禪院直哉になったから逃げようとしたら十種影法術だったから詰みかける 作:アルトリア・ブラック(Main)
ー禪院家の庭ー
魔虚羅の調伏を直哉が完了したと言う報告は直毘人にとって嬉しい反面、どういうやり方をしたか聞きたい部分もあった。
「金に物言わせて裏技バグ技フルコンボやけど」
「……だから50も消えていたのか…」
正攻法とは言えないやり方に頭が痛くなるが、魔虚羅の能力を聞いて『イカれてるな』と納得してしまう。
「んで、禪院家に天与呪縛が生まれる理由がわかったんやけど」
座った魔虚羅の足でゴロゴロしながら言われる
見た目怖すぎだろと女中連中怖がってるぞと言うと「練習しとるだけやで」と言われる
「甚爾君が生まれた理由はコレを調伏する為やと思うんよ、それに、甚壱君の術式といい、蘭太君の術式といい、コイツを足止めするには向いとる術式やけど、全員で総攻撃して使役しとる術師が倒さんかったら意味なくなる、せやけど、甚爾君みたいな呪力ゼロの人やと、倒しても判定は術者のみになる」
「…なるほど、記録に残しとくべきか」
魔虚羅の腕のソードを見ながら
「せやけど、実質無理に近いでこれ、甚爾君レベルの天与呪縛やないと共倒れになるし、世界中探して見つけた一撃必殺の呪具ないと無理やし」
宿儺レベルの実力者なら余裕なんだろうが、普通、コイツを人の身で正攻法で倒せる奴なんていんのかっていうレベルである。
「…その呪具は?」
「半数破壊されて、残ったのは半壊、治すにも30年以上はかかる」
「………金だけが消えたな」
「金は消耗する為にあるんやで」
「…恵にはキツイだろう、コレ」
もう元当主の威厳なんてない、頭を抑えながら言うと
「また30年後くらいに禪院家が100億くらい出せばなんとかなるんちゃう?」
「家が倒産するわ!」
宇宙船でも買えるぞとキレる
「まぁ、恵君はヒョロイから勝てるかわからへんけどな」
「………」
倒せなかったら金だけが消える禪院家にデメリットしかない条件にため息をつく
「呪力あるけどショボい人全員リストラして女中も大幅削減すればええやろ」
「………」
↑何も言えない
禪院家内で現当主が魔虚羅を調伏できたという話は瞬く間に話題になった。
「禪院家に必要なのは呪力やなくて天与呪縛や、どんだけ強くても、当たっても適応されれば終わり、当たらなかったらもっと終わりやで、甚壱君」
直哉との鍛錬は一気にこちらが不利になり、一方的にボコられる状態になった。
「……甚爾に教わったのか」
身のこなしが出て行った時の甚爾のような動きでそう聞くと
「そうやで、甚爾君にいろいろ教えてもらったんよ、早すぎて見えへんかったわ、何回捻り落とされるかと思ったか…」
腕もげても反転術式で治せば良いじゃない!と家入に何回か見せに行ったらブチギレられたことを思い出す
「ん?どなんしたん?」
「……なんでもない」
そう言って蘭太からタオルを受け取って縁側に上がると直哉が気にせず背を向けて歩き始める
禪院家は昔よりだいぶマシになっているとは思うが、老害連中が死ぬまでは男尊女卑の風潮は無くならないだろうし、呪力なしは猿扱いする風潮は変わらないだろう。
が、男は実力主義というのに物言わせて老害連中を黙らせる
年齢に関しての知識は敬うが人格は敬わん
(…悟君の家みたいにワンマンチームにするのも呪術界には良くないだろうけど…)
せっかく強い術式持ちが多いのだ、それを活かして行きたいがいかんせん上手くいかない
呪霊達が沢山いる懲罰部屋で訓練するが一級呪霊程度では魔虚羅が圧勝すぎてつまらない。
階段を登って行くと蘭太がいた。
「…呪霊だって集めるの苦労するんですよ」
蘭太がため息をつきつつもタオルをくれる
「一級呪霊やからある程度苦戦すると思うたんやけど全然せんかったわ…」
「そりゃ最初っから魔虚羅出せば勝てるんじゃないですか?」
