ルビコンわくわく独立傭兵   作:青いカンテラ

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大豊娘娘はいいぞ


壁越え.1

 アーキバスからの依頼は、621にも壁越えに参加しろというものだった。内容自体は主力部隊が突入、制圧するための露払いではあったが、壁越えを成したとなれば実績にも箔がつく。

 

 しかしルビコン解放戦線が無数のMTや砲台で要塞化した壁は高く、そして分厚い。密航時から内装くらいしか弄っていないノーネームでは心許ない。そう考え、621は端末からオールマインドのパーツショップを開いて買えるものを見繕うのだった。

 

 

 

『ルビコン解放戦線の防衛拠点、通称゙壁゙を墜とす。621、お前の価値を示してやれ』

「あい、あい、えー!」

<メインシステム 戦闘モード起動>

 

 主戦場から少し離れたところに、621のACノーネームが降り立つ。機体フレームはベイラムと大豊をメインに据え、武装は右手が威力に優れ、反動の低いBAWS製バーストライフル、右肩は複数のMTを一度に攻撃できるファーロン製8連装垂直ミサイル、左肩には大型目標のストッピングが期待できるベイラムの拡散バズーカをそれぞれ装備。左腕には使い慣れたタキガワブレードと、火力に寄せつつもどんな敵にも対応できるようにしていた。

 

『まずは友軍アーキバス部隊の露払いを行う。街区への侵攻を拒むガトリング砲台2門と、その先のBAWS四脚MTを排除しろ』

「りょ!」

 

 アサルトブーストに点火。一息で森林地帯を抜け、激戦が繰り広げられている戦場を見下ろせる丘へと出る。戦況はアーキバスが劣勢。

 街区に続く橋を守るガトリング砲台に加え、壁に備えられている無数の砲台に撃ち下ろされている。砲撃を掻い潜り何とか抜けようとしても、今度は壁の上方から放たれる高威力のグレネードで吹き飛ばされる。恐らくはそれがブリーフィングでも名前の挙がっていた重装機動砲台゙ジャガーノードだろう。

 

 上から撃ち下ろしているとはいえ、橋の向かい側にまで届くほどの射程距離とMT数機ごと地面を耕すほどの高威力。あんなものが当たれば、堅牢さに定評のあるタンクとて無事には済むまい。ミンチより酷いことになりたくなければ避けねばならない。

 

『壁上からの砲撃が激しい。621、遮蔽をうまく使え』

 

 クイックブーストも使って砲撃を掻い潜りながら街区へと侵入する。狙い撃ちされないように建物の合間を縫ってガトリング砲台の死角に回り込む。

 

 護衛についていたMTをバーストライフルで沈黙させ、向かってくるアーキバス部隊に歓迎の鉛玉を配っていたガトリング砲台は垂直ミサイルとパルスブレードでスクラップに変えてやる。

 

「つぎ」

 

 手早く目標の一つを済ませ、振り返る。MT2機と四脚の重MT1機が仲間をやられた怒りか向かってくる。

 

『灰かぶりて我らあり! 死ね! 独立傭兵!』

「しなぬ」

 

 マルチロック。MT2機に垂直ミサイルを叩き込んで爆散。壁上に設置されている砲台にも気を配りつつ重MTと接敵。マシンガンと四連装のグレネードを備えた重武装型である。機動力もそこらの二脚MTと比べてもかなり高く、ノーネームに追従してくる。以前に戦ったタイプはブレードを装備していたが、こちらは射撃武装で制圧してくるタイプのようだ。

 

 牽制にバーストライフルを連射。装甲の分厚い四脚MTだろうと、至近距離からならACS負荷も十分に見込める。更にリロードの終わった垂直ミサイルも起動。惜しむことなく8連装全弾発射。

 

『チィッ! だが!』

 

 ブーストで瞬間的に加速し、頭上から降り注ぐミサイルを強引に回避。だが、その回避先には既に拡散バズーカの砲口が向いている。無数の小型成形炸薬弾が発射され、連鎖して起きる爆発は非常に強い衝撃力を生む。それ自体は四脚MTを撃破するには至らない。だが、致命的な隙(スタッガー)を見逃す621では無かった。

 

「おわり」

 

 懐に飛び込み、チャージしたパルスブレードをコアに突き立てる。沈黙した四脚MTを他所に、表示されたガイドに従い垂直カタパルトで一気に跳び上がる。

 

『BAWS四脚MTの排除を確認。街区における脅威は大きく減少した。次は隔壁にアクセスしろ。壁内部に侵入する』

「ん」

 

 行きがけの駄賃に隔壁近くの砲台を一基黙らせると、事前の情報戦で入手済みのキーを使って開く。

 

『内部への侵入を確認した。閉所での戦闘に備えておけ』

 

 言われるまでもない。通路を進みつつバーストライフルをリロード。次の扉もすんなりと開くと逆関節型のMTがお出迎えした。攻撃までの一瞬の隙を突き、バーストライフル連射で撃破。

 閉所ならば垂直ミサイルは使い難く、自慢の機動性も活かし辛い・・・そう考えているのだろうが、その見積もりは甘いと言わざるを得なかった。確かにアサルトブーストやクイックブーストなどの急激な加速を伴う機動は織り交ぜにくいが、それだけだ。数にものを言わせただけの量産MTを相手取るなど、621には造作もない。バーストライフルを弾く盾持ちはパルスブレードで斬り捨て、更に奥へと進んでいく。

 

『621、補給シェルパを手配した。確認しろ』

 

 リフトを使い上った先。補給を済ませて巨大な隔壁にアクセスする。ゆっくりと持ち上がると隙間から雪が舞い込んでくる。外は吹雪になっているようだ。

 

『・・・君がレイヴンか』

 

 隔壁を潜ると、何かと交戦していたらしい1機のACが621とノーネームの前に踊り出た。味方識別を示す青。表示されるACネームばスティールヘイズ゙。そしてパイロットは・・・゙ラスティ゙。別ルートから突入していたというヴェスパー部隊の第四部隊隊長、V.Ⅳ(ヴェスパーフォー)ラスティだろう。

 

()()ハンドラー・ウォルターの子飼いらしいな』

 

 全身をシュナイダー製の軽量フレームでまとめた機体が、僅かに視線を向ける。

 

『これも巡り合わせだ。共に壁越えと行こうじゃないか』

 

 その言葉が終わるか終わらないうちに、バリケードを引き潰しながら巨体が飛び出してきた。タンク型の脚部に゙壁゙のような正面装甲を付け、無数の重火器で武装しているそれは・・・ルビコン解放戦線の切り札、重装機動砲台ジャガーノート。

 

 621は機体を跳躍させ、持ってきていだそれ゙を叩き付ける。

 

「補給シェルパくんだ! ぶっっっつぶれろ!」

 

 

 

To be continued・・・→




【ラスティ】
ヴェスパー第四部隊隊長。涼しげな声の爽やか好青年。壁越えで共闘したレイヴンのことを戦友と呼んだり呼ばなかったりやっぱり呼んだりする。狙撃が得意。

【ジャガーノート】
ルビコン解放戦線の切り札。壁の上から超火力グレネードをぶっ放してくるヤベーやつ。爆風も食らうと普通に痛い。ケツが弱い。ケツを掘れ。

【補給シェルパ】
一部のミッションで登場する移動補給ポイント。使用すると一度だけAPとリペアキットと弾薬を全回復してくれる。やったぜ。なおこれがあるとその後に強敵とやり合うことになる。備えよう。
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