「補給シェルパくんだ! ぶっっっつぶれろ!」
先手必勝。ACよりも一回りほど大きな補給シェルパをジャガーノートに叩きつけ、すかさず拡散バズーカを発射。吹雪ごと吹き飛ばすほどの大爆発が起こった。
『621・・・っ! 何をやって、621・・・!』
『派手にやるじゃないか』
キリキリと胃が痛む音が聞こえてきそうな声でウォルターが呻く。それなりにいいお値段のする補給シェルパを自分の飼い犬が爆発四散させたのだ。無理もない。これは帰ったらお説教確定だろう。
「む・・・しぶとい・・・」
黒煙の中から姿を現すジャガーノート。いくつかの砲身はひしゃげているが、それ以外は特にダメージを受けていないように見える。さすがはルビコン解放戦線の持つ切り札といったところか。
「補給シェルパくん・・・よくも補給シェルパくんを・・・ゆるせねぇ・・・ゆるせねぇよ・・・」
こんなことを言っているが、その補給シェルパくんを焼け焦げた残骸にしたのは621当人である。そしでやったのお前だろ!゙というツッコミを入れられる人間は、残念ながらこの場にいなかった。あるいはイグアスでもいれば言っていたかもしれない。彼はわりとツッコミ気質もありそうな男である。
『っ! 避けろ!』
ジャガーノートが炎の尾を引きながら突進してくる。モロに受ければスクラップは必至な大質量。スティールヘイズはひらりと舞うように躱し、ノーネームはクイックブーストで回り込むようにして回避すると・・・バーストライフルを
一度の射撃で3発の弾丸が放たれ、正面よりも装甲の薄い背部に突き刺さり小規模な爆発を起こす。さらなる追撃に拡散バズーカを放つも、攻撃を察知したのかジャガーノートがすぐにその場で反転。無数の小型成形炸薬弾が装甲表面を焼くに止まる。。
『・・・正面からやり合うのは得策ではないな』
「ん」
ラスティの言う通りである。ジャガーノートの正面装甲は非常に強固であり、まだ生きている武装もある。向かい合って撃ち合ったところで勝機は薄い・・・否、皆無だ。ならばどうにかして背面への攻撃を狙うしかない。
『私がスティールヘイズのスピードでかく乱する。君は背後から叩いてくれ』
「うぇい!」
『ふ、君は中々面白いな・・・!』
突進を躱し、スティールヘイズがクイックブーストでジャガーノートの注意を引き付けるべく攻撃を開始する。あえて正面に立ち、バーストハンドガンを連射。適正距離ならその連射性能と衝撃力によってACSに高い負荷を掛けられるが、分厚い装甲相手には分が悪い。ならばとプラズマミサイルを発射。近接信管によりプラズマ爆発を起こすそのミサイルは、装甲の厚い敵にもダメージが期待できるのだ。
鬱陶しそうに放たれるマシンガンは掠りもせず、ミサイルもクイックブーストを織り交ぜた鋭い機動に振り切られて明後日の方向へと飛んでいく。軽量二脚型であるスティールヘイズの優れた機動性を活かした見事な
ジャガーノートが三連装砲を放とうとした瞬間、
<左肩武器パージします>
撃った直後で煙を上げる拡散バズーカを切り離し、アサルトブースト点火。一気にジャガーノートの背面に取りつくと、パルスブレードを起動して袈裟懸けに斬りつける。高エネルギーで形成された刀身がバーニア類を溶断。ブレードの強制冷却が開始される前に返す刃でもう一太刀浴びせれば、今度は油圧系が焼き切れたのか黒いオイルが返り血のように飛び散りノーネームを汚した。
「これで」
ブーストを吹かして離脱し、バーストライフルを
「おわり」
゙壁越え゙は成された。621とラスティの奮戦により重装機動砲台ジャガーノートは打倒され、壁における切り札を失ったルビコン解放戦線は撤退さぜるを得なくなった。陥落した壁はアーキバスの管理下に置かれることとなり、近く駐留部隊の配置も行われる。
621ば壁越えを果たした独立傭兵レイヴン゙として広く知られることになるだろう。これまで積み重ねてきた実績にも箔がつき、より多くの、そして危険性の高い依頼も舞い込んでくるようになる。そしていずれは・・・。
「うぉるたー、うぉるたー! ただいま!」
「戻ったか、621」
思考を切り上げる。壁越え、そしてジャガーノート戦で消耗しているはずだが、帰還した621はその疲れを感じさせない様子で駆け寄ってくる。
「うぉるたー、かち? しめせた、かな」
「ああ。よくやった621」
「えへへ」
「・・・。それはそれとして、だ。621、話がある」
「う?」
「補給シェルパのことについてだ」
「ひえっ」
<新着メッセージ 1件>
『共に戦った縁だ、君にはひとつ伝えておこう』
『゙壁越え゙でアーキバスは・・・君を捨て駒にするつもりだった。独立傭兵には露払いだけさせ、私たちヴェスパー部隊で制圧する計画だったのさ』
『・・・』
『だが、壁は落ちた。これから先、君にば壁越えを果たした独立傭兵゙という評価がついて回るだろう。アーキバスの上役連中も君の名前を覚える気になるだろう』
『この私と同じようにね』
To be continued・・・→