禪院直哉になったから逃げようとしたら十種影法術だったから詰みかける   作:アルトリア・ブラック(Main)

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2話目で皆様が見てくださったことに『はぇ?』と腰抜かしかけました。後、小説書いてて関西弁(エセだけど)キャラ書いてると現実でも関西弁使いそうになる。

まだ高専に行かないけど、真依・真希目線の話


第三話『落伍者』

ー扇の娘ー

 

生まれて物心ついたときには、この家には敵しか居なかった。

 

呪力というものがないから両親からは『お前なんて産まなきゃよかった』と言われる日々だった。

 

双子は凶兆だと言われ罵詈雑言の的だった。

 

ある程度成長して体力がつき始めてから雑用係の仕事を任されるようになった

 

任される、というのには語弊があるだろう。

 

まだ幼い頃は禪院家の子供達と分家の子供達と一緒に遊ぶ時間はあった。

 

でも

 

『真希みたいになっちゃダメよ』

 

そう母親に愚痴を聞かされる日々だった。

 

「真希ちゃんって禪院家本家なのに私より呪力ないんだって」

「ホントに終わってるよね」

「扇様の子供なのに呪力も術式もない、双子の妹は半端な呪力しかないんだって」

 

少し前まで遊んでいた子供達が親の悪口を真似するかのようにそう言う

 

「お前達が生まれたせいで私は当主にはなれない、兄に相伝の子供が生まれてしまった。全てお前達のせいだ」

 

そう父親にも母親にも侮辱される日々だった。

 

「お姉ちゃん、直哉さんからお菓子もらった」

 

「は?」

 

真依が嬉しそうにお菓子を持ってくる。

 

禪院直哉

 

禪院家の当主の息子で相伝術式を継いだ男

 

恵まれた存在で、本家で当主確定と言われている存在

 

「なぁ、何入ってるかわかんねぇから食べんのやめようぜ」

 

そう言って下げさせようとするが、真依は必死に『目の前で食べてくれて毒はないって言ってたもん』と嫌々とする。

 

この歪んだ家で育ち、なおのこと次期当主としていろんな所から狙われているだろう。

 

そんな男がなんの力も持たない自分たちに無償で何かを渡してくるなんてありえない。

 

「じゃあ、魚に少しだけ食わせて様子見よう」

 

そういうと渋々頷く、少しだけ上げてみるが特に苦しむ様子はなく、安心して食べる

 

「なぁ、真依、その直哉ってどんな奴なんだ?」

 

真依は真希と違って呪力と術式はある。

 

使用人として母親と一緒に本家に雑用係として行くことがある。

 

「やさしい…」

 

(…そんなワケあるか?末端でさえ暴力振るってくるやつら多いのに)

 

本家の息子なんてなおのこと性格が悪いんじゃないかと思っていると…

 

「あ、食べてくれたん?美味しい?」

 

「!!」

 

男の声にビクつく

 

ひょっこりと覗いてきた直哉

 

自分たちよりも上質な服を着た男

 

「ありがとう、ございます」

 

嬉しそうに言う真依に「よかったよかった」と笑う

 

「隣座ってええ?」

 

そう言われ真依が「はい」と頭を下げる

 

真依の隣に座った禪院直哉は微笑ましそうに真依と自分を見てくる

 

「ん?なんか顔についてる?」

 

そう聞かれ真希は「なんでもねぇ」と言って顔を逸らす

 

すると

 

「直哉様、また本家から抜け出してきたのですか」

 

「「!!」」

 

冷たい母親の声が聞こえてくる。

 

「訓練終わった後は自由時間やろ、別にええやん何しても」

 

「………」

 

母親は何も言わず『そうですか』と言って部屋に引っ込む

 

「直哉、さま、ごちそうさまでした」

 

嬉しそうに言う真依に直哉は『よかったわ』と言ってくる

 

(…私は真依に何もしてやれねぇ…)

 

もし、コイツが本当に善人だとして、コイツが禪院家当主になったら少しだけでも真依の居場所を作ってくれるかもしれない

 

そう思っていると…

 

「禪院直哉、何をしにきた」

 

父親の声に真依がビクつき怯える

 

横に立っていた父親の圧に泣きそうになる真依を抱きしめる

 

殺気が凄まじく死にたくないと思っていると…

 

「子供に向ける殺気ちゃうやろ、扇のオジさん」

 

その殺気に慣れているのか、直哉はため息をついて父親を見上げていた。

 

「うるさい、許可もなく来おって」

 

「許可必要なん?ここ禪院家本家やで俺の家なんやからどこ行くのも勝手やろ」

 

直哉はそう言って立ち上がると

 

「それより、自分の立場少し考えた方がええで?パパにえらい怒られてたやろ?パパには下手に出て、子供の真依ちゃんらには当たり散らかすとか」

 

直哉の殺気に「ああ、コイツも禪院家なんだな」と思った。

 

「猿でもできることやで、いや、その猿すら自重できる思考をあえてしないあたり、オジさんは『猿以下』やな」

 

そう言って煽る直哉にキレたのか扇が手を挙げようとしていた

 

「直哉さ…」

 

真依の必死の声

 

父親がどこからか殴られたのか吹き飛ばされる

 

「そういうところが阿呆言うたやろ、ホンマ脳みそ入っとるんか?」

 

何処からか犬のような唸り声が聞こえてくる

 

「……」

 

母親は吹っ飛ばされた父親を黙って見ていた。

 

「まぁ、安心しいや、俺も後2年後には学校行くからな」

 

そう言ってその場から直哉が離れて行く

 

「わんわん…」

 

真依が涙を拭きながら何もないところを撫でていた。

 

「真依?」

 

「おねえちゃんのそばにもわんわんいるよ」

 

「え?そうなのか?」

 

