとも、これだけの食事じゃ足りなかったかい?」

「たわけ!そんなわけあるか!

 わ、私が言いたいことはだな、こんなところで花を渡したのならば、何かもう一つ贈る物があるのだろう?」

「もう一つ…?

 何か他に欲しい物があったのかい?」

「…貴様、なぜ花を持ってきた?」

「なぜって、メジロドーベルに今度エアグルーヴと誕生日祝いにホテルのディナーに行くけど、何をプレゼントしたらいいのかきいたら、そんな時は絶対にバラの花束が良いっ!って言われたからだよ。

 ほら、言われてみれば確かにエアグルーヴは、花が好きだからね」

 それを聞いたエアグルーヴが、それはそれは深いため息をついた。

 しかし、思い返してみたとき、この男が出会ったときから変わってないことを喜べばいいのか、嘆くべきかエアグルーヴは真剣に悩んだ。

「すまんなドーベル…。この男の朴念仁ぶりを、私が教えていなかったばかりに…」

「えっ、ええっと…。ひょっとしてバラの花束はそんなに欲しくなかったかい?」

「まったく…、貴様というやつは…。

 仕方ない、手を出せ、トレーナー」

 伸ばされたトレーナーの手に、エアグルーヴが自分の両手をそっと重ねて、その手の上にリングケースを置いた。

「ん?……っ!?

 エ、エアグルーヴ!?こ、これって…!」

「なんというか、これが無駄にならなかったことを喜べばいいのか、それとも嘆くべきなのか複雑な気分だ。

 …それで、貴様は私からのプレゼントをもちろん受け取ってくれるのだろ?」

 トレーナーは言葉もなく、首を縦に何度も振った。

「よろしい。

 プレゼントとは、このように贈るのだ。

 それをこれから長い時間をかけて、ゆっくりと教えていってやろう」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。