シンが依頼した銃が完成したと聞きミレニアムに行ったシンは、エンジニア部の部室でヒビキに迎えられた。
「完成したよ、はい」
─おぉ・・・!
「要望通りに黒を高火力に、白を速射で、両方とも人には扱えない前提の仕様になっているよ」
白黒の二丁拳銃を握ることでシンは柄にもなく高揚している。キラキラした眼差しでヒビキに向けると笑みを浮かべて横に指を指す。シンがそちらに向くと的がある。試し撃ちできるのだろう。シンは的に黒い銃身を向けて発砲する。
─ッ!!
初めて銃を撃った反動はシンにとってかなりの衝撃だった。弾丸は的のど真ん中に命中して木製の的は粉々になった。この悪魔的威力に高揚感は冷めて流石のシンも恐怖した。
─ヒビキ、この一撃で気絶するの?死なない?
「大丈夫、ヘイロー持ちでも頭に当たれば気絶する威力だから」
─キヴォトスの人達って頑丈なんだな・・・
「爆風に飛ばされても簡単には死なないから」
並の悪魔でもこの世界の住人には苦戦するくらいにタフなのだろうとシンは思った。ヒビキは考えているシンに話しかける。
「シン、銃の名前は決めてるの?」
─え?うん、これらの銘は・・・“ルシファー”と“ミカエル”
「黒がルシファー、白がミカエルだね。いい名前だと思うよ」
この後シンはヒビキからホルスターを受け取り、シャーレに帰って行った。
シンがミレニアムで銃を受け取っている一方で先生はシャーレを通してアビドス高等学校から手紙を受け取っていた。先生はアビドスからの手紙を読み、ピンチであることを知った先生は早速アビドスへ向かっていた。しかし・・・・・・
「何処ここぉ!?」
アビドスのあまりの広さに学校が見つからず先生は迷子と化していた。
─先生がアビドスに?
「うん、だけどアビドスはね、所有地がかなり広いの。しかも自然災害で砂漠が広がっていてアビドスの土地勘が無い先生は遭難するのは確定しているわ」
銃を受け取りシャーレに戻ったシンは、ユウカから先生がアビドスへ向かったのを知った。ユウカ曰く、先生は絶対迷うとのこと
─それじゃあ、僕が助けに行ってくるよ。
なので、早速助けに行くシンは、契約した先生とのつながりを追って移動すればいずれかは合流できると考えている。先生がアビドスにいるとは限らないと考えたが、今回は大丈夫だろうと悪魔の勘が囁いていた。
そういうわけで、シンは先生との繋がりを辿っていけば、アビドス高等学校の近辺まで着いた。しかしたどり着いたはいいもの、校門前で戦闘が起こっているみたいだった。
─早速使わせてもらうよ、ヒビキ
シンはホルスターから黒い拳銃を取り出す。そしてシンは脚に力を入れて一気に跳んだ。着地地点はアビドスを襲っているヘルメット集団の中心だ。シンは落下中に着地先にいるヘルメットの生徒を3人撃ち気絶させる。
「何だ!?」
─真似させてもらうよ、ダンテ。【トゥーサムタイム】!