そう言って辺りを見渡す

 

わんわんと言っているが、おそらくは直哉の式神なのだろうか

 

「玉犬って言うんだって、いつも周りにいる」

 

「え?」

 

話を聞くには扇が来るたびにいて威嚇している。

 

しかし、夜や直哉の呪力からある程度離れたら消えるらしいが

 

 

 

 

 

 

ー数時間前ー

 

真依にとって本家の空気は凄く嫌いで仕方なかった。

 

母親と一緒に雑用をするために本家にゆく

 

「お前は特殊趣味だな、直哉」

 

そう言う現当主の声が聞こえて来る

 

「は?酔っ払いも大概にせぇよ、少しはシラフの親父と話したいわ」

 

「失礼します」

 

そう言って当主とその息子の直哉にお膳を出す

 

「昔いた甚爾に興味津々だと思えば、真希にも興味を向けておって、血筋のためだ二人を妻にでもするか?」

 

その言葉にゾッとするが、直毘人は母親に「出来損ないの二人ではあるが良いだろう?」と言っていた。

 

「真希は呪力も何もありません。直哉様の妻として相応しくありません、真依も同じです」

 

「血筋としては近いからより相伝が生まれやすいかもしれんぞ」

 

「従姉妹婚は奇形児生まれやすいで、そこん所ちゃんと学あるんか?」

 

「む、口が悪いな相変わらず」

 

相伝持ちの息子だからか、当主の言葉はやさしい

 

いつもだったら罵倒するなんてよくあることなのだが

 

「そうやとしても、嫌がる女の人を妻に迎えて子供なんて作っても楽しくあらへんやろ、加虐趣味あるのパパだけやで」

 

「ないわボケ」

 

話していると、直哉がため息をつく

 

「ハァ、訓練して来るわ」

 

そう言って部屋から出て行く直哉に当主が『付いていけ真依』と言われる。

 

母親は酒の相手しろと言われており、どうしたら良いか一瞬悩むと『早く行きなさい』と言われ、走って直哉の下へゆく

 

「ハァ…ホンマセクハラのモラハラすぎる…」

 

独り言のように呟く直哉

 

足音に気づいたのか振り返ってきて

 

「あ、真依ちゃん、どないしたん?」

 

「あ、あの、付いていけって…」

 

あわあわしながら言うと「相変わらず考えてること分からんわあのクソ親父」と言いつつ、おいでと手招きされる

 

後ろに付いて歩いていると、直哉の部屋に近くなる

 

「は?」

 

直哉が固まり、真依はえ?と悩んでいると

 

「直哉どうした?」

 

向かいから甚壱が歩いて来る。

 

慌てて顔を晒した衝撃で横を見ると

 

「ひっ…」

 

部屋の中には男の首吊り死体があった。

 

「あー…おい」

 

女中達を呼ぶ甚壱

 

「早くそれを片付けろ」

 

「は、はい」

 

そう言って男を下ろす

 

「よりにもよって弟の部屋で自殺するなんてな、当てつけか」

 

そう言いながら頭を掻く甚壱

 

「良かったな、出来の悪い兄が死んで。これで命を狙われなくて済んだな」

 

そう言って部屋から去って行く甚壱

 

「ハァ…少し外に行こうか」

 

そう言って庭の方へ向かう直哉

 

「は、はい」

 

すれ違いざま直哉に女中の一人が『申し訳ありません直哉様』と執拗に謝っていた。

 

桜の木に寄りかかり部屋を見る直哉

 

「…まともな感性持ってた方が詰むなぁ、この家」

 

そう呟く直哉の横顔は何処となく悲しそうだった。

 

「直哉様…だいじょ、ぶですか?」

 

かける言葉は間違えていないかそう恐る恐る言うと

 

「んー、大丈夫や、割と見慣れた、ホンマこの家終わっとる」

 

そう言いながら『真依ちゃん、真希ちゃんのこと好き?』と聞かれ「大好きです」と言うと

 

「さよか、そうならちゃんと守れるように強くならなあかんな、そうじゃないと…」

 

割と強い風が二人の間に流れる

 

「本気で何もかも守れんくなる」

 

そう言って頭を撫でられる

 

子供であるのにその手は暖かった

 

 




【禪院家での直哉主の立ち位置】
術式が十種影法術なので次期当主確定だが、あらゆる所から(親類縁者含めて)狙われてて逆に恵まれてない。甚爾や真希から見れば十分愛されてるように見えるけど、五条悟から見れば『おんなじだなぁ』と同情される。
派閥的な、味方を作らないと詰む、だけど恵みのように外部に味方作っても詰む(京都校じゃなくて東京校に行く選択取ったのも割と詰みポイント踏んだ)

【禪院直哉の兄、直毘人の長男】
名前不詳
術式なしの呪力だけはある兄、中途半端な立場におり、相伝を継いだ直哉に兄らしく話してた。割と良識ありの男だった

【禪院家での生活】
おはようからおやすみまでずーと誰かの悪口を聞かされて精神すり減らしてる。精神はそんな丈夫じゃないが、精神の前に胃に穴が開くのが先になる。

【禪院家での実力順位】
規格外、伏黒甚爾
人外じみてるから勝てない、魔虚羅使えば勝てるけど直哉も死ぬ
1、禪院直毘人
投射呪法が強すぎてまだ勝てない
2、禪院甚壱
まだ勝てないけど、割と拮抗してる
4、禪院蘭太、長寿郎、禪院扇
割と弱い

【禪院扇の立場】
前回直哉を殺そうとしたことに直毘人ブチギレた。
弟だが許さんと割と孤立気味、それでも追い出されないのは呪術界に割と知り合いと権威があるから、でも本家の一部場所に立ち入り禁止、直哉への決闘を禁止された。
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