「うーん、魔虚羅実験?術者本人にも適応が出来るか研究しとるけど、先に壊滅する」
呪霊から攻撃を仕掛けて貰わないといけないが、魔虚羅自体が強すぎてびびって出てこないのである
「…自分より強い奴に喧嘩売れって、変態すぎますよ…ていうか、そんな魔虚羅をボコボコに出来た甚爾さん凄くないですか…?」
「人類最強やからな、悟くんが呪術師最強なら非術師最強甚爾君やからな…」
「甚爾さんに稽古付けてもらった方が早いですよね…」
蘭太の言葉に頭を掻きながら
「無理やろな…甚爾君と甚壱君の間で結構な確執あるし、なんなら俺いない間にここ来たら今度こそ壊滅させると思うで、今あの人に勝てるの魔虚羅と悟君しかおらんやろ」
悟君曰く『絶対あのクソゴリラ近づけんな!!』と威嚇してたから禪院家が滅んでも干渉してこないだろう
「…そう考えたら恵君を当主候補として推薦させてくれたのはある意味、奇跡なんですかね」
「奇跡やで、まぁ、俺とパパ死んだらしらんけど」
テヘペロと言うと『絶対に死なないでくださいよ』と言われる
幼少期、直哉が散々絡んだから直毘人もある程度、甚爾への見方を変え、好意的に接していたからやや言うことを聞くのだろう。
甚壱と甚爾の仲険悪すぎてもう修復不可だろう。
今じゃ、甚爾君が瞬殺するだろうが、甚壱は割と強い分類に入るので出来るなら殺しては欲しくない
(…ま、壊滅しても知らんけど…)
当主としてあるまじき考えだが、何回もこの家滅びても良いだろとか思う部分もあった。
今が大丈夫だとしても恵以降の代でこの家は確実に滅びるだろう。
見ないフリをしてきた、たくさんの悪意を人に向け続けたら確実に内輪揉めで消え去る
(…蘭太君が比較的まとも思考になって来たんわありがたい事やけどな)
話しながら縁側を歩いていると
「直哉様、恵様が来られてます」
女中の言葉にすぐ行くー!と爆裂ダッシュして居なくなった直哉を見て蘭太が「道場綺麗にして来ましょうか」と女中と一緒に向かう
「あれ、真希ちゃんもおるやん」
そう言って入ると「悪かったな」と言われる
「…任務で京都に来てたので一緒に来ました」
そう言われ前に座る
「…というか、懲罰部屋にいた呪霊の気配しませんけど…」
「あ、全部ぶっ殺しちゃった」
テヘペロと言うと『また蘭太と甚壱泣くぞ』と言うと
「雑魚ばっか集めんのが悪いやろ、甚爾君なら特級連れて来るで」
「…この家壊滅させたいんですか」
恵のツッコミに「直哉がいなくなったら暴れ散らかすぞ」と真希からも言われる
「真希ちゃん達も東京に良い呪霊(?)おったら教えてな、集めるから」
(…この人と夏油さんいたら日本の呪霊壊滅しそうですね…)
(別に良いだろ壊滅しても)
(それはそうですけど)
それから二人と軽く稽古して、恵と一緒に式神に関しての話をした後、恵と歩いていると…
「…前より空気良くなってますね、この家」
そう言われ『ほんま?』と言うと頷かれる
「…でもまぁ、悪口は普通に聞こえますけど」
「誰に言われたん?ぶっ殺すで」
「…やりそうだから言いません。というか、俺の悪口じゃなくて親父だし」
「蠱毒にしてやるわ」
「…ほら、怖すぎますよ仕返しが、なんですか親父の悪口に親父以上にキレるの」
昔より良くなってるし、悪口も小学生並みだから大丈夫ですよと言われる
(…ーーの使用人かな、殺そうかな)
「というか、真希さんや親父がいたときはもっと酷かったって聞きましたし、親兄弟に狙われなくなった時点でもう良いじゃないですか」
「…基準が石器時代なんよな」
ため息を深くつくと
「…すくなくとも、直哉さんがやって来たことは全部無駄じゃないんです。お袋も、弟も、莉子さんたちと…親父も笑い合ってるんです。人を幸せにしてるんです。もう少し肩の力を抜いてください」
その言葉に足が止まる
「……恵君にはなんか言われとうない」
「…悪かったですね」
フィッと顔を逸らされる
「……ありがとうな、恵君」
「どうも」