シンはもう片方のホルスターから白い拳銃を取り出し敵の中心地で全方位に乱雑に撃ちまくる。
『ギャーッ!?』
「な、何が起こってるの!?」
これによりヘルメットの生徒たちは数名を残して気絶、シンによって制圧された。ヘルメットの生徒達が倒されたのを見たアビドスの生徒は唐突に出現したシンに対して警戒していたが、そこに先生が現れた。
「シン!どうしてここに!?しかもどうやって!?」
─ユウカからアビドスに土地勘の無い先生なら必ず迷うって言われたから、助けにきた。方法は先生との契約の繋がりを辿った
アビドスにとって正体不明の人物は先生の仲間だと認識となって警戒を解いた
カタカタヘルメット団と呼ばれている生徒たちを制圧したことで、彼女たちの武器を押収し、武器を取り上げられたヘルメット団は解放された。押収した武器はこの後売るそうだ。そうして落ち着いたところでアビドスの一部屋にシャーレとアビドスの生徒が揃った。
「いやぁ〜かなりの数のヘルメット団をたった一人で倒し尽くすなんて、とっても強いんだね」
「シンさんのお陰でアビドスは助けられました、あのまま負けてしまうと学校は不良のアジトにされたはずですから」
「ここまで粘れたのも先生の指揮があったお陰、私たちだけの時とは違った」
狼耳の生徒の言葉に他の生徒は同意している。ひとしきり話したところで赤の眼鏡の生徒が自己紹介を始めた。
「少し遅れちゃいましたけど、あらためてご挨拶します。私たちはアビドス対策委員会です。私は委員会で書記とオペレーターを担当している1年のアヤネ・・・・・・こちらは同じく1年のセリカ」
「どうも」
「2年のノノミ先輩とシロコ先輩」
「よろしくお願いします、先生〜。それとシン君もよろしくお願いしますね〜」
「さっき道端で最初に先生に会ったのが、私。・・・・・・あ、別にマウントを取ってるわけじゃない」
「先生を助けてくれてありがとう」
「ん、これくらい構わない」
「そして、こちらは委員長の、3年のホシノ先輩です」
「いやぁ〜よろしく、先生、シン」
「こちらこそ、今後ともよろしく」
一通り紹介を終えたアヤネは話の本題に入る。
「ご覧になった通り、我が校は現在危機にさらされています・・・・・・そのためシャーレに支援を要請し、先生たちがいらしてくれたことで、その危機を乗り越えることができました」
「私は場を持ち堪えさせただけだよ。一番活躍したのはシンだ」
「急に現れたから敵かと思ったわよ」
─それは申し訳ないね
話の腰を折られたことはアヤネが咳払いをして止められた。
「何はともあれ、先生たちがいなかったら、さっきの人たちに学校を乗っ取られてしまったかもしれませんし、感謝してもしきれません・・・・・・」
「気にしないで、先生として当然のことをしただけだから。それで対策委員会について聞きたいんだけど、何をしているの?」
先生は質問としてアビドス対策委員会について聞いた。
「そうですよね、ご説明いたします。対策委員会とは・・・・・・このアビドスを蘇らせるために有志が集った部活です」
「ホシノたち以外のアビドスの生徒が全く見えないのは砂漠化の影響で出て行ったから?」
「そうだよ。今アビドスに所属しているのは、ここにいる私たちだけ。他は転校したり、退学して町を出て行った。それによって住民もほとんどいなくなって、カタカタヘルメット団みたいなチンピラに学校を襲われる始末なの」
このままではアビドスの生徒たちだけでは学校を守り切るのは難しい。そんな時のシャーレの支援は正に地獄に仏だったようだ。先生からの補給品のお陰で暫くは持ちこたえられるだろう。しかし、このまま何もしないで迎え打つのはジリ貧だった。そこで一声をあげたのはホシノだった。
「そういうわけで、ちょっと計画を練ってみたんだー」
「えっ!?ホシノ先輩が!?」
「うそっ・・・・・・!?」
─君たち、今のは自分自身の先輩に対してキツくないか?」
「そうだよー。今のは流石に私でも傷ついちゃうなー。おじさんだって、たまにはちゃんとやるのさー」
「・・・・・・で、どんな計画?」
気を取り直したセリカはホシノに計画の内容を聞く。返答したホシノの計画は至ってシンプルだった。
「シンのお陰でさっきのヘルメット団は武装を失った。帰ったら武器も補給はするだろうけど、だからこのタイミングでこっちから仕掛けて、奴らの前哨基地を襲撃しちゃおうかなって。今こそ奴らが一番消耗しているだろうからさー」
この計画は先生のバックアップをもらえることから出来る計画だ。これには他のメンバーも賛成気味である。そしてアビドスを助けるためにきた先生の判断は決まっていた。
「いいよ、やろう」
これにより、今からアビドス対策委員会はシャーレのバックアップにより、カタカタヘルメット団の前哨基地を向かい始めた。