ウマ話短編集   作:cheese3

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文字数足りない書き貯めが多くなってきたから、足りてるやつだけ投稿していきますって話


大人にニンジンを食べさせる秘訣

「前にさ、あたしが焼いたにんじんをトレーナーさんに食べさせようとして、断られたことがあるんだけど、シービーはなんでトレーナーさんが食べてくれなかったんだと思う?」

「それって、どうやって食べさせようとしたの?」

「どうって…、あたしがかじって、熱くもないし甘みも抜群なのを確認してから、はいって差し出したんだよ」

 ざわっ!

 にぎわっていた教室が一瞬にして静まり返った。

「我ながらめっちゃ上手に焼けた自信作だったのに、どうしてトレーナーさんは食べてくれなかったんだろうな?」

「ふーん。なんでだろうね?

 アタシのトレーナーはアタシの焼きにんじん食べてたのにね」

 ざわっ!

 衝撃的な事実に、またも教室がうねるように騒いだ。

「マジで!?どうやったら食べてくれたんだよ?」

「トレーナーの家でせっかく美味しかったやつを食べてくれなかったから、何も言わず口にいれちゃった。なんだか色々と言ってた気もするけど、黙ってやっちゃえばいいんだよ」

「シービー、それって……」

 エースは眉間にしわを寄せていた。

 ミスターシービーのあまりにうらやましいが自由すぎる行動に、苦言を呈してくれるのではないかと、その場のウマ娘たちは期待した。

「めちゃめちゃ良いじゃん。あたしもやろうっと!」

 そうじゃないだろと、全員が心の中で突っ込んだ。

「でしょ。どうせこれからずっと一緒にいるんだから、エースも早くニンジン食べさせておいた方がいいよ」

「へへっ…。さすがあたしのライバルは、一足も二足も先に行ってるな。

 そうと聞いたらうかうかしてられねえ!アタシのすげえ焼きニンジンを、早速トレーナーさんに食べさせてくるよ!」

「頑張ってね。なんだかあんな話しをしてたら、アタシも久しぶりに、トレーナーの焼きニンジンを食べたくなっちゃった。

 今からでも、あの美味しくて甘いやつを、トレーナーは焼いてくれるかな?」

 カツラギエースとミスターシービーは、それぞれのトレーナーの元へ足早に駆けて行った。

 静まり返っていた教室は、二人が出ていった後、ささやくような話し声から、大きな喧噪により揺れ動く。

「あの二人、まさかあんなところまで進んでるなんて…!」

「私だって、焼きニンジンあーんをやってみたかったのに!」

 全員が、行き場のない憤りを、中央で手を組んで、黙して語らないシンボリルドルフに向けた。

「ルドルフ会長!あんな自由が許されていいんですか!?」

「私だって学生だから我慢してるのに!」

 シンボリルドルフは、それらの言葉に答えず、黙って席を立って教室の出口へと歩いて行った。

 なぜ、シンボリルドルフは正当な不平の声に答えないのか?

 誰もが疑問に思っていた時、ルドルフのポケットから、一本の串が零れ落ちた。

「あれ?会長、何かの串が落ちましたよ」

「なっ!?君!それを拾ってはいけない!」

 ルドルフの静止は一瞬遅かった。

 傍らにいたウマ娘は、その串を拾い上げた瞬間に、ほのかに香るニンジンの香りと、男性の匂いをその串から嗅ぎとった。

「この匂い…!会長、あなたまさか!?」

 シンボリルドルフは全てを聞き終わる前に駆けだしていた。

「皆!会長はすでに焼きニンジンを経験済みよ!」

「会長!あなたも裏切ったというのですか!?」

「そんなの許せないわ!」

「吊るせー!今こそ王を吊るすのよ!」

 たくさんのウマ娘たちが、慌ただしく教室を飛び出していく。

 もうもうとほこりが舞い上がる教室で、一人状況についていけなかったシリウスシンボリは、彼女に似つかわしくない遠い目つきでぽつりと呟いた。

「……焼きニンジンってなんなんだ?」

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