「最近お金がなくて大したものを食べれないよ」
ふとトレーナーがそんなことを言ったときの各ウマ娘の反応。
――スペシャルウィーク。
実家から送られてきた大量の人参を満面の笑みで渡してくるようになる。
最初は喜んで受け取っていたが、消費が追い付かないのでスペシャルウィークにお弁当を作ることで還元することにする。
お昼の食堂でトレーナーと一緒にスペシャルウィークがお弁当を嬉しそうに食べている姿に、この結果までつなげたスペシャルウィークの賢さに10%のボーナスがついている意味を、グラスワンダーやエルコンドルパサーが驚愕と共に知るのだった。
なお、本当に救われたのはトレーナーの財布ではなく、スペシャルウィークの食べる量に圧迫されていた食堂の人たちであったことは言うまでもない。
――ナイスネイチャ。
なんとなく昨日の言葉が引っかかったまま、つい朝早くに起きて作ったお弁当をもって、いやいやこんなのもってきてどうしたいって言うんですかナイスネイチャさんはとトレーナー室の前でウロチョロしてしまう。
後ろからやってきたトレーナーに声をかけられ、背中に隠したお弁当に気づかれ、もしかして俺がお金ないって言ったことを気にしてくれたの?とスムーズに本心まで言い当てられて顔を真っ赤にして『はい…』というしかなかったナイスネイチャ。
予想以上に喜んでくれているトレーナーに一緒に食べようと言われ、はいしか言えなくなったナイスネイチャの二人が部屋の中に消えていく。
その後、二人が部屋に入った後のことは謎に包まれているが、ナイスネイチャが毎朝楽しそうにお弁当を作る姿がたびたび目撃されるようになる。
――トウカイテイオー。
いつも飲んでいるはちみつドリンクの量を多めにして軽い足取りでトレーニングに向かう。
僕がちょっと飲んじゃったけど、トレーナーがお腹を空かしていたら少しくらいは分けてあげてもいいかも。
二人で一つのはちみつドリンクを飲む姿を想像すると、テイオーはなぜだか嬉しくなる。
しかし、グラウンドにたどり着くと、桐生院トレーナーからお弁当を手渡されているところを見てしまう。
なんで隠れてしまったのか?
なんでトレーナーの嬉しそうな顔を見ると、胸が痛いのか?
さっきまでキラキラしていたはちみつドリンクが急に輝きを失ってしまったようで、テイオーはそれを渡すことなくその場から走り去った。
どうして自分は逃げているのか?
それすらわからずに、テイオーは走った。
次は絶対に見劣りしないものを持ってくる。
誰かを賭けて行う戦いがあることをテイオーは初めて知った。
それは彼女が少しだけ大人になった日でもある。
――スーパークリーク。
不用意な一言がスーパークリークの甘やかしたい欲求に火をつけた。
トレーナーは朝から寮の門限まで世話を焼かれ続け、スーパークリークはトレーナーの家に入り浸る。
あまりの甲斐甲斐しさにタマモクロスがまるで通い妻のようだとからかうと、最終的にはオムツを履いてほしいと夢見るような表情で返しタマモクロスをドン引きさせた。
怪物となってしまったものを止められるものは、もはやどこにもいない。
――アグネスタキオン。
空腹を感じなくなる薬を渡される。
飲んでみると、確かに空腹感が消え、これはすごいよとタキオンに礼を言う。
しばらく調子よく行動していたが、ある時ふと目の前が暗くなり、気づけば病院のベッドで寝ていた。
医者の話によれば栄養失調で倒れたらしく、どうやら薬の効果を過信しすぎたようだった。
見舞いに来たタキオンが、罰としてトイレ掃除を2週間やらされているということと、いくら空腹感はなくなるといっても食べないと生物として死ぬのは当たり前だろ、君は馬鹿なのかい?ということを早口で言われてしまう。
君の研究結果が凄すぎて、タキオンのこと以外考えられなくなっていたよとトレーナーが言うと、その場はふうんとしか言ってないタキオンが、病院からの帰りにスキップしていたという噂話がささやかれるようになったが真相は誰も知らない。
――オグリキャップ。
「ほら」
言葉と共に差し出されたのはオグリキャップのおかずだった。
今日もおにぎりしか食べてないトレーナーを思っての行動だった。
お腹は空いているし、これをあげるのは断腸の思いだ。
されど、オグリキャップは大好きなトレーナーのためなら、空腹だって我慢できる。
私たちは二人で一つ。
オグリキャップは本気でそう思っているし、トレーナーも同じ思いをしてくれているとそう信じている。
トレーナーは出されたお皿を見て、驚いたような表情をした後、少し苦笑してお皿を受け取ってくれた。
私の献身を受け取ってくれたんだと、オグリキャップが嬉しく思うと、そのお皿をもってどこかへ歩いて行った。
オグリキャップが疑問に思っていると、トレーナーはなんとそのお皿に山盛りのおかずを追加して持ってきた。
「まだまだ食べたいんだろ?もっとたくさんもらってきたよ。俺は食べ終わったから先に行くよ」
「!?!?」
立ち去るトレーナーとおかずを何度も交互に見返す。
その日オグリキャップは珍しいことに、一日中機嫌が悪かった。
――ゴールドシップ。
ゴールドシップが縄文土器を持ってきた。
「やるよ」
それだけ言って去っていくゴルシにトレーナーも困惑が隠せないが、とりあえずそこらへんに落ちていたドングリを水でゆでてみる。
かつてはこうしてウマ娘と人間も同じように鍋を囲んだのかもしれないと、感慨深い気持ちになっていたら、ドングリがいきなり巨大な木へと成長した。
訳が分からず呆然としていると、木のてっぺんからゴルシが傘を広げて雄たけびを上げながら遠くへと飛んで行った。
訳が分からないが、とりあえずトレーナーは生えたブナの木をトレセン学園の片隅に植えた。
やがて、その木は一夜にして成長した奇跡の木として語り継がれ、その木の下で告白したウマ娘とトレーナーは結ばれるという伝説を残し、数々のストーリーを作っていくのだった。
いつか反応シリーズの続きを書きたいなって話。