ルビコンわくわく独立傭兵   作:青いカンテラ

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犬と犬のじゃれ合い。


ガリア多重ダム

 惑星封鎖機構の大型武装ヘリは油断ならぬ強敵であった。

 

 ACよりも巨大かつ重武装であり、何より飛行できるアドバンテージを活かして上空から撃ち下ろしてくる。ウザい、ウザすぎる。いかにACが強力な個人兵器であろうと、所詮は地を這う陸戦兵器の域を出ないのである。空の王者たる大型武装ヘリの敵ではない・・・と敵が思っていたかは定かではないが、621は辛くもこれを撃退した。ライフルの弾尽きミサイルも使い果たしたために、ジャンプを繰り返してルビコン神拳でボコボコのベコベコにしてやった。通信教育の成果である。

 

「てごわかった・・・」

『621、仕事だ』

 

 

 

 ―――べリウス南部

 

 ルビコン解放戦線のライフラインである治水拠点、ガリア多重ダムが見える丘の上。そこに3機のACが待機していた。

 1機は621が駆る中量二脚AC名前はまだない(ノーネーム)、あとの2機は今回の作戦を主導する企業゙ベイラム゙お抱えのAC部隊゙レッドガン゙から派遣されたG5(ガンズファイブ)イグアスの゙ヘッドブリンガー゙とG4(ガンズフォー)ヴォルタの゙キャノンヘッド゙だ。

 

 独立傭兵である621には今回の作戦への参加要請は本来無かったのだが、ウォルターのいい刺激になればという計らいにより急遽ねじ込まれることになった。今回の作戦だけの、一時的なレッドガン部隊への参加ということで621にはコールサインG13(ガンズサーティーン)が貸与されている。一昨日空きができたという、ピカピカのナンバーだ。

 

『チッ・・・独立傭兵だかなんだか知らねえが、野良犬の世話をしろと来た。レッドガンも舐められたものだ』

『関係ねえ。俺たちで終わらせればいい。そうだろ? イグアスよぉ』

 

 作戦開始を前に、苛立った様子なのはG5イグアスだ。本来ならば自分たちだけで行うはずだった作戦。そこに急遽ねじ込まれたどこの馬の骨とも知れぬ独立傭兵。聞けば安否不明から復帰したてで、実績作りの真っ最中なのだという。つまりは今回の作戦参加もまた、その実績作りの一環というわけだ。気に入らない。

 

『おい野良犬、精々俺たちの邪魔をするなよ』

「わかった、いぬあす」

『あ゛?』

『ブフッ』

『役立たずども! 楽しいお喋りはそこまでだ! 作戦開始! 突入しろ!』

 

 イグアスと621の間に剣呑な空気が流れたところで、G1(ガンズワン)ミシガンの大声が飛ぶ。大きな舌打ちを一つして、イグアスは苛立ちをぶつけるようにガリア多重ダムの防衛に当たっている敵MTと戦車の混成部隊に襲い掛かる。その少しあとをタンク型故に機動性は二脚ほどではないヴォルタが続く。

 

「おー、いぬあす、はやい」

『お前も行け、621』

『うぇーい』

 

 アサルトブーストに点火。一息に最高速まで加速し、壊滅寸前の前衛部隊の頭上を飛び越えて破壊目標の発電施設へとライフルとミサイルを見舞う。対ACでも有効な威力の弾だ。当然発電施設などひとたまりもない。

 

 エネルギーを大量に消費するアサルトブーストを解除。一旦地面に降りて回復を待ち、すぐに次の目標へと向かって再度点火。開けた場所に設置された砲台が2つ。急接近する621のノーネームに気づき、慌てて射撃を見舞うも狙いが甘い。通り過ぎていく砲弾には目もくれず、ライフルで反撃。一射、二射。ライフル弾を叩きこまれた砲台は沈黙。次の敵へと意識を向ける。

 

『野良犬、お前のような木っ端は知らんだろうがな。俺たちレッドガンば壁越え゙にアサインされている。この仕事は慣らしだ、終わったら土着どもの要塞を落としに』

「だれが、かべだ」

『いってぇ!? 何しやがる野良犬!』

「いぬあすが、かべって、いうから、でしょ」

『てめっ、また言いやがったな!?』

『ブッフォ』

『笑ってんじゃねえぞヴォルタァッ!』

『G5! G4! 貴様ら、おまけとの交流に余念がないようだな!』

 

 イグアスの言葉が癇に障ったらしい。621はクイックターンとアサルトブーストの合わせ技で引き返すと、ヘッドブリンガーのケツに速度の乗った蹴りを叩きこんだ。金属同士のぶつかり合う甲高い音がダムに響き、通信からはミシガンの怒声が飛ぶ。ああもうめちゃくちゃだよ。

 

 しかしそこは日々地獄のようなシゴキを受けているレッドガンの番号持ちとハンドラー・ウォルターの猟犬。通信越しに口論しながらも着実に任務は遂行していく。立ちふさがるMTと戦車を蹴散らし、発電施設を破壊し、残すはダム最上部にある一基のみとなった。

 

『聞こえるか、強欲な略奪者どもよ!』

 

 G4(ヴォルタ)G5(イグアス)G13(621)のズッコケ三人組がダム最上部に到達すると、展開していたMT部隊が防衛線を敷いていた。数は多いが、ACならば突破するのは容易い。建造物上部に目的の発電施設を視認。破壊すべくアサルトブーストに点火・・・する直前、MT部隊の中からACが1機飛び出してきた。

 

『我々ルビコニアンが屈することは無い! 鉄の棺桶で送り返して』

「うるさい」

『うるせぇ』

『誇りはないのか・・・!? 戦士としての・・・!』

 

 言葉を言い終わる前にイグアスが発砲。少し動きの鈍ったところにアサルトブーストで急接近した621が、左腕のパルスブレードで撫で切り撃破する。あまりの瞬コロっぷりにヴォルタも呆れたように『おいおい瞬殺だよ』と言葉を漏らした。

 

『・・・敵ACを撃破。621、目標を破壊しろ』

「あい」

 

 MT部隊は二人に任せ、いかにも使ってくださいとばかりに設置されていた垂直カタパルトで跳躍。最後の発電施設にライフルとミサイルを叩き込んで盛大な花火を上げてやる。

 

「へっ、きたねぇはなびだ」

『どこでそんな言葉を覚えた621』

『役立たずも役立たずなりに役立つことが証明された。遠足はここまでだ! G13、貴様のナンバーは空けておいてやろう』

「うぇーい」

『チッ・・・野良犬が、調子に乗るなよ』

「いぬあす、なまいき」

『あ゛ぁ゛!?』

『ブフォッ』

 

 

 

To be continued・・・→




【G4ヴォルタ】
二人はレッドガン! の片割れ。タンク使う方。
イグアスとは友達であり、よくつるんでいる。゙壁越え゙は・・・近い。

【G5イグアス】
二人はレッドガン! の片割れ。二脚の方。
ヴォルタとは友達であり、よくつるんでいる。621を野良犬呼ばわりしているが、その621にはイヌアスと呼ばれてキレている。

【G1ミシガン】
ベイラムのAC部隊゙レッドガン゙の総長。声がデカい人。